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グレッチ・ギターの種類と選び方

グレッチ・ギター

Gretsch(グレッチ)はギターやドラムで知られるアメリカの代表的な楽器メーカーです。軽やかできらびやかなサウンドから、カントリーミュージックの定番機として長らく愛用されているほか、またレトロでゴージャスなルックスも相まって「ハーレーダビッドソン」、「リーゼント」、「革ジャン」に並ぶ「ロックンロールの象徴」にもなっています。今回は、このグレッチに注目してみましょう。


Shaking Walls with That Great Gretsch Sound
動画中に出てくる「Like No Other(誰とも似ていない)」は、グレッチなればこそ言えることです。サウンドもルックスも、すべてがグレッチならではです。

グレッチの歴史

グレッチは1883年、ドイツの移民であるフレデリック・グレッチ氏によって、バンジョー・、タンブリン・、ドラムなどのメーカーとしてニューヨークで創業されました。エレキギターの生産は1940年からと言われていますが、レス・ポ-ル氏と契約したギブソン社に対抗して、達人チェット・アトキンス氏と契約し、「6120」や「ホワイトファルコン」などのヒット作品を開発します。アトキンス氏にならって多くのカントリー・ロカビリー・プレイヤーがグレッチのギターを手にし、グレッチはギター業界においてギブソンフェンダーリッケンバッカー等と並ぶ地位を獲得します。ロックンロールのアーティスト、エディ・コクラン氏も「6120」を愛用したことで、グレッチはロックンロールにおいても重要なギターになりました。1960年代にはビートルズのジョージ・ハリスン氏もカントリージェントルマンを携えてエド・サリヴァン・ショウのステージに立ち、グレッチの知名度を上げました。


3人のチェット・アトキンス氏による夢のようなアンサンブル。左のアトキンス氏が演奏しているギターはグレッチの「Super Axe(スーパーアックス)」という珍しいギターで、コンプレッサーとフェイザーを内蔵しています。
チェット・アトキンス氏は「ミスター・ギター」の異名を取るカントリー・ミュージックの偉人で、サムピックを用いた3フィンガースタルのプレイを得意としています。本来はフォークギターの演奏スタイルですが、現代で言うエレアコのような使い方です。

1980年代での再評価

一世を風靡したかに思えたグレッチも、フェンダーやとギブソンの人気に押されて一時は衰退します。その後1980年代にブライアン・セッツアー氏がストレイ・キャッツで活躍したことから再評価され復活、安定的な人気を得るようになりました。現在のグレッチに対するロックンロールのイメージは、ブライアン・セッツアー氏の功績だといわれています。


Brian Setzer – Sleepwalk (Live)
ブライアン・セッツァー氏は、現在最も代表的なグレッチのプレイヤーです。ストレイ・キャッツの成功からブライアン・セッツァー・オーケストラで結実した氏の幅広い音楽性は、ロカビリーに留まらずジャズやブルースにおいてもグレッチをフルに活用しています。

1989年からは新たに、

  • Nashville(チェット・アトキンスホロウボディ・ナッシュビル)
  • Tennessean(テネシアン)
  • Anniversary (アニバーサリー)
  • Duo Jet (デュオジェット)
  • Country Club (カントリークラブ)

などのリイシュー・モデルを開始します。1995年頃からは Electromatic (エレクトロマチック)という廉価版ブランドを発足させます。おかげでこれまで「高根の花」だったグレッチも、近年では身近な存在になってきました。


The Beatles on the Ed Sullivan show
ビートルズのメンバーとしてエド・サリバン・ショーに出演する時に、ダブルカッタウェイのカントリージェントルマンをよく使用していました。バンドの中で映える軽快なコード弾きは、グレッチの得意とするところです。

2010年代からはパンクロックというフィールドへ

2010年代にはRANCIDのティム・アームストロング氏、Hi-STAMDARDの横山健氏らが積極的にグレッチを使用し、アーティストモデルをリリースします。これまでイメージの薄かった「パンクロック」というフィールドへ、グレッチは波及しつつあります。

グレッチ・ギターの音や特徴

グレッチの魅力は主張のあるルックスと美しいサウンド、そしてちょうどいい不器用さが帯びる、人間的な魅力だと言えるでしょう。この、一本筋の通った不器用さが、夢や信念に一途なロックアーティストに好かれる要因となっています。「キング・オブ・ロックンロール」と称されるエルヴィス・プレスリー氏を筆頭に、ロカビリーからジャズまでグレッチのポテンシャルを最大限に引き出したブライアン・セッツァー氏、日本でも浅井健一氏やチバユウスケ氏など、洋邦のロックミュージシャンたちに愛されてきました。

ルックスの魅力とちょうどいい不器用さ

ホワイトファルコン

「世界一美しいギター」として知られるフラッグシップモデル「ホワイトファルコン」で金字塔を打ち立てたグレッチのギターデザインは、芸術的な曲線を描くfホールや独特のカラーリングといったデザインの美しさが特徴。レトロでありゴージャスであり、そしてエレガントです。グレッチをメインに選ぶプレイヤーは、第一にそのルックスに惹かれます。

G5422T:全景

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  • G5422T全体
  • コントロールノブ
  • ストラップピンとピックアップセレクター
  • ペグ

コントロールノブ/ピックアップセレクター/ストラップピン/ペグに至るまで、クラシックカーの意匠を彷彿とさせる金属パーツを採用。これもグレッチ・ギターの魅力の一因となっている。

サウンドの変容

いわゆる「グレッチのあの音」は、エフェクターに頼らない「アンプ直」、またはそれに近いセッティングで放つ美しいクリーン/クランチです。多くのプレイヤーがこの音色に魅了され、特にカントリーやロカビリー、ロックンロールといったジャンルで盛んに使用しました。しかし豊かな「箱鳴り」が災いし、深く歪ませるとハウリングが起きやすく、どんなジャンルでも使用できるわけではありませんでした。この欠点は「人間的な不器用さ」と好意的に受け止められ、それゆえ「扱いが難しく、弾き手の力量に大きく左右される」とも言われました。だからこそグレッチは、「弾き手によっていろいろな表情を見ることができる」、「バンドやアーティストの魅力を何倍にも増幅させてくれる」、そんなギターだと目されてきたのです。

このような従来のグレッチに対するイメージに対し、現代のグレッチは

  • ボディに合板を使用して余計な箱鳴りを抑え、かつ剛性を上げる
  • ピックアップにポッティング(ロウ付け)を行う

といったハウリング対策が重ねられており、ドライブサウンドにもじゅうぶん対応することができます


New 2016 Gretsch Players Edition
現代のグレッチは、ボディ構造の見直しやハウリング対策などを経て、ドライブサウンドとの相性が強化されています。そのせいもあり、今までグレッチがなかなか使われなかったジャンル、「パンク」でのグレッチ愛用者が増えている傾向にあります。

特徴的なピックアップとホロウボディの織りなす、軽やかなエアー感

フィルタートロン
G5422Tに搭載される「Filter Tron(フィルタートロン)」ピックアップ

グレッチの代表的なハムバッカーピックアップ「ハイセンシティブ・フィルタートロン」、上位モデルに使用される「TVジョーンズ」ともに、程よく低出力で押し付けがましくない低音、軽やかさときらびやかさのあるサウンドが特徴です。これにホロウボディによって作られるエアー感(=空気感)が加わる事で、太さと温かみのある「グレッチのあの音」が出来上がります。この音は特に、ロックボーカリストの情熱的かつセクシーな歌声を支えるのにうってつけだと考えられています。

グレッチのサウンドは「骨太で荒削り」と表現されることもありますが、これはプレイヤーがロケンローなスピリットでガツン!!と弾いた時に見せる表情です。グレッチが最も「良い仕事」をするのは真空管アンプに直接つないだ時だと言われますが、そのときは「甘美」という表現が相応しい、艶っぽいクリーン/クランチがプレイヤーを包んでくれます。

BIGSBY(ビグスビー)トレモロユニット

ビグスビー

「ビグスビー・トレモロユニット」には、

  • やたらかっこいい
  • 音程変化が緩やかで、音楽的なビブラートがかけられる

という特徴があります。多くのブランドでオプション的な扱いになっている部品ですが、グレッチでは「ビグスビー搭載」が標準仕様です。ビグスビー製品をそのまま使用することもありますが、プレート部分がV字にカットオフされているものなど、グレッチ専用に開発されたものも多く使われます。

《アームのレトロ・スタンダード》ビグスビー特集

グレッチ・エレキギターの選び方

グレッチ・エレキギター

ここまでは、グレッチのギター全体に通じる特徴を見てきました。長い歴史の中で、グレッチからは様々なギターが生まれています。どれも一貫して「グレッチらしい」クールなルックスを持ち、それでいていろいろなところに各モデルの「個性を分かつ仕様」が採用されています。ここからは、これらグレッチのギターにはだいたいどういうものがあるのか、各モデルがどういうポイントで区別されるのか、といったところをチェックしていきましょう。グレッチのギターを検討している人は、ぜひ参考にしてください。

1) グレッチ独特の、クールな面構えをチェック!

「グレッチを選ぶ者は、まずそのルックスに胸を打たれる」という考え方が一般的です。グレッチのギターは一貫して1950年代の「古き良きアメリカ」の雰囲気を守り、それを奏でる者のアイデンティティを強烈に主張します。かの浅井健一氏(ブランキー・ジェット・シティ、シャーベッツ、アジコなど)はショップで自分のメインギターを検討する際、通りかかった女子高生を呼びとめ「どっちがかっこいい?」と聞いて、G6119テネシアンに決めたと伝えられています。ここではグレッチのクールな面構えを演出する3つのポイントをチェックしてみましょう。

各モデルの定番カラー

グレッチでは、

  • 定番機「ナッシュビル」ならオレンジ
  • デュオジェット」ならブラック
  • カントリージェントルマン」ならウォルナットステイン
  • アニヴァーサリー」ならスモークグリーン

などというように、各モデルでの個性的な定番カラーが設定されています。

グレッチ・ギターのカラー 左から:G6120T Players Edition Nashville、G6128T Players Edition Jet、G6122T Players Edition Country Gentleman、

グレッチはカラーリングに対するこだわりが非常に強く、ルックスの重要なポイントになっています。グレッチを検討していて迷うようなら、いっそのこと色で決めてしまってもむしろオッケー!というくらいです。「ホワイトファルコン」や「ホワイトペンギン」は言うに及ばず、「G6128 デュオジェット」では色違いモデルに対して「G6129 シルバージェット」、「G6131 ファイアーバード」というように別のモデル名まで与えているほどです。各種アーティストモデルや限定生産モデルでは、ステージ映えするまばゆい色調が多く採用されています。
カラーリングにはシブいこだわりもあります。たとえば「テネシーローズ」ではモデルごとの色調に微妙な違いを持たせ、「ウォルナットステイン」、「バーガンディステイン」、「ディープチェリーステイン」などと区別しています。

各パーツの帯びるエレガンスとタフネス

グレッチでは、パーツからも美しさを感じさせられます。金属製のコントロールノブはグレッチ専用で、「矢(アロー)」やグレッチの「G」が刻まれ、ファルコン/ペンギン用のものには宝石を模した赤い石が埋め込まれます。ピックガードは肉厚で、指置きの役割をしっかり果たします。ビグスビーのルックス的なアドバンテージは多くの人が感じるところですが、ユニットを構成する部品がどれも頑丈でしっかりしており、「そう簡単にぶっ壊れることはないだろう」という安心を感じさせてくれます。

個性的な指板インレイ

ルックスへの突き抜けたこだわりを持つグレッチでは、指板インレイも独自路線を走っています。知っている人なら、指板の写真だけで「コレはグレッチだ」と判別できるほどです。高級機ではMOP(マザーオブ・パール。真珠貝)のインレイに彫刻を施すこともあります。

  • “ネオ・クラシック”サムネイル:現代の標準仕様で多くのモデルに採用。低音弦側に小さく半月状のマーク。
  • ハンプブロック:上部にコブの付いた四角形。ヴィンテージセレクト・エディション版「55年ホワイトファルコン」、「57年デュオジェット」などで採用。
  • ビッグブロック:1950年代中盤まで採用されていた、ポジションを埋めてしまうほどの大きなブロックインレイ。ヴィンテージセレクト・エディション版「55年チェット・アトキンス6120」、「53年デュオジェット」のほか、新しいモデル「ジェットBT」などでも採用。

“ネオ・クラシック”サムネイル指板インレイは、現代モデルの定番インレイとして多くのモデルで採用されています。指板インレイにおいては、グレッチは「グレッチらしいギラギラのゴージャス感」をあえて手放しました。かつてポジションを埋めてしまうほどでっかいブロックインレイを採用していたグレッチでしたが、「せっかく良質な指板材を使っているのに、インレイでポジションを埋めてしまったら、指板材の性質を活かしきれない」という考えを取り入れ、弦にほとんど触れず、かつ視認性が良いという現在のデザインに落ち着いたわけです。
一般的に使用される「ドット・インレイ」の採用例は、かなり限定的です。

2) 3種類のボディ構造

ごくごく一部のモデルを除き、グレッチのボディは必ず共鳴用の空洞を持っていますが、これもグレッチのアイデンティティの一つです。フェンダーが発明したソリッドギター「テレキャスター」が市場を席巻し、ギブソンまでがレスポールでソリッド市場に参入するなか、グレッチは頑としてソリッドギターを作ろうとしませんでした。さすがにソリッド市場も無視しきれなくなって「ソリッドモデル・G6128 デュオジェット」を発表しますが、実際にはバック材をくり抜いて空洞を設けていました。グレッチはボディの空洞にこだわっていたのです。
そんなグレッチの主なボディ構造には、現在3種類があります。

ホロウボディ

「ホロウボディ」はグレッチで最も歴史ある伝統のスタイルで、内部が完全に空洞な「フルアコ」構造です。ボディ鳴りがもたらす「エアー感」を帯びたサウンドが持ち味。現在ではメイプル合板製のトップ/サイド/バックを貼り合わせて作るのが普通で、「G6196 カントリークラブ」ではトップにスプルース単板が使用されることもあります。
ボディの大きさは「ボディ幅」「ボディ厚」の二つで表されます。ざっくり2種類ある「ボディ幅」は、モデルごとに決定されています。

ボディ幅 採用モデル名
16インチ G6118 アニヴァーサリー、G6119 テネシーローズ、G6120 ナッシュビル など
17インチ G6122 カントリージェントルマン、G6136 ファルコン、G6196 カントリークラブ など

表:グレッチ・ホロウボディのボディ幅

ボディ幅はわずか1インチの差でも、空洞の大きさは三次元的に増加し、響きに大きく影響します。大きな空洞を持つ方が豊かな鳴りを得られますが、例えばピックが弦に届きやすいかどうかなど、演奏性にも大きく影響する問題です。一般に「16インチは適度にでかい。17インチはかなりでかい」と目されていますが、ショップで実際にそのサイズ感を体験することをお勧めします。

「ボディ厚」には2.25インチや2.5インチ、2.75インチなどがあり、

  • カントリージェントルマンは薄め(2.25インチ)
  • どのモデルでも、ダブルカッタウェイはだいたい2インチ
  • 「プレイヤーズ・エディション」シリーズでは、一律に2.25インチ

という傾向もありますが、モデルごとに統一されているわけではありません。たとえば同じ「G6120 ナッシュビル」では、

  • G6120T Players Edition Nashville:ボディ厚2.25インチ
  • G6120SSU Brian Setzer Nashville:ボディ厚2.75インチ

というように、0.5インチ(約1.3センチ)の差が生まれています。

チェンバード構造

「チェンバード構造」とは、ある程度の厚みを持ったボディ材をくり抜いて、共鳴用の空洞にしたものです。「ジェット」および「ペンギン」に類するモデルで採用されており、

  • ソリッドボディより軽やかに広がる響きを持ち、
  • ホロウボディよりもキュっと引き締まる、

このようなサウンドを持つ印象です。
くり抜いたマホガニーにメイプル合板製のトップを貼りつけて作りますが、トップ面で木目や杢を主張するモデルはまれで、普通は塗りつぶし塗装が施されます。


Power is Loud – Gretsch G6228 Players Edition Jet™ BT
数少ない「ボディトップで杢を主張するジェット」、G6228FM。グレッチらしい個性的なルックスですが、もともとオーソドックスな楽器本体は馴染みやすく、他のギターからの持ち替えもスムーズです。

センターブロック

「センターブロック」は近年発表された新しい構造で、いわゆる「セミアコ」です。薄型のホロウボディ中央にスプルース製のセンターブロックを仕込むことで、エアー感とソリッド感を両立させています。
センターブロックの木材に軽量なスプルースを選択したこと、センターブロックにチェンバー加工を施していることが特徴で、セミアコ特有のコリコリ感を出しながらも、グレッチの個性であるエアー感がしっかり残っている、というバランスです。また、ボディに直接ネジが締められるというメリットを活かし、「テンションバー」を使用する代わりに「ボディへの直付け」が必要なタイプのビグスビーが採用されます。
現在のセンターブロックモデルは、ブロードキャスター、ナッシュビル、ホワイトファルコンなどからリリースされ、ボディサイズを抑えた「Jr.」も作られています。


Gretsch Guitars Players Edition G6636T Falcon Center Block Double-Cut w/ String-Thru Bigsby
薄めのダブルカッタウェイボディに、スプルース製のセンターブロックが仕込まれています。センターブロックに穴が開けられていてソリッド感は控え目ながら、サウンドは引き締まり、コシのあるドライブサウンドが得られます。

3) グレッチの定番機種といえば?

一世紀をゆうに超えるグレッチ史の中で、非常にたくさんのギターが開発されてきました。現在のラインナップ(2018年9月時点)は、エレキギターだけで142モデルもリリースされています。ここから1本を選び出すのはちょっと大変なので、ひとまずその中でも「定番機種」と考えられているものをピックアップしてみましょう。これらはさすがに定番機種だけあり、最新仕様(Players Edition)、ヴィンテージモデル(Vintage Select Edition)、アーティストモデル(Professional Collection)各シリーズからリリースされています。

G6120 ナッシュビル(チェット・アトキンス・ホロウボディ)

G6120ナッシュビル

ボディ幅16インチ、ホロウボディ代表。1954年のデビュー当時から「オレンジ」というポップなカラーリングを採用しています。カントリー・ミュージックの名手チェット・アトキンス氏が開発に携わったギター第一号であり、のちにブライアン・セッツアー氏の手によってグレッチ再興が果たされた、グレッチ・ブランドとしても非常に意味のあるモデルです。エレクトロマチック・コレクションからは、お求めやすいモデル(G5420T ホロウボディ)もリリースされています。

G6120ナッシュビル


G6122 カントリージェントルマン

G6122カントリージェントルマン

シックな薄型ボディ代表。やはりチェット・アトキンス氏のために開発されたギターですが、ロック史としてはジョージ・ハリスン氏が長らく愛用していたことにも重要な意味があります。旧式のモデルでは、斬新な「ダブル・ミュート(スポンジがブリッジミュートしてくれる)」と「シミュレーテッドFホール(描いただけで、穴が空いていない)」も再現されています。

G6122カントリージェントルマン


G6136 ホワイトファルコン

ボディ幅17インチの巨大な本体とゴージャスな意匠を最大の特徴とする「世界で最も美しいギター」で、グレッチでもっとも位の高いモデルです。アーティストモデルなどではさまざまなカラーリングが見られますが、定番カラーといえばやはりホワイトです。「このデーハー(派手。業界用語)なルックスがどうも苦手」という人には、楽器としては同じ仕様のG6196カントリークラブがお勧めです。

ホワイトファルコン


G6129 デュオジェット

チェンバード・ボディはここから始まり、バリエーション展開していきました。ブラックの精悍さと引き締まったサウンドはロック・ミュージックとの相性が良く、また軽量でライブ向きです。エレクトロマチック・コレクションからは、特徴をしっかりとらえた「G5230 ジェットFT」、「G5434/G5435 プロジェット」、シンプルにまとめた「G5425/G5426 ジェトクラブ」がリリースされています。

G6128デュオジェット


4) ピックアップの特徴は?

グレッチ・ピックアップ

グレッチに搭載されるピックアップは、「フィルタートロン」「ダイナソニック」「ハイロートロン」の3つを主軸とし、ここから枝分かれしたバリエーションモデルやTVジョーンズ社製ハイエンドピックアップが使用されることもあります。次のページでは主軸の3モデルを細かく見ていくことができます。

グレッチ・ピックアップの種類と特徴

5) ブリッジとテールピースいろいろ

グレッチ・ギターのブリッジ

弦を受け止め、ボディへ振動を伝達するブリッジとテールピース。ブリッジでは特に機能面で、テールピースは特にルックス面で、グレッチはアイデンティティを主張します。ギターの重要部分であるこの二つにも注目してみましょう。

グレッチのブリッジとテールピースについて

6) グレッチって、お高いんでしょ?

長い歴史、ゴージャスなルックス、他にはない音。グレッチは由緒ある高級ブランドです。ステージでアーティストがバリバリ演奏するグレッチを若い人が買おうと思ったら、かなりの根性が必要になります。しかし中には比較的求めやすい価格帯のものもあり、最初からグレッチのギターを手にすることも可能です。グレッチの価格やグレード、シリーズについてチェックしてみましょう。

グレッチのグレードには大きく3つあり、それぞれの生産地が決まっています。しかしこのうちメイドインUSAのカスタムショップに限っては日本国内の流通がきわめて少ないため、「日本製とアジア製の二つ」が実質的なグレード分けだと考えていいでしょう(価格帯は2018年9月時点)。

  • メイド・イン・USA:グレッチ・カスタムショップ。ごく少数の熟練工による特別製。ヴィンテージギターやアーティスト使用ギターの完全再現など、マニアックな1点ものを作っている。100万円オーバーは当たり前で何百万円もする個体もあるが、流通は極めて少ない。
  • 日本製:「プロフェッショナル・コレクション」などのレギュラーモデル。ブライアン・セッツアー氏らアーティストが手にするギターも、通常の生産ラインで作られたもの。価格帯は29万円~58万円。
  • アジア工場製:「エレクトロマチック・コレクション」と「ストリームライナー・コレクション」。廉価版はアジア諸国の工場で生産されるが、アーティストモデルもある。価格帯は6.5万円~25万円。

グレッチ各グレードにおけるシリーズ分け

では、日本製とアジア工場製それぞれのシリーズ分けを見ていきましょう。

日本製グレッチのシリーズ分け

現在の日本製グレッチには3つのシリーズがあり、それぞれのコンセプトに従ってラインナップを展開しています。

シリーズ名 価格帯 特徴
Professional Collection 29~58万円 限定仕様やアーティストモデルなどが中心で、左用もある。下記「Vintage Select Edition」と「Players Edition」に含まれないギターもここに属する。ヴィンテージスペックをマニアックに再現するものや、ラッカー塗装を採用するものなど、バリエーションは多岐。ここに含まれる「FSR(Factory Special Run)」は、日本国内限定仕様のスペシャルモデル。
Vintage Select Edition 38~58万円 「トレッスル・ブレイシング」や「パラレル・トーンバー」などヴィンテージ・スペックを取り入れ、また年代ごとの特徴を再現したヴィンテージモデル。ピックアップはすべてTVジョーンズ社製で統一されている。グレッチ新開発の「スクイーズボックス」オイルコンデンサーは全機種に採用され、高音域がシルクのように響く。残念ながら、左用はない。
Players Edition 35~55万円 鳴りを向上させる「MLブレーシング」など、現代的なアプローチで新しい設計を積極的に取り入れ、かつてない機能性と耐久性を実現させた最新仕様。ロック式ペグとストリングスルー・ビグスビーにより、弦交換の時間短縮とチューニングの安定度が飛躍的に向上。「スクイーズボックス」オイルコンデンサー、トレブルブリード回路、ノーロード・トーンポットにより、電気面での大幅な強化を達成。歴史上の名機を現代目線で見直すことで、かつてない実用性を手に入れたモデル。左用もある。

 表:日本製グレッチのシリーズ分け(価格は2018年9月時点)

日本製のグレッチは、以上の3シリーズからラインナップを展開しています。上の表からは、それら3シリーズがだいたい同じような価格帯に収まっていることがわかります。ではそれぞれにグレードの差はないか、というと必ずしもそうではありません。

日本製グレッチ3シリーズの違い

日本製グレッチ3シリーズ 日本製3シリーズの「G6120」

代表機種「G6120」を例に挙げると、

  • Professional Collection:G6120-1959LQ SP FSR Chet Atkins Hollow Body(52万円):継ぎ目のないボディトップ、セミマット・ニトロセルロースラッカー塗装、ネックジョイントの「ダミーボタン」など、当時のスペックをマニアックに再現。
  • Vintage Select Edition:G6120T-59 VS Vintage Select Edition ’59 Chet Atkins(48万円):TVジョーンズ社製ピックアップ、グレッチ新開発の「スクイーズボックス」オイルコンデンサーにより、ヴィンテージに迫るサウンド。
  • Players Edition:G6120TFM Players Edition Nashville(40万円):鳴りを向上させたボディ構造、利便性の高い金属パーツと音抜けの良さを追求した電気系などを採用した最新仕様。モデル名の「FM」は、「フレイムメイプルトップ」の意味。

というように、10万円以上の価格差ができています。 ただしこれはコンセプトの違いから生まれた価格差なのであって、52万円のプロフェッショナル・コレクションが40万円のプレイヤーズ・エディションより優れた楽器である、というわけでもありません。プレイヤーズ・エディションは最新の設計により総合的に強化され、実用性を極めています。ヴィンテージセレクト・エディションはグレードの高いピックアップが備わっている分、サウンド的なアドバンテージが認められます。

アジア工場製グレッチのシリーズ分け

シリーズ名 価格帯 特徴
Electromatic Collection 6.5~25万円 グレッチ代表機種の特徴を再現しつつ価格を抑え、手に入りやすくしたモデル。採用ピックアップはいくつかあるが、フィルタートロンタイプで統一されている。「初心者セット」に組み込まれることもある。
Streamlier Collection 9.7~11万円 「古き良きグレッチらしさ」を大切にしながら、現代的な演奏にマッチするアレンジを加えたモデル。全機種「ブロードトロン・ハムバッカー」ピックアップ搭載。かつてのグレッチが苦手としていた、ハードなドライブサウンドにも対応。

表:アジア製グレッチのシリーズ分け(価格は2018年9月時点)

さまざまなタイプをカバーする「エレクトロマチック・コレクション」に対して、設定したコンセプトに従ってポイントを絞った「ストリームライナー・コレクション」という区別になっています。


Gretsch Electromaticシリーズのギターを、ギター博士が弾いてみた!
Electromaticシリーズのギターなら、予算を抑えながらもグレッチらしいルックスとサウンドが手に入る!

ラインナップ


資料館

プレイヤーズ・エディションのホロウボディ仕様比較

G6118
Anniversary
G6119
Tennessee Rose
G6120
Nashville
G6122
Country Gentleman
G6136
Falcon
ボディ幅(inch) 16 16 16 17 17
弦長(inch/mm) 24.6/625 24.6/625 24.6/625 25.5/648 25.5/648
パーツカラー クローム クローム ゴールド ゴールド ゴールド
指板材 ローズウッド ローズウッド エボニー エボニー エボニー
標準価格(¥) 350,000 360,000 370,000 380,000 500,000

(2018年9月版)
共通点

  • ボディ厚は2.25インチ
  • 「ハイセンシティブ・フィルタートロン」ピックアップ
  • ロック式ペグとストリングスルー・ビグスビー
  • 音抜けを向上させる「トレブル・ブリード」回路と「ノーロード・トーン・ポット」

など。