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フェンダー・テレキャスターの種類と選び方

フェンダー・テレキャスター

「フェンダー・テレキャスター」は、「現代エレキギターの元祖」です。「エスクワイア(1949年)」、「ブロードキャスター(1950年)」、そして「テレキャスター(1951年以降)」へと名前は変わっても今なお生産が続けられ、移り変わる音楽シーンに伴ってテレキャスターも変身を続け、現在さまざまなテレキャスターがリリースされています。今回はこのフェンダー・テレキャスターに注目し、その魅力、そして種類や特徴をチェックしていきましょう。テレキャスターの購入を検討しているという人は、ぜひ参考にして下さいね。


The Rolling Stones – Start Me Up (Sweet Summer Sun – Hyde Park)
ローリング・ストーンズ所属、キース・リチャーズ氏の愛機「ミカウバー(Micawber)」は、世界でもっとも著名なテレキャスターの一つです。1953年製テレキャスターのフロントにギブソンのヴィンテージPAFを載せ、6弦を外して「オープンG」チューニングで使用します。

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1: 「世界初のエレキギター」と言われるけれど... 2: テレキャスター・サウンドの魅力を確認しよう 2.1: コード弾き用ギターとしてたいへん優秀 2.2: 高音が映えるセクシーなリードプレイ 3: テレキャスターは大きく3種類ある 3.1: 1) テレキャスター 3.2: 2) テレキャスター・シンライン 3.3: 3) テレキャスター・カスタム/テレキャスター・デラックス 4: フェンダー・テレキャスターのラインナップ 5: 新旧の仕様で考える、テレキャスター各部の特徴 5.1: 《ボディ》新旧は「削り」で決まる 5.1.1: 1) ボディ材は、アッシュとアルダーが主流 5.1.2: 2) ボディ構造(ソリッドかシンライン) 5.1.3: 3) 裏側から見る、新旧の違い 5.1.4: 4) バインディングやピックガード 5.2: 《ネック》新旧の違いが最も強く表れる 5.2.1: 1) ナット幅 5.2.2: 2) フレット数とフレットサイズ 5.2.3: 3) 指板材と指板R 5.2.4: 4) ネックシェイプとネック塗装 5.2.5: 5) トラスロッドの仕込み方 5.3: 《ピックアップ》フェンダーは、世界的なピックアップメーカーでもある。 5.3.1: 1) シングルコイル 5.3.2: 2)ハムバッカー 5.4: 《各部金属パーツ》軽量級(旧)と重量級(新) 5.4.1: 1) ペグ 5.4.2: 2) ブリッジとサドル 5.5: 《操作系と配線》シンプルか多機能か 6: 「アーティストモデル」という選択 7: 「どうやってテレキャスターは生まれたか」を想像してみよう 7.1: 1) ボディ構造 7.2: 2) ネック構造 7.3: 3) 金属パーツと電気回路

「世界初のエレキギター」と言われるけれど…

テレキャスターのヘッドロゴ

テレキャスターは、「エレキギターの元祖」なのでしょうか。残念ながら、それは違います。ソリッドボディのエレキギターとしては、1931年にロー・パット・イン・コーポレーション(後のリッケンバッカー)が開発したラップスチール(=膝や台に仰向けに寝かせて演奏するギター)「フライングパン」が世界初です。スパニッシュスタイル(=横に構えて弾く)でソリッドボディのエレキギターとしては、同じくリッケンバッカーが1935年に発表した「エレクトロ・スパニッシュ」が大きく先行しています。しかしながらテレキャスターは、

  • ネックと平行のヘッド
  • 指板を貼らないワンピースネック
  • デタッチャブルネック(=ネジ止め)構造
  • 電気回路を鉄のプレートにまとめてユニット化

など、これまでの常識から逸脱した斬新な設計で、また弾きやすくサウンドも良かったため、商業的に大成功を納めました。このテレキャスターが後に続く他のギター、また後発ギターメーカーの生まれるきっかけとなりました。テレキャスターは、いわば「現代エレキギターの元祖」なのです。

テレキャスター・サウンドの魅力を確認しよう

コード弾き用ギターとしてたいへん優秀

テレキャスターが「サイドギターやギターボーカルが使用する楽器」として多くのプレイヤーに愛用されているのには、理由が二つあります。テレキャスター特有のサウンドと、同じく特有のボディバランスです。

1)「トゥワンギー」なサウンド

クリーン/クランチで「ジャキッ」と気持ち良く鳴ってくれるサウンドは「トゥワンギー」とも言われ、コード弾きに大変良好です。シングルカッタウェイ、ハードテイル(固定式ブリッジ、裏通し)という構造は芯のある弦振動を生みます。

2)アコギに近いボディバランス

立って弾こうとすると、テレキャスターは水平になろうとします。このバランスが好きな人も多くいますが、リード奏者の多くが苦手とするバランスでもあります。しかしこれがコードストロークを行なう上では非常に良好で、とくにアコギに慣れているプレイヤーにとっては大変弾きやすく感じます。


ゲット・アップ・ルーシー / THEE MICHELLE GUN ELEPHANT
惜しくも早世した名手、アベフトシ氏。リードも取りこそすれ、ひたすらかき鳴らすギタリストに最も似合うのは、やはりテレキャスターではないでしょうか。

高音が映える、セクシーなリードプレイ

テレキャスターが「コードを演奏する楽器」として大変に優れているのは、疑いようがありません。しかしながら、テレキャスターによるリードプレイは、またことのほか魅力的です。以下に紹介するロイ・ブキャナン氏のように、テレキャスターでのリードプレイを得意とするプレイヤーは実にたくさんいます。ジェフ・ベック氏の名演「悲しみの恋人たち」でテレキャスターが使用されたのは、このブキャナン氏に捧げるためだったと伝えられています。


Roy Buchanan – In the Beginning (Live)
若くして不遇の死を遂げたテレキャスターの名手、ロイ・ブキャナン氏の名演。突き抜ける高音域が、テレキャスターサウンドの魅力です。ロイ氏のプレイに衝撃を受けたエリック・クラプトン氏やジェフ・ベック氏らがこぞってテレキャスターを買い、血相を変えてそのプレイをコピーしたという逸話があります。

世界最高の無名ギタリスト「ダニー・ガットン」

テレキャスターには無骨なイメージがあり、演奏性を最優先に設計されたいわゆる「テクニカル志向」のギターとは真逆の存在です。そのためか、テレキャスターメインでウマいプレイヤーは「テレマスター」と称され、他のギターでウマいプレイヤーよりも尊敬される傾向にあります。そういった名手の中でも、現代のプレイヤーでもなかなか超えられないと言われるのが、故ダニー・ガットン氏です。

氏は、「世界最高の無名ギタリスト」の名をロイ・ブキャナン氏と二分する達人プレイヤーです。それを象徴するかのように、氏については日本語版のウィキペディア記事が存在しない(2020年6月現在)ばかりか、このサイトで紹介できる公式の動画すらない状況です(非公式の動画は、たくさん見ることができます)。

氏についてはフェンダー・カスタムショップからシグネイチャーモデルがリリースされています。また、教則DVD、ハンドメイドのシグネイチャーピックアップなど関連グッズがいくつかリリースされているほか、手塩にかけて育てたというジョー・ボナマッサ氏の活躍もあって、ドキュメンタリー映画が公開される(日本では非公開)など、再評価が進んでいます。

テレキャスターは大きく3種類ある

テレキャスターには、様々なバリエーションがあります。ですからちょっとしたアレンジから抜本的な仕様変更まで、網羅しようにもキリがありません。細かく見ていく前に、ここではそのバリエーションをざっくり3種類に分類し、その特徴を見ていきましょう。

1) テレキャスター

American Professional Telecaster American Professional Telecaster(Sonic Gray)

単に「テレキャスター」と言われたら、まず真っ先にイメージするであろう標準機です。ソリッドボディに大小2基のシングルコイル・ピックアップ、3WAYセレクタ、1基ずつのボリューム、トーンを備えるのが基本的なスタイルですが、ピックアップはハムバッカーに換装されるなどカスタマイズによって「プラス」や「スペシャル」の名が付けられることもあります。

年式やコンセプトによってバリエーションは多岐に及びます。その中でもセンターピックアップを追加して3シングル仕様にしたものを「ナッシュビル・テレキャスター」と呼びます。また1959年に誕生した、「アルダーボディ、ローズウッド指板、ボディバインディングあり」のテレキャスターは「テレキャスター・カスタム」と呼ばれます。


ギター博士がフェンダー・ジャパン・テレキャスターを弾いてみた!
ギター博士が弾いているのはFender Japan Exclusive「Classic 60s Tele Custom」

2) テレキャスター・シンライン

American Elite Telecaster Thinline American Elite Telecaster Thinline

「シンライン」は、ボディ内部をくり抜いてホロウ化させたテレキャスターです。ボディの中心部分はソリッドのまま残されますから、セミアコ(セミホロウ)に分類されます。このシンラインには、標準的なテレキャスターをホロウ化させた「1969年式(’69シンライン)」と、両ピックアップを「ワイドレンジ・ハムバッカー」に変更した「1972年式(’72シンライン、70sシンライン)」の2タイプがあります。
ボディ構造から生音が大きく、サウンドに柔和なニュアンスが若干加わりますが、そのためなのかどちらかと言えばギターボーカルに使用される機会が多いようです。

フェンダー・テレキャスター・シンライン

3) テレキャスター・カスタム/テレキャスター・デラックス

Classic 70s Tele Custom フロント・ピックアップのみハムバッカーのテレキャスター・カスタム「Classic 70s Tele Custom」

フロント・リアどちらもハムバッカーのテレキャスター・デラックス「Classic Series ’72 Telecaster Deluxe」

低音弦側にトグルスイッチを配し、ピックアップそれぞれにボリュームとトーンを備えるという電気系は、ギブソンを意識し、また対抗したのだと言われています。フロント・ピックアップをワイドレンジ・ハムバッカーに換装したものを「テレキャスター・カスタム」、リア・ピックアップもワイドレンジ・ハムバッカーに換装したものを「テレキャスター・デラックス」と言います。テレキャスター・デラックスには、この時代に見られるストラトキャスターと同じ「ラージヘッド」が採用され、またボディ裏にはコンター加工が施されます。ピックアップの出力が増強されたことから、こちらは特にロック系のアーティストに多く使用されているようです。

「テレキャスターの種類」の注意点

1)’72シンラインとテレキャスター・デラックス
ワイドレンジ・ハムバッカー2基を備える「’72シンライン」と「テレキャスター・デラックス」はピックアップとブリッジが共通であることから、かなりキャラクターが近いギターです。かなり紛らわしいですが、

  • ボディ構造:ソリッド(デラックス)かセミアコ(シンライン)か
  • 操作系:ボリューム&トーンがそれぞれ1基(デラックス)か2基(シンライン)か

で区別がつけられます。

2)ふたつの「テレキャスター・カスタム」
異なる仕様に「テレキャスター・カスタム」という同じ名前が使われていて、大変紛らわしくなっています。これについては誕生した年代から、

  • 60sカスタム:ローズ指板、バインディングあり
  • 70sカスタム:ワイドレンジ・ハムバッカー搭載、2V2T

などと呼んで区別されます。

フェンダー・テレキャスターのラインナップ

テレキャスター

テレキャスターはフェンダーの主軸と言えるギターで、いわゆる「フェンダー5分類」全てからそれぞれのテレキャスターがリリースされています。

いわゆる「フェンダー5分類」については「フェンダー・ストラトキャスターの選び方」で述べていますので、こちらを参照してください。フェンダー5分類では、スクワイア、MEX、USA、FCSの価格がお互いに隣接、MEXとUSAの境界をまたぐようにMIJがラインナップ展開しており、予算の範囲内での選択肢が用意されています。フェンダーからは現在50種を越えるテレキャスターがリリースされていますが、これだけあると予算で絞り込んでもなかなか選びきれないかもしれません。各部の特徴をチェックできれば、判断材料が得られるかもしれませんね。

新旧の仕様で考える、テレキャスター各部の特徴

ここからは、重箱の隅をつつくような細かなところをチェックしていきましょう。フェンダーのギターは長い歴史の中で様々な仕様を採用してきましたが、それらは多くの場合、「ヴィンテージ・スタイル(伝統的)」と「モダン・スタイル(現代的)」とに大別できます。

  • Vintage ヴィンテージ・スタイル:1950年代から1970年代までに採用された仕様。レトロ感がクール。
  • Modern モダン・スタイル:1980年代以降に開発された仕様。機能美がクール。

この考えは、パーツそれぞれについても、また楽器のトータル的なコンセプトについても使われます。100%ヴィンテージ・スタイル、あるいは100%モダン・スタイルというギターは、実はそれほど多くありません。「ココだけモダン」「ココだけヴィンテージ・スタイル」というように、新旧の配合を調節したテレキャスターも多くリリースされています。

テレキャスター自体がエレキギター全体の中では「古風」なスタイルなので、モダンなスタイルのギターであっても随所に伝統的な仕様が採用されるわけです。それぞれの箇所にどういった特徴があってギターを形成しているのか、と考えていくと、気になるテレキャスターがどんなギターなのかをある程度推察することができます。