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グレッチ「カントリー・クラブ」は、1951年にリリースされた大型のギターです。ボディサイズは同社の「ホワイトファルコン」と等しく、ボディ材やピックアップなど基本仕様まで共通するものもありますが、ビビッドな存在感を放つファルコンに対し、カントリー・クラブは落ち着いた雰囲気を持っています。今回は、このカントリー・クラブに注目してみましょう。
カントリー・クラブ (country club)
「スポーツを楽しむために郊外につくられた、会員制のクラブおよびその施設(Wikipediaより)」
リッチであること、高級であることを連想させるネーミングですね。
Gretsch G6196T-59 Vintage Select Edition ’59 Country Club Hollow Body with Bigsby®
オールメイプルボディ、TVジョーンズ社製「TVクラシック」ピックアップ、トーンスイッチ回路、ビグスビーなど、基本仕様がホワイトファルコンと共通するG6196ですが、とても落ち着きのある受け入れやすい雰囲気を漂わせています。
カントリー・クラブは半世紀以上の歴史を持つギターだけに、その過程でさまざまな仕様が取り入れられてきました。時代を経た取捨選択の末に、現在のカントリー・クラブがあるわけです。それでは、カントリー・クラブの歩みを見ていきましょう。
「カントリー・クラブ」は、戦前仕様のジャズギター、グレッチ・シンクロマティック「6030」及び「6031」の後継機種として、1951年にリリースされました。「カントリー」と名の付くモデルでしたが、最初はジャズギターとして開発されたわけです。リリース当時の仕様は、ジャズギターの伝統にならってスプルースをトップ材に使用し、かつビグスビーは標準装備ではありませんでした。
ホワイトファルコンが製品化された1955年より、カントリー・クラブの仕様は
と改められ、1958年からフィルタートロン・ピックアップが採用されます。これはホワイトファルコンとほぼ同一仕様でしたが、華美すぎるギターが苦手だという人向けの落ち着いたギターとして支持を集めます。
モデル名はカラーリングで分けられ、
となっています。
1960年代前半には、ゼロフレット採用、薄型ボディ採用、ボディバックに保護パッド装着、スタンバイスイッチ増設、ストリング・ミュート(G6122カントリー・ジェントルマン参照)装備、といったアレンジが試されましたがそれらはいずれも支持が得られず、1960年代後半には
という現代の仕様に落ち着いています。ほとんどのフルアコで「ダブルカッタウェイ版」のラインナップを持つグレッチですが、このカントリー・クラブがダブルカッタウェイ化されることはありませんでした。
カントリー・クラブは1981年にグレッチが生産を中止する時まで生産され、また1989年にグレッチ製品の生産が再開されると再びラインナップに入りました。
現代では
という2タイプがリリースされています。
では、現在流通している3タイプのカントリー・クラブをチェックしていきましょう。
現行のラインナップにはナチュラル(G6193)とサンバースト(G6192)はなく、カスタムカラー扱いの「G6196」からバリエーションを展開しています。
3機種は
といった寸法とだいたいの木材構成が共通しています。ファルコンシリーズに並ぶグレッチ最大級の大きさ、この寸法だからこその力強く太いサウンド、これがカントリー・クラブの最大の特徴なのです。
ヴィンテージ市場で人気のある年代のモデルを再現する「ヴィンテージセレクト・エディション」からは、定番カラーとなる「キャディラック・グリーン」に身を包んだ1959年式がリリースされています。こちらは
という仕様でまとめられています。
「トーンスイッチ回路」は6弦側に設置されたトグルスイッチにより、
の3種類を切り替えることができます。
「スペースコントロール・ブリッジ」は、弦と弦との間隔(弦間ピッチ)を調節することのできるブリッジで、その代償として弦ごとのオクターブ調整はできませんが、ブリッジの位置をうまく合わせればだいたい大丈夫です。サドルがローラー型なので、ビグスビーとの相性は抜群です。
ヘッドやバインディングなどの意匠を除けば、同じくヴィンテージセレクト・エディションからリリースされている同年式のホワイトファルコンとほぼ全ての重要な寸法と重要部品が共通していますから、両者は外観こそ違えどほぼ同じギターだということができます。
Gretsch Guitars G6196T-59 Vintage Select Edition ’59 Country Club Electric Guitar
「ボディ幅17インチ」という大きさは、伊達ではありません。この動画からも、なかなかのサイズだということが分かります。弦ごとのオクターブ調整はできませんが、この動画では全く気になりません。ブリッジの位置でしっかり狙えば、心地よいピッチ感が得られるわけです。
G6196TSP-2G Country Club
カラーリングの異なる2つのカントリー・クラブは、ボディカラーとパーツカラー以外の仕様を共通とする同モデルです。「BY(バンブーイエロー)」がクローム(シルバー)パーツであるのに対し、「2G(スモーキー・グレー)」はゴールドパーツを採用しているぶん、2モデルの間には価格差が生まれています。
こちらは1950年代の旧式なカントリー・クラブをベースとしており、
という仕様でまとまっています。最大の特徴は、他の多くのジャズ用ギターと同じくスプルースをボディトップに使用しているところです。メイプルに比べてずっと柔らかいスプルース材をトップに使用することで豊かな生鳴りが得られます。
「ダイナソニック・ピックアップ」はこのサイズとこの外観でありながらシングルコイル・ピックアップで、立ち上がりの早い鋭いサウンドが持ち味です(ダイナソニックについては「Gretsch G6129 Silver Jet」参照)。
「トーンポット回路」は先述「トーンスイッチ回路」と異なり、つまみを回してトーンを調整する「トーンポット」が設置されます。
1951年に登場した「シンクロソニック」ブリッジは、道具を使わずにオクターブ調整できます。ただしツマミに高さがあるため、ブリッジミュートを行うにはちょっとした工夫を必要とします。
以上、グレッチ最大級のサイズを誇る「カントリー・クラブ」をチェックしていきました。世界一美しいと言われるホワイトファルコン、ブライアン・セッツアー氏の愛機ナッシュビルといった派手なモデルに押されている感は否めませんが、それら定番機種にトップを譲る控え目な奥ゆかしさといったものが、このギターの上品さにつながっています。なかなかの高額なギターですが、ショップで見かけることがあったら試奏してみてください。
カントリークラブを…
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