SGタイプのエレキギター特集

[記事公開日]2015/12/13 [最終更新日]2022/4/5
[編集者]神崎聡

ギブソンSGは、レスポールのフルモデルチェンジ版として1961年にデビューして以来生産が止まった事の無い人気機種です。今回は、このSGに注目して、その魅力を追跡してみましょう。

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1: SGとは? 2: SGのメリット 2.1: ロックと抜群の相性 2.2: ハイポジションが非常に弾きやすい 3: SGのデメリット 3.1: ヘッド落ち 3.2: 1フレットが遠い 3.3: ケースを選ぶ 4: SGを選ぶ上での、ルックス上のポイント 5: これからギターを始める方にお勧めのSGラインナップ 5.1: 実売価格:¥20,000以内 5.2: 実売価格:¥20,000~¥50,000以内 5.3: 実売価格:¥50,000〜¥80,000以内 6: SGタイプの高級モデル 7: 憧れの、本家SG


西川進「wall」
西川進氏は、「日本のSG使い」の代表格の一人です。感情を前面に押し出したプレイスタイルは「感情直結型ギタリスト」と称され、数多くのアーティストのプロジェクトに参加しています。エフェクタを駆使した個性的なサウンドメイクが持ち味で、赤いマッシュルームカットとギブソンSGがトレードマークです。

SGとは?

Gibson SG Standard Gibson SG Standard

SGはレスポールの後継機種として設計されました。フェンダーのエレキギターと比べて「重い」「ハイポジションが弾きにくい」という声に対して思い切ったモデルチェンジを施しています。最初はこれも「レスポール」として販売されましたが、この名称の元となったギタリスト、レス・ポール氏の承認が得られず、「ソリッドギター(Solid Guitar)」の頭文字をモデル名にすることで落ち着きました。

左右対称に近い外観はほかのどのギターとも違う特徴あるものです。またギブソンの標準的な仕様である2基のハムバッカーピックアップを搭載しており、ホットなトーンを持っています。

SGのメリット

ロックと抜群の相性

SGは中音域に存在感のある太いトーンを持っていますが、重くなりすぎない軽やかなサウンドです。ボディが薄く軽量で疲れにくく、ステージで大きなパフォーマンスがしやすいこともあり、ロック系の音楽との相性が抜群です。本家のギブソンでは「ロックを象徴するエレキギター(A Rock Icon)」と称しています。
愛用するアーティストにはアンガス・ヤング氏(AC/DC)、トニー・アイオミ氏(BLACK SABBATH)、フランク・ザッパ氏などロック系が特に多く、映画「スクール・オブ・ロック(2003)」で主人公が愛用した他、漫画「デトロイト・メタルシティ」では主人公が託された「悪魔のギター」のモデルになるなど、ロックのモチーフとして扱われることがたくさんあります。


AC/DC – Thunderstruck
「AC/DC」は、1973年のデビュー以来40年以上に渡って第一線で活躍しているロックバンドです。その音楽は「質実剛健」と言われ、常に骨太なロックを演奏しています。6作目のアルバム「Back in Black」は約5,000万枚を売り上げ、世界で3番目に売れたアルバムとして知られています。
「SGと言えばこのヒト」の筆頭に挙がるであろうアンガス・ヤング氏のシグネイチャーモデルは、SGスタンダードを基調に、稲妻をかたどった指板インレイがルックス上の特徴です。またリアピックアップがヤング氏のシグネイチャーモデルになっています。

ハイポジションが非常に弾きやすい

Gibson SG

SGのネックは22フレットでボディと接しており(22フレット接続)、14フレット接続の一般的なアコギ、16フレット接続のレスポール、17フレット接続のフェンダー・ストラトキャスターを大きく引き離しています。これはハイポジションをプレイする際、ボディが邪魔になりにくいということを意味します。
若き日のエリック・クラプトン氏が演奏する「クロスロード」は「ギブソンSGによる名演」として名高い一曲ですが、後半のソロでは17フレット以上の高いポジションで伸びやかに演奏しています。レスポールやストラトでも充分演奏可能な音域ですが、SGの場合とってもラクに演奏することができます。

SGのデメリット

独特のルックスと弾きやすさ、軽さ、そしてロックにフィットするトーンが人気のSGですが、SGであるがゆえのデメリットも存在します。その意味で、SGは良いところも我慢しなければならないところもあってエレキギターの中でも「キャラが立っている」と言える機種です。しかしSGをこよなく愛するプレイヤーは、こういうところもチャームポイントだと思うものです。

ヘッド落ち

SGは22フレットでボディに接続されますから、そのぶんネックが長くなり、バランス上ヘッド側が重たくなります。ストラップで吊って立って演奏する場合、左手で支えていないとヘッドから下に垂れさがってしまい、これを「ヘッド落ち」と言います。楽器から手を放すことができませんので、特に「ギターボーカルにとってはやや弾きにくいギター」であると言わざるを得ません。いっぽうハイポジションが弾きやすいことから、ソロを担当するリードギターにはうってつけの楽器でもあります。

「むしろ支えながら弾くのがいい」と感じるプレイヤーには、最高のギターです。


The Derek Trucks Band – I’d Rather Be Blind, Crippled And Crazy (Live)
かのエリック・クラプトン氏のツアーに参加して一躍「時の人」となった若きブルースマン。的確で奔放なスライド奏法が持ち味です。氏のシグネイチャーSGは、トレモロユニットのパーツを取付ける事でボディの重さを増やしてバランスを取り、ヘッド落ちを防いでいます。

1フレットが遠い

ギターをひざに乗せて座って演奏する場合ですが、SGはローポジションがプレイヤーから遠くなります。それもそのはずで、SGはボディのくびれの位置くらいにブリッジを配置しています。ほかの一般的なギターはくびれ部分から10センチほど後退したところにブリッジがありますから、これと比べるとSGはネックが10センチほどヘッド側に移動しています。
オープンコードを弾こうとすると腕が伸びきってしまうため、弾きにくさを感じるかもしれません。しかしそのぶんハイポジションがちょうどいい場所に来ますから、リードプレイにはことのほか良好です。

ケースを選ぶ

これは重要な問題です。SGは全長がストラトやレスポールなどよりも長いため、一般的なギターケースに収まらない可能性があります。ですからSGを収納するケースの購入を検討する際には、SGが収まる寸法なのかをチェックしておかなければなりません。


SEKAI NO OWARI「スターライトパレード」from SHOW DVD『ARENA TOUR:2013「ENTERTAINMENT」in 国立代々木第一体育館』
「SEKAI NO OWARI」のリーダーNakajin氏はさまざまなギターを使い分けますが、なかでもこのSGが、ハットと眼鏡とともにトレードマークになっています。

SGを選ぶ上での、ルックス上のポイント

gibson-usa-sg-standard 本家ギブソンSGスタンダードのカラーラインナップ一例

SGのルックスはだいたい決まっていますが、細かいところに違いが出てきます。

  • ボディカラー:「チェリーレッド」が基本カラーですが、その次にブラックやホワイトで、その他のカラーもあります。
  • ヘッドと指板の装飾:ヘッドにインレイ(装飾)のあるものと無いものがあります。また指板のポジションマークには台形のインレイか、ドット(点)が一般的です。
  • ピックガード:装備していないものもありますが、1弦側だけの小さいもの(スモールピックガード)か、6弦側まで達する大きなもの(ラージピックガード)が一般的です。
  • ピックアップ:ハムバッカーの場合、金属製のカバーが被せられているもの(カバード)と、被せられていないもの(オープン)があります。
  • ブリッジ:2連になっている「TOM(チューン・O・マチック)」が一般的ですが、一本のもの(バーブリッジ、若しくはバダス)もあります。

これからギターを始める方にお勧めのSGラインナップ

これからエレキギターに挑戦するにあたって「SGがかっこいいな」と思っても、どのモデルを選べばいいのか最初から判断するのは困難です。音を出してもらって「いい音でしょ?」って言われても、わからなくて当たり前です。そうした判断は上達していくにつれてできるようになっていきます。弾きやすさは後から調整することができますし、サウンドについても後からパーツを交換したりアンプやエフェクタで工夫したりすることができますから、判断がつかないうちは予算とルックスで決めてしまって大丈夫です。自分がステージに立つときの心強い相棒となる、かっこいい一本を選んでください。

本体実売価格:¥20,000以内

本家のSGではパーツひとつがこの価格帯に達することも珍しくない中、本体でこの価格を実現するのは企業努力の結晶という他ありません。「いかに価格を下げて提供するか」を第一にしているためカタログはおろかブランド公式サイトもないものですが、これも経費削減の一貫です。この価格帯のギターをアーティストがステージで弾くことはまずありませんが、これから始める方が手にするギターとしては充分で、楽器の演奏だけでなく音色の切り替えや弦交換などの取り扱いまで、きちんと勉強することができます。
セットネックがSGの基本設計ですが、この価格帯ではボルトオンになります。

BLITZ by ARIA BSGシリーズ

BLITZ by Aria BSG-STD BKBLITZ by Aria BSG-STD BK

「ブリッツ」はアリアギターズによるアリアプロIIのブランドで、究めて求めやすい価格帯のギターに特化しています。アリアプロIIはコストパフォーマンスの高さが特に評価されており、その価格を上回るクオリティはブリッツにも反映されています。ピックガードの小さい「61」と大きい「STD」があり、それぞれチェリー、ブラック、ホワイトがあります。

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Maestro by Gibson SG Standard

Maestro by Gibson SG Standard

「マエストロ」は、本家ギブソンと石橋楽器店とのコラボレーションでリリースされるギターブランドです。ギブソン傘下のブランドなので、たとえこの価格帯であってもコピーモデルではない「本物のSG」だと言えます。ヘッドにインレイはなくポジションマークはドットというように装飾が抑えられているため、シックな印象です。

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Epiphone SG Special

Epiphone SG Special

エピフォンのSGは「ギブソン傘下ブランドの廉価版」としてリリースされていますから、「SGコピー」ではなく、正真正銘の「SG」です。エピフォンからはこの価格帯から10万円近辺までで、幅広いラインナップがリリースされており、さっそく本物のSGを手に入れることができます。

エピフォンSG


本体実売価格:¥20,000~¥50,000以内

この価格帯から早速、本格的なセットネックのモデルが登場します。カラーバリエーションが増えると共に、機能が追加されているものなど独特のアレンジが施されているものもあり、選択肢が一気に増えてきます。

Photogenic SG-280

Photogenic SG-280

いわゆる「激安ギター」の雄、フォトジェニックは、今回はこちらの価格帯です。しかしながらほぼ¥20,000という価格にしてセットネックを実現しているのは見事としか言いようがありません。カバードタイプのピックアップ、ラージピックガード、台形インレイという外観で、カラーには白黒赤があります。

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GrassRoots G-SG-47L/G-SG-47S

G-SG-47S Yellow

ESP傘下のグラスルーツからは、ラージピックガード(G-SG-47L)、スモールピックガード(G-SG-47S)という2種類のSGがリリースされています。ボディ、ネックともにマホガニーが採用されており、まさに本格的なSGになっています。またカラーリングにはイエローやメタリックグリーンなど、個性的なものがあります。

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本体実売価格:¥50,000〜¥80,000以内

このあたりからブランドによっては国産のギターが手に入りますが、この価格帯では本家ギブソンが幅を利かせており、他ブランドは苦戦を強いられている印象です。

SGはレスポールと比べ、

  • 1)ボディ材を表裏で貼り合わせる必要がない
  • 2)ボディトップで立体的なカーブを描く必要がない

という二つの理由で低価格化を実現しやすいのも特徴のひとつであり、SGを買う人が「同じ値段ならギブソンを」と考えるのも自然な事です。

Gibson SG 50s Tribute

Gibson SG 50s Tribute

各年代の特徴をとらえたトリビュートシリーズの50年代版です。実のところ50年代にSGはありませんでしたが、ネックグリップを太くし、この時代の雰囲気をそれっぽく反映させたSGになっています。ピックアップはP-90で、ピックガードはなく、シックな色合いもあいまって独特の雰囲気を醸し出しています。50年代っぽいと言いながらも24フレット指板を採用しており音域が広く、また自動チューニングシステム「mini-E tune」を備えた最新版のスペックとなっています。

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Tokai SG104

Tokai SG104

コピーモデルの雄「トーカイ」からは、この価格帯で完成度の高いSGスタンダードのコピーモデルがリリースされています。60年代初頭の仕様であるスモールピックガードで指板の台形インレイやヘッドの装飾も再現。本家ギブソンもこの価格帯でSGスタンダードを出すことはできず、リーズナブルな価格で本物志向のSGがほしい方にはうってつけの一本になっています。

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Burny RSGシリース

Burny RSG RSG-55-63

フェルナンデスが所有するギブソン系のコピーモデルを生産するブランドであるBurnyからは、63年型のスモールピックガード「RSG-55 ’63」/69年型のラージピックガード「RSG-55 ’69」という2仕様でのラインナップ。ルックス、サウンド共にトラディッショナルな佇まいのギターとなっています。
Burny RSG

Edwards E-VIPER-1H

E-VIPER-1H

ヘヴィミュージックで人気が高いVIPERの復刻モデル。アッシュ材のボディは、厚さ40mmと一般的なギターよりは若干薄い設計。トラディショナルな仕様の中に、24フレット、ハードメイプル、ペグはゴトー製のロック式MG-Tタイプ、ピックアップはブリッジポジションにセイモアダンカン「SH-4 JB」を1基のみ搭載と、ヘヴィ・ギターのスペックを纏っています。ピックアップ1基/コントロール1基と非常にシンプルで、ザクザクとリフを刻みたいギタリストに最適です。

《力強く、ストレート》EDWARDS「E-VIPER-1H」


SGタイプの高級モデル

ESPが保有するESPに並ぶ高級ブランドNavigatorでは、ヴィンテージ市場で人気の高いコピーモデルを中心としたラインナップ展開で知られています。そんなNavigatorがリリースするSGタイプ「N-SG-LTD」では、ボディはホンジュラスマホガニー単板/セイモアダンカン製PU「APH-1」/ニトロセルロースラッカー塗装/組立職人の丁寧なセットアップによって、本家ギブソンのSGを凌ぐ価格帯となっているモデルです。

Navigator N-SG-LTD

憧れの、本家SG

SGはレスポールほど高額ではないとはいえ、さすがに本家のものはなかなか良い値段であり、カスタムショップ製のものなどかなりの高額となり、憧れの一本となっています。

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