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Gibson SG Junior

Gibson SG Junior

1961年、ギブソン・レスポール・シリーズは全てSGにフルモデルチェンジしました。SGジュニアはその時に発表された、レスポール・ジュニアのSG版で、同じく発表されたSGスタンダードSGカスタムに対する廉価版という扱いです。1971年に生産が一旦終了となりましたが、現在では60年代のリイシュー(=再生産)がリリースされています。

Gibson SG Junior の特徴

「リアピックアップ1基」というギターは「潔い」と目されることが多くあります。切り替えるピックアップを持たない事から、自分が出したい音を一つに決めている印象になり、また多くの場合このようなギターでステージに上がるプレイヤーの音楽性がシンプルかつストレートであることが多いからでしょう。SGジュニアも、そのようなプレイヤーに似合います。

SGジュニアは本体が軽量でサウンドがストレート、またコントロールがシンプルなので、ダーティーなロックやガレージパンクに特に相性がいいと考えられています。

軽量、ハイポジションが弾きやすい、というSGのモデル内で

  • リアにP-90ピックアップ1基
  • バーブリッジ採用

という仕様のギターはこのSGジュニアのみで、このモデルの大きな特徴になっています。1ピックアップはサウンドバリエーション的に不利と目される事がありますが、そのサウンドはどの音楽にも馴染む深みのあるもので、それゆえエントリークラスながら腕前が試される奥の深い楽器だと言えるでしょう。レスポールジュニアから継承したピックガードも他のSGとは違い、ルックス上の大きなポイントになっています。

レスポール・ジュニアとの比較

レスポール・ジュニアとSGジュニアの違い 上:Gibson Lespaul Jr.、下:Gibson SG Junior

SGジュニアの特徴である

  • マホガニーネック&ボディ、ローズウッド指板
  • P-90を1基ボディにダイレクトマウント、1ボリューム、1トーン
  • バーブリッジ

といった基本仕様がレスポール・ジュニアと共通していますから、歯切れが良い、力強いという基本的なサウンドは共通です。

1958年にダブルカッタウェイ化したレスポール・ジュニア/スペシャルですが、現在のレスポール・ジュニアはシングルカッタウェイに戻っています。シンプルな機能とハッキリしたサウンドで「ギターボーカルが持つもの」、「リズムギター(=サイドギター。バッキングを担当)奏者が弾くもの」というイメージが強いようです。テレキャスターもそうですが、シングルカッタウェイでシングルコイルピックアップのついたギターは、何となくコード弾きに多く使われそうなイメージがありますね。

一方SGジュニアはリードギター(ソロなどメロディを担当)奏者が弾くもの、として扱われているようです。ダブルカッタウェイを持つプレイヤーは、ソロをバリバリ演奏しそうな印象になります。SGのボディシェイプは最終フレットまで楽々手が届くダブルカッタウェイなので、高音までフルに使用する音域の広いフレーズを演奏しやすく、リードに向いています。キャラクターがハッキリしており安価で買いやすいということから、メインギターに対するバリエーションのひとつとして持っているプレイヤーも多いようです。

基本的なサウンドが同じだと述べましたが、この「シングルカッタウェイか、ダブルカッタウェイか」は「ネックの実質的な長さ」を大きく変化させる重要なポイントで、弦の振動の仕方に影響を及ぼします。レスポールのネックは、6弦側17フレットからボディに接しており、これを「17フレット接続」と言います。一方SGは22フレットからボディに接しており、同様に「22フレット接続」と言います。これはボディから出ているネック部分が5フレット分長いことを意味しています。ネックは弦の振動を直接受け止めてボディに伝えるのが仕事ですが、これが長くなることによりサウンドが柔らかくなる傾向があり、これがレスポールとSGのサウンドの違いに影響しています。

SGスペシャルや他のSGとの比較

SGスペシャルとSGジュニアの違い 上:Gibson SG Special、下:Gibson SG Junior

「ジュニアとスペシャルの違い」は、デビュー当初は「ピックアップが1基か2基か」しかありませんでした。しかし1971年に一旦生産が終了したSGジュニアと異なり、SGスペシャルは時代とともにアレンジが加えられ進化しており、今ではSGスタンダードにかなり近い楽器になっています。

両者とも本来「スチューデントモデル」ですから、価格を抑えるために採用された指板のドットインレイ、シンプルな意匠のヘッドなど、低価格化を目的とした外観が共通しています。

SGシリーズは全モデルでボディの構造は共通していますが、唯一SGジュニアのみ、「フロントピックアップを持たない」という点が特徴になっています。フロントのピックアップキャビティ(=ピックアップを収めるためにボディに空ける穴)を持たないことになり、ネック接合部分の剛性が上がり、弦振動の明瞭さに大きく寄与します。サウンドバリエーションが無いことがデメリットのように思われる事がありますが、使わないプレイヤーにとってはフロントピックアップなど無用の長物です。メタルやハードロックではリア1発のギターは決して珍しくありませんね。

SGシリーズでは現在ジュニアのみが、いわゆる「バーブリッジ」を採用しています。これは開発者の名前をとって「マッカーティー・ブリッジ」とも言われています。開発者のテッド・マッカーティー氏(1910-2001)は1950年から1966年までギブソンの社長を務め、数々のモデル開発に関わったギターの偉人でした。バーブリッジは現在のブリッジよりも調製範囲が狭くシビアなセッティングが困難であるところがデメリットだと考えられていますが、サウンド的には他のブリッジよりも歯切れが良くなる傾向があり、また金属の総量を少なくできること、弦のテンションが柔らかいことが、サウンドのニュアンスとプレイアビリティの両方に影響します。

Gibson SG Junior のラインナップ

Gibson USA SG Junior ’60s

Gibson USA SG Junior '60s

「カスタムショップヒストリックコレクションでリイシューを作ってしまうと、ヴィンテージのSGジュニアよりも高額になってしまう」ということもあり、SGジュニアは通常ラインであるギブソンUSAで、1960年代仕様のリイシューモデルが生産されており、低価格で求めやすいという本来のコンセプトが守られています。

  • マホガニーネック&ボディ
  • ドッグイヤーのP-90をリアに1基マウント

という伝統的な仕様。ヘッドに輝くギブソンのロゴは、オリジナル同様にシルクスクリーンで印刷されています。

ネックグリップは60年代仕様の「スリム・テーパー」プロフィールで、かつミディアム・ジャンボフレットが打ち込まれており、チョーキングを多用するリードプレイをそれとなくアシストします。また3キロにも満たない楽器重量はレスポールなどから持ち替えると翼が生えたようにすら感じる事でしょう。ステージで暴れるのにはうってつけです。

指板に使われるローズウッドが世界的に不足しているのはかなり深刻な問題で、指板材の安定的な供給が非常に困難になっています。それゆえかわりの材が採用される例が多く出ていますが、このSGジュニアも例外ではなく、現行モデルではメイプル材をローストした「ベイクド・メイプル」が指板材として採用されています。世界じゅうにプロダクツを販売しなければならない巨大メーカーならではの悩みですね。

SGジュニアを使用するギタリスト

Rex John(Tamaryn)

「Tamaryn」は、ニュージーランド出身のタマリン・ブラウン、プロデューサーでありギタリストのレックス・ジョン・シェルヴァートンによる、シューゲイザー/ドリーム・ポップ・デュオです。アームをつけた白いSGジュニアを操るレックス氏は、空間系のエフェクトを巧みに駆使してムーディーなバンドサウンドを構築させています。
Tamarynのライブ動画はコチラ – Youtube

Carlos Cavazo(Quiet Riot)

ハードロックバンド「Quiet Riot」の元メンバー、カルロス・カバーゾ氏のデモ演奏です。SGジュニアがテクニカルなリードプレイに十分応えるがっきであることが、この動画からもわかります。
カルロス・カバーゾ氏による渾身のギターソロ – Youtube