エレキギターの総合情報サイト

フェンダー・ストラトキャスターの選び方

フェンダー・ストラトキャスターの選び方

「ストラトキャスター」はレスポール、テレキャスターと並び「エレキギターの王道」といわれ、

  • 3つのピックアップからなる多彩なサウンドバリエーション
  • ハイポジションが弾きやすい
  • アーミングができる
  • 自分なりの調整やカスタマイズがしやすい

などの特徴がある、多機能でとても便利なギターです。楽器としての優秀さと製造のしやすさから、いろいろなブランドからさまざまなタイプのストラトやスーパーストラトがリリースされています。

「ストラトの本家」と言えばもちろんフェンダーであり、「ストラトキャスター」を名乗ることができるのはフェンダーのブランドだけです(それ以外のものは「ストラトタイプ」になります)。それだけに他ブランドの追随を許さない、バリエーション豊かなストラトがラインナップされています。「Fender」で検索すると、次々と出てくるあれもストラト、これもストラト。いったいどれを選べばいいのでしょうか。

そこで今回は、フェンダーブランドからリリースされているストラトキャスターをずらりと並べて、違いや特徴、選ぶポイントを考えていきましょう。

MENU

「フェンダー5分類」、どう選ぶ? ・・フェンダー・ストラト5分類価格帯分布図 ・・それぞれ、どういうものなの? ・・付属品の違い ・・方向性や機能性をチェックしてみよう3種類のスタイル ・・1)モダン・スタイル(現代風) ・・2) ヴィンテージ・スタイル(昔風) ・・3)シグネイチャーモデル(アーティストモデル)パーツ類の違い ・・ネック ・・ボディの材質 ・・搭載ピックアップで選ぶ ・・金属パーツの違いタイプ別おすすめのストラト ・・ギター選びの心がけ資料:Fender American Series 各モデル比較


Kenny Wayne Shepherd Band – Never Lookin’ Back [OFFICIAL VIDEO]
ケニー・ウェイン・シェファード氏は、高校在学中にリリースしたアルバムがゴールドディスクになるという鮮烈なデビューを飾ったブルース・ロックギタリストです。氏のシグネイチャーモデルは太めのネックに平滑な指板、ジャンボフレットを備えた男気あふれる仕様で、シグネイチャーピックアップ、社外ブロックサドルなど随所に深いこだわりが反映されています。

「フェンダー5分類」、どう選ぶ?

フェンダーのギターは、

という3つのブランドで製品を展開しています。
さらに日本国内では、

  • フェンダーUSA:カリフォルニア州コロナ工場製
  • フェンダー・メキシコ:MEXとも。ババ・カリフォルニア州エンセナダ工場製
  • ジャパン・エクスクルーシブ:かつてのフェンダー・ジャパン。日本メーカーによるOEM生産

このように「フェンダー」は生産地で分類され、それぞれ別のブランドのように扱われています。日本の楽器市場では、「フェンダー」のもとにUSA、MEX、JE、CS、スクワイア、という5つのブランドが林立しているかのような状況です。当サイトでもこの慣例に合わせ、便宜上5つに分類して紹介しています。

しかしいきなり5つも見せられたら、分かりにくくて近寄りがたい雰囲気すら感じさせますね。そんなわけですから、まずはそれぞれが「フェンダー」全体の中でどういった立ち位置にいるのかを見てみましょう。

フェンダー・ストラト5分類価格帯分布図

fender-5brand-bunpu フェンダー・ストラト5分類価格帯分布図(2016年5月時点)

まず、1万9千円から100万円までの幅広さに圧倒されますね。この図を見ると、「フェンダー5分類」は、JEを除いて「グレード(価格帯)で明確に分化」していることがわかります。ですから「これらのブランドのうち、どれを選ぶべきか?」と思ったら、単純に「予算で選べばよい!」ということになります。しかし、MEXとスクワイアをまたいでいるJEの立ち位置が、なかなかに悩ましくもあります。

それぞれ、どういうものなの?

「フェンダー5分類」は「グレードの違い」だと結論が出ました。フェンダー(USA、MEX、JE)、FCS、スクワイアそれぞれの詳細についてはリンク先を読んでいただくこととして、こちらではそれぞれがどのようにして作られるどんなものなのか、ざっくりと紹介していきます。

スクワイヤ

「これからギターを始める人が、最初の一本として手に入れやすい価格」を実現させるブランドで、製品は中国やマレーシアなど、アジア諸国のメーカーでOEM生産されます。フェンダーの下位ブランドという位置づけですが、調整やカスタマイズによってはプロミュージシャンの使用にも十分耐えることができます。
スクワイヤーのストラトキャスター:徹底分析!

ジャパン・エクスクルーシブ・シリーズ(以下、JE)

かつての公式コピーブランド「フェンダー・ジャパン」が、日本国内限定販売の正規品として、フェンダーのラインナップに組み込まれたものです。国内メーカーで生産され、JE独自のモデルもあります。比較的低価格でありながら、工業製品として極めて丁寧に作られていますが、サウンドについては「フェンダーらしい音」と若干ニュアンスが違うようです。
フェンダー「ジャパン・エクスクルーシブ」ストラトキャスター徹底分析!

いわゆる「フェンダー・メキシコ」(MEX)

メキシコにあるフェンダー直営の工場で生産されます。木材の調達先、工作機械や製造ノウハウなどはUSA工場と同じで、工員にはカスタムショップのマスタービルダーによる技術指導が定期的に行われています。そのため低価格のものでもちゃんと「フェンダーの音がする」と言われます。
メキシコで作られるフェンダー・ストラトキャスター徹底分析!

いわゆる「フェンダーUSA」

カリフォルニア州のコロナ工場で、「アメリカンシリーズ」とアーティストモデルを生産しています。工員たちはマスタービルダーの技術指導を受け、技術の向上と伝承に努めています。そのままプロの酷使に耐える品質とサウンドがあり、リセールバリュー(下取り価格)が高いのが特徴です。
【標準こそ王道】Fender American Standard Stratocaster徹底分析!
【最強最新鋭】Fender American Elite Stratocaster徹底分析!
【現代に転生した名機】Fender American Vintage Stratrocaster徹底分析!
【Made in USAを感じてほしい】Fender American Special Stratocaster徹底分析!

フェンダー・カスタムショップ(FCS)

CSはコロナ工場の一角に構える独立したセクションで、フェンダーのラインナップ中最も高いグレードの製品を手作りしています。技術の高い限られた職人たちが仕事をしていますが、そのトップに位置するマスタービルダーたちによってフェンダーの品質管理が行われています。ヴィンテージギター独特である「バイト感」のあるサウンドまで再現する品質の高さで、世界中のギタリストのあこがれのブランドになっています。
【ファン垂涎】フェンダー・カスタムショップのギターとは?

付属品の違い

付属品については、特に「どんなケースが付くか」に注目するべきでしょう。

  • FCS、USA:ハードケース
  • MEX:ギグバッグ
  • JE、スクワイア:ソフトケース

CSとUSAについては、ケースだけでなくストラップやシールドまで同梱されるものがあります。ギグバッグとソフトケースは一見同じもののようにも思えますが、ギグバッグはクッションで楽器を覆うので、ギターを保護する性能がソフトケースより強化されています。

ただしこれらの付属品は「おまけ」ではありません。付属品の価格はギターの本体価格に含まれています。ギター本体とケースのセットで一つの商品になっていますから、「ケースはいらないから安くしろ」といった交渉の余地はなく、「ギターはMEXで、ギグバッグをハードケースに変更」といったわがままな買い方もできません。付属のものと異なるタイプのケースが欲しければ、新たにケースを手に入れる必要があります。

方向性や機能性をチェックしてみよう

ストラトキャスターのラインナップは100を大幅に凌駕する膨大なものですが、ひとまず各ストラトの仕様や特徴をチェックしてみましょう。これを自分の理想と照らし合わせることで、候補となるストラトを絞り込んでいくことができますね。

3種類のスタイル

こだわりのない目で見れば、ストラトキャスターはどれも同じように見えます。しかしながら実際には、グレードのほかにもいろいろなところの違いから、大きく「3つのスタイル」に分けられます。

  • 1)モダン・スタイル(現代風)
  • 2)ヴィンテージ・スタイル(昔風)
  • 3)シグネイチャーモデル(アーティストモデル)

「フェンダー5分類」それぞれで、これら3つのスタイルのギターがリリースされています。ここからは、この3つのスタイルについて見てみましょう。

1)モダン・スタイル(現代風)

American Elite Stratocaster (USA)American Elite Stratocaster:カラーリングからもモダンな印象を受ける

モダン・スタイルのギターには、現代の音楽にマッチしたトーンや機能を備えるべく、いろいろな工夫が施されます。また、長年の研究の結果考案された改良がパーツや設計に反映されることで、安定感が強化されています。ヴィンテージ世代のギターにはなかったカラーリングが採用されることも多く、カラフルなラインナップになっています。

モダン・スタイルのストラトキャスターは、5分類それぞれからリリースされています(下に行くに従ってグレードが上がります)。

5分類 シリーズ モダン要素
スクワイヤ バレット コストパフォーマンスの限界に挑戦
アフィニティ ブレットをアルダーボディに。カラーバリエーションが豊富
ヴィンテージ・モディファイド ブレットをパーツ変更でアップグレード。クラシカルなスタイルのギターを現代版にアレンジしたイメージ
スタンダード 22フレットと2点支持ブリッジの「使える」一本
デラックス セイモア・ダンカンピックアップでスタンダード・シリーズを強化
JE エアロダイン 曲面を描くボディトップとナローネック。ミディアムスケールも有り
MEX スタンダード ピックアップ配列、ボディトップ、ブリッジにバリエーション豊富
デラックス グレードの高いパーツや追加機能でスタンダード・シリーズを強化
USA アメリカン・スペシャル テキサススペシャル・ピックアップと特殊トーン回路搭載。ジャンボフレットを採用したロック志向のアレンジ
アメリカン・スタンダード どこに出しても恥ずかしくない、現代の標準仕様
アメリカン・エリート ヒールカットや特殊配線、ブロックサドル、2点支持ブリッジ、ロッキングチューナー採用など、最新機能のすべてが注がれ、機能性と多様な音色に優れる
CS ポストモダン 強固な柾目材ネック、ハイパスフィルター採用
アメリカン・カスタム サーモウッドのネックと特殊配線

これらのギターは共通して、

  • 頑丈なロトマチック・ペグ
  • ”C”シェイプを基調とした、クセがなく太すぎないネックグリップ

を持ち、

  • 22フレット
  • 2点支持トレモロユニット
  • 大きめのフレット
  • 強固なブロックサドル

といった比較的新しい仕様が目立ちます。サウンドはどんな音楽にもマッチすることを目指しており、尖ったクセを持たない扱いやすいもので、エフェクターとの相性も良好です。

最新スペックのアメリカン・エリート・シリーズ

最新の設計理念が最も反映されているのは「アメリカン・エリート(USA)」で、あらゆるところが最新鋭です。これ以外のモデルでは、パーツ選択やネックの仕様などでトラディショナルな雰囲気を残すこともあります。 家電修理屋からスタートしたというフェンダーらしく、モダン・スタイルのストラトキャスターには特殊配線が採用されているモデルが目立ちます。多くのハムバッカー搭載モデルにはコイルタップ機能が付けられます。

それ以外にも

  • トーンポットに偽装したロータリースイッチで内蔵プリアンプを操作(MEX:Deluxe Roadhouse Stratocaster)
  • 追加スイッチにより、ピックアップ組み合わせのバリエーションを増強(MEX:Deluxe Players Strat、USA:American Elite、CS:American Custom)
  • 二重の内部構造で、トーンを絞った音色がうまく調整される「グレースバッカー」トーン回路(USA:American Special)

といった機能が追加されるものが多くあります。

2) ヴィンテージ・スタイル(昔風)

vintage-style-stratocaster (カスタムショップ)1961 Relic Stratocasterでは、ボディ塗装の経年劣化などがあらかじめ再現されている

各年代の特徴を追跡した「ヴィンテージ・スタイル」はフェンダーのラインナップでも最も人気のあるもので、5分類それぞれから各年代のスタイルを持つストラトキャスターがリリースされています。グレードが上がっていくに従って再現度も高くなっていき、FCSの「タイムマシン・シリーズ」に至ってはヴィンテージギターと見分けがつかなくなります。

5分類 シリーズ モダン要素
スクワイヤ クラシック・ヴァイブ スクワイア最高グレード。’50と’60の2タイプで、ネックグリップは共通
JE クラシック 50年代、60年代のイメージで作られるが、ネックグリップは「スリム”C”」で共通。「テキサス・スペシャル」を搭載したアップグレード版も
クラシック・スペシャル ボディ、ネック共にラッカー塗装を採用した高級機
MEX クラシック 基本的なサウンドは同じだが、’50s、’60s、’70sのネックグリップを再現。ラッカー塗装を施した高級版も
ロード・ウォーン ラッカー塗装&「テキサス・スペシャル」搭載の高級機で、レリック加工による使い込んだ雰囲気も
クラシック・プレイヤー クラシカルなスタイルだが、マスタービルダー設計によるアレンジが渋く光る
USA アメリカン・ヴィンテージ 1956年、1959年、1965年の各特徴を高水準で再現した、アメリカンシリーズ最高グレード
CS タイム・マシン 経年変化やダメージなどまで、ヴィンテージギターそのものをそのまま再現する
トリビュート 有名アーティストが使用した愛機を、汚れや傷の入り方まで全て完全コピーする限定生産の特別仕様。かなりの高額だが、すぐ売り切れる

これらのモデルは共通して、

  • 21フレット仕様
  • 6点留めトレモロユニット
  • クルーソンタイプのペグ(JEのみロトマチック)

といった伝統的な仕様になっています。

各年代には、

  • 50年代:Vシェイプのネックグリップ、8点留め1ピースのピックガード
  • 60年代:Cシェイプのネックグリップ、11点留め3ピースのピックガード
  • 70年代:Uシェイプのネックグリップ、ラージヘッド

といった特徴があります。ピックアップの仕様などでサウンドにも違いが現れますが、年代ごとのネックグリップを再現するようになるのはMEX以上のグレードです。

50年代式で採用されている1ピースのピックガードはスッキリとした外観で人気がありますが、長らく使用する間に変形してめくれ上がってくることがあります。これを改善したのが60年代以降の3毎重ねのピックガードなのですが、50年代式を好む人には、こうした欠点をもむしろ愛おしく思うようです。

3)シグネイチャーモデル(アーティストモデル)

Jim Root Stratocaster Jim Root Stratocaster:通常ラインナップにはない個性的な仕上がりもアーティストモデルの魅力

多くのアーティストが、自身のこだわりを投影したシグネイチャー・ストラトキャスターをリリースしていますが、それだけにどれもアーティストの「顔」が見えるようなギターになっています。さすがにフェンダーだけあってそうそうたる顔触れですが、すでに故人となっているアーティストのものの場合、生前の愛機を再現しています。

5分類 アーティスト名 主な特徴
スクワイヤ サイモン・ニール ’60sをベースに、このモデルにしかないボディカラー「フェスタレッド」を採用
JE リッチー・コッツェン フレイムメイプルトップとディマジオピックアップと採用し、テクニカル志向のネックを持つ
Ken(L’Arc~en~Ciel) カスタムショップモデル「Galaxy Red」を元に、ピックアップはCustom Vintage-Style Single-Coilを3基搭載、クラシックなスペック
MEX バディ・ガイ Vシェイプネックと水玉模様のボディ
ジミー・ヴォーン Vシェイプネックと特殊配線
ケニー・ウェイン・シェファード 太いネックとシグネイチャーピックアップ
ロバート・クレイ カスタムショップ製ピックアップを搭載したトレモロレス仕様。FCSに上位機種あり
セルジオ・ヴァリン 「ストラト」とは呼びにくい独自性の高い設計
ジミ・ヘンドリックス 逆アングルのリアピックアップとリヴァースヘッドで、右利きでもジミのニュアンスを再現できる
デイヴ・マーレイ(アイアンメイデン) シングルコイルサイズのハムバッカーを3基とフロイドローズで武装したヘヴィ・メタル仕様
リッチー・ブラックモア 70年代式をベースに、彫の軽いスキャロップ指板とセイモア・ダンカンピックアップ
USA ジム・ルート(スリップノット) 黒ずくめ、EMGハムバッカー2基、トレモロレスのヘヴィ・メタル志向
エリック・クラプトン 50年代式をベースに、ノイズレスピックアップ、TBXコントロール、ミッドブーストを備える。FCSに上位機種あり
ジェフ・ベック 2点支持トレモロユニット、ローラーナット、セラミック磁石採用のノイズレスピックアップを備える、弾きまくり仕様。FCSに上位機種あり
イングヴェイ・マルムスティーン スキャロップ指板とセイモア・ダンカン製シグネイチャーピックアップ
スティーヴィー・レイ・ヴォーン 極太ネック、左用トレモロユニット、テキサス・スペシャル・ピックアップによる漢の骨太ストラト
ジ・エッジ(U2) 強固な柾目材1ピースネック、2点支持トレモロユニット
エリック・ジョンソン ソフトVシェイプネック、シグネイチャーピックアップ。メイプル指板とローズ指板で若干仕様が異なる
FCS ロビン・トロワー マスタービルダーと共同開発したシグネイチャーピックアップ、シュパーゼル製ロッキングチューナー
ディック・デイル 逆アングルのリアピックアップ、リヴァースヘッド、特殊配線、ド派手なカラーリング
マイケル・ランドウ 自身が保有するヴィンテージギターを再現
ロリー・ギャラガー トレードマークだった塗装ハゲハゲのストラトキャスターを再現
デビッド・ギルモア(ピンクフロイド) 改造トレモロブロック、短く詰めたアームなど、愛用のストラトを再現

これらシグネイチャーモデルは、各アーティストの好むプレイアビリティを持っているほか、各アーティストのトーンに近い音が出るようになっています。プレイスタイルやサウンドが理想に近いアーティストのものを手にすることで、理想の音が得られる可能性が高くなります。またそれでいて、外観上は普通のストラトキャスターと変わらないものが多いため、そのアーティストのことをよく知らなくても「深いこだわりの反映された楽器」として扱いやすくなっています。

パーツ類の違い

メイプルネックのストラト

エレキギターはネックやボディ、電気部品などのパーツが集合してできています。重要なパーツの違いによって演奏性やサウンドなどは変化していきますから、パッと見で同じように見えるギターでも、実際に弾いてみると全く違った印象を受けるのが普通です。

ここからは、

  • ネック
  • ボディの材質
  • ピックアップ
  • 金属パーツ

といった「ギターを構成するパーツ」の観点から、ストラトキャスターの特徴とチェックポイントを見ていきましょう。

ネック

ストラトキャスターのネックは、根元からヘッドの先までを一本のメイプルから削り出します。「1ピースメイプルネック」は指板を含めたネック全体を削り出しますが、「ローズ指板」はネック部のみ成形し、指板を貼り合わせます。アメリカン・エリートなど「貼りメイプル指板」を採用しているものもわずかながらありますが、モデルごとのネックの違いは(グレードを無視すれば)

  • ネックグリップ
  • 指板材と指板R

に絞られます。

備考:他ブランドではローズ指板に対して「1ピースネック」を称することがありますが、この場合は「ネックが多層構造を成さず、一本の木でできている」という意味です。

ネックグリップ

モダン・スタイルやアーティストモデルでは、ジャンルやプレイスタイルを選ばない「C」タイプのネックグリップが多く採用されています。この「Cシェイプ」は、

  • モダンC:モダン・スタイルのギターに多い、細すぎないグリップ
  • スリムC:JEのほとんどに採用されている、細めのグリップ

など、さらに細かく分類されます。

特にヴィンテージ・スタイルのギターでは、時代ごとのグリップを再現することも多く見られます。

  • Vシェイプ:50年代。親指を出して握りやすく、チョーキングを多用するスタイルにフィットしやすい
  • DシェイプやUシェイプ:60年代に見られる、エッジ部分が肉厚のグリップ。ネック本体の体積が増えることで、音抜けやサスティンに優れる。エッジ部分をスリムにしたのが「C」シェイプ

また、アメリカン・エリート(USA)では「コンパウンド・ラジアス」グリップが採用されており、親指を出して演奏することが多いローポジションでは丸く、ハイポジションに行くにしたがって徐々に平たくなっていくグリップが採用されています。

ナット幅について

ネックの横幅を決める「ナット幅」については42mmが大多数ですが、42.8mm(USAのアメリカン・エリート、スタンダード、スペシャル)から40mm(JEのエアロダイン・シリーズ)までの振り幅があります。欧米人に体格で劣る日本人には細いネックが有利なようにも思えますが、特にこだわりがなければ多少の太い細いは練習でカバーできます。ナット幅が広いネックはそのぶんだけネック本体の体積が大きくなることから音響性能が良くなり、良い音になりやすい傾向があります。

指板材と指板R

ストラトキャスターで使用される指板はメイプルとローズウッドの二種類で(スティーヴィー・レイ・ヴォーンモデルのみ、パーフェロー指板)、「メイプル指板は立ち上がりの早い硬質な音、ローズ指板は比較的甘さのある音」と言われます。しかしメイプル指板のギターで甘い音を出すこともローズ指板のギターで鋭い音を出すこともできますから、深いこだわりがなければ、ある程度見た目上の違いだと割り切っておきましょう。

メイプル指板のフレット交換

ちなみに長期間使用するとフレットはすり減ってしまいますから、最後には「フレット交換」が必要になります。フレット交換は、 1)フレットを抜き、 2)指板を研磨して整え、 3)新しいフレットを打ち込み、 4)仕上げる。 という作業になるのですが、メイプル指板は作業中に「割れ、欠け」が起きやすく、また仕上げに「指板面の塗装」が必要になることから工賃が上がります。 フレットの種類と特徴

指板Rには4種類あります。これは演奏性に直接かかわるところなので、しっかりチェックしておくといいでしょう。

指板R 特徴 採用モデル
7.25″ (184.1 mm) フェンダーの古典的な丸い指板。コード弾き、また親指を出して握り込むスタイルに有利。しかし弦高はあまり下げられない アメリカン・ヴィンテージなど多くのヴィンテージ・スタイル
9.5″(241mm) フェンダーらしい「丸さ」を残しながら、やや平たくした指板。現在のフェンダーでは最もオーソドックスな指板で、弦高を下げたセッティングもしやすい モダン・スタイルだけでなくヴィンテージ・スタイルでも採用例は多数
12″ (305 mm) ギブソン同様の平たい指板。テクニカル志向のプレイに有利 リッチー・コッツエンモデル、クラシックプレイヤー’60s、デラックス・プレイヤー
コンパウンド・ラジアス ローポジションでは丸く、ハイポジションに向けて徐々に平たくなる。弦高を下げたセッティングに有利な高級仕様 アメリカン・エリート、ジム・ルートモデル、デイヴ・マーレイモデル

なお、スクワイアの指板Rは9.5″(241mm)、JEの指板Rは7.25″ (184.1 mm)に統一されています。オーソドックスな弾き心地が必要なら9.5″(241mm)が、古典的なフェンダーのスタイルを体験したいなら7.25″ (184.1 mm)がお勧めです。

ボディの材質

アルダー:アッシュ 左:アルダー材、右:アッシュ材:アッシュ材の方が木目がしっかり出ている

ストラトキャスターのボディ材は

  • アルダー:大多数で使用される最もオーソドックスな木材
  • アッシュ:’50sや’70sで使用される

この二種類がメインです。「アタックのアッシュ、粘りのアルダー」と言われ、ピックアップなど他の仕様が同じでもボディ材の違いによってトーンのニュアンスが変わってきます。アッシュ材は木目がはっきり出るため、その美しさもポイントになります。USAとMEXでは使用される木材に差はないと言われますが、FCSでは厳選された最上級のボディ材が使用されます。

また上位機種ではボディ中央で2枚をつなげた「2P」のボディ、安価な機種では3枚をつなげた「3P」のボディとなります。2Pか3Pかで価格は大きく異なりますが、木材のグレードが等しい場合には音を聞き分けるのはほぼ不可能と言われます。音が同じで3Pだと安くなるわけですから、むしろラッキーと感じる人も多いようです。

安価なモデルでは

  • アガチス(スクワイア:スタンダードシリーズ)
  • バスウッド(スクワイア、JEの多くのモデル)

が採用されます。これらは安価で加工しやすい木材ですが、素直な音響特性を持っているため、他のブランドでは高級モデルで採用されることもしばしばあります。
ギターのボディ材について

搭載ピックアップで選ぶ

SSS:HSS 同じアメリカン・スタンダード・ストラトの中でHSS配列のモデルも存在する

ピックアップ配列

ストラトキャスターのピックアップは3シングル(3S、SSS)を基本としていますが、現代的なモデルではリアをハムバッカーに置き換える「HSS」配列が多く採用されています。ハムバッカーは高出力で出音が太く、ロックにおいては特にディストーション・エフェクターとの相性が抜群です。
SSH配列のフェンダー・ストラトキャスター

キレの良いコード演奏などで澄んだ音が欲しい場合は、オーソドックスなSSS配列が最も理想的です。このSSS配列で歪ませた軽やかで鋭いトーンも活用されますが、ハムバッカー並みに太くのびやかなソロ用のトーンを得ようと思ったら、ファズで飽和させるのが一般的です。

搭載されるピックアップ

フェンダーはギター本体のメーカーでありながら、世界的なピックアップのメーカーでもあります。

  • Squire Classic Vibe Stratocaster ’50s:低出力でヴィンテージ系のサウンドになる「アルニコIII」マグネットを使用
  • Squire Classic Vibe Stratocaster ’60s:ブライトな特性を持ち、広く一般に使用される「アルニコV」マグネットを使用

というように、
ヴィンテージスタイルならイメージしている年式に合わせた、モダン・スタイルならコンセプトや方向性に合わせたピックアップが選択されます。アーティストモデルではディマジオセイモアダンカンなどの社外品が特別に搭載されることも多く、JEやMEXにカスタムショップ製のピックアップを搭載してアップグレードしたモデルも多くリリースされています。
フェンダーのピックアップ

金属パーツの違い

ストラトキャスターのペグ 左:ロートマチック・タイプ、右:クルーソン・タイプ

ギターの性能にかかわる重要な金属パーツは「ペグ」と「ブリッジ」です。ヴィンテージ・スタイルのストラトキャスターは

  • ペグ:クルーソンタイプ
  • ブリッジ:6点留めトレモロユニット+ベントサドル

という組み合わせが普通で、上位機種になると時代ごとの刻印の入り方や微妙な寸法などまで再現されます。これらのパーツは現代の音楽シーンにおいても充分に通用する大変優秀なものですが、モダン・スタイルのモデルを中心に、安定性や音響特性といった性能を増強させたパーツが搭載されます。
ヘッドの役割/ペグの種類と交換について

性能を向上させた金属パーツ

名称 性能 搭載されている主なモデル
ロトマチック・ペグ 堅牢で丈夫。重いためサスティンに優れる スタンダード(スクワイア、MEX、USA)などモダン・スタイル
Gotoh製ロトマチック・ペグ 高精度なゴトー製 ジャパン・エクスクルーシブ全製品
スタガード・ストリングポスト ナットにかかる張力のバランスをうまく取る アメリカン・エリート、アメリカン・スタンダードなど
ロッキング・チューナー ペグで弦を固定し、チューニングを安定させる クラシック・プレイヤー’50(MEX)、アメリカン・エリートなど
2点支持トレモロユニット 可動部分の摩擦を軽減し、チューニングの安定を向上 スタンダード(スクワイア、MEX、USA)、アメリカン・エリート、ジェフ・ベックモデルなど
ブロックサドル 板を曲げた「ベントサドル」から大幅に重量を増し、音の立ち上がりとサスティンを向上 アメリカン・エリート、スタンダード(スクワイア)、アーティストモデル

USAのアメリカン・エリートに多くの進化したパーツが採用されていることが分かりますが、スクワイアのスタンダード・シリーズがかなり健闘しているのも分かりますね。

タイプ別おすすめのストラト

以上、一言で「ストラトキャスター」と言っても、フェンダーにはいろいろな仕様のさまざまなストラトがあることが分かりました。ストラトにどんなものを求めるか、ストラトでどんなことがしたいか、イメージが湧いてきたという人もいるのではないでしょうか。

ここまで見てきた上で、一切を無視して「ボディカラー」で決めてしまうのもロック的で格好いいですが、せっかくだから仕様で選ぶならどんなモデルがお勧めかも見ていってください。

求めるものや使い方 お勧めの仕様 お勧めのストラト
オーバードライブやディストーション中心 HSSなど、ハムバッカーを搭載したもの ■モダン・スタイルのHSS仕様
■デラックス・ホットレイル(スクワイア)
■デイヴ・マーレイモデル
リードプレイにはファズを使用 オーソドックスなSSS配列 ■アメスタなどSSS配列の全てのモデル。
■アメリカン・エリートやデラックス・プレイヤーなど、ノイズレスピックアップ搭載機など。
トレモロをたくさん使う 2点支持トレモロユニット搭載(ロッキングチューナー搭載ならなお良し) ■スタンダード(スクワイア)
■クラシック・プレイヤー’50(MEX)
■アメリカン・エリート
■ジェフ・ベックモデルなど
エフェクターを駆使したカラフルなサウンドメイク モダン・スタイル ■スタンダード(USA、MEX、スクワイア)
低音に張りのある、太く甘い音が欲しい アルダーボディ+ローズ指板 ■アメリカン・ヴィンテージ’59、’65など
中高音に張りと元気が欲しい アッシュボディ+メイプル指板 ■アメリカン・ヴィンテージ’56
■クラシック’70s(MEX)
■クラシック・スペシャル54(JE)
「パキーン!!」って言ってほしい テキサス・スペシャル搭載機 ■アメリカン・スペシャル
■ロード・ウォーン
■JEテキサス搭載機など
ピッキングニュアンスを活かしたい ヴィンテージ・スタイル+シンプルな配線 ■アメリカン・ヴィンテージなど、各グレードのヴィンテージ・スタイル

ギター選びの心がけ

気になっているストラトが、自分のスタイルや出したい音とは違う方向性を持っていたかもしれません。しかしだからといって、その気になっている一本を候補から除外しなければならないということにはなりません。

確かにギターは音楽を演奏する「道具」であり、プロミュージシャンにとっては「商売道具」ですが、いっしょに音楽を楽しむための「相棒」でもあります。これから長く付き合う相手ですから、機能やグレードばかりでなく「自分がいかにそのギターを気に入っているか」も非常に重要です。

何となくでも「コレだ!」と感じることができたら、それはまたとない出会いなのかもしれません。ギター選びは「恋愛と同じ」とよく表現されます。一目惚れしてしまって、日がな一日そのギターのことしか考えていない、という人も珍しくはありません。

  • 「何となく好き」
  • 「オレを呼んでいる気がした」
  • 「憧れるアーティストと同じ」

このような「自分にしかわからないフィーリング」で選んでしまうのもひとつの方法です。こうして手に入れたギターには、深い愛着が沸くはずです。たとえ使っているうちに少し気に入らない所が見つかったとしても、そのギターに愛着を持っていればそれなりに工夫して対処する気になりやすいでしょう。

ストラトならば、パーツ交換やセッティング変更でかなり自分向けに追い込んだカスタマイズを施すことができますから、フィーリングで選んでしまっても割りと大丈夫です。


以上、いろいろなポイントでフェンダーのストラトをチェックしていきました。ライブや録音で頼りになる道具として、また音楽を楽しむ相棒として、納得ができる一本をぜひ見つけてください。

資料:Fender American Series 各モデル比較

「メイドインUSA」としてリリースされるレギュラーラインのストラトキャスター、全6機種を並べてみました。どれも等しくストラトキャスターですが、それぞれに個性が備わっているのがわかりますね。

1)ネック周り

Standard Elite Special ’56 ’59 ’65
グリップ Moderc”C” コンパウンド Moderc”C” Soft”V” “D”Shape Mid’60s”C”
指板R 9.5″(241mm) コンパウンド 9.5″(241mm) 7.25″(184.1 mm) 7.25″(184.1 mm) 7.25″(184.1 mm)
フレットのサイズと数 ミディアムジャンボ:22F ミディアムジャンボ:22F ジャンボ:22F ヴィンテージスタイル:21F ヴィンテージスタイル:21F ヴィンテージスタイル:21F
ナット幅 1.685″(42.8mm) 1.685″(42.8mm) 1.685″(42.8mm) 1.650″(42 mm) 1.650″(42 mm) 1.650″(42 mm)
ロッド位置 ヘッド側 ヒール側
開口部あり
ヘッド側 ヒール側 ヒール側 ヒール側
開口部あり
ヘッド形状 ショート ショート ラージ ショート ショート ショート
塗装 ウレタン ウレタン ウレタン ラッカー ラッカー ラッカー

2)ボディ

Standard Elite Special ’56 ’59 ’65
アルダー アルダー アルダー アッシュ アルダー アルダー
塗装 ウレタン ウレタン ウレタン ラッカー ラッカー ラッカー

3)ペグとブリッジ

Standard Elite Special ’56 ’59 ’65
ブリッジ 2点留め 2点留め 6点留め 6点留め 6点留め 6点留め
サドル 鉄板 ブロック 鉄板 鉄板(ロゴ入り) 鉄板(ロゴ入り) 鉄板(ロゴ入り)
ペグ ロトマチック、スタガード ロトマチック、ロッキングチューナー ロトマチック クルーソンタイプ クルーソンタイプ クルーソンタイプ

4)電気系

Standard Elite Special ’56 ’59 ’65
ピックアップ Fat ’50s 4th Noiseless Texas Special ’56 ’59 ’65
コントロール 1v、front T、mid& rear T 1v、front T、mid& rear T グレースバッカー 1v、front T、mid& rear T 1v、front T、mid& rear T 1v、front T、mid& rear T
セレクタスイッチ 5way 5way 5way 5way
3way同梱
5way
3way同梱
5way
3way同梱