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ギブソン SG スペシャル徹底分析!

gibson-sg-special

1960年にギブソンのレスポール・モデルは廃盤となり、翌年ダブルカッタウェイのレスポール・ジュニア/スペシャルを進化させた現在のSGにフルモデルチェンジ、新しい「レスポール・モデル」として発表されました。「SG」に名前が変更されたのは、1963年のことです。

「Gibson SG Special(SGスペシャル)」はレスポール・スペシャルのSG版として発表されました。当時の仕様であった2基のP-90は、70年代にはミニハムバッカーに、また80年代にはオープンタイプの普通サイズのハムバッカーにと、時代に応じて変更されています。

Gibson SG Special の特徴

SGスペシャルはSGジュニアと並び、SGスタンダードのスチューデントモデル(=廉価版)という立ち位置にあります。ハムバッカーであったピックアップをP-90に変更するほかには、装飾などサウンドに問題のない部分での仕様変更が加えられ、価格を抑えるよう工夫されています。

またSGのボディ構造からなる、低音域が抑えられて中域の立つサウンドに、オープンタイプのハムバッカーやP-90特有のトレブル感、パワー感が合わさり、ロックにぴったりの元気なサウンドが得られます。このため「廉価版」でありながらサウンドでSGスペシャルを選択するプレイヤーも多くいます。

ヘッド/ネック

SGスタンダードのヘッド/ネック

SGスタンダードのヘッド/ネックは

  • インレイによるブランドロゴとクラウンインレイの装飾
  • クルーソンタイプのペグ
  • 指板にバインディング
  • 台形のポジションマーク

という仕様でしたが、

SGスペシャルのネック

SGスペシャルでは

  • シルクスクリーン印刷によるブランドロゴ
  • クラウンインレイ無し
  • ペグは3つが連なっている「3連ペグ」で、つまみが安っぽい
  • バインディングは残しながらも、ポジションマークはドット(=点)に変更

となっており、装飾をごっそり排除しています。

ヒスコレ(Gibson Custom Shop Historic Collection)など、60年代当時の仕様を忠実に再現したモデルでは同様の仕様でリリースされていますが、現代版のSGスペシャルではバインディングがなく、ペグはSGスタンダードと同様のものになっています。

ピックアップ

SGスペシャルのピックアップ 左:オープンタイプの 490T & 490R、真ん中:カバードの 490T & 490R、右:61 Zebra(SG Special 2015)

1961年のデビュー当時はラージサイズのシングルコイルであるP-90が採用されていましたが、1970年代にはP-90と同じサイズのミニハムバッカーに変更、1980年代にはオープンタイプのハムバッカーに変更するなど、時代とともにハイパワー化しています。

ギブソンギターにマウントされているハムバッカーピックアップには、カバーがついている(=カバード)のが基本です。ピックアップカバーはコイルを保護し、またノイズをアースに逃がす役割がありますが、そのかわり高音域と倍音を若干削ってしまいます。このカバーを外す事で、若干のノイズと引き換えに、カバーによって削られた高音域と倍音を回復させることができます。これによって甘く丸い印象のサウンドが若干トレブリーになりパワーも上がりますので、ロック系ミュージシャンを中心にレスポールやSGの改造として流行しました。

限定仕様でカバードのハムバッカーがマウントされているSGスペシャルもリリースされていますが、こうなるとSGスタンダードとのサウンド面での違いがほぼなくなります。逆にピックアップをP-90に変更したSGスタンダードがリリースされてもいますから、SGスペシャルとSGスタンダードの間には

  • モデルごとに違うピックガードのデザイン
  • ヘッド/ネックのデザイン

しか違いがない、と言えます。

ブリッジ

レスポール・ジュニア/スペシャルでは今なおバーブリッジが採用されていますが、現行のSGジュニアではバーブリッジからチュ−ン・O・マチックに変更されています。これはSG特有の「ヘッド落ち(=ネックが長いので、左手を離すとヘッドが下がる)」を少しでも和らげるため、ブリッジでボディの重量をかせごうとしているからです。一方カスタムショップでは当時の仕様であるバーブリッジが採用されています。

SGスペシャルを使用した主なギタリスト

トニー・アイオミ(Tony Iommi、1948-)


“Loner” (Official Music Video) – Black Sabbath

ブラックサバスの中心人物であり、サウスポーのギタリスト。超タイトなスケジュールでレコーディングを行った時に当時のメインのストラトが故障、仕方なく控えに持ってきていたSGスペシャルを持ち出したところコレがたいそう具合が良くて気に入った、という経緯で現在ではSGがトレードマークになっています。

特別性のピックアップを搭載し、ローズ指板をラッカー塗装して摩擦を軽減し、またボディバランスのためにストラップピンの位置を変更するなど改造を加えて1975年頃まで使用していますが、それ以後も個人ビルダーの手によるSGシェイプのギターを愛用し続けています。
トニー・アイオミ

ピート・タウンゼンド(Peter Dennis Blandford “Pete” Townshend, 1945-)

「ザ・フー」のギタリストとして余りにも有名。ストラトやレスポール、シェクターの2ハム仕様のテレキャスタータイプなど、年代ごとにメインギターを替えていますが、1970年代後半にはこのSGスペシャルとハイワット製ギターアンプの組み合わせでバイト感のあるロックンロールサウンドを出していました。肩から腕をぶん回してストロークする「ウィンドミル(=風車)奏法」は、このピート氏によって広められました。
ピート・タウンゼンド

CHAR(竹中 尚人、1955-)

日本人で最初のロックギタリストとして有名なCHAR氏はムスタングやストラトを抱いているイメージが強いですが、多くのギターコレクションの中に70年代のSGスペシャルがあります。スモールハムバッカーにラージピックガードという仕様で、自身が青春を捧げたというCREAMの曲を演奏する時に頻繁に使用し、2012年に実現したジャック・ブルースとのセッションではほぼ全編使用しています。

Gibson SG Special のラインナップ

Gibson Custom Shop

カスタムショップでは、最高グレードである「ヒストリックコレクション(=ヒスコレ)」や日本限定版などで、

  • 装飾を排したヘッドと三連ペグ
  • スモールピックガード、2基のP-90
  • バーブリッジ

という60年代当時のスペックを可能な限り忠実に再現したSGスペシャルをリリースしていますが、ギブソンUSAのレスポール・スタンダードに匹敵するような価格になってしまいますので、よほどのこだわりのあるプレイヤーやコレクター向けのギターだと言えます。

Gibson Custom Shop SGを…
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Gibson USA SG Special/SG Special Faded

gibson-sg-special 左から:SG Special、SG Special Limited、SG Special Faded、SG Special 2014、SG Special 2015、SG Special 2015

装飾を排したヘッド/ネックにラージピックガード、オープンタイプのハムバッカー、50年代風の丸いネックグリップ、という現代のSGスペシャルには、グロス(=つや有り)フィニッシュの通常版SGスペシャルと、マット(=つや消し)フィニッシュのSGスペシャル・フェイデッドのふたつが用意されています。

SGスペシャルではボディカラーがチェリーかブラックで、指板材にグラナディーロ(=メキシコ紫檀)がセレクトされています。グラナディーロは希少となったインドローズの代替材で、高密度で硬く、ややきらびやかなサウンド特性を持っています。また狂いが出にくく非常に綺麗であることから、マリンバやクラシックギターで永らく使用されています。

一方SGスペシャル・フェイデッドはボディカラーがチェリーかブラウンで、メイプル材をローストしてローズの色に似せた「ベイクド・メイプル」が指板材として採用されています。指板としての機能に全く問題はありませんが、このため価格が通常版よりもさらに抑えられています。

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Gibson USA SG Standard P-90

sg-special-p90

SGスタンダードのピックアップをP-90に変更したモデルで、60年代当時のSGスペシャルに近いサウンドを狙っています。カラーはチェリーとブラックがあり、ヘッドのダイアモンドインレイ、指板の台形のインレイなどの装飾がSGスタンダードと共通ながら、指板をベイクド・メイプルにすることで低価格化、通常版SGスペシャルと同じ価格になっています。

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SG Special の2016年モデル

SGスペシャルのグレードからは、

  • SG Faded 2016 HP / SG Faded 2016 T
  • SG Special 2016 HP / SG Special 2016 T

という4モデルがリリースされました。いずれもボディ塗装をサテン仕上げにしており、導管の凹凸に触れることができる、ウッディーなイメージのSGです。サテン仕上げのモデルはキズが付きやすく、使用する間にどんどん味のあるルックスになっていくのがデメリットだという考え方もありますが、そのぶん塗膜が薄く、鳴りが豊かになるというメリットがあります。

SG Faded 2016 HP / SG Faded 2016 T

SG Special Faded 2016 HP SG Special Faded 2016 HP

SGフェイデッドはかつてのSGスペシャルを思わせるギターで、

  • バインディングのないシンプルな意匠のネック&ヘッド
  • シルクスクリーンのブランドロゴ以外にヘッドインレイはなく、指板にはドットインレイ
  • オープンタイプ(ピックアップカバーを外す)のピックアップ

と言った特徴を継承しつつ、SGスタンダード同様にラージピックガード仕様になっています。1ピースマホガニーの「ラウンド」グリップのネックは、SGスタンダードと同じ仕様になっています。また搭載されるピックアップもSGスタンダードと同じ「490R/498T」が採用されており、SGスタンダードにかなり近いギターになっています。

ピックアップカバーを外した「オープン」タイプは、カバーがついた「カバード」よりも高音域の鋭さが向上し、若干派手なトーンになります。

SG Special Faded 2016を…
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SG Special 2016 HP / SG Special 2016 T

SG Special 2016 T SG Special 2016 T

いっぽうSGスペシャルは、

  • バインディングのないシンプルな意匠のネック&ヘッド
  • シルクスクリーンのブランドロゴ以外にヘッドインレイはなく、指板にはブロックインレイ
  • ファイアーバードを彷彿させるミニハムバッカーピックアップを2基搭載
  • スモールピックガード仕様

という独特なスタイルで、1970年代の仕様を再現しています。

「SG70」と名付けられたネックグリップは、ネック厚が他のSGと同じ「ラウンド」タイプながら、ヘッドの付け根に「ボリュート(ネック折れ防止用のふくらみ)」が設けられています。またこの時代の特徴であるメイプル材が使用されています。

フェイデッド/スペシャルの両機は、共に木目のバランスをとったマルチ材(何本かを張り合わせた)のマホガニーボディを持ち、HPモデル、Tモデル共に同じ価格設定になっています。スタイルの異なる同一グレードのギターという扱いです。

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HPとTの違い

HPモデルは、Tモデルより350ドル高い上位機種という扱いです。フェイデッド/スペシャルの場合楽器本体のグレードには違いがありませんが、搭載されるパーツや機能、付属するケースなどにグレードの差が設けられています。では、その相違点を見比べてみましょう。
モデル名 SG Special Faded 2016 HP SG Special 2016 HP SG Special Faded 2016 T SG Special 2016 T
指板インレイ 真珠貝 アクリル
ナット チタン製「ゼロフレット・ナット」
ナット幅1.745インチ(44.3㎜) (2015モデルはブラス製で、ナット幅1.795インチ) テクトイド(摩擦係数を軽減したグラファイト)製ナット ナット幅1.695インチ(43.0mm)
ペグ つまみがザマックになった、次世代型自動チューニングシステム「G Force™」 グローヴァー製クルーソンタイプ。伝統的な「グリーンキー(緑色のつまみ)」
電気回路 金メッキにより伝道効率を向上させた、高性能特殊ジャック 接点を増やして伝導率を向上させた高性能ジャック
コントロールノブ Supreme grip speed knobs Faded : Black Top Hat Special : Black Tophat Silver Inserts
ブリッジ ザマックTOM&チタンサドル ザマックTOM
ケース 大きなポケットを持つ「HPギグバッグ」 通常のギグバッグ
表:HPとTの相違点 自動チューニングシステム「G Force」、ゼロフレットナットといった機能面だけでなく、インレイの素材やコントロールノブの種類にまで、グレードの違いが反映されています。