Q&A.85 エレキギターするときアンプなしでも大丈夫ですか?

[記事公開日]2013/12/22 [最終更新日]2021/9/9
[編集者]神崎聡

エレキギターするときギターアンプはかならず必要ですか? – (2012/1/1)10~19歳 男性(高校生・中学生・小学生)

エレキギターをFenderの7万円のものを貰い、頑張って練習をしようと思いました。アコースティックギターをしておりましたので、同じように考えていたら、「アンプが必要」とお店の方に言われたのでFenderの7500円15Wの物を購入致しました。
しかしながら、自宅はアパートであまり大きな音が出ません。
それでもやはり自宅での練習方法としましては、アンプを接続して練習したほうが良いのでしょうか?
ヘッドフォンでも出来ますが、長時間は耳が痛くなるのではないかと思いました。
自宅の練習では、生のエレキで練習(確かにビブラートなどは迫力出ませんが)
休みの日にスタジオなどと考えました。
ネットで必要な物を調べると、アンプにつないで練習するのが大事だという回答が多いでした。
よろしければ、お意見お聞かせ頂けませんでしょうか? – (2013/11/30)鶴田さん 39歳 男性

アコースティックギターなら、ギターだけあれば曲を演奏することができてしまいます。ところがエレキギターとなると、ギター本体にアンプに、二つをつなぐシールドにと、音を出すためにはとにかくここまでのグッズが最低限必要となります。ギターも買って、アンプも買って、シールドも買って、となると、お小遣いや置き場所のやりくりも楽ではありませんよね。しかしながら電気を使って音を出すから「エレキ」ギターなので、これは宿命というべきものです。

どうしてアンプで音を出す必要があるのか?

まず、なぜアンプを使わなければならないかを考えていきましょう。

両手の力加減を覚えるため

弦をはじけば確かに弦の音が出ますが、アンプを通さないエレキギターの音(=生音)は、ひじょうに小さくて聞き取りにくいものです。セミアコやフルアコ、またシンラインなどボディに反響用の空洞を持つ構造のギターなら生音も大きくなりますが、ソリッドギターの生音は生活音にすらかき消されるほど小さいのが普通です。

この小さな生音で練習していると、ちゃんと聞こえる音が聞きたくて、ついつい力んで必要以上に強くピッキングしてしまうものです。右手が力むのにつられて弦を抑える左手の力も増しやすいですから、両手が勝手にどんどん力んでいってしまいます。この力加減を身体が覚えてしまうと、アンプを使うときにも同じ力み方で弾いてしまい、何曲も演奏したら指先はボロボロで、体中汗だく、ということになってしまいます。力みは焦りを生みやすく、集中力を奪い、ミスを誘発します。力んだままではなかなか上達できません。

エレキギターは電気的に音を増幅する楽器なのであって、音を出すのにそこまでの体力は必要ではありません。音量が欲しかったら、ボリュームを上げればいいんです。プロミュージシャンのライブでは10曲も20曲も演奏されることがありますが、それはプロミュージシャンが無尽蔵の体力を持っているからではなく、体力を消耗しない弾き方を身につけているからできることなのです。

力まずに「メジャースケール」などを弾いたときの生音は、ちゃんと弾けているのか弾けていないのかわからないくらいに小さいものです。アンプがあるからこそ、力まないリラックスした弾き方で練習することができます。

サウンドメイキング

アンプのツマミ部分

エレキギターの醍醐味は、アンプを通した音そのものにあります。アンプにはイコライザーが付いているのが普通ですが、チャンネル切り替えやリバーヴが付いているものも珍しくありません。デジタルアンプならアンプそのものを切り替えるスイッチが付いていたり、エフェクタが内蔵されていたりします。ギター本体にもピックアップの切り替えスイッチボリューム、トーンのつまみが付いており、音色を変化させられるようになっています。

こうした電気的なデバイスを必要に応じて切り替えたり、また必要な音色を作ったりすることは、エレキギターの演奏においては譜面をそのまま弾くことと同じくらい重要です。イコライザーならば、トレブルを上げすぎたら耳が痛くなってしまうし、下げ過ぎたらサウンドの明瞭さがなくなってしまいます。ベースを上げ過ぎたらモコモコしたサウンドになるし、下げ過ぎたら迫力がなくなってしまいます。こうした電気機器をどのように操作したらどのような結果になるのかは、腕前が上がれば上がるほど感覚的に身につけているものですが、そうなるためには日ごろからアンプやギターのつまみを操作し、音色の変化を確認する習慣が必要です。

楽しい

アンプを使ってエレキギターを鳴らすのは、とても楽しいことです。これについては、ギター博士の意見を聞いてみましょう。

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ギター博士「何故ギターアンプが必要なのか。
それはエレキギターというものの本質を考えれば自(おの)ずとわかることじゃ。

エレキギターは電気によって音を増幅させることができる楽器じゃ。大きな音で弾く、歪んだ音で弾く、そのことによる開放感や喜びは、アンプを通してじゃないと得られんじゃろぅ。自分の好きなギタリストと似たような音になったら嬉しいじゃろう?
また、もし作曲をする人ならわかるかもしれんが、ディストーションのかかったギターを弾くことで得られるインスピレーション/そこから産まれる発想やひらめきもまた、アンプがあってこそ、なんじゃ。

そして、上達してくればピッキングの強さやボリュームで歪みを調節したりするし、例えばチューブアンプとトランジスタアンプでも音の質感が違うことが実感できるであろうな。
もちろんスタジオでの個人練習はとても効果的じゃ!
大きな音で演奏するのは例えるなら映画館のスクリーンで見るのと自宅でDVD見るくらいの違いはあるんじゃないかの?
なので、絶対にアンプに繋がなければいけないということはないが、最終的にアンプで鳴らすということをイメージして、ヘッドホンで練習するもよし、生音で練習するもよし、色々と試してみてはどうかな?

おすすめの小型ギターアンプ

アンプがなくてもエレキ「アンプ内蔵ギター」

いっぽう、気軽にエレキギターを楽しみたいという人に向けて、本体にアンプを埋め込んだ「アンプ内蔵ギター」というものがいろんなブランドからリリースされています。スイッチを入れてギターを弾くと、ボディに組み込まれたスピーカからエレキギターの音が出るというものです。電気的にはアンプを使っているのに違いありませんが、これならシールドにわずらわされることもなく、楽器一本でエレキギターの音を出すことができます。
アンプ内蔵ギターって、どういうもの?

耳が痛くなりにくいヘッドフォンについて

夜の練習のときにはアンプを通した大きな音は出しにくいですね。そんなときはヘッドフォンが必要になりますが、耳が痛くなりにくいのも含めて、どのような種類のものが良いのでしょうか。

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ギター博士「ヘッドフォンでの練習もいいと思う。ヘッドフォンには開放(オープンエア)型と密閉型の2種類があるんじゃ。耳が痛くなりにくいヘッドフォンを探しているなら【開放(オープンエア)型】のヘッドフォンがいいか、もしくはインナーイヤー型のイヤフォンにしてもいいかもしれんのぅ」
ギターの練習におすすめのヘッドフォン


以上、ギターアンプの必要性について、アンプ内蔵ギターについて、ヘッドフォン使用上の注意について、それぞれ考えていきました。はっきりと聞こえるだけの音量は欲しいところですが、大きすぎる音量には注意して楽しく練習していきましょう。

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