初心者にこそ知って欲しい、メジャースケール練習のポイント

[記事公開日]2020/2/4 [最終更新日]2024/2/24
[編集者]神崎聡

メジャースケール

突然ですが、「ドレミファソラシド」は弾けますか?

「ゆっくりだけど弾けるよ!」と言う人も、「これから覚えるところ!」と言う人も、「めっちゃくちゃ速く弾けるよ!」と言う人もいるでしょう。今回はこのドレミファソラシドを、もう一歩踏み込んで知りましょう、というお話です。アドリブ演奏/作曲/アレンジといった音楽表現をしようと思った時に、きっと役に立つでしょう。

「初心者だから、まだうまく弾けないよ」と思っているあなた、大丈夫です。むしろゆっくり練習している間に覚えた方が効率が良い、ということもあるのです。

メジャースケールとは?

「メジャースケール(major scale。長音階とも)」とは、ドレミファソラシドの学名です。スタート地点により「Aメジャースケール」、「B♭メジャースケール」、そして今回使用する「Cメジャースケール」というように、ABC(音名)が付きます。CメジャースケールをTAB譜で表記すると以下のようになります。

clear

ギター博士「Cメジャースケールだけを使ってギターソロを弾いてみたゾ♫お日様のような明るいサウンドぢゃ!」

ギター博士が教える「メジャースケール6つのポイント」

それでは博士の動画から、メジャースケールを練習するうえでのポイントをチェックしていきましょう。


初心者にこそ知って欲しい、メジャースケール練習に関する6つのこと。

1「声に出して練習する」

まずは声に出して、ドレミファソラシドを歌ってみましょう。ドを弾いた時は同じ高さになるように「ド」と、レを弾いた時にはまた同じ高さになるように「レ」と声を出していくわけです。こうして練習することで、メジャースケールの響きを身体に馴染ませることができます。ポジションだけを覚えるのでも、速さを追求するのでもなく、スケールの「響き」を感じてください。

またこれは、「正しいピッチで歌う」、「楽器のサウンドから音高を聞き取る」という、歌唱と聴音のトレーニングでもあります。耳コピーの入り口にもなるわけです。

2「英語表記も意識する」

ドレミファソラシドの英語表記

次はドレミファソラシドを、英語表記でも覚えてみましょう。ドレミを歌ったように、こんどはC、D、Eと声を出していくわけです。エレキギターでは特に英語表記がたいへん重要ですから、ぜひしっかりと覚えてください。

ドレミ…は日本語ではない

実は、ドレミはイタリア語です。これが英語ならCDEとアルファベットで、日本語ならハニホとカタカナで表記します。日本語表記は「ト音記号」「ハ長調」といった用語でよく使われますね。

伊・英・日の音階表記 表:伊、英、日の音階表記

「ドはスタート地点ではなかった!」というところが重要で、実は「ラ」こそがそもそもの出発点です。これを「ドから読んだものがメジャースケール」なのです。

3「1オクターブ=12半音」

ドレミファソラシドの最初の「ド」から次の「ド」までを「1オクターブ」と言います。現代音楽の多くは、この1オクターブを12等分した音律(平均律)でできています。ギターで言うと、開放弦(0フレット)から見て12フレットは1オクターブ上と言い、

  • 1フレットぶんの音程を「半音」
  • 2フレットぶんの音程を「全音(1音)」

と言います。

「1オクターブは12半音」で、「12フレットで1オクターブ」となるわけです。「音の高さ」は12等分なのに、「フレットの間隔」は音が高くなるにつれて狭くなっていく、という違いが面白いですね。

動画では、5弦3フレットの「ド」から同じく5弦の15フレットの「ド」までを弾いています。このようにどの音からでも、そこから12フレット上がると1オクターブ上、となります。指板のポジションマーク(3、5、7、9、12フレット)がオクターブ(15、17、19、21、24フレット)の関係にある、ということろも密かなポイントです。

4「全全半全全全半」

全全半全全全半

メジャースケールでは、隣どうしの間隔は「半音」か「全音」です。その並び方は、ルート(ド)から「全音、全音、半音、全音、全音、全音、半音」と決まっています。これをコンパクトに「全全半全全全半」と覚えておきましょう。ミとファ、及びシとドの間隔が半音で、他はすべて全音です。

これを踏まえた上で、弦1本でメジャースケールを弾く練習をしてみましょう。5弦3フレットの「ド(C)」からスタートして、全音離れた5フレットの「レ(D)」、また全音離れた7フレットの「ミ(E)」、半音離れた8フレットの「ファ(F)」というように、「全全半全全全半」を意識して弾いてみてください。

全全半全全全半 メジャースケール上の各音の隔たり

5「ルートから始めてルートで終わる練習」

「スケールの響き(スケールのカラー)」を意識してみましょう。スケールは単なる音の配列ではない、スケールには響きがあり、それを感じられるようになろう、というわけです。「ドレミファソラシドー」や「「ドシラソファミレドー」のように、ルート(ド)から初めてルートで終わるように弾くと理解しやすいです。

逆にそれ以外の音で始まったり終わったり、またスピードやポジションに気を取られたスケール練習では、スケールの響きに鈍感になってしまうかもしれません。音域を拡張したポジションを弾く練習でも、最初と最後は「ド」になるように弾くのがおすすめです。

して欲しくない練習

6「シ→ドの解決感に注目する」

演奏を「ドレミファソラシーー」でとどめると、「メロディが終わっていない」とか「最後にドを弾きたい」などと感じる人もいるでしょう。「シ」の音には「解決(終止)したくなるイメージ」があり、次に「ド」を弾きたくさせる力が備わっているのです。こうしたことから、「シ」は「ド」を導く音、「導音(leading note)」と呼ばれます。

「シ」の次に「ド」を鳴らすと解決した、と感じるのは「解決感(終止感)」と呼ばれます。ここに注目し、実際に解決を感じられるようにしましょう。この感覚は、アドリブや作曲/アレンジを行う時にたいへん重要です。

ギター博士

ギター博士から一言

今回の内容は初心者にとってはまだ早いんじゃないか、って考える人もおるかもしれんのぅ。しかしな、「ギターの初心者」が「音楽の初心者」とイコールではない、とわしは考えておるんじゃ。

ギターは始めたばかりかもしれないが、ピアノや吹奏楽など他の楽器に触れた経験はある、という人もおるじゃろう。また、歌を歌ったり、手拍子でリズムを取ったり、ということも立派な音楽表現なんじゃ。そういう経験から、今回のポイントがすでに身についていた、という幸運な人もおるじゃろう。初めて知ったという人は、これから身につけていけばいいんじゃ。

ギターがスムーズに弾けない今だからこ、弾く練習に音楽的なトレーニングを合わせることで、音楽的にも効率よく成できるのじゃ。今回のテーマについて参考にしてくれたら、わしはとっても嬉しいぞ。


以上、博士の動画を基に、メジャースケールを練習する上での6つのポイントを見ていきました。この中で重要なキーワードがいくつもありましたね。「スケールの響き」「オクターブ」「半音」「全音」「解決(終止)」の5つは特に重要です。音楽理論を理解するため、また音楽的な感覚を会得するため、ぜひしっかり覚えてください。

メジャースケールを使った演奏&奏法解説

Cメジャースケール:Tab譜 クリックして拡大

この演奏のポイント①「異弦同音で弾いている」

2小節目の冒頭

  • 2弦8フレット
  • 3弦12フレット

はどちらもGの音であり、「異なる弦の同じ音 = 異弦同音」となっています。
この音を交互に弾くことで、1弦上だけで弾くのとニュアンスが変わってきます。

この演奏のポイント②「異なるコードを組み合わせて弾いている」

6小節目では Em7 と CM7 のアルペジオを組み合わせて弾いています。それぞれのコードの構成音は

  • Em7:EGBD(ミソシレ)
  • CM7:CEGB(ドミソシ)

となっており、Em7 と CM7 のコードの構成音が非常に近いことも関係しています。詳しくは以下のページを見てみましょう。
代理和音

そしてこのことを理解するには、まずはコードの構成音について知っておく必要があります。様々なコードの成り立ちについて理解を深めることで、バッキングギター/コードワークなど楽曲のアレンジに役立てることができます。

コードの構成音・成り立ちを理解しよう!

メジャースケールだけで作られた小曲を弾いてみる!

Hakase Etude 2 – C Major Scale Melody

clear

ギター博士「上で紹介している動画と同じく、Cメジャースケールの構成音だけで作られた小曲ぢゃ。”指板上にCメジャースケールのポジションが浮かぶ”ようになることを意識して練習して欲しいんゾィ!」

「Hakase Etude 2 – C Major Scale Melody」のTab譜をエレキギター博士 公式 BASE SHOPで購入する

※当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。