クリーントーンと歪みをスイッチングで切り替えてみよう

[記事公開日]2016/9/25 [最終更新日]2021/7/3
[編集者]神崎聡

プロがよくやるクリーントーンから歪み系に音を変えるスイッチングというのは、zoomさんのG5や、voxさんのValvetronix ToneLab EX、などの、マルチエフェクターの下にあるスイッチ?のようなもので簡単に足元で音を変えられるのでしょうか? – (2012/4/11)10~19歳 男性(高校生・中学生・小学生)

お世話になります。アンプとペダルの使い方の質問です。
アンプはTSL100です。オーバードライブはMXR GT-ODです。
1. クランチチャンネルを使っているときはオーバードライブペダルON
2. クリーンに切り替えたと同時にオーバードライブOFF
1. と2. を瞬時に切り替えるには、何かシステムを組めるんでしょうか?よろしくお願いします。 – (2011/7/12)40~49歳 男性 会社員(事務系)

少し弾けるようになってくると、バンドで演奏する際に音色を切り替える必要が出てきます。エレキギターの音色はたくさんありますが、基本としては、主にアルペジオ演奏などに使われるクリーントーンと、パワーコードのバッキングやソロで使われる歪んだオーバードライブ、ディストーション系の音色の二種を切り替えられれば十分でしょう。ここではその二種の切り替えについて、少し突っ込んだところまでお話しします。

歪みエフェクターを使う

歪みエフェクターはそれ単体でオーバードライブや、深く歪むディストーション、あるいはファズなどという音をつくりだせるものです。主にギターとアンプの間に接続します。

エフェクターを使った切替

スイッチをONにすると音色が歪み出すので、クリーンが必要な時にOFFにしておき、歪んだ音が必要なときにONにします。大抵のロックポップス系の曲は歪んだ音の割合が多いので、ONになっている時のほうが長いと思います。

エフェクターはそれ単体で音量を制御できるので、基本的にはオンオフで音量が変わらないようにつまみをセッティングしておきます。クリーンは歪んだ音よりも静かに感じやすいのですが、実際の音量はけっこう出ていたりすることがあるので、特にライブの時などの音量バランスには気を付けましょう。ただし、ソロ時だけオンにしたりする場合には、音量も一緒に上がって欲しい時が多いので、そういう場合はオンにした時に少し音量もブースト出来るようにセッティングします。

マルチエフェクター

安いマルチエフェクターを一台だけ持っている、なんてケースも多いでしょう。こういう場合はクリーンの音色と歪んだ音色をあらかじめ作り込んで保存しておき、それをペダルで切り替えます。通常の歪みエフェクターと違い、一度にたくさんのエフェクターのセッティングを一つのパッチとして保存しておけるのが利点です。

  • A. 通常のバッキング用…オーバードライブ、コンプレッサー、コーラス、Vol.80
  • B. アルペジオ用クリーン…コンプレッサー、コーラス、ディレイ、Vol.80
  • C. ソロ用…ディストーション、ディレイ、Vol.100

このように、実際の曲の演奏にあわせたセッティングを複数のパッチとして保管して、これをペダルで切り替えることになります。

音量のバランスには特に気を付ける必要があり、家で小音量で作り込んだ音と、実際のライブハウスで大きなアンプで鳴らしたときの音量、音色が全く違うように聞こえることはよくあること。その際に、修正しようにもパッチの編集が必要になり、普通のコンパクトエフェクターのようにつまみ一つでらくらくセッティングとは行きません。この辺りがマルチエフェクターの一つの欠点にもなります(が、最新のモデルではそれも解消されています)。ライブの前にスタジオの大出力アンプで音色の修正を行っておくと、ライブ会場で慌てなくても良くなりますよ。
マルチエフェクター

ラインセレクターを使う

ラインセレクターでの切替

ラインセレクターとは、信号を一時的にループさせるもの。説明を読むより図を見てもらった方が分かりやすいと思います。

  • 複数のコンパクトエフェクターを間に挟んで一斉にオンオフ
  • Aチャンネルのセンドにクリーントーン用アンプ、Bチャンネルのセンドに歪み用アンプを接続し、踏むたびに2つのアンプを切り替え

たりします。なかでも後者の「2台のアンプ切替」は手間と金の掛かる方法で、プロが大きなステージで演奏する際によく行う方法です(リハーサルスタジオやライブハウス常設の Roland JC-120 / Marshall JCM-2000 を切り替えるというのがアマチュア・ギタリストの定石です)。

ラインセレクターはA,Bチャンネルのみの簡易なものから、5つ以上のループを並べられるものまで、様々なサイズのものがあります。サウンドの切り替えのみならず、チューナ用に一つ常備しているギタリストもいます。
ラインセレクター

ラインセレクターのセッティングについては以下のリンクで確認することができます。

エフェクターのつなぎ方 – Supernice!エフェクター

ギターアンプのチャンネルを切り替える

フットスイッチフットスイッチ

ギターアンプの種類によっては2,3チャンネルとサウンドの設定を独立してできるものが存在し、そういったアンプには大抵フットスイッチに対応しています。
例えばチャンネル1をクリーン・チャンネル2を歪みにセッティング、ギターアンプと繋いだフットスイッチをon/offするだけでクリーン/歪みの切り替えが可能になります。
MarshallにはMarshall専用のフットスイッチ、PeaveyにはPeaveyの、とそれぞれ純正の付属フットスイッチが存在しますが、どのメーカーのアンプでも対応可能なフットスイッチもあります。

フットスイッチ一覧 – Supernice!ギターアンプ

スイッチングシステムを使う

スイッチングシステム

普通のラインセレクターと似て非なるものにスイッチングシステムがあります。これは複数のループが横に並んでいて、そこにひとつずつ別のエフェクターをつなぎ、どれをONにするかをあらかじめメモリーしておくというもの。パッチ、チャンネルごとの保存となるので、ディスプレイが付いているものが多く、たとえばA01にディレイとコーラスのみON、A02にディストーションとディレイのみON、などとあらかじめ登録。コンパクトエフェクターの羅列をマルチエフェクターに近い感覚で使えます。マルチの音色に満足いかないこだわりのギタリストや、コンパクトエフェクターをいくつも並べて多用するギタリストには必須となるものです。

欠点としてはシステムが巨大になりすぎるため、運搬が大変といったところでしょうか。また複数のコンパクトエフェクターを揃えて、さらにフットスイッチそのものが高価なので、この中では経済的に最も負担がかかります。その反面、一つずつのエフェクターを自分で吟味して揃えられるので、システムの構築そのものが楽しめるのは他に代えがたい魅力です。
プログラマブル・スイッチャー


さて、一息に切り替えといっても色々あります。最初は大抵の人がコンパクト一つ置いて、それを踏み換えるところから始まります。エフェクターを使わずにアンプのチャンネルをフットスイッチで切り替えて使う人も多いです。皆がそこから色々こだわっていった結果、複雑なシステムが生まれてきたのでしょう。

最後に、慣れない内は曲中でスイッチを踏むのは難しいです。踏み忘れて、歪んだ音色のままアルペジオしてしまったり、歌が入ってもソロ時の音量のままだったりすることはよくある失敗です。切り替えのために、スイッチを踏む練習もあらかじめしておきましょう!

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