ルーパー・エフェクターについて

[記事公開日]2022/8/7 [最終更新日]2023/10/1
[編集者]神崎聡

TC Electronic Ditto Looper(ルーパー・エフェクター)をギター博士が弾いてみた!
TC Electronic Ditto Looper レビュー!

サンプリングルーパー(以下ルーパー)とは「記録したフレーズを重ねて半永久的にループ再生するエフェクター」のことです。様々な演奏フレーズをルーパー本体に記憶し、それを重ね合わせて一つの壮大な楽曲に仕上げていきます。これをサウンド・オン・サウンドと呼びます。

ルーパーはシンプルであるが故に、使い手の技量とアイデアが問われる奥が深いエフェクターです。ギター機器(ペダルなど)をはじめ、ボーカル用機器やDJ機器など、様々な製品の機能として搭載されており、現代の音楽シーンには欠かせないものとなっています。

ルーパーを使ってできること

ルーパーがあると、以下のようなことができるようになります。

  • 多重録音
  • ジャムセッション
  • ライブパフォーマンス

「多重録音」とは一つのフレーズを何本も重ねていくことを言います。通常、多重録音を行う場合やDAW(作曲ソフト)やMTRといった機器が必要となりますが、ルーパーさえあれば1台で、それも簡単操作で実現します。細かい設定は必要とせず、ペダルを足で踏むだけで誰でも簡単に録音できるのが魅力です。

そして、多重録音を応用することで一人「ジャムセッション」を楽しむことが可能です。予め用意したドラムとベースのサウンドをループ再生した状態で、コードストロークやアルペジオを録音してループを重ねていきます。

その後、完成したバッキングトラックに合わせてアドリブなどを演奏するだけで、簡易的なジャムセッションを楽しめます。あくまでループ再生なので転調などに対応することはできませんが、好きな時に好きなだけセッションを楽しめるのはルーパーならではです。

さらにルーパーの扱いに長けてくると、ギターとアンプ、そしてルーパーだけで「ライブパフォーマンス」ができるようになります。ルーパーでバッキングを作り、そこにボーカルを乗せるだけで本格的な歌モノの完成です。基本は多重録音ですが、それを発展させていくことで、様々なシーンで使うことができるようになります。

ルーパーに搭載されている機能について

ここではルーパーに搭載されている基本的な機能について紹介します。

スタート(Start)

「録音開始」の操作です。Startと表記するモデルもあります。ペダル型のルーパーならスイッチを踏むことで録音が始まります。演奏開始と同時にペダルを踏み、演奏が終わると同時に再度踏むことで、録音したフレーズが半永久的にループ再生されます。

オーバーダブ(Over Dub)

「重ね録り」の操作です。Dubと表記するモデルもあります。上記と同じ手順でフレーズを録音し、繰り返し重ねていくことで一つの楽曲に仕上げていきます。一回目の録音はスタート、以降はオーバーダブと覚えましょう。

プレイ(Play)

「録音をせずに音を出力」する操作のことです。スタートでベースとなるループを作成し、オーバーダブでバッキングを作りあげた後は、プレイで自由に演奏を行います。

アンドゥ(Undo)

「最後に重ねた音を消去」する操作です。演奏を失敗してしまった時や、異なるフレーズを重ねたい時に役立ちます。

リドゥ(Redu)

「最後に重ねた音を復活」させる操作です。アンドゥの逆であり、誤ってフレーズを消してしまった時に使います。

ルーパーは、ディレイペダルに搭載されている場合もある!

単体のルーパーペダルが存在する一方で、機種によってはディレイペダルにもルーパー機能を搭載していることがあります。もちろん専用モデルの方が機能面あるいは音質面で優れていますが、ディレイに搭載されているルーパーでもサウンド・オン・サウンドを楽しむことが可能です。お手持ちのディレイにルーパーが搭載されている場合、どのようなことができるのか試してみるのも良いでしょう。
以下、ルーパー機能を搭載したディレイ・ペダル一覧です。

ギタリスト向けルーパー・ペダル

TC ELECTRONIC Ditto Looper

TC ELECTRONIC Ditto Looper

当ページ冒頭のギター博士の動画で使用しているのが、空間系エフェクターに定評のあるTC ELECTRONICの「Ditto Looper」です。ミニサイズの本体にツマミ1つという極めてシンプルな操作系統ながら、スタート/プレイ/アンドゥ/リドゥとルーパーに必要な機能をフットスイッチの操作だけで実行できるなど、非常に優れた操作性を実現。大変コンパクトなので、エフェクターボード内に忍び込ませることも楽にできます。

コントロールはループの音量レベルを調整するLOOP LEVELのみ。ループタイムの上限は5分で、オーバーダブの回数は無制限、待機時の音質劣化も気にならないトゥルーバイパス仕様となっています。また音声出力にアナログドライスルー構造を採用しており、ドライ音(ギターの原音)はアナログのまま出力されるため、デジタル機器にありがちな無機質で冷たいサウンドにはなりません。シンプルイズベストという言葉がピッタリのモデルで、ギター初心者はもちろん、ルーパーを巧みに操れる上級者にもオススメです。

TC ELECTRONIC Ditto Looper – Supernice!エフェクター

TC ELECTRONIC Ditto X4 Looper

TC ELECTRONIC Ditto X4 Looper

2016年2月に登場した「Ditto X4 Looper」は、上述のロングセラーモデルDitto Looperを含むTC Electronicのルーパー「Ditto」シリーズの最上位モデル。フットスイッチを4個装備し、独立した2つのルーパーを搭載、ステレオ入出力、7種類のループエフェクトやリズムマシン機能を搭載した多機能モデルです。
単体のルーパーとしてはこれ以上ないほどの機能を搭載しており、1人ジャムセッションはもちろん、楽曲の中でループフレーズを扱うことも可能になるでしょう。ルーパーを極めたいというギタリストにおすすめのモデルです。

TC ELECTRONIC Ditto X4 Looper – Supernice!エフェクター

TC Electronic Ditto JAM X2 LOOPER

Ditto JAM X2 LOOPER

Dittoシリーズの「Ditto X2 LOOPER」をベースに、新たな機能「Beatsense」が搭載されたモデルです。TC Electronic独自の技術であるこの「Beatsence」は録音したループがバッキング・トラックを自動で追尾するという画期的なもので、例えばバンドで演奏する際にも、他のプレイヤーがループのテンポを気にしながら演奏する必要はありません。X2 LOOPERと同じくコントロールはボリューム・ノブ1つのみで、直感的なコントロールが可能です。また、ステレオ・アウトプットやUSB接続による音源のやりとり、最大5分間のループ・タイム/無制限のオーバー・ダブなど、既存のDITTOシリーズの機能ももちろん搭載されています。

TC Electronic Ditto JAM X2 LOOPER – Supernice!エフェクター

BOSS RC-3

BOSS RC-3

赤いフォルムが特徴となるBOSSのRC-3は、最大で3時間の録音に対応し、99種類までのフレーズを保存しておくことができる多機能ルーパーです。フレーズの保存機能があるため、ライブパフォーマンスに最適のモデルと言えます。

本機はステレオ入力に対応。ギターはもちろんシンセサイザーなどのステレオ機器と接続することも可能です。AUX端子も用意されているため、音楽プレイヤーなどを接続してバッキングトラックを再生し、その上にループを重ねていくという使い方もできます。

また、録音の際に役立つリズム機能を搭載。タップテンポでBPMを調整することもでき、テンポに合った正確な演奏を取り込むことができます。

さらに、本機にはUSB端子が用意されており、保存したフレーズをUSB経由でパソコンに送ること可能。逆にパソコンからWavファイル(44.1kHz/16bit)をインポートすることもできます。電池駆動も可能なので、野外でのパフォーマンスにも対応します。長期に渡って売れ続けている、ギター向けルーパーの定番モデルです。

BOSS RC-3 – Supernice!エフェクター

BOSS RC-5

RC-5

「RC-3」に続く、ペダル・タイプのルーパーです。32bit処理による高いクオリティのサウンド、バックライトのついた視認性の高いディスプレイなど、パフォーマンスをより強力にする要素が数多く追加されています。録音時間は3時間から13時間に、リズム・パターンは10パターンから57パターン×2バリエーションに増大し、プレイヤーのインスピレーションがより掻き立てられる一台です。またRC-3においては外部フット・スイッチによってコントロールできるのは停止、アンドゥ/リドゥのみでしたが、本機では録音/再生、オーバーダビングも行うことができます。TRS MIDI入出力の搭載により外部機器との同期も可能となり、一人でもバンドでも、さらに使えるルーパーとしてリニューアルされています。

BOSS RC-5 – Supernice!エフェクター

BOSS RC500

RC500

BOSSのフラッグシップ・ペダル・シリーズである「500」シリーズにラインナップされているルーパーです。AD/DA変換32bit、内部演算32bit float(浮動小数点)処理による圧倒的なサウンドと豊富な機能により、プレイヤーのパフォーマンスの可能性をさらに広げる一台といえます。ファンタム電源を装備したXLRマイク入力端子を搭載しており、シンプルなルーティングでより幅広い表現を行うことができます。ディスプレイは各種操作を行う際にも便利であるのに加えて、ループのステータスに応じてバックライトの色が変わるプレイ中にもありがたい仕様です。機能をカスタマイズできる3つのフット・スイッチも装備しており、まさにフラッグ・シップ・シリーズに相応しいルーパーです。

BOSS RC500 – Supernice!エフェクター

Mooer Groove Loop

Mooer Groove Loop

コストパフォーマンスに優れたペダルを数多くリリースするMooerから発売されたルーパーです。ミニサイズの筐体にはルーパーとドラム・マシンの2つの機能が詰め込まれており、練習にもパフォーマンスにも便利な一台です。もちろんそれぞれの機能を個別に使用することも可能ですが、同時に使用した場合はリズムに自動でルーパーが追従するため、ループのタイミングをシビアに気にすることなくプレイできます。またタップ・テンポを設定するボタンも搭載されており、テンポの決定も簡単です。何より、これだけの機能を搭載しつつも実売価格は1万円前後と手に入れやすいのは非常に魅力的です。

Mooer Groove Loop – Supernice!エフェクター

そのほか注目のルーパー・ペダル

リズムマシン/2系統のループトラック搭載「BOSS RC-10R」

BOSS RC-10R

ルーパーを用いるパフォーマンスの多くは、同じフレーズ、コード進行をループさせ続けるというルーパーの特性上、平坦なものになってしまいがちです。本機ではそのような問題を解決すべく、2系統のループ・トラックを装備しています。搭載されているリズム・パターンはイントロ、エンディング、2つのソング・ディビジョンによって構成されており、例えばAメロとBメロを切り替えて曲に抑揚をつけたりなど、パフォーマンスに展開を与えることが可能となっています。円形のインジケーターやシンプルなコントロールにより操作も直感的に行えるのは嬉しいポイントです。もちろん音質やリズム・パターンのバリエーション、入出力の豊富さなどルーパーとして求められる基本的な能力も申し分ありません。

BOSS RC-10R – Supernice!エフェクター

他のルーパーを圧倒する驚異的な機能「HEADRUSH Looperboard」

HEADRUSH Looperboard

ギター・プロセッサーと見紛うほどの巨大な筐体に納められた大型ルーパーです。クアッドコアDSPによる高い処理能力、ループの編集やカスタマイズが可能な7インチのタッチ・ディスプレイ、1トラックごとにフット・スイッチが2つ用意されており操作しやすい4つのルーパー・トラック、ループのタイム・ストレッチ機能など、他のルーパーを圧倒する驚異的な機能が盛り込まれています。また、オーディオ・インターフェースとしての使用も可能です。DITTO LOOPERなどのミニサイズ・ルーパーと比較してしまうと大きすぎるように感じられるかもしれませんが、ループによるパフォーマンスの幅を広げたいと考えるプレイヤーにとって、これ以上のものはないでしょう。

HEADRUSH Looperboard – Supernice!エフェクター

とにかく革新的!「Gamechanger Audio PLUS PEDAL」

Gamechanger Audio PLUS PEDAL

とにかく革新的で、なおかつ「使える」ペダルを数多くリリースするラトビアのGamechanger Audioによるサスティナーです。ペダルを踏み込むと、踏んだ瞬間に鳴っていた音がごく短い周期でループされ、減衰することなくサステインを続けます。同じような機能を持つペダルにElectro Harmonixの「FREEZE」やTC Electronicの「Infinite」がありますが、サステインがシンセサイザー的な無機質な響きに近いこれら2機種に対し、本機はギターの音をそのまま引き伸ばしたようなアコースティックな質感が魅力です。音をレイヤーとして重ねていったり、レイヤーのフェード・イン/アウトのスピードのコントロールなども可能で、突飛な見た目以上に使い所の多い一台です。

Gamechanger Audio PLUS PEDAL – Supernice!エフェクター

ルーパー・エフェクター一覧 – Supernice!エフェクター
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