フェイザー・エフェクターについて
フェイザー(フェイズ・シフター)は「位相のずれた音」を原音にミックスすることで、シュワシュワとしたサウンドを作り出すモジュレーション系エフェクターです。同系統のエフェクターにフランジャーがありますが、フェイザーが位相のずれを利用するのに対して、フランジャーは「原音の遅延」を利用しているので、サウンドは似ていますがこれらは別物です。
フェイザー・エフェクターの基本操作
フェイザーのコントロールツマミは一般的に、
- RATE、SPEED:(エフェクト音のウネりを調整するツマミ
- DEPTH:エフェクト音の深さを調整するツマミ
- FEEDBACK:エフェクト音の変化を調整するツマミ
- MIX:原音にエフェクト音を混ぜる量を決めるツマミ
となっているものが多いです。FEEDBACKに関しては、各ペダルによって変化の仕方が異なります。音の「エグさ」や「癖」を調整させるツマミと覚えておけば良いでしょう。
フェイザーはどんな時使うペダル?
フェイザーは主にカッティングなどの「リズムプレイ」で使われることが多いペダルです。ノリノリのファンクや、テンポの速いジャズなど、サウンドに勢いが欲しい時に踏むのが良いでしょう。ギタリストによっては「アルペジオ」やディストーションをかけて「リフ」や「リードプレイ」で使う場合もあります。
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使用機材
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六弦かなで「フランジャーとはまた一味違ったウネりのあるサウンドだね♪」
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音作り
全ての演奏でフェイザー・ペダルは「MXR PHASE 95」を使っています。
0:09〜 カッティングの粒を揃えるために、フェイザーの前段にコンプレッサー(TC Electronic HYPERGRAVITY COMPRESSOR)をONにしています。
1:18〜 フェイザーの後段にディレイ(BOSS DD-500)をセッティング、かけっぱなし(常時ON)にしています。
2:34〜 フェイザーの前段にディストーション(Suhr Riot)をONにしています。
フェイザーの元祖:レスリースピーカー
レスリースピーカー 122XB
レスリースピーカーは、救急車のサイレンが自分の前を通り過ぎると音程が下がって聞こえる【ドップラー効果】を生み出すキャビネット・スピーカー。1940年代、教会のパイプオルガンのサウンドを手軽なハモンドオルガンで再現するために生まれたスピーカーで、音量・音程・音質の揺らぎを発生させます。
1960年代以降、ロック・ハードロック・ジャズ・ソウルなど様々なジャンルのギタリストやキーボーディストに愛用されたことでフェイザー効果が世界的に認知され、現在はエフェクト・ペダルによって手軽に楽しむことができるようになりました。
フェイザーを使った有名ギタリスト
エドワード・ヴァン・ヘイレン
EVH PHASE 90
最も有名なフェイザー使いといえば、フランジャーのページでの紹介しましたが、ヴァン・ヘイレンの「エドワード・ヴァン・ヘイレン」でしょう。彼が使っていたのはMXRのPHASE 90で、自身で編み出した「タッピング奏法」とPHASE 90のフェイズサウンドを組み合わせた楽曲は秀逸です。
今現在、エドワードの象徴でもある「フランケンシュタイン」をモチーフにした「EVH PHASE 90」というシグネチャーモデルが販売されています。通常モデルに、「Script」というスイッチを搭載し、より強烈なサウンドを実現しています。
エドワード・ヴァン・ヘイレン
フェイザー・エフェクトの種類
フェイザーには「アナログフェイザー」と「デジタルフェイザー」の二種類が存在します。PHASE 90のような定番コンパクトペダルがアナログフェイザー、マルチエフェクターのようなデジタル製品に搭載されているのがデジタルフェイザーです。
それぞれバンドアンサンブルに馴染みやすい温かいサウンド、キラキラとした音抜けの良いサウンドという特徴を持っています。
定番のフェイザーペダル
MXR PHASE 90

PHASE 90 はギタリストなら一度は見たことがあるかもしれない、名機フェイザー・ペダル。オレンジ色のボディにツマミは SPEED 一つというシンプルな仕様で、有名ギタリストのエドワード・ヴァン・ヘイレンが当時使用したことでも知られています。
PHASE 90 にしか出せない独特のウネりは、ロックを始め、フュージョンやファンクのギタリストやキーボード奏者にも好まれています。ツマミ一つで素晴らしいフェイズサウンドを楽しむことができる、定番中の定番です。
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ARION SPH-1
アリオンのステレオ・フェイザー・ペダル。ペダルをオンにした時に若干音量が上がるという特徴、ただ繋いでいるだけ(バイパス時)で音ヤセがするという難点などクセのあるペダルですが、低価格だという点/人気ギタリストが使用したという点で、人気を集めています。
ステレオ出力に対応しているので、アウトプット端子からギターアンプ2台に繋いで音を鳴らすことで立体的なフェイザーサウンドを体験できます。初心者のエントリーモデルとしてもおすすめですね。
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BOSS PH-3 Phase Shifter
多機能フェイザーといえばBOSSのPH-3です。コントロールツマミはRATE、DEPTH、RESを搭載、それに加えステージセレクトとRISEモード、FALLモード、STEPモードと切り替えられるツマミも搭載しています。
ステージセレクトは4段から12段まで用意されており、ヴィンテージサウンドからPH-3オリジナルのサウンドまで、幅広いキャラクターの中から選ぶことができます。
また、音が上がり続けるRISEモード、下がり続けるFALLモード、ステップフェイザーになるSTEPモードなど、ユニークなモードも搭載されています。
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格安のフェイザーペダル
TC Electronic Blood Moon Phaser
Blood Moon Phaserは、TC Electronicの格安ペダル「Smorgasbord of Tones」シリーズのフェイザー。3ツマミのシンプル&オーソドックスな機能のフェイザーで、リーズナブルな価格のためフェイザー入門機にも最適なペダルです。
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MOOER Ninety Orange
MXRのPHASE 90を彷彿とさせるNinty Orangeは非常にコストパフォーマンスの高いフェイザーです。PAHSE 90のようなエグさは無いものの、フルアナログらしいウォームなサウンドが特徴です。
コントロールツマミはSPEEDとVintageモード、Modernモードを選べるトグルスイッチを搭載しています。モードに関してはそれぞれ「70年代のサイケデリックサウンド」、「豊かな現代的サウンド」となっています。
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ハイエンドフェイザー
Pigtronix ENVELOPE PHASER
ENVELOPE PHASERは非常に多彩なフェイズサウンドを楽しむことができるハイエンドフェイザーです。基本的なフェイザーのコントロールはもちろん、位相を反転することができるインバートスイッチや、サウンドをフェイザータイプとユニヴァイブタイプに切り替えることができるLFOスムーススイッチなど、幅広い音作りができる機能が満載です。
フェイザーというカテゴリに属していながらも、コーラスやトレモロ、フランジャーのようなモジュレーションサウンドも作ることができる万能ペダルです。
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WALRUS AUDIO VANGUARD
サウンドのクオリティはもちろんのこと、独立2系統のフェイザー/3つのヴォイシング/10ステージのフェイザー回路の組み合わせによって、多彩なフェイズ・サウンドを生み出すことができる次世代フェイザー・ペダル。ステレオ入出力対応、プリセットの保存/呼び出し(3つまで)、EXPペダルの使用によってパラメーターの一括操作ができるなど、これまでできなかった斬新な音響効果も演出することができます。
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EMPRESS Phaser
EMPRESS というカナダのエフェクター・ブランドのフェイザー・ペダル。同社の特徴である豊富なコントロール(5つのツマミとそれに対応する切替スイッチ)に加え、タップテンポ入力・エクスプレッションペダル/外部 MIDI 入力によるコントロールなどによって、基本的なフェイズサウンドからオートワウやリングモジュレータ的サウンドまでを生み出すことができる多機能モデルです。
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おすすめのフェイザーペダル
MXR PHASE 95
MXRのフェイザーは、定番である「PHASE 90」をはじめとし、兄弟分に当たる「PHASE 45」、2ツマミ搭載のアップグレードモデル「PHASE 100」、Phase 90 を2個パッケージした「PHASE 99」、ザックワイルド・シグネチャー「Phase ZW-90」、エディ・ヴァン・ヘイレン・シグネチャー「EVH PHASE90」と、様々なバリエーションを誇ります。
2016年10月に登場した最新モデル「PHASE 95」は、冒頭の動画でギター博士も使用しているモデルですね。PHASE 45/PHASE 90 両方のサウンドを切り替えて使えるミニサイズのMXRフェイザーで、ScriptスイッチのON/OFFでモダン/ビンテージとフェイズ・サウンド切替ができるなど、コンパクトながら多機能となったモデルです。
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MAD Professor New Tiny Orange Phaser
数多くのハイエンドペダルを世に送り出しているMAD Professorから、新しくなったTiny Orange Phaserが発売されました。元々この製品はハンドワイヤード(手配線)だったのですが、PCB基盤に変更することで、リーズナブルな価格を実現しました。
また、このモデルはハンドワイヤードには無かったロータリースイッチを新しく搭載しています。これにより、軽いサウンドとエグいサウンドを切り替えることができます。こだわりたいけどコンパクトサイズがいいという人向け
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TC Electronic Helix Phaser
4ツマミ/トゥルーバイパス/アナログドライスルー/ステレオ入出力と、コンパクトながら必要十分な機能を搭載した高音質フェイザー・ペダル。モダンなフェイザー/ビンテージ風フェイザー/スマホやPC用ソフトウェアを使って好み音を入れ替える「TonePrint」機能と、1台で極めて多彩なフェイズ・サウンドが得られます。コストパフォーマンスに優れながらもハイエンドモデルにも劣らないクオリティが魅力の1台です。
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フェイザーの接続順
フェイザーはモジューレション系ペダルなので、「歪み系の後段」に繋ぐのが定石です。仮にオーバードライブとディレイ、フェイザーを接続するとなった場合、
ギター → オーバードライブ → フェイザー → ディレイ → アンプ
という風に繋ぐと良いでしょう。
フェイザー・エフェクター一覧 – Supernice!エフェクター
- カテゴリ: エフェクター , タグ: ギター博士が弾いてみた
[最終更新日]2018/06/07