ラインセレクター・ペダルについて

[記事公開日]2018/8/23 [最終更新日]2021/6/28
[編集者]神崎聡

ラインセレクター・エフェクター

ラインセレクターは「信号回路を切り替える」ペダル型エフェクターです。2系統の信号を切り替える「ABボックス」、3系統以上の信号を切り替える「ラインセレクター」、より複雑な回路を切り替る「スイッチングシステム」といった種類があります。
クリーントーンと歪みをスイッチングで切り替えてみよう

ラインセレクター/スイッチャーの種類

ラインセレクターとは

CAJのラインセレクター
「X.select」

ラインセレクターとはセンド・リターン端子(エフェクトループとも)を搭載したエフェクターのことで、センドから出た信号がリターンから戻ってくるという構造になっています。そのセンド→リターンの内部に複数個のエフェクターを繋ぎ、それらを一括でオンオフして使うといった使い方が一般的になります。たとえばディストーションとブースターを一括でオンにしたい場合など、ラインセレクターの内部に繋いでおくと便利です。詳しい使い方はまた後述しますが、多数のエフェクターを並べた場合の音やせの防止など、うまく利用することで、実用性以外の部分においても恩恵にあずかることができます。

主にループは1系統、ないしは2系統のものが一般的で、別途チューナーアウトが装備されているものなど、作りが簡便なためか様々な亜流の製品が出ています。スイッチによって複数の入出力モードを切り替えられる、万能選手的なものも少なくなく、あらゆるエフェクターでもバリエーションの豊富な製品です。

ラインセレクターとAB BOXって違うものなの?

One Control AB BOX

ラインセレクターとよく似た機器にABボックスというものがあります。信号をAとBとの二系統に分離するもので、スイッチを踏んで信号の流れる先を切り替えて使います。入出力どちらにでも使えるため、

  • Aにフェンダーアンプ、Bにマーシャルを繋いで、出力先を切替
  • Aにレスポール、Bにストラトを繋いで持ち替えをスムーズに

などの使い方が一般的です。また、A、Bに信号をスプリットして並列で出すことのできるものを、ABYボックスと呼ぶこともあります。

ラインセレクターとの違いはセンドリターンの有無です。ラインセレクターがループするように配線してその内部を通す構造になっているのに対し、ABボックスはあくまで一方通行の信号の処理しかできません。なお、通常のラインセレクターでも、出力側を二股に分けてABボックスとして使うことは可能です。逆にA、Bを入力として利用することは原則できません。ただし、「BOSS LS-2」のように、あらゆるABボックスとしての使い方をモード切替によってカバーできるものもあります。

ラインセレクターとスイッチャーはどう違う?

BOSSのプログラマブル・スイッチャー
「ES-5」

大規模なエフェクトボードに装着されているのがスイッチングシステムです。自分で所持していなくとも、横にボタンが並んでいる機器を見たことのある方は多いでしょう。これはラインセレクターを大規模にしたもので、LOOP1、LOOP2、LOOP3~など、複数のループをまとめておくことが出来るものです。ラインセレクターがせいぜい1系統か2系統程度しかループを作れないのに対し、スイッチャーは多いもので6つ以上も作ることができ、音質劣化や管理の面から考えても、大規模エフェクトボードに搭載するメリットは大きいと言えるでしょう。

スイッチャーのもう一つの特徴が、プログラムできるものが存在するということです。このようなものを特にプログラマブル・スイッチャーと呼び、たとえばボタン一つでLOOP1、3、4を一括ONにするなど、あらかじめ全てのループのオンオフを含めた動作をプログラムしておけます。コンパクトエフェクターを並べたものをマルチエフェクターのように使用できるため、エフェクトボードを構築してライブを頻回にこなすギタリストには不可欠になってくる機器です。プログラマブル・スイッチャーにも巨大なサイズのものから3ループ程度の小さなものまで幅広く存在します。

プログラマブル・スイッチャーとは?

ラインセレクターの使い方

Custom Audio Japan のラインセレクター CAJ MLS-2 を例に紹介してみましょう。

エフェクターをループ

エフェクターをループ

ラインセレクターにはギターアンプのように、センド・リターン端子が搭載されており、スイッチオンにすることでセンド・リターン内に接続されたエフェクターをループすることができます。例えば、

センド端子→オーバードライブ→ディレイ→フェイザ→リターン端子

という順に接続した場合、ラインセレクターを踏み込むと、3台全てのエフェクトをオンにすることができます。センド端子からリターン端子までの配線が「環状」なっていることから、ループ(環状)と呼ばれています。

アンプを2台使う

アンプを2台使う

ABボックスの「A端子にマーシャル」、「B端子にフェンダー」を接続すると、アンプの切り替えをフットスイッチ一発で可能にします。これにより、クリーンにフェンダーアンプ、歪みにマーシャルといった使い方ができるようになります。

ギターを2本使う

ギターを2本使う

ABボックスの、「A端子にレスポール」、「B端子にストラトキャスター」、本来入力である端子から「アンプ」に接続することで、「ギターの切り替え」ができるようになります。シールドの抜き差しが不要になるため、ライブ中に複数のギターを使い分けることが可能となります。

定番ラインセレクター

BOSS LS -2 Line Selector

BOSS LS -2 Line Selector

ラインセレクターという言葉を聞いて、 BOSS の LS-2 を連想した方が多いのではないでしょうか。 LS-2 は1ループ搭載のコンパクトペダルで、6種類のセレクトモードが選べる多機能セレクターです。

信号回路の切り替えだけでなく、 VOLUME ツマミにより、ソロやバッキングによって音量をコントロールすることも可能できます。値段も手頃なので、初めてのラインセレクターにもオススメです。

BOSS LS -2 Line Selector – Supernice!エフェクター

CAJ MLS-2

CAJ MLS-2

BOSS の LS-2 と肩を並べる定番モデルが CAJ の MLS-2 です。機能的には LS-2 と殆ど変りませんが、ラッチスイッチを搭載しているのが特徴です。トゥルーバイパス仕様なので、バイパス音が劣化することはありません。 MXR サイズということもあって、ボード内にスペースを取りたくない方にもオススメです。

CAJ MLS-2 – Supernice!エフェクター

CAJ X Select

CAJ X Select

上記の MLS 2 の正統後継機種が X Select です。 MLS 2 との違いはコンパクトサイズながら「2ループ仕様」になったこと、3系統に分岐するため「スプリッター」として、ギターを2本繋いで「インプットセレクター」として使えるということです。

また、本体の「Xロゴ」が超高光度 LED 並に点灯するので、ステージ上での視認性もバツグンです。 MLS 2 の上位互換品となっており、新しいラインセレクターを探している方は一度試してみてはいかがでしょうか。

スイッチャーのおすすめモデル

One Control Minimal Series AB BOX

One Control Minimal Series AB BOX

若いブランドでありながら世界中から高い評価を得ている One Control から、 Minimal (最小限)という意味を持ったABボックスが発表されました。非常にコンパクトなボディで、必要最小限の要素だけを詰め込んだシンプルなペダルです。
機械式フッチスイッチを採用することで、音質が劣化しないトゥルーバイパス仕様となっています。パッシブ回路なので電源が無くても動作しますが、アダプターを使用することで、視認性の高い LED を点灯させることができます。
しっかりとした品質ながら格安ペダル・ブランドのようなリーズナブルな価格も魅力的です。

One Control Minimal Series AB BOX – Supernice!エフェクター

One Control Tri Loop

One Control Tri Loop

シンプルな見た目に数多くの機能を詰め込んだセレクター。モードがRed、White、Blue、STRの4つあり、別個のループを個別にオンオフできるRed、二つのループを交互に切り替えられるWhiteは通常のセレクターの機能でありながら、使っていない方のループはパラレルアウトとして、アンプ側のOUTPUTから出力されるものと同じ信号を出力できるという、強力なおまけがついています。信号の分離は別のアンプを別々に鳴らすとか、別のエフェクトを別途にかけるなど、音作りの幅を広げるためのツールとなるでしょう。また、モードのBlueとSTRはそれぞれ別エフェクターのタップテンポやアンプのチャンネル切り替え、およびStrymon製エフェクターの操作を外部から可能にするもの。

ボタンを長押しすることによって、機器に搭載されたBJF Bufferと呼ばれるバッファーを作動させ、音質の安定化につなげることもできます。バッファーを内蔵していることで、繋いでいるだけの恩恵も受けることができ、その小型サイズも相まってエフェクトボードに収める一台として、過不足のない存在となるでしょう。

One Control Tri Loop – Supernice!エフェクター

ABボックスの亜流「Junction Box」

One Control Minimal Series Pedal Board JunctionBox

ジャンクションボックスはエフェクトボードのエフェクター全体をIN、OUT内に包んでしまうことで、配線の煩わしさをなくし、かつギター側とアンプ側の入出力を一箇所にまとめて機能性を上げることが出来るアイテム。ABボックスの亜流とも言うことができます。

One Control Minimal Series Pedal Board JunctionBoxは一切の無駄をなくし、信号の出入りをまとめることだけに特化したもの。エフェクトボードのへり部分に掛からないようにインプット、アウトプット端子を筐体上部に設けており、必要最小限の機能ではあるものの、実用性には配慮されています。シンプルな機器だけに安価なのも魅力。エフェクトボードをすっきりさせるため、一つあると助かる存在です。
One Control Minimal Series Pedal Board JunctionBox – Supernice!エフェクター

ラインセレクターの接続順

ラインセレクターは複数のエフェクターをループ内に入れて使用するので、基本的にはどの位置に繋いでも大丈夫ですが、ループ内の接続は一般的なエフェクターの接続ルールに乗っ取って行うようにしましょう。

エフェクターのつなぎ方
ラインセレクター・エフェクター一覧 – Supernice!エフェクター

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