様々なジャンルに適合する王道の音色「BOSS SD-1」

[記事公開日]2020/7/3 [最終更新日]2024/6/23
[ライター]森多健司 [編集者]神崎聡

BOSS SD-1

BOSSの伝説的な初代オーバードライブOD-1の血統を受け継ぎ、1981年に登場したSD-1 Super Over Drive。結果的にこのモデルは発売後40年近くも愛され続ける、屈指のロングセラーとなりました。今回はそんなSD-1の魅力に迫ってみましょう。

SD-1に至る歴史

SD-1の前身である「OD-1 Over Drive」は、1977年に発売されたBOSSコンパクトエフェクターの記念すべき第一号機であり、世界で初めて「オーバードライブ」の名を冠したエフェクターでもありました。チューブアンプのフルアップ時のサウンドをシミュレートするために、非対称のクリッピング回路を搭載したこのモデルは、ファズのような過激な音色変化をするものが主流であった当時では画期的な存在でした。発売当初はそのような理由から人気があまり出なかったものの、アンプのナチュラルな歪み感をシミュレートしたものであるという、独特な特性が周知されるにつれ、徐々に売り上げを伸ばしていきます。

SD-1 SUPER OverDrive

1981年になると後継機として「SD-1 SUPER Over Drive」が登場しました。SD-1はOD-1に使われた構造や回路をほぼそのまま受け継いだ上、TONEコントロールを新たに設けることで、音色作りの幅を広げています。OD-1はその人気ぶりから1985年まで販売が続けられており、しばらくの期間、併売されていましたが、SD-1は構造的にもOD-1の正統な後継機と見なされています。

現在の基準では良く歪むとは言えないサウンドでありながら、ハイゲインがもてはやされた1980~90年代をも生き抜き、2020年現在もなお廃版になることなく店頭に並んでいるのは、ひとえに王道で使いやすいサウンドを持っていたからこそです。SD-1は40年近くを売り続ける、驚異のロングセラーモデルとなりました。

SD-1の特徴

まさに王道、典型的なオーバードライブのイメージ

BOSS SD-1:サウンド

SD-1は中域にしっかりした粘りがありつつ、明るさを感じさせる音色を持ち、コンプ感の少なさから、ピッキングのダイナミクスにしっかり追従します。ジャリジャリした成分は影を潜め、中域に濃いピークを感じ取ることができます。現代における典型的なオーバードライブのイメージを持ち合わせており、歪み方やその質感はまさに王道といっていいでしょう。

中域を中心として全体的なせり出し感があり、コンプ感が少ないこともあってか、ブースターとしての適正を評価するギタリストが多く、今でも歪んだアンプをプッシュするために使われることは多くあります。

トーンがよく効く、シンプルなコントロール

BOSS SD-1:コントロール

レベル、トーン、ドライブの3つは歪み系ペダルの定番のコントロール。ドライブは中間辺りまでの変化が大きく、そこから最大までの間はさほど変化しません。特徴的なのはトーンの効きで、かなり積極的に音色が変わっていきます。こもった音からギラついた音まで、幅広い音色をこれだけで作り出すことができます。

使用ギターも選ばない万能さ

BOSS SD-1:本体裏

様々なジャンルに適合する王道の音色。単一で使う場合には、ヘヴィなリフ、ロングトーンでのギターソロなどは困難なものの、コードをかき鳴らしたり、カッティング、あるいはブルースロック系の無骨なソロなどであれば非常によく合い、ポップスやR&B、ブルースなど、ハードディストーション系以外ならどのようなジャンルでも使えるでしょう。前述したトーンの効きの良さもあり、使用ギターも選ばない万能さがあります。

ハイゲインが必要な場合でも、ブースターとして優秀なため、使えるシーンは少なくありません。足りないアンプに歪みを加えてサウンドを完成させたり、ギターソロ時のみオンにして、せり出し感と深い歪みを得るなどの使い方もまた定番です。

使用ギタリスト

ジミー・ペイジ、エディ・ヴァン・ヘイレン、ニール・ショーン、リッチー・サンボラ、ザック・ワイルド、ジ・エッジ、松本孝弘、奥田民生、Charなど

※90年代終わり頃、イシバシ楽器とのコラボレーションで、ザック・ワイルドのトレードマークである白黒サークルにペイントされた特別モデルが限定20台で発売されました。

他ペダルとの比較

SD-1と比較されることの多い他ペダルと比べてみましょう。

OD-1との違い

構造的にOD-1とはほぼ同じであり、単純にTONEコントロールを増設したものがSD-1なので、音色もほとんど同じです。ただし、通称「銀ネジ」と呼ばれている最初期に作られたOD-1は、オペアンプが後のものとは異なるため、サウンドに差があるとされており、SD-1との違いでは、若干のせり出し感の弱さやサウンドの粒の細かさが感じられます。初期のOD-1は高値で取引されており、ヴィンテージエフェクターを進んで選ばない限りは手に入れる機会がないモデルです。このような初期OD-1とSD-1との比較はしばしば動画サイトなどでも行われます。

Ibanez TSとの違い

Ibanez TS9、BOSS SD-1W Ibanez TS9 と BOSS SD-1

ブースターとして人気のあるIbanez TS(チューブスクリーマー)ですが、内部回路がSD-1と似通っているとして、しばしば比較対象として語られる存在です。TSにはTS-808、TS-9などのモデル違いがあり、TS-9はTS-808に比べて若干ブライトになっているなどの差がありますが、TSシリーズ全体としてSD-1とよく似た音、同じ傾向が感じられます。

TSはSD-1に比べて、よりふくよかな中域が得られクリーミーな印象が強く現れます。高域が抑えられたTS-808ではより顕著です。SD-1はTSよりもブライトで、特にトーンコントロールを上げていくと、TSではまるで出せないギラついたサウンドまでカバーできます。TSはややこもった感覚があるものの、その分枯れた雰囲気が出ており、ブルース系からも人気が高いのが頷けるサウンドです。

チューブスクリーマーってどんなもの?TS系オーバードライブ特集 – Supernce!エフェクター

熟練エンジニアによってカスタマイズしたSD-1「SD-1W」

SD-1、SD-1W SD-1 と SD-1W

パーツの選定から組み上げまでをより丁寧に行い、入念なチェックのもと出荷されるWAZA CRAFTシリーズ。「SD-1W」はシリーズ中でも「BD-2W」と並ぶ代表製品です。

従来のSD-1直系のスタンダードモードに加え、音色に違うチューンを施したカスタムモードを搭載、二種のモードを使い分けることが出来ます。スタンダードモードでは基本的に通常版のSD-1のサウンドを継承していますが、より解像度が高くクリアーで上品な印象。カスタムモードはピッキングダイナミクスにより忠実で、低域の解像感が高く、レンジの広いサウンドとなっており、より現代風の歪みペダルに近い音と言って良いでしょう。いずれの設定でも、ブースターとしても使える幅広さはまさにSD-1そのもの。上位機と言うにふさわしい完成度です。

BOSS SD-1W Super Over Drive – Supernce!エフェクター


BOSSが誇る最長のロングセラー、SD-1。その魅力は王道の音色にして、シンプルで使いやすく、使用できるシチュエーションが幅広いと言ったところにあるようです。他のBOSS製品と比べて特に安価に手に入るのも使用者には魅力的ですね。

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