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元々はプロミュージシャン向けのシステム構築やカスタム製作をメインに行っていたFREE THE TONE。ここ数年はギター・ベース用プログラマブル・スイッチャー/ソルダーレスケーブル/FLIGHT TIMEやRED JASPERなど様々なハイエンド・エフェクターを続けてリリースし、世界20ヶ国以上で販売されている同社のエフェクターは世界中のミュージシャンから高い評価を得ています。
今回Supernice!スタッフが横浜市都筑区にあるFREE THE TONEのオフィスを訪問し、代表取締役である林幸宏氏にFREE THE TONEが手がけるエフェクターのお話を伺いました。
フラッグシップモデル「ARC-3」を小型化したプロ仕様のAUDIO ROUTING CONTROLLER「ARC-53M」
──まずはFREE THE TONEのオーディオルーティング・システムについてお聞きします。フラッグシップモデルである「ARC-3」に搭載されているHTSサーキットは「エフェクトON/OFF両方の時の音像の位置、音の質感の違和感を無くす」新しい概念だと伺っています。いつから構想し、開発に着手したのでしょうか?
林 具体的なアイデアとして思いついたのは5、6年前だったと思います。これまで私はプロミュージシャンの方々に様々なカスタム製品を製作してきましたが、その中の回路として必要性を感じていました。と言うのも「あるエフェクターをオンにすると音が引っ込んでしまう」とか「一人でチェックしても問題は無いがアンサンブルに混ぜると違和感がある」という話が多かったんです。そこで発見したのが、エフェクターによって入力インピーダンスと出力がインピーダンスが違うため、信号の状態がエフェクターの組み合わせで変わってしまうという問題です。ですから“各エフェクターの組み合わせによって変化してしまう信号ラインの状態を一定にする”というのがHTSサーキットの狙いなんです。
例えばアンプから見ると出力側の回路しか見えていません。なので、ループ内のエフェクターがどうなろうと関係無いですよね。逆にギターから見ると入力バッファしか見えていないので、やはりループ内のエフェクターがどうなろうと関係ありません。なので“入力インピーダンスと出力インピーダンスが両者とも一定になっている、言い換えればアンプとギターがいつも“同じ物を見ている状態”となります。HTSサーキットが完成したことで、一定のインピーダンスで常時安定した信号をアンプに送ることが出来るようになりました。
FREE THE TONE 代表取締役 林幸宏氏
──ARC-53MはARC-3の小型モデルとのことですが、小型化はユーザーからの要望だったのでしょうか?
林 よく聞いていたのはARC-3からMIDI機能を無くして、ループを減らしていいから“もう少し小型にして欲しい”という声でした。ARC-53Mに関しては、まずは自分で試してから開発を始めましたね。角度や見た目も格好良くしたかったので、発泡スチロールでモックを作って、試行錯誤をしました。当時、ギタリストはMIDI機能が苦手な人が多いからシンプルな方が良いとか、MIDI機能を無くして安い物をという声がありました。でも、これからMIDI製品が増えると私はその頃から感じていたので、MIDI機能を無くすと困ってしまう人がたくさん出るんじゃないか、と思ったんです。
──MIDIの必要性は“現場の空気”を感じて林さんが思ったことなのでしょうか?
林 そうです。昔はMIDI機能付きというとラックユニットが多かったと思うのですが、ペダルタイプでMIDIで制御できるエフェクターというのが今は一般的になってきています。その方が便利だし、一括制御できますよね。一つのスイッチを踏めば対応しているエフェクター全てが一発で切り替わる方が絶対便利じゃないですか。当時はそういった製品が増えていってる途中だったんですよね。
Eventideが先駆けだったと思うのですがそれに次いでStrymonが出てきて、より一般的になってきたと思うんですよね。アマチュアの方々も、プロミュージシャン達が使っている機材と同じ物を手に入れることができる世の中になってきているので、MIDI機能はやはり必須だなと当時思っていましたし、逆にMIDI機能無しというのが考えられなかったです。
Free The Tone ARC-3 – Supernice!エフェクター
Free The Tone ARC-53M – Supernice!エフェクター
FREE THE TONE製エフェクターが敷き詰められた(チューナー除く)エフェクターボード
──エフェクターを製作する上でのこだわりを教えて下さい。
林 私の設計としては回路が先でははくて“音が先”なんですよ。音色が頭の中に浮かぶと、その音色を鳴らすための回路を探しにいくっていう感じですね。この回路でこのパーツだとこういう音色がするっていうのは大体頭の中にあるので、それを組み合わせて作り上げていく形となります。だから“○○系オーバードライブ”といったような作り方を私はしたことが無くて、自分の頭の中で鳴っている音をどうやって製品に落とし込んでいくか、というやり方ですね。後は“出したい音色を明確にする”ことですね。色々な事が出来るエフェクターにしてしまうと、結局どっちつかずになってしまうので「このエフェクターはこういう音がする」という点をなるべく残すようにしています。エフェクターがしっかり“主張する”ように考えています。
──開発中のエフェクターはどのアンプでテストされているのでしょうか?
テスト用ギターとしてフェンダー・カスタムショップ製ストラトキャスター及びプレシジョンベース置かれていた
ギターアンプはRoland JC-120、Fender Super Sonic 100、Fender Deluxe Reverb の銀パネなど
林 基本的にはMarshall系とFender系、それからJCですね。かといって、JCにもMarshallにも、Fenderにも合ったエフェクターを設計するとものすごく中途半端な物になるんですよ。一応各アンプでチェックはしますけれども、ある程度「このモデルはこういった使い方をして欲しい」というのがあるんです。
FREE THE TONEのエフェクターでいうと、例えばGIGS BOSONですとMATCHLESSやFender系アンプなど、強く弾くとナチュラルに歪むアンプとの相性が良いです。IRON FORESTに関してはJCを筆頭にとにかくクリーンなアンプ、RED JASPERは単体で弾く場合はFenderやMarshallなどのチューブアンプと相性が良いですね。
RED JASPERだけに関しては、コーラスと組み合わせて倍音豊かでウォームな雰囲気を狙ったり、他のドライブペダルと組み合わせてパンチを出すとか、色々なコンビネーションを考えてかなり幅広い使い方が出来るようにデザインしてあります。
RED JASPER – Supernice!エフェクター
──GIGS BOSONはゲインレンジの広いオールラウンダーなドライブペダルという印象を受けました。
林 このモデルは基本的に“ソロでも使えてメロウな部分を大事にしたオーバードライブ”となります。元々ポルノグラフィティの新藤さんが私に「世界最高のオーダードライブを作って欲しい」と言って下さったのがきっかけで製作しました。新藤さんはその頃テレキャスターをメインに使われていたので、シングルピックアップのギターで良い音がするようにと。ハイがきついと弾きづらくなりますし、歌の邪魔になると思ったので、入力インピーダンスセレクトを付けて高域のトップエンドを落とせるようにしています。後はGAIN BOOSTを付けて色々なパターンで使えるようにしていますね。
元々は新藤さんのお話でスタートしたモデルですが、ストラトを使ってチェックをしていくと「あの方にも使って頂きたい!」と思うようになったんですよね。SUGIZOさんと布袋寅泰さんです。このお二人には使って頂きたいなと、音を作りながら思っていました。それで完成したのがこのGIGS BOSONですね。ストラトなどのシングルピックアップが載ったギターと組み合わせて使って頂けると相性が良いです。
その時は世界最高のオーバードライブだと思っていましたが、探究心っていうのは終わりが無くて、時間と共に「こういうのが出来るかも」とか「こんな音が出せるかも」って思うんですよ。自分もミュージシャンもですけど、どんどん進化していくんですよね。これはもう永遠だと思います(笑)
──IRON FORESTは激しく歪む一方でノイズかなり抑えられたディストーションですね。
林 このモデルに関して“歪むアンプと組み合わせることはまったく想定してなくて、“完全にクリーンのアンプと組み合わせて使う”のが前提なんですね。少し出力を上げると歪んでしまうアンプではダメで、しっかりクリーンな物。世の中にこういったモデルはあまり無いと思うのですが、クリーンのアンプでしっかり歪んで良い音というのがIRON FORESTの狙いです。音の立ち上がりも速くしてありますし、立ち上がりが速すぎた場合はGAINを上げて頂くことでアタックを潰すことができます。最小でもかなり歪み、最大でファズくらいまで歪みますので、そのようなサウンドが欲しい方はGAINを多めに上げてもらえればと思います。
ギタリストってとにかく前に出たいっていう人が多いかと思うのですが、IRON FORESTの場合は一歩引くことも考えていて、GAINを上げていくと少しづつ音が引っ込んでいきます。それで、同じトーンだとあまりにも目立たないサウンドになってしまうので、EQの効きかなり良くして過激にトーンをいじれるようにしました。ストラトとレスポール両方と相性の良いモデルです。それだけ音のバリエーションを持たせているので、人によってどういう使い方をするか楽しみなモデルでもあるんですよ。イコライザーの使い方や歪ませ方など色々あると思うので、私が想像していない使い方をしてもらえたら嬉しいです。
──GIGS BOSONとIRON FORESTは2012年頃に標準ラインアップされましたが、製造は国内で行われているのでしょうか?
林 岩手県の花巻市で製造しています。2011年に東日本大震災があって、私自身も何かをしたいと思っていました。自分が出来ることで何かをしたくて、それでいて長期的に継続出来るものは何かってことを考えたんですね。私の仕事は様々な製品を作って多くの方に喜んで頂くことです。そう考えた時に“東北で物作りをする”のが自分の出来るベストだとその時に判断してました。物作りを東北地方で行うことで雇用が生まれますし、作られた製品が発送されると物流が動きます。人が動いて、物も動いて、お金も動く。それが地域活性化のために役立つことだと考えています。ちなみに、ARC-3などのスイッチャーも花巻市で作っていますよ。パワーサプライなどの電源類は青森県で作っていて、FT-1Y(デジタルディレイ)は宮城県の仙台市にある会社と共同で開発しました。新製品のリバーブペダルも仙台市の会社と共同開発しています。
FREE THE TONE Gigs Boson – Supernice!エフェクター
FREE THE TONE Iron Forest Distortion IF-1D – Supernice!エフェクター
Matt Schofield demos Free The Tone MS SOV SPECIAL (MS-1V)
林 MS SOVは音の感じ方にかなりの違いが出るモデルですね。「ハイが良く出るね」っていう人もいますし、「あまり歪まない」という人もいます。このモデルのベースはMS-1Vというマット・スコフィールドさんのために作ったカスタムモデルで、それをスタンダードモデルにしたのがこのMS SOVです。
クランチ系のサウンドが出るチューブアンプを組み合わせてソロを弾いたりとか、もちろんバッキングをするのも良いですし、幅広く使えると思います。ギターの相性としてはストラト系が良くて、少しトーンを絞ってマイルドなサウンドにすると良い結果が得られると思います。
Free the tone MS SOV – Supernice!エフェクター
林 “リアルタイムBPMアナライザー機能”と“ディレイタイム・オフセット機能”を搭載しているのが特徴です。バンドをやってらっしゃる方には多いと思いますが、曲がスタートする前はリズムに合わせてタップを踏みますよね。それで「ドラムとかのリズムを聴いてテンポが分かれば踏まなくても良いのに」って思っていたんです。その後、仙台の会社のJD SOUNDさんのパンフレットにテンポ解析という項目があるのを見つけ、「テンポ解析が出来るのならマイクで集音してリズムを解析し、そのテンポをディレイタイムにフィードバック出来るのでは?」と思ったんです。そして会社に出向き、JD SOUNDさんが持っているテンポ解析の技術をベースにFT-1Yでやろうとしている内容にアレンジして頂きました。あまり正確にテンポが切り替わると弾いていて気持ち良くないので、ある程度テンポ解析をして平均値を取って、適切なタイミングで切り替わるようにしています。
ディレイタイム・オフセット機能に関してですが、例えばディレイタイムがテンポに対して正確にリピートすると、ディレイサウンド自体が聴こえにくくなってしまう場合がありす。それを解決するためにディレイタイムを少しだけずらし、ディレイサウンドが良く聴こえるようにするための機能となります。予め○msecずらすかっていうことを各プリセット毎に設定出来るので、後は曲のテンポだけ入れてあげれば自動的に計算してくれます。これは何人かのギタリストに聞いた話なんですが、例えばアップテンポな曲を演奏する場合、ディレイタイムを少しだけ短くするとスピーディーな印象になるそうです。ですが、その事を考えながらディレイタイムを入力するのって大変ですからこの機能が重宝すると思います。
FREE THE TONE FT-1Y FLIGHT TIME – Supernice!エフェクター
林 このモデルは“三相コーラス”となります。一般的なコーラスペダルはドライ音に対して位相をずらした信号をミックスして出力しますが、位相をずらすラインが一系統なんですよ。
三相コーラスは文字通り位相が三つ、120度づつずれている信号ラインが三系統あって、全てをミックスすることができ、ピッチの揺れを感じにくいという特徴があります。例えば一般的なアナログのコーラスペダルで言うと、エフェクトを掛けすぎると徐々にピッチがずれて気持ち悪くなっていきますよね。でも三相コーラスの場合は音をミックスした時の揺れが複雑になっているので、ピッチがあまり揺れている感じになりません。つまり、しっかりコーラスエフェクトは掛かっているけれど、深く掛けても気持ち悪いサウンドにならないんです。コンパクトサイズで三相コーラスを実現するのは本当に難しく、開発には相当苦労しました(笑)
Free the Tone TRI AVATAR Multi-Dimensional Chorus TA-1H – Supernice!エフェクター
取材時はリリース前だったリバーブペダル「AS-1R」を試奏させてもらった
──非常に重厚で自然な響きですね。StrymonのBig Skyを弾いた時も感動したのですが、このモデルも一般的なリバーブペダルとは次元が違う感じがします。コンパクトエフェクターもここまで来たかという感じです。
林 数年前だったら、たぶん出来ていないと思いますね。開発はしばらくやりたくないと思うほど苦労しました(笑)。これまでで一番大変な開発でしたね。色々なエフェクターと同様にリバーブには正解が無いからですね。例えばオーチャードホールの響きが良いのか、国立劇場の響きが良いのかっていう話です。これって完全に好みじゃないですか。どこまで自分の好みをこの製品に反映させて良いのか、というのが一番の課題だったんですよ。でも人の好みを想像しながら物作りをするのってすごく難しくて、まずは自分にとって気持ち良い音を作っていって、その後は微調整するというやり方で作りましたね。
──多機能/ハイエンドモデルとしてはコンパクトですね。
林 そうですね、コンパクトに仕上がったと思います。リバーブって一番CPUパワーを使うエフェクトなのですが、CPUの負担を減らそうとして、リバーブの演算内容を簡素化していくとどんどんリバーブのサウンドクオリティーが下がっていくんです。簡素化することなく、とことんサウンドにこだわりました。あと、現場で聞く話で、プラグインタイプのリバーブの話があります。プラグインだと良い物がなかなか無いそうなんです。プラグインを使わずに一旦信号をアナログで外に出して、アウトボードを経由させて戻しているらしいんですよ。それだけでも全然音質が変わるらしいんですね。
このリバーブは自宅録音をしている方々もアウトボード代わりに使うことが出来ると、ある音楽プロデューサー方に言って頂きました。リバーブの製品化は長年の夢でしたので、プロアマ問わず、多くの方に使っていただきたいですね。
実はこのペダルをマット・スコフィールドさんやジェフ・コールマンさんに試してもらうために持って行った際、その場で「今晩ライブで使いたい」っていただき、本当に使ってくれました。とても嬉しかったですし、技術者として最高の栄誉ですよね。リリースされたら是非皆様にも使って頂きたいと思います。
FREE THE TONE AMBI SPACE DIGITAL REVERB – Supernice!エフェクター
林 コンセプトとしては“小型化”と“ACアダプターへの対応”ですね。コンパクトエフェクターがデジタル化したり、MIDI機能を搭載し始めたことで、必要な電流がどんどん増えている状況にあります。そうなると電池では対応出来ないですし、かといってACアダプターはサイズが大きいので、エフェクターを組むときなかなか綺麗に配置出来ないんですよね。ACアダプターも縦型だったり、横型だったり、まちまちじゃないですか。なので、まずは“ACアダプターが綺麗にささる電源タップ”が欲しかったんです。そして電源タップにある程度のサイズがあるのならば、その中にパワーサプライを入れてしまった方が一気に小型化しますよね。年々、プロミュージシャンの方々が使用するエフェクターは増えている傾向にありますから、必然的にこういったパワーサプライが求められると思いました。
──PT-3Dは大容量のパワーサプライですが、このモデルを開発するに至った経緯を教えて下さい。
林 PT-3Dは500mA対応で、完全に独立した電源出力を二口搭載しています。500mAあればEventideであったりStrymon等の消費電力が大きいエフェクターにも対応出来ます。ちなみに500mAでリミットが掛かってしまうパワーサプライっていうのは意外とあって、それだと立ち上がらないんですよ。電源投入時はコンデンサーなどに電流が流れるので、実際は1Aとか2Aとか、一気に電流が流れるエフェクターが多いんです。なので、1A以上は流せるような大容量のパワーサプライにしなければなりませんでした。
Free The Tone PT-3D DC POWER SUPPLY – Supernice!エフェクター
──発売以来多くのプレイヤーから高い評価を得ているはんだ付け不要のソルダーレスケーブルですが、そもそも、どういった経緯で開発に至ったのでしょうか?
林 当時、現場で自由に長さを決めて製作できるケーブルが欲しいなと思っていたんです。例えば、ツアー前に新しくシステムを構築するとします。必要なケーブルの長さを測って、はんだ付けをしてパッチケーブルを作りますよね。もしツアー先で魅力的なエフェクターに出会い、自分のボードに組み込みたいと思った場合、既存のケーブルが長さの関係で流用できない場合がありますよね。そうなると現場で、はんだ付け不要で製作出来るケーブルがあったら良いじゃないですか。そう思って開発に着手しました。
この製品に関しては私だけのアイデアだけではなくて、ケーブルを作ってくれたメーカーさんや、プラグを作ってくれたメーカーさん、それぞれがアイデアを出し合って作ったんです。何度もミーティングと試行錯誤を繰り返し、本当に時間を掛けて作りました。ストレートタイプは比較的早くアイデアとして具現化できたのですが、L字型が難しかったですし、時間も掛かりました。なので発売時期もストレートが先でL字が後。本当にみんなで知恵を出し合って生み出した物ですね。もちろんケーブル自体もすごく音が良いんです。FREE THE TONEのDCケーブルにも使っていますし、多くのプロミュージシャンの方に使っていただいているカスタムのワイヤレスケーブルにも使っています。
パッチケーブルを自作してみるゾ!〜Free The Tone SOLDERLESS CABLE〜【ギター博士】
パッチケーブルについて
──FREE THE TONEは世界各国で製品を販売していますが、日本のメーカーや工房が世界展開をしていくためには何が必要だとお考えですか?
林 これはミュージシャンの方々から言われたことなのですが、欲しい楽器があったら借金してでも買うと。つまり、みんなが「欲しい!」と思うような物を生み出せたら、世界中どこに行っても売れると思うんですよね。これが売れているから、これが流行っているから、という理由で販売している製品は中々続かないのかなと。でも、商売として考えたらそれは当然ですし、これは“市場の宿命”だとは思います。ですが、それをやっていると何か大事な物を見失う気がするんです。新しい物を生み出すのがすごく難しい状況になっているのは間違いありませんが、それでも知恵を絞らなければなりません。
──今後FREE THE TONEはどのような方針で製品作りをしていくのでしょうか?
林 FREE THE TONEは世の中に無くて、困っている所を形にして解決していく、ということをやっています。例えばスイッチャーしかり、電源しかり、ジャンクションボックスとか色々ありますけれど“一般的には無い物”と言えば良いでしょうか。少量であっても必要とされる製品を作り続けたいですね。それから家電と同様、楽器も中国などアジア製の物が多いですが、やはり海外で作ると“海外の雰囲気”というものが出てしまうんですよ。それが悪いということではなく、良さでもあります。日本で作ると“日本製の雰囲気”が出てくるので、それを活かすためにもできる限り国内での製造を続けていこうと考えています。
──国内製造はそれなりにコストが掛かってしまうのではありませんか?
林 確かに海外で作れば安いのですが、1000台とか2000台ロットでの発注になってしまいます。単価は安いのですが1000台以上生産して販売しなければならなくなりますし、売れ残ってしまったら、それこそ製品がかわいそうです。必要だから作られて、必要なだけ市場に届けられるのが理想で、山積みになって安売りされる目的の物であって欲しくないんです。このような理由でフリーザトーンでは、コストはかかりますが、少量の生産に対応できる体制になっています。
──普段はプロ向けにシステム構築を行っている林さんですが、アマチュアミュージシャンの方々に向けてメッセージをお願いします。
林 FREE THE TONE製品って狭い部屋の中で生まれたものではなくて、それを生み出す為に色々な方が関わっています。言い換えれば“集合体”みたいな物なんですよね。製品を通じて人と人の繋がりを感じて頂けるとすごく嬉しいです。色々な方々とアイデアを出し合って、その集合体として生まれてきたのがフリーザトーンの製品ですから。4,5年前までは、プロミュージシャンの方のシステムを構築したり、カスタム品を製作するという仕事が中心でしたので、一般の方との接点がほとんどありませんでした。しかし、システム構築マニュアルを出版した後、一般の方との接点が多くなり、色々な話を直接聞ける機会が増えました。
バンドだけではなく一人でギターを楽しんだり、あるいはギターをコレクションしたりするという楽しみ方も良いですよね。色々な楽しみ方があります。例えばですが、目の前にフリーザトーン製品があって、それを見ながらお酒を飲んで頂ければ最高だなと思うんですね(笑)フリーザトーンはそういう存在になって欲しいと願っています。是非店頭で見かけましたら、一度手にとって頂ければと思います。
──ありがとうございました。
“イノベーター”という言葉がピッタリなFREE THE TONE代表の林幸宏氏。彼がふとした時に閃いたアイデアがFREE THE TONE製品にフィードバックされ、世界中のプロミュージシャンを支えているのだと感じました。今では一般向け製品も数多くリリースされており、プロクオリティの製品をアマチュアでも導入できるようになっています。新製品のリバーブペダルも非常にサウンドクオリティが高く、今かと待ち望んでいるFREE THE TONEファンの方も多いことでしょう。新しくプロ専用のレコーディングスタジオも完成したとのことで、さらなる林氏の活躍に期待します!
FREE THE TONEのエフェクター一覧 – Supernice!エフェクター
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