オクターバー・エフェクターについて
オクターバーは原音に対し「1オクターブまたは2オクターブ下のサウンドを重ねて出力する」エフェクターです。内部で作り出されるオクターブ音は出力を得るために歪まされており、原音と重ねると倍音豊かで厚みのあるギターサウンドになります。リードプレイ時に使用することが多く、アンサンブルに厚みを加えられるため、3ピースバンドのギターボーカルにも人気があります。
基本的には1オクターブまたは2オクターブ下を作り出すものの、製品によっては「オクターブ上」のサウンドを鳴らせる物があります。また、オクターバーはかつて「単音」にしか使用できず和音(コード)には対応していませんでしたが、冒頭の動画で使用したElectro Harmonix「Nano POG」では和音にも対応するようになるなど、近年は和音にも対応したモデルが登場しています。
ピッチシフターとオクターバーの違い
オクターバーはピッチシフターと混同されやすいエフェクターです。まずはそれぞれの特徴を見ていきましょう。
ピッチシフターの特徴
- 基本原理が複雑(デジタルのピッチ検出を用いてサウンドを作り出す)
- デジタル回路の製品しかない
- 原音に対する様々なハーモニーを作り出すことができる
- 比較的高価な製品が多い
- 製品によっては音ヤセする
オクターバーの特徴
- 基本原理はシンプル(ダイオード等の電子部品を用いてサウンドを作り出す)
- アナログ回路を採用している製品もある
- オクターブ上下しか作り出すことができない
- リーズナブルな価格設定の製品が多い
- 音ヤセしにくい
ピッチシフターはオクターブを含む様々なハーモニーを作り出すことができますが、オクターバーはオクターブ上下しか鳴らせません。
反面、オクターバーにはアナログ回路を採用している製品もあり、独特で重厚感のあるサウンドが人気です。音質面および機能面ではピッチシフターに軍配が上がるものの、その個性的なサウンドに惹かれ、あえてオクターバーを使っているギタリストも多いです。
定番のオクターバー・ペダル
BOSS OC-3
長きに渡って売れ続けているオクターバーのベストセラー商品です。ギターはもちろんベースでも使用することができ、それぞれのピッチを正確に検知するためインプットが個別に用意されています。
アウトプットはモノラルおよびステレオに対応。モノラルでは原音とオクターブ音をミックスしたサウンドを出力し、ステレオでは原音とオクターブ音を分けて出力することができます。
本機には「OCT2」、「DRIVE」、「POLY」といった3種類のモードが用意されており、本体右側にあるMODEツマミによって切り替え可能です。
OCT2はモノフォニック(単音)でのみ鳴らせるモードで、一般的なオクターバーが持つ機能と同じものとなります。DRIVEは1オクターブ下のサウンドに歪みを加えたものを原音とミックスして出力するモードです。
そしてPOLYモードはポリフォニック(和音)でオクターブを鳴らせるモードです。弾いたコードのオクターブ下をキレイに鳴らすことができ、本体に用意されているRANGEツマミで「どの弦までオクターブを掛けるか」を調節することができます。価格も比較的リーズナブルであり、初心者から上級者までオススメできる定番ペダルです。
BOSS SUPER Octave OC-3 – Supernice!エフェクター
ELECTRO-HARMONIX POG 2
数多くのプロギタリストの足元に見かけるオクターバーのハイエンドモデルです。モノフォニック(単音)はもちろんポリフォニック(和音)にも対応し、原音に対する正確なピッチ検出と低いレイテンシー(弾いてから音が鳴るまでに時間)が高い評価を得ています。
特徴的なのは本体右側に用意されている数種類のフェーダーで、これらは出力されるオクターブ音の音作りを行うものとなります。音が最大になるまでの時間を調整するATTACKやローパスフィルターの役割を担うLP FILTER、オクターブ音のピッチを変化させるDETUNEなどがあります。また、本機はプリセットを8種類まで保存しておくことが可能です。セッティングによっては変態的なサウンドを作ることもでき、音作りの幅は数あるオクターバーペダルの中でもトップクラスと言えます。
ELECTRO-HARMONIX POG 2 – Supernice!エフェクター
おすすめのオクターバー・ペダル
ELECTRO HARMONIX Nano POG
フラッグシップモデルであるPOG2をコンパクトにした「Nano POG」。冒頭の動画でギター博士が使用したのもこのモデルです。コントロールは原音の音量レベルを調整するDRY、オクターブ下の音量レベルを調整するSUB OCTAVE、そしてオクターブ上の音量レベルを調整するOCTAVE UPといった3つのみとなります。
POG2と比べるコントロールが少ないですが、その分使いやすさが向上しており、直感的な操作が可能となっています。サウンド面は原音への追従性を含めPOG2が持つ性能をそのまま継承しおり、コードストロークからスイープ、単音弾きなど、様々な奏法のオクターブ音を安定して出力することができます。
ELECTRO HARMONIX Nano POG – Supernice!エフェクター
ROCKTRON Black Rose Octaver
原音に対するオクターブ下の音を作り出すシンプルなオクターバーです。オクターブ音のトーンは本体右側に用意されておりFRAGRANGEツマミによって調整することができ、中央にあるROOTスイッチを切り替えるとサウンドキャラクターを変更できます。原音への高い追従性や、シンプルでありながら幅広い音作りを実現するコントロールなど、様々な点で高い評価を得ている一台です。
ROCKTRON Black Rose Octaver – Supernice!エフェクター
TC Electronic Sub N Up Octaver
空間系エフェクトに定評のある TC Electronic から2016年に登場した「Sub N Up Octaver」は、4つのツマミによって「原音/1オクターブ上/1オクターブ下/2オクターブ下」を全て個別に操作が可能に、しかもコード弾きなど和音にも対応できるというコンパクトな次世代ポリフォニック・オクターバー・ペダルです。
デジタル処理の恩恵を受け、オクターバーとしては非常に高機能なモデルとなっていますが、2万円を切る価格帯も魅力です。
TC Electronic Sub N Up Octaver – Supernice!エフェクター
格安オクターバー・ペダル
TC Electronic NETHER OCTAVER
3つのツマミで「原音/1オクターブ上/1オクターブ下」それぞれのサウンドを個別に操作することができるオクターバー・ペダル。トゥルーバイパス化、ポリフォニックにも対応しており、上述の「TC Electronic Sub N Up Octaver」の機能縮小版とも言うべきペダルですが、こちらはアナログ回路によるヴィンテージスタイルとなっています。
TC Electronic NETHER OCTAVER – Supernice!エフェクター
BEHRINGER UO300 Ultra Octaver
格安ペダルでお馴染み、BEHRINGERのオクターバーです。ボトムエンドの効いたオクターブ音を作り出すことができ、太く厚みのあるトーンを鳴らせるのが特徴です。とてもリーズナブルな価格設定となっており、初めてのオクターバーにも最適と言えます。
BEHRINGER UO300 Ultra Octaver – Supernice!エフェクター
ARION MOC1
格安でありながら初心者から上級社まで人気のある国産ペダルです。原音の1オクターブ下および2オクターブ下を作り出すことができ、分厚いユニゾンサウンドが楽しめます。プラスチック製ボディですが作りはしっかりしているため、レコーディングやライブなど、様々な場面で活躍する一台です。
ARION MOC-1 – Supernice!エフェクター
Mooer Pure Octave
超コンパクトペダルを手がけるMOOERのオクターバーです。本機は「±1オクターブおよび±2オクターブ」に対応しており、合計4種類のオクターブを自由に組み合わせたサウンドを鳴らすことができます。
これにより、1オクターブ下と2オクターブ上を組み合わせる、2オクターブ下と1オクターブ上を組み合わせる、といったことが可能となります。一味違ったオクターバーが欲しい方は試してみてはいかがでしょうか。
オクターバー・エフェクター一覧 – Supernice!エフェクター
- カテゴリ: エフェクター ,
[記事公開]2015年10月7日 , [最終更新日]2019/08/17