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ギターアンプ用スピーカーユニットについて

スピーカーユニット

ギターアンプはアンプ本体や真空管の種類、あるいはキャビネットなど、音色を決める要素が多岐に渡ります。そして、最終段のスピーカーはそれらに匹敵するぐらい重要な位置を占めています。音色作りをトータルで考えたときにスピーカーの個性は無視できない要素であり、こだわりを詰め込みやすい部分でもあります。ここではそんなギターアンプにおける再生用スピーカーについて解説していきます。

スピーカーについて

スピーカーユニットの積載数について

スピーカーユニットの積載数 左から:1発搭載の Mesa Boogie Dual Rectifier Recto-Verb Twenty-Five、2発搭載の Roland JC-120、4発搭載の Mesa Boogie 4×10 Bass Cabine

アンプによってスピーカーの搭載数には差がありますが、一般的に1基、2基、4基が主流となっています。俗に1発、2発…などと呼ばれ、スピーカー一体型のコンボアンプでは1発、2発、キャビネットでは4発のものが多く見られます。
積載数が多いほど面で音を発する感覚が強くなり、同音量でも強い音圧が得られるため音が大きく聞こえやすく、また、低域の再生能力が上がるので、全体的にパワフルなサウンドになりやすい傾向にあります。たとえばマーシャルのキャビネット2段積みなどはスピーカー8発分の面積で音を出すため、それでしか得られない強力な音圧を求めるギタリストによく使われました。
以上のようにスピーカーの積載数は音圧に直結する要素ですが、4基以上のスピーカーを搭載したキャビネットなどを鳴らそうとするのであれば、性能を引き出すために相応の音量が必要となります。たとえば通常の家で音を出すとか、小さなバーでのリハーサルなどには不向きです。自分の演奏目的に応じたサイズのものを選ぶようにしましょう。

口径による違い

ギターアンプに使われるスピーカーのサイズは

  • 8インチ
  • 10インチ
  • 12インチ

が主流です。
口径が大きいほど低音の再生能力が上がり、迫力のある音が得られ、小さいほど高域がはっきり聞こえやすくなります。上の項目でもあるとおり、複数個のスピーカーで鳴らすと音圧は飛躍的に向上しますが、8インチ2発と12インチ1発では後者の方が音圧が感じられたりすることもあり、数だけでは個々のサイズの特徴を越えられないケースもあります。

エレキギターのクリーントーンは中低域寄りにピークがあるため、小口径のスピーカーでもわりとジューシーな響きが得やすいのに対して、歪んだ音はEQがフラット気味になり相対的に高域が伸びやすいので、小口径スピーカーではキンキンした嫌な音になりやすい傾向にあります。アンプメーカー各社は、小口径スピーカー搭載の練習用アンプの開発においては、その辺りを考慮して製品開発を行っています。

電池駆動式などの小型アンプでは、さらに小さい8インチ未満のものも昨今増えてきました。また、10~12インチは数多くのアンプに採用され、バランスの取れたサウンドを出しやすいサイズです。練習用アンプなどを選ぶ際に、スピーカーのサイズだけをある程度決めておくというのも一つの基準となり得るでしょう。

許容入力とは?

アンプに組み合わせる際に、そのスピーカーがどのぐらいの入力レベルまでを許容できるのかを表す指針として「許容入力」と呼ばれる数値があります。たとえば許容入力「60W」のスピーカーは定格出力「60W」までのアンプに使うことが出来ます。もしアンプ側の出力がそれを越えてしまうとスピーカー側が受け止めきれず、故障につながることもありますので注意が必要です。また、真空管アンプについては定格出力は目安でしかなく、その出力以上が取り出せることもよくありますので、これも同じ許容入力値のスピーカーを選ぶのは危険です。

また、スピーカーを複数個使う場合、足したものが許容入力値になります。許容入力値「60W」のスピーカー二つが付いたキャビネットを使う場合、全体としては「120W」の許容入力値となるので、定格出力「100W」のアンプでも使うことができます。

いずれにせよ、アンプの定格出力に対して、ある程度余裕を持った許容入力のスピーカーを使っておくことがポイントですが、あまりに差がありすぎてもアンプ側とスピーカー側ともに本領を発揮できませんので、あくまでも適度な余裕にとどめておきましょう。

インピーダンスとは?

インピーダンスとは「抵抗」のことで、アンプから受ける電流量に応じて、スピーカーを最も効率よく動作させるための値です。単位はオーム(Ω)で、通常

  • 16Ω

の3つが使われ、パワーアンプのスピーカーアウト端子にはこの抵抗値が記載されています。スピーカーアウト端子はアンプによって様々で、あらかじめ決められた抵抗値の出力端子が一つだけある場合、様々な抵抗値の出力端子を複数持つもの、スイッチで抵抗値を切り替えられるものなどもあり、それぞれスピーカーやキャビネット側のインピーダンスと値を揃えて使います(アンプ:8Ω → スピーカー:8Ω)。また、大きなキャビネットであれば、キャビネット側にインピーダンス切替スイッチが付いていることが多いです。

仮にアンプ側の方がインピーダンス値が小さい場合(アンプ:8Ω → スピーカー:16Ω)、適正値に比べると出力が落ち、性能がフルに発揮できません。また、逆にアンプ側のインピーダンス値が大きい場合(アンプ:8Ω → スピーカー:4Ω)、アンプに負荷がかかり故障の原因となります。

複数スピーカーの接続

複数のスピーカーを使う場合、
(スピーカーのインピーダンス)÷(接続数)=(アンプのインピーダンス)
という公式が成り立ちます。アンプを16Ωスピーカー2つに接続する場合、
16Ω(スピーカー)÷ 2(接続数)=8Ω(アンプ)
となり、アンプ側のインピーダンスは8Ωに設定する必要があります。同じく
8Ωのキャビネットが2台であればアンプ側は4Ω
16Ωのスピーカー4台であればアンプ側は4Ω
となります。

接続には直列接続(シリアル)、並列接続(パラレル)とあり、直列接続の場合、上記の計算式は成り立ちません。しかし、ギターアンプの場合は並列接続がメインで、直列接続はキャビネット内部などでしか使われていませんので、基本的には無視して大丈夫でしょう。

代表的なスピーカー・メーカー

JENSEN

Jensenの創設者Peter Jensenは1886年デンマークで生まれました。20代前半でアメリカに渡った彼は、1915年、世界初となるラウドスピーカーを製造し「Magnavox」と名付けます。サンフランシスコに設立されたMagnavox社の開発するスピーカーは民生用、軍事用と様々な分野で使用されました。1925年、Magnavox社を離れた彼はシカゴでJensen社を設立します。これが現在に続くJensenブランドの始まりとなります。

1940年代、レオ・フェンダーがギターアンプを開発する際、使用スピーカーとして選んだのがJensenのものでした。1950年代のツイード期を通してフェンダーアンプには一貫してJensenスピーカーが搭載されており、ヴィンテージ・フェンダーアンプのサウンドになくてはならない要素として現在でも人気です。60年代、ロックの普及に伴い、より大音量のアンプが必要とされていきますが、そんな中でもJensenのスピーカーは使われ続けました。

しかし、1960年代前半、創設者のPeter Jensenがこの世を去ると、Jensenは徐々に市場から忘れられていきます。フェンダーアンプにはJensenに取って代わりOxford社のスピーカーが使われるようになり、60年代後半にはスピーカー製造を停止します。それ以来、長く伝説として名前だけが残っている状況でしたが、90年代、イタリアのSICA Altoparlanti社がブランド名を買い取り、当時と同じ製法で復刻版Jensenを開発するようになりました。現在新品で手に入るJensenはこの後の時期のものです。

音の傾向

一般的にヴィンテージ系とされるサウンドです。アメリカンらしい乾いた音が得意で、フェンダーアンプのイメージによくある、乾いたクリーントーン~クランチぐらいのサウンドで最高にマッチします。現在ではウェットな音を志向したModシリーズを展開するなど、幅広いサウンドに使えるラインナップを誇ります。

Alnico Pシリーズ

フェンダー・ヴィンテージアンプの音を狙って製作されたアルニコマグネットのスピーカー。中低域が豊かで、ツイード期のフェンダートーンを求めたい人向けです。

Ceramic Cシリーズ

1960年代、ブラックフェイス期のフェンダートーンに近いサウンドを志向したセラミックマグネットのスピーカー。アルニコのものに比べ、より美しい倍音を持ち、クリアーなサウンドを再生してくれます。

Modシリーズ

ヴィンテージ系サウンドのイメージの強いJensenにおいて、モダンな音を志向したシリーズ。同社のサウンドの特徴である乾いた音ではなく、マーシャル的とも言えるウェットな音を狙っています。

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CELESTION

Vintage 30

“Celestial”という単語から命名されたというCelestionは1924年の設立。設立はJensenよりも早く、世界最古のスピーカーメーカーです。創始者のCyril Frenchは技術者Eric Mackintoshと共に、スピーカーを新たに製作し始め、1922年、英国国営放送BBCの放送開始に端を発するラジオブームにも乗り、Celestionスピーカーは一躍国中に広がります。

1920年代後半、アメリカのスピーカーメーカーRola社がCelestion社の近郊にイギリス工場を建設し、スピーカーの開発を開始しました。やがて第二次世界大戦が終わった後、Rola社はCelestionを吸収、新生Rola Celestionは1949年ウェンブリーのTruvox社も買収し、盤石な経営基盤を築いていきます。このとき吸収されたTruvox社に技術者として名を連ねていたLes Wardという人物が、のちのCelestionの運命を大きく動かすことになります。

1950年代、ロンドン近郊のダートフォードという街のアンプメーカー「JMI Corporation」の設計者Dick Dennyという人物より、Rola Celestionはギターアンプ用のスピーカーの製造を委託されます。Les Wardはかねてより開発していたG12というスピーカーを調整し、ギターアンプ用として出荷。Dick Dennyはこのスピーカーを使いオリジナルのアンプを製作します。このアンプは1958年「VOX AC15」として陽の目を見ることになり、ギターアンプスピーカー「Celestion」の第一号となりました。

音の傾向

イギリス製アンプの特徴でもあるウェットなサウンドが持ち味。特にマーシャルに代表されるハイゲイン系には強く、出過ぎない高域にパンチのある中域で、パワフルなサウンドが得やすいモデルが多いです。Jensenに比べてもラインナップが非常に多く、多岐に渡るサウンドをカバーします。以下はその一部の紹介です。

G12M Greenback (Classicシリーズ)

セラミックマグネットを使用した、Celestionの中でも最もよく触れる機会のあるスピーカー。ほど良く粘っこい中域と抑えられた高域で、中程度の歪みに最高にマッチします。

Vintage 30 (Classicシリーズ)

1980年代に台頭したハードロック勢によく使われたスピーカー。音圧に優れ、バランスの良いサウンドが持ち味です。当時のサウンドを代表するMarshall JCM800のイメージです。

Celestion Blue (Alnicoシリーズ)

アルニコマグネットを使用したAlnicoシリーズの代表製品。VOX AC30に搭載されていることで有名で、同アンプのふくよかな中域と煌びやかな高域を創出するために欠かせない要素となっています。やや高価ではありますが、ジューシーで煌びやかな音色は唯一のものを持っています。

G12-65 Heritage (Heritageシリーズ)

完全手作業で製作されるHeritageシリーズの製品。開発当時のサウンドをそのまま狙って製作されており、こちらはエリック・クラプトン氏やロベン・フォード氏の使用で特に人気です。締まった低音と適度な高音で使いやすいサウンドであり、クランチに特に向いています。

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EMINENCE

EMINENCE パトリオット

Jensenの前身とも言えるMagnavox社で、技術者として在籍していたBob Gaultが1966年に設立したスピーカーメーカー。始めはAmpeg用のスピーカーを中心に小規模な製造をしていましたが、次第にその数を増やし、70年代以降はOxfordスピーカーに取って代わり、フェンダーアンプ用のスピーカー製造を一手に引き受けることになりました。現在のEminenceのイメージを今でもフェンダーのOEM供給元として語る人がいるのは、この事情があるがゆえでしょう。

設立者のBob Gaultは2002年に亡くなりましたが、現在、Eminenceは一日1万以上のスピーカーを製造する、アメリカでも屈指のスピーカーメーカーとして成長しました。アメリカ製のほとんどのギターアンプにおいてEminence製スピーカーの搭載が見られ、その浸透度合いは目を瞠るものがあります。

サウンドの傾向

後追いブランドらしく、ブランドそのものの個性を持つというよりも、幅広くギターの本来の良さを引き出すためのサウンドにチューンされています。ラインナップの中にはJensen的なものもCelestion的なものも見られ、あらゆるギターアンプに特定の傾向の音色を狙って選んでいけます。フェンダー的な音を志向したPatriot、マーシャル的なものを志向したRedcoat、ヴィンテージ系を志向したLegendなど、ラインナップはシリーズで分かれています。

Shamp Thang (Patriotシリーズ)

骨太のトーンに滑らかな中域が特徴のスピーカー。フェンダー的な芯のあるクリーントーンを志向していますが、しっかり歪ませても使える優秀なサウンドです。

Tonker (Redcoatシリーズ)

Eminence最大の売れ行きを誇るスピーカー。Marshal JCM800的な音を志向しており、パワフルで音圧に優れます。ハイゲインで使われることが多いですが、高域が適度な分量で再生されるため、クリーンで弾いても美しい音を得やすいモデルです。

Legend1258 (Legendシリーズ)

ほど良く締まった低域とクリアーな高域を持ち、極めてバランスの取れたサウンドが持ち味。クセの無いサウンドで、クリーン、歪み共に使いやすい音が得られます。

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ともすれば後回しにされがちな再生スピーカーの世界ですが、音色は後段になるほどその影響を受けやすいという話もあり、個々のスピーカーを替えることで、手持ちのアンプのキャラクターを劇的に変えることも可能です。自分のアンプのサウンドをもう一つブラッシュアップさせてみたいという際には、一度検討してみてはいかがでしょうか。