《PEAVEY MH シリーズ》名機のDNAを継承した小型チューブアンプヘッド

[記事公開日]2023/5/8 [最終更新日]2023/10/1
[ライター]小林健悟 [撮影者]神崎聡 [編集者]神崎聡

《PEAVEY MH シリーズ
3機種のモデル名に共通する「MH」は、「Mini Head(ミニ・ヘッド)」を意味する。

小型チューブアンプは持ち運びに良好な利便性と自宅練習やレコーディングに使いやすい有用性が支持され、プロアーティストが一軍起用するなど注目を集めています。便利な小型アンプとしてはサウンドバリエーションの豊かなデジタル機器が一世を風靡する現代ですが、アナログ製品の音には本物だけが持つ迫力と生々しさがあります。そんなわけで今回は、アンプ大手PEAVEY(ピーヴィー)の名機「6505」を祖先とする、3台の小型チューブアンプに注目していきましょう。

そもそも名機「6505」とは?

Peavey 6505 6505 1992 Original Guitar Amplifier Head

PEAVEY「6505」は、エドワード・ヴァン・ヘイレン氏とのコラボレーションで2年がかりで仕上げた「5150(1992年)」が起源で、契約満了により「6505」へと改称しています。ブラウン・サウンドのヒントになる強力なLeadチャンネルが持ち味ですが、超低域を持ち上げる「Resonance(レゾナンス)」回路を世界で初めて搭載したのも大いに注目されました。二つのチャンネルで共通のEQ(イコライザー)は、ストレートなロックのサウンドには特に使いやすい設計です。

6505から3台の「MH」が生まれた。

PEAVEY MH シリーズの系譜

6505の基本操作はほぼそのままに、寸法と出力を縮小した「6505 MH」が開発されました。この6505 MHの回路をモディファイして音質を向上させたのが、「6505 MH Japan Edition」です。いっぽう6505から各チャンネルにEQを備える「6505 II」が、またこれを大幅に多機能化させた「invective.120 Head」が開発されます。これを小型化させたのが「invective.MH」です。

これら3機種のMHは6505という共通の祖先を持ち、持ち味であるLeadチャンネルはかなり近いキャラクターを持っています。ではこの3つの中からならどれを選ぶべきなのか、それを考えていきましょう。

PEAVEY MH シリーズ3モデルの機能と特徴

《基本モデル》6505 MH

Peavey 6505 MH ベースとなった「6505」とほぼ同じ操作感で使用できる、最大出力20ワットのアンプヘッド。リバーブが追加され、付属の2ボタンフットスイッチでチャンネル切替/CRCHのオンオフ、もしくはエフェクトループのオンオフ/リバーブのオンオフができるなど、汎用性が高い。

3機種のうち基本モデルと言える「6505 MH」は、個別に音量の設定ができる2チャンネル構成のアンプヘッドです。RHYTHMチャンネルにBRT(ブライト)スイッチとCRCH(クランチ)スイッチを備え、3バンドEQとPRESENCE / RESONANCE、シンプルなデジタルリバーブが両チャンネル供用です。

ハードロックの王道「ブラウンサウンド」が手に入る。

6505 MHの両チャンネルは共に、真空管特有のむっちりとした密度感を持ちながら、カラッと乾いた明るさのあるアメリカンなサウンドです。現代的なディストーションサウンドのお手本となったブラウンサウンドが、この一台で手に入ります。ブラウンサウンドを求めている人にドンピシャであるほか、RHYTHMチャンネルの守備範囲が広いため、ハードなサウンドを基本としつついろいろなジャンルを演奏したい人にもたいへん良好です。

RHYTHMチャンネルはPRE GAINの設定で歪ませたり、ギター側の音量を絞ってクリアで雑味のないサウンドを作ったりできる、守備範囲の広さが持ち味です。BRTスイッチで高域を持ちあげてサウンドに輝きを追加できるほか、CRCHスイッチはブースターとして機能してクランチやオーバードライブあたりまで歪ませることができます。

LEADチャンネルは、RHYTHMチャンネルの最大ゲインを引き継いだ辺りからジューシーなハイゲインディストーションまでをカバーします。またRESONANCEの操作で超低域を増強できるため、多弦ギターやダウンチューニングを活用する現代的なスタイルにも対応できます。

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ギター博士から一言

これぞハードロックといったコンプレッション感の強いハードなドライブサウンドは、バランスも良く、とても密度の濃いサウンドだと感じましたゾィ!激しくプレイしても手に残るどこか柔らかい感触はさすがリアル真空管のプリゲインサウンド!とてもプレイしやすかったなと思いました!
クリーントーンは甘さもありロック、ポップスのみならず、その他多くのジャンルにマッチするかなと思いました!搭載されているリバーブとの相性もよかったです!
ワシだったら、多彩なリズムもリードもプレイしながら、一音一音丁寧にニュアンスも付けたいという職人肌なギタリストにオススメしたいなと思いましたゾィ!

Peavey 6505 MH – Supernice!ギターアンプ

《アップグレードモデル》6505 MH Japan Edition

6505 MH Japan Edition 6505 MHと趣の異なるサウンドを持った新たなアンプだが、モディファイは2種類使われていたプリ管をECC83に統一、また回路のコンデンサーをアップグレードするという内部の回路にとどまっているため、操作の方法は6505 MHと変わらない。RHYTHMチャンネルの評判が特に良く、コレだけを目的に買っても決してもったいなくない。そして、ほのかにジャパンを感じさせる深いグリーンがかわいい。

「6505 MH Japan Edition」は、国内販売代理店「逸品館」によるモディファイをPEAVEYが正式に採用した、日本国内限定モデルです。逸品館は平成元年創業、年商24億円を誇る日本有数のオーディオショップで、カスタムオーディオを多く手掛けた実績があります。

両チャンネルがそれぞれ主役の、骨太なアンプ

6505 MH Japan Edition は、中音域の押し出しが強化されたファットかつワイルドなキャラクターを持っています。また明瞭な音像があり、タイトな引き締まり感も得られます。クラシックともブリティッシュとも言えるテイストを帯びた、現代的で華のあるスタイルからトラッドないぶし銀のスタイルまで幅広く使える音です。ハードロックやメタルにとどまらず、フュージョンやポップス、ファンクやソウル、トラッドなロックやブルースなど、いろいろなジャンルのプレイヤーにお勧めです。

RHYTHMチャンネルは、生々しい立体感のある、ワイルドでクランチーな音色です。ピッキングの追従がことのほか良く、アタックの強弱で歌うような演奏が可能です。モディファイによるRHYTHMチャンネルの音質は各方面で高く評価されており、アンプはクリーンやクランチに設定し、サウンドバリエーションはペダルボードがメインというプレイヤーにもたいへん良好です。

LEADチャンネルは「6506 MH」の延長上のサウンドに、よりパンチを効かせた、開放的かつ肉厚なサウンドです。小編成のバンドでもじゅうぶんな音圧が得られ、大編成のアンサンブルでもしっかり抜けてきます。PEAVEYらしいジャリ感とズムズム感もあり、エクストリームな領域までカバーできます。

Japan Edition専用のキャビネットもある。

Peavey MHシリーズ専用キャビネット 右:112-Guitar Cabinet Japan Edition
左:112-6 1×12 Guitar Cabinet
キャビネットの寸法は一緒で、内蔵するスピーカーに違いがある。両機とも背面のパネルを外し、オープンバックとして使用することができる。

6505 MH Japan Editionには、外装のカラーをマッチさせた専用のキャビネットもあります。6505 MHに推奨される「112-6 1×12 Guitar Cabinet」がCelestion社製「Greenback 25」スピーカーを使っているのに対し、「112-Guitar Cabinet Japan Edition」はCelestion社製「Vintage 30」スピーカーを使用しているのが大きな違いです。

Greenback 25は1960年代中盤に発表されたスピーカーで、ジミ・ヘンドリックス氏やクリーム時代のエリック・クラプトン氏らが使用したことで知られます。暖かみのある中域を持つヴィンテージトーンが持ち味で、定格電力が25ワットと低いため現代では小音量での再生に適していると考えられています。いっぽうVintage 30は、ますますハードになっていくロックミュージックの要求を満たすべく1986年に発表されました。定格電力60ワットと大音量に対応しており、強力な中域の押し出しとタイトな低域が持ち味です。スラッシュ氏やサンタナ氏が愛用していることでも知られています。

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ギター博士から一言

とても生々しくラウドでハードなドライブサウンドじゃ!ギターソロでの存在感や表現性はピカイチなのではないかのう!バンドギタリストはもちろんじゃが、ソロ活動されているギタリストは特にこの個性好きなんじゃないかのう!ハードフュージョンやシュレッドプレイが好きな人も要チェックですぞ!
クリーントーンもガッツある骨太な印象で、ファンキーなリズムギターから歌わせるようなリードまで少し目立ちたい人に合うかも!
ワシだったら、バンド内でもっと個性を出したい、幅広く音楽は聞くがよりルーツな渋い表現もしたいというワガママギタリストにオススメかな!

《多機能最新鋭》invective.MH

Peavey invective.MH 3つのスイッチでLEADチャンネルを変化させられるのが強み。付属の2ボタンフットスイッチで、チャンネル切替/TIGHTスイッチのオンオフ、もしくはGATE & BOOST同時オンオフ/エフェクトループのオンオフを操作できる。BOOSTとGATEは、併用される前提で設計されている。ちなみにリバーブは非搭載。

「invective. MH」は、名機「6505」のサウンドを現代に伝える最終進化型ヘッドアンプ「invective.120 Head」を小型化したモデルです。LEADチャンネルをブーストできるほか2バンドEQを装備したCLEANチャンネルを持ち、6505 MHよりも振り幅の広い音作りが可能です。

モダンメタル対応の小型チューブアンプ、ここに極まる。

invective. MHは、キメの細かさと凶暴さを内包するLEADチャンネル、ガラスクリーンが得られるCLEANチャンネルの二つを併せ持つ、モダン・ハイゲインアンプです。LEADチャンネルにはブースターとノイズゲートが備わっているので、ズムズムに歪ませながらキレッキレのヘヴィリフが演奏できます。Djent(ジェント)に代表されるモダンメタルのプレイヤーには、この上なくベストな1台だと言えるでしょう。

CLEANチャンネルは、澄み切ったピュアなサウンドです。2バンドEQを備えているので、LEADチャンネルと全くかけ離れた世界観を演出できます。氷のように冷たいクールなアルペジオやアコギのようなコードストロークに特に有用で、エフェクターとの組み合わせも良好です。

LEADチャンネルは、6505を現代的にアップデートしたボイシングです。高いゲインと音の分離を両立させており、歪ませたままでテンションコードもクリアに響きます。複雑な和音を織り交ぜたリフを使うプレイヤーには、特に嬉しいサウンドです。また、BOOST(ブースト)、GATE(ゲート)TIGHT(タイト)という3つのスイッチ(設定は固定)で幅広い使い方ができます。

  • BOOST:ドライブペダルのテイストを疑似的に追加させるブースター。
  • GATE:タイトなミュートプレイを可能にするノイズゲート。
  • TIGHT:ゲインの抑制とEQの微調整で、「invective.120 Head」のクランチチャンネルに近いサウンドを作る。
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ギター博士から一言

メタルやジェントにベストマッチな超ハードドライブサウンドは、ダウンチューニングや多弦ギターとの相性もバッチリだと思いました!ノイズゲート搭載で、タイトなバンドアンサンブルにも合うし、ブーストスイッチもあるので、ドライブ量が足りないってことはまずないと思います!
クリーントーンはどこか冷たさも感じられるようなピュアクリーンで、ライブ中に付属のフットスイッチを使ってドライブサウンドから一気に景色を変えたりすれば、聞いてる人はゾクゾクってなっちゃうかもよ!
ワシだったら、リフメインで轟音リズム刻みながら、時に超クリーンなプレイもあるようなバンドギタリストにオススメかのう!

Peavey invective MH – Supernice!ギターアンプ

自宅での練習からレコーディング、ライブまで活用できる。

Peavey 6506 MH:コントロール 「POWER」「STANDBY」両スイッチの上に点灯しているのは、MHシリーズ特有の、パワー管のコンディションを確認できる「T.S.T.(Tube Status Indication)」LED。音が出る状態でグリーンに点灯している間は、安心して演奏できる。

以上の3機種はいずれもプリ管3本&パワー管2本を備えるオールチューブアンプで、ギタリストの心を揺さぶる本物のトーンを得ることができます。ただし真空管の宿命として、使用中はある程度の熱が発生します。また、電源を入れたら1分程度スタンバイ状態を続けて真空管をウォームアップさせること、またスタンバイ状態から電源を切るまでに数秒間は待つことがメーカーから推奨されています。

自宅での使用にベストなサイズ感で、重量も約6kgと比較的軽量なのでライブ会場などへの持ち出しにも良好です。RESONANCEとPRESENCEはキャビネットの挙動を操作できるので、ヘッドだけ持ちこんで会場のキャビネットを利用する場合でも、いつも通りのサウンドが得られます。

3機種共通の、充実したリアパネル

Peavey 6506 MH:接続端子 6505MH Japan Editionの背面。3機種の背面はどれも同じ設計になっている。アンプ操作系としては、1系統のエフェクトループと2系統のフットスイッチ端子が配置されている。付属の2ボタンフットスイッチをどちらかに挿すことで操作を選べるが、同じスイッチがもう一個あれば両方の機能を使用できる。

20W/5W/1Wという3段階の出力切替スイッチ

スピーカー出力系としては、スピーカーアウト1基、8Ω/16Ω切替スイッチに加え、スピーカ出力をカットするSPKRスイッチ、3段階の出力切替スイッチがあります。

スライドスイッチの操作でアンプの最大出力を20W(100%)/5W(25%)/1W(5%)の3段階に切り替え、音量を抑えてもパワーアンプのしっかり機能した良好なサウンドが得られるわけです。ただしパワーアッテネーターの駆動で熱が出るため、アンプ本体の置き場所には工夫が必要です。

キャノン、ヘッドホン、USBそれぞれに同じ音を送信できる

「MSDI(マイクシミュレート・ダイレクトインターフェース)」はPEAVEYの独自機能で、12″スピーカーコーンから約20cm離れたマイクで集音したサウンドを忠実に再現します。この音がキャノン(XLR)端子、ヘッドホン端子、USB端子それぞれに送られます。

USBからPCに直接接続するとMHシリーズは自動的にオーディオデバイスとして検知され、DAW環境でMSDIのサウンドを扱うことができます。

さて、あなたならどれを選ぶ?

6505 MH 6505 MH Japan Edition Invective.MH
ズムズム言わせたい!
エディになりたい!
Djentをやりたい!
新旧いろいろやりたい
シンプルに使いたい
リバーブは欲しい X
クリーンは必要

共通の祖先を持つ3つの小型アンプは価格差こそあれ、グレードというより機能や仕様で分化しています。選ぶポイントをまとめたのが上の表ですが、あなたならどれを選びますか?

  • ズムズム言わせたい!:3機種ともLEADチャンネルは強力で、危険な領域まで歪ませることができます。ただしinvective.MHはBOOSTとGATEの追加機能で、ハイゲインの向こう側に行くことができます。
  • エディになりたい!:6505はエドワード・ヴァン・ヘイレン氏のサウンドを得るためのアンプでした。そのため最もエディの音に近いのは、6505直系の6505 MHだと言えるでしょう。
  • Djentをやりたい!:invective.120はPeriphery所属、ミーシャ・マンスール氏が開発に参加しています。Djentlemanを目指すなら、invective.MHがお勧めです。
  • 新旧いろいろやりたい:3機種ともモダンロックをターゲットに据えたアンプですが、むっちりとした中域を持つ6505 MH Japan Editionのサウンドは、トラッドなサウンドにも大変良好です。
  • シンプルに使いたい:2チャンネル供用EQ仕様の6505 MH/6505 MH Japan Editionは、直感的なサウンドメイクに大変良好です。
  • リバーブは欲しい:invective.MHはリバーブ非採用ですが、エフェクトループが搭載されています。
  • クリーンは必要:invective.MHには、歪みの全くないCLEANチャンネルがあります。6505 MH/6505 MH Japan EditionのRHYTHMチャンネルは歪んだ成分を含みますが、ツマミの設定やギターの音量を操作することでクリアなサウンドを得ることができます。

国内での使用が前提なら、正規品を買おう。

正規代理店の扱うMHシリーズは日本国内での使用に最適化され、日本仕様として100Vトランスが搭載されています。並行輸入や直輸入で手に入る海外仕様機には120Vトランスが搭載されており、日本国内では本来のサウンドが得られません。

アメリカ本国での比較検証によってPEAVEY本社もその違いを確認しており、日本では100Vトランス搭載機の使用を推奨する文面を正式に発表しています。


以上、PEAVEYの名機6505を祖先とする3台の小型アンプをチェックしていきました。それぞれに共通して強力なLEADチャンネルを持ちながら、1台のギターアンプとしてのアイデンティティを持っています。小型ながら充分な音量が得られるためライブ演奏で1軍起用できるほか、自宅使用に良好な機能も充実しています。ぜひ実際にチェックしてみてください。

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