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アンディ・サマーズ(Andy Summers。1942年12月31日 – )は、イギリス出身のギタリストで、特にロックバンド「Police(ポリス。のちThe Police)」での功績が知られています。華麗なギターソロで名を馳せるエレキギターの名手が続々登場する70~80年代、氏はリフ/バッキングの分野で数々の名演を残しました。ポリス解散後はポップスやロックの枠に収まらず、ジャズやクラシック、映画音楽といったところまで活動の幅を広げています。今回は、このアンディ・サマーズ氏に注目してみましょう。
The Police – Every Breath You Take
ポリス最大のヒット曲となった「Every breath you take(見つめていたい)」。BBC(英国放送協会)の調査(2012年)によると、この1曲で20億円以上の収益があり、「史上最も稼いだ曲」ランキングの8位に入りました。ポリスのサウンドは、シンプルさと音数の少なさに最大の特徴があります。必要な音を見極め厳選する精緻なバンドアレンジと、それをしっかり演奏できる高度な技術があるからこそ、このシンプルなサウンドは今なお私たちの胸を打つのです。
1942年、イングランドのランカシャーに生まれたサマーズ氏は、幼少期からピアノのレッスンを受けますが、14歳でギターを手に入れてからは、何かに憑(つ)かれたように朝から晩までギターを弾いていました。兄の影響でジャズにのめり込み、16歳のころには毎週ジャズクラブで演奏するほどに成長しています。
プロのジャズギタリストとして稼働していたサマーズ氏は、成人してからはアメリカのR&B(リズム&ブルース)に目覚め、1966年には所属するバンドでレコードデビューを果たします。「ソフト・マシーン」や「アニマルズ」のレコーディングやツアーなど、サマーズ氏はキャリアを重ねていきます。
しかしそこまでで一旦音楽の仕事を休止、カリフォルニア州立大学ノースリッジ校に入学してクラシックギターを専攻、和声学や作曲法、指揮法、学典を学ぶほか、インドや中東の音楽も学び、シタールのレッスンも受講します。
https://www.youtube.com/watch?v=4-43lLKaqBQ
The Animals – House of the Rising Sun (1964) HQ/Widescreen ♫♥ 57 YEARS AGO
アニマルズといえば、1964年にリリースされたこの曲。日本でもヒットしました。弦を撫でるように弾くアルペジオは、「アメリカでギターを始める人のほとんどが最初に練習する」とまで言われた有名なリフです。サマーズ氏は、アニマルズでは2枚のアルバム録音に参加しています。
大学を卒業したサマーズ氏はギタリストとして稼働を再開し、1977年にロックバンド「ポリス」に参加します。アンディ氏はこの時35歳というなかなかの年齢(エリック・クラプトン氏やキース・リチャーズ氏より年上)でしたから、「遅れてきたバンド」と言われることもありました。ちなみに最年少のスティング氏(ベース&ボーカル)はこの時25歳、ステュアート・コープランド氏(ドラムス)は26歳でした。
パンク・ムーブメントやMTVの流行も手伝い、ポリスはデビューアルバムから大ヒットします。ところがメンバーの3人はエゴの衝突からケンカが絶えず、グラミー賞を総なめにした名盤「シンクロニシティ(1983年)」を発表した翌年、解散してしまいます。レコーディングではメンバーそれぞれ別の部屋で録音するほどの不仲だったそうですが、楽屋でさんざんケンカしながらも、ステージにはきちんと笑顔で立っていたと伝えられています。どんなに相手が気に入らなくても、プロとして仕事や音楽には徹底して真摯に取り組んでいたわけです。
ポリスでのサマーズ氏は、楽曲やボーカルを最高に活かすバッキングの名手として活躍しました。ポリスが解散してからのサマーズ氏は、そこから脱却した多角的な活動を始めます。これまでに旧友のロバート・フリップ氏(キングクリムゾン所属)との共作を含む17枚のソロアルバムをリリースするほか、ジャズ/フュージョン系やロック系のレコーディング、教則ビデオ出演、コメディ映画の音楽担当、TV番組のテーマ曲などで、音楽性の広さを発揮していきます。このほか分筆や写真撮影、俳優までやっています。
Fernanda Takai e Andy Summers – Fundamental
現在ブラジルのポップ・カルチャーを牽引するバンド「Pato Fu(パト・フ)」のボーカリスト、フェルナンド・タカイ女史とサマーズ氏のコラボ(2012年)。サマーズ氏の浮遊感を帯びたギターサウンドとボサノバとの相性がよもやこれほどとは、と思わせてくれます。
アンディ・サマーズ氏はジャズギタリストとしてキャリアを開始し、さまざまな分野で活躍しています。そのためプロなら必ずできるオーソドックスなプレイは全てマスターしていますが、ここではそのキャリアの中で最も尖っている、ポリス時代のプレイをピックアップしてみましょう。
The Police – Roxanne
パンクにレゲエの要素を取り入れた名曲と言われる「ロクサーヌ」のギターは、前半で基本コードの四分音符を基調に、後半でパワーコードを基調にした、きわめてシンプルな演奏です。しかし、これを堂々とやりきるからこそ独特の緊張感が演出され、またサビのコーラスが活きるのです。
The Police – Every Breath You Take
クラシックギターを学んだ経験が活かされていると伝えられますが、この曲で使用されているコード「F#m add9」は、押さえるのがかなり困難なフォームです。しかし半音でぶつかる3弦と4弦をアルペジオで弾く美しさは、このフォームでないと実現できません(無理をすると手首を痛めます。試すときはギターを高く構えるなど、手首に負担をかけ過ぎないようにしましょう)。
The Police – Message In A Bottle
「5弦4f → 4弦6f → 3弦8f」で始まる、スッキリと聞こえながらもどこかに哀愁を感じさせる印象的なリフ。これも左手をガバっと開いて演奏します。インパクトのあるリフながらボーカルを決して邪魔しない、バッキングでありながら存在感をしっかり主張する、精緻に計算されたアンサンブルです。うっすらコーラスがかかっているのもポイントで、サマーズ氏は随所で効果的にエフェクターを効かせます。
以上で分かるように、ポリス時代のサマーズ氏は、パンクというジャンルでは非常に意義深い「音数の少なさ」に深くこだわりつつ、最小の音数で最大の効果を上げることに成功しています。「歌もの」としてボーカルを第一に考え、かつ「バンド」としてメンバーそれぞれの共鳴や反響を模索した結果です。サマーズ氏のこうしたスタイルは「アンサンブル重視」すなわち「ギターではなく音楽を演奏する」ものだと言われています。
Fender® Frontline Live from Winter NAMM 2007:Andy Summers(3) | Fender
サマーズ氏のトレードマークといえば、1963年製、サンバーストの改造テレキャスターです。フェンダー・カスタムショップから「アンディ・サマーズ・トリビュートテレキャスター」としてこの個体を忠実に再現したレプリカが限定販売されました。
サマーズ氏は機材にかなりこだわる人で、ディープなギターマニアでもありました。ソロ活動ではさまざまな楽器を使用しますが、「一本のギターをずっと弾くほうが、ずっと良い音を引き出せる」という信念のもと、ポリスではほぼ一貫してオールドの改造テレキャスターにこだわり続けていました。ここでは氏のトレードマークである改造テレキャスターに注目してみましょう。
フェンダー・カスタムショップのマスタービルダーが製作、世界限定で250本生産されたというレプリカは、ご本人の愛機を基本仕様からパーツのダメージに至るまで、徹底的に再現されています。ベースとなっているのはフェンダー・テレキャスター・カスタム(60年代式)で、
といった改造が施されています。楽器本体から電気系まで、サマーズ氏がいかに深く追及したかがわかりますね。ポリス以外の活動では、このほかたくさんのギターを使用しています(後述)。このほかに一本だけ、肌身離さず持っていく最愛のフォークギターがあるそうですが、これについてはご本人もコメントを控えており、詳細は分かっていません。
サマーズ氏は、ディレイ・エフェクターやコーラスを中心に多数のエフェクターを効果的に使用する名手としても知られています。現在では常識となっている「エフェクターを駆使した多彩なサウンド」の原点は、サマーズ氏であるとまで言われているほどです。歯切れのよいクリーントーン、分厚くうねるコーラスやフェイザーなど、巧みなサウンドメイキングはポリスの世界観を表現するのに重要な役割を果たしました。
布袋寅泰氏やジ・エッジ氏を筆頭に、多くのギタリストがサマーズ氏のサウンドを手本とし、自らのサウンドを構築しています。ずらりと並ぶエフェクターは、ピート・コーニッシュ氏やボブ・ブラッドショウ氏が組んだシステムで統合され、マルチエフェクターのように様々な組み合わせを少ない操作で呼び出せるようになっていました(使用機材については後述資料)。
How To Sound Like Andy Summers of The Police Using Guitar Effects | Reverb Potent Pairings
いろいろなエフェクターを使い、ポリスの様々なサウンドを再現しています。このような動画は、サウンドメイキングの研究にたいへんありがたいですね。
アンディ・サマーズ氏の名を世界的に知らしめたポリスの軌跡をたどるベスト盤。この時代のサウンドに多大な影響を及ぼしたモンスターバンドのエッセンスを、一気に味わえます。また、楽曲がほぼアルバムのリリース順で並んでいるので、ポリスがアルバムごとにメンバーの整合性が増していく過程を聞くことができます。
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ポリス在籍中、ロバート・フリップ氏(キングクリムゾン在籍)とのコラボレーションで制作された作品。サマーズ氏とフリップ氏はギターを始めたころからの仲で、サマーズ氏が脱退したバンドの後釜をフリップ氏が務めたこともありました。リズムセクションのほとんどない、空間系エフェクトバリバリのギター二本によるアンニュイな絡み合いを堪能できます。
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齢70を超えてなお創作意欲の衰えないサマーズ氏のソロ作品。美しい響きの中にイギリス出身のミュージシャン特有の「陰鬱な湿り気」を感じさせるギターインストが楽しめます。実験的なサウンドが多く、アメリカンポップスやキャッチーなロックに慣れている人にとってはとても斬新に聞こえることでしょう。ちなみにタイトルの「トリボルミネッセンス」は「材料が引っ張られたり、引き裂かれたり、引っ掻かれたり、粉砕されたり、擦られたりすると、物質中の化学結合の破壊によって光が発生する光学現象(Wikipedia英語版より)」とのことです。
TRIBOLUMINESCENCを…
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以下に示したのは、アンディ・サマーズ氏が使用したと伝えられる機材の一部です。特にエフェクターはかなり膨大な量ですが、演奏するジャンルや求めるサウンドのために、さまざまな機材を駆使したのだということがわかりますね。
テレキャスターの売れ筋を…
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