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FENDERから、未来型スペックを融合させた限定コレクション「ALTERNATE REALITY」登場

フェンダーは世界最大級の楽器の祭典 NAMM Show 2019 にて、フェンダー社の持つトラッドなスタイルに実用的かつ未来的なスペックを融合させるという理念のもとに生み出される限定コレクションの新シリーズ「ALTERNATE REALITY」を発表しました。同時期にNAMM Show 2019で発表されたアメリカ製の「Rarities」というコレクションに対して、こちらはメキシコ製のものを軸としたシリーズです。

2019年限定コレクションとして登場した「Parallel Universe」シリーズではストラトキャスターとテレキャスターの融合など、既存のモデルをクロスオーバーさせたような製品で市場の目を集めたフェンダー。ALTERNATE REALITYシリーズはフェンダーの伝統的な機能美と実用的で未来的なスペックを搭載し、より堅実な路線の製品となっています。ユニークなコンセプトの製品でありながら、USA製のフェンダー・ギターに比べても手に入れやすい価格帯の本シリーズ、詳しくみていきましょう。

Fender Alternate Reality Powercaster

シリーズ第一弾として2019年3月より国内販売が開始されたのがこの「Powercaster」です。ブリッジ側にAtomicハムバッカー、ネック側にはMP-90ソープバーを搭載し、ミディアムジャンボの22フレット仕様。ローストされたメイプルで仕上げられたネックに、アルダー材のボディでカラーはそれぞれサンバースト、ホワイト・オパール、サーフ・グリーンの3色がラインナップされています。

細やかな特徴を見ていくと、やはりそのルックスが真っ先に目を引きます。外観的には~casterという名を冠してはいるものの、テレキャスターやストラトキャスターとはあまり似ておらず、フェンダーの既存の製品では、むしろジャガーやジャズマスターに近い印象を覚えます。しかし、ボディの描く曲線の角度や、ピックガードの形状など、細かい所がより鋭角的に仕上げられているため、より攻撃的な印象があり、後述するサウンド面との調和を図っていることが推察できます。今までのフェンダーのギターとはまた少し違うシェイプながらも、レスポールのようなかたまり感はなく、純然とした伝統的フェンダーらしい「軽さ」を同時に感じさせるのはさすがと言ったところでしょう。

コントロールにはワントーン、ワンボリュームが採用され、新たにデザインされた流線形のピックガードも功を奏し、ボディ周りは非常にシンプルですっきりとしています。このあたりは二つのピックアップに同じコントロールを持つ、テレキャスターのイメージでしょう。実際にコントロール類の配置も少し似ています。

シールドジャックがボディの表側ではなくサイドに付いているのもフェンダーでは珍しい仕様。トラディショナルな雰囲気を払底したかったのであろう、デザイナーの意図が感じ取れます。またレスポールにも似たAdjust-maticブリッジも、フェンダーのギターではあまり見る機会がないタイプのもの。この二点はボディ周りのすっきり感をさらに強く演出しています。

ボディに採用されるアルダーは、ストラトキャスターの代名詞。メイプルのネックとも相まって、楽器としての「鳴り」そのものにはストラトキャスターをベースに置いていることが窺えます。そして、攻めにこだわっているのがピックアップの構成。深く太いサウンドを指向するハムバッカーをブリッジ側、ムスタングにも採用されたMP-90をネック側に採用。

ブリッジ側のハムバッカーはストラトキャスターの持つ細さを払拭し、図太く芯のあるサウンドを生み出し、ネック側のMP-90はエッジの効いた中音域とアタック感の強い低音を兼ね備えています。この組み合わせはコードのかき鳴らしや、派手なリードギターなどにマッチする構成であり、十分に歪んだギターソロ、かき鳴らしてギターサウンドで壁を作り出すような、現代風の派手なパフォーマンスにも十分対応できるものです。モダンC型タイプのネックに、ミディアムジャンボの22フレット仕様であるところなど、ハードウェアの仕様からは、速弾き系のテクニカルなプレイまで視野に入れていることが窺えます。

外観はジャガー、ジャズマスターをさらに鋭角的に仕上げ、2ピックアップ構成などのコントロールはテレキャスター。楽器としての鳴りはストラトキャスターをモチーフとしてデザインされ、その上にモダンなハードウェアや独特のピックアック構成でサウンドの指向を整えた…トータルな印象としてはこのように感じ取れます。様々な要素が絡み合い、何にも似ていないようで、純然としたフェンダーを強く感じさせます。