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フェンダー・ジャズマスターについて

フェンダー・ジャズマスター

Fender Jazzmaster(フェンダー・ジャズマスター)は、その名の通り「ジャズ専用機」として開発されました。デビュー当初こそジャズで使用されましたが、パワフルなサウンドはベンチャーズを代表とするサーフミュージック、70年代のガレージロック、80年代のニューウェーヴ、90年代のオルタナティブ・ロックやグランジ、近年のシューゲイザーのプレイヤーなど各年代のロック系ミュージシャンに多く愛用されてきました。

開発当初のターゲットからは大きく外れましたが、現在ではストラトキャスターやテレキャスターに次ぐフェンダーギターの代表機になっています。

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ジャズマスターの歴史ジャズマスターの特徴 ・・開発コンセプト ・・ボディ&ネック ・・高性能な「フローティング・トレモロ」 ・・電気系統 ・・ジャズマスターのサウンドジャズマスターを使用する主なギタリスト ・・ジョー・パス ・・サーストン・ムーアジャズマスターのラインナップ ・・Fender Custom Shop ・・Fender USA コロナ工場 ・・Fender USA エンセナダ工場 ・・Fender Japan Exclusive ・・Squier by Fender

ジャズマスターの歴史

ジャズマスターのデビューは1958年のNAMMショウで、高級機、またジャズ専用機として発表されました。この年はギブソンのES-335、フライングV、エクスプローラーがデビューした年でもあり、エレキギターの当たり年でした。
1966年にはポジションマークをブロックインレイに、またネックバインディングを入れ、高級機としての風格をアップさせたモデルが作られます。
1980年代のハードロック全盛期には不人気機種となり一旦生産が中止されますが、ファンの声が厚く1986年にジャパンから復刻、1999年からはUSAでも復刻されています。

ジャズマスターの特徴

開発コンセプト

1950年代当時、フェンダーのギターはジャズプレイヤーにアピールできず、この分野ではES-175を代表とするギブソンの一人勝ちでした。このジャズの市場に食い込みシェアを拡大すべく、ジャズシーンで受け入れられるメロウなトーンを持ったギターの開発が始められました。「ジャズマスター」という名称はジャズへのチャレンジだったわけです。

デビューしてからしばらくはジョー・パスが使用するなどジャズでの使用例がありましたが、結局はこの分野の楽器的な保守性を打破するに至る事ができませんでした。そのかわりこの時代に流行したサーフミュージックのプレイヤー達にヒットし、広く受け入れられるようになりました。

フェンダーの本社はカリフォルニア南部に位置していましたが、ジャズマスターとジャガーの開発に際して社長レオ・フェンダー自らが現地のミュージシャンから積極的に意見を集めたのだとか。シカゴやニューオリンズのミュージシャンの意見を集めたら、歴史はかわっていたかもしれませんね。

ボディ&ネック

ジャズマスターのボディ&ネック

左右非対称で大きめのボディシェイプは「オフセットウェスト」と呼ばれ、立っても座っても安定できるバランスを狙っています。マテリアルにはアッシュ、アルダー、バスウッドなどが選ばれました。またこのボディ形状は、1960年デビューのジャズベースのヒントにもなっています。

ローズ指板が採用されたのはフェンダー史上初で、この後ストラトやテレキャスの指板に使用されていきます。フェンダーのスタンダードである25.5インチ(324mm)の21フレットネックで、ポジションマークは若干大きめのものが採用されています。アールのきつい丸い指板はコードを弾くのにうってつけなのですが、ジャズプレイヤーにはここが不評だったようです。

高性能な「フローティング・トレモロ」

フローティング・トレモロ

ストラトキャスターのシンクロナイズド・トレモロはシステム全体が動きますが、ジャズマスターとジャガー向けに新たに開発されたフローティング・トレモロはテイルピースを動かすシステムで、ビグズビーと同じコンセプトでした。
ブリッジは敢えて固定されず、アームの動きに応じて若干動くようになっています。これによりチューニングの狂いを少なくし、滑らかなビブラートができるようになりました。またユニットが動かなくなるようにする「オン・オフボタン」が付くなど性能がアップしたのですが、音程の上下幅はシンクロナイズド・トレモロには及んでいません。

ジャズマスター開発当時はジミ・ヘンドリックスがデビューする前でしたので、トレモロユニットはビブラートをかけるだけのものだと思われていました。その意味で、可変域を犠牲にしながらも音程変化が滑らかになったことは、トレモロユニットの性能が向上したことを意味しています。

ネジを切っただけのサドルは、激しいプレイで弦が外れてしまう「弦落ち」が起こることがあります。この「弦落ち」を未然に防ぐためのパーツがあるほか、フェンダーからは「弦落ち」対策を講じたジャズマスターがリリースされています。
《宿命への挑戦》Jaguar/Jazzmaster「弦落ち」対策

電気系統

ジャズマスターのピックアップ回路周辺 ピックアップ及び周辺回路

外観はギブソンのP-90に近い、大きなサイズのシングルコイル・ピックアップが2基マウントされています。ジャズマスターのピックアップではポールピース自体が磁石になっているのに対し、P-90はコイルの下に磁石を配置する構造になっており、この設計の違いがサウンドの違いに現れています。

最大の特徴は6弦側に付いている「プリセット・トーン/ボリューム回路」です。切り替えスイッチにより、本来のコントロール系の状態とプリセットの状態を行ったり来たりできます。プリセットで使えるのはフロントピックアップのみになりますが、ソロ/バッキングを行ったり来たりするのに便利な設計です。

ジャズに対応できる高級機を目指しているので、他のモデルよりもノイズが遮断できるように徹底したノイズ対策がとられています。このため高い周波数の倍音なども道連れに遮断されてしまいますが、結果的によりメロウなトーンが出やすくなります。

ジャズマスターのサウンド

大きめのボディが弦の振動をしっかり受け止めることから、一音一音はっきり聞き取れる、分離のいい響きを持っています。ブリッジの仕様上サスティンはあまり期待できない代わりに、リズム演奏での「キレ」がアップしました。
大型のシングルコイルピックアップは太くて甘いキャラクターを持っていますが、同時にフェンダーらしい澄んだ高音も兼ね備えています。フロントピックアップのサウンドはジャズミュージシャンの要求に耐えうるメロウな甘いトーン、リアピックアップではロックミュージシャンにアピールする荒々しいサウンドが得られます。

クリーンからクランチまでのセッティングでの演奏を好むプレイヤーが多く、バンドサウンドの中で存在感を発揮できます。極端に歪ませるとノズが発生したりハウリングが起こったりしますが、むしろそこに面白みを感じる、というプレイヤーも多くいます。

独特のルックスと、繊細ながらワイルドなサウンドからか、女性のギタリストでジャズマスターを使用することが多いのも特徴です。

ジャズマスターを使用する主なギタリスト

ジャズに対応できるエレキギターとして開発されましたが、ジャズマスターをジャズで使用したギタリストはいませんでした。ジャズ・ギターの甘いトーンを出すにはジャズマスターは少々「わがまま」なサウンドとでも言うのでしょうか、金属的でワイルドな音がジャズにはフィットしないように感じます。しかしそのワイルドなサウンドを活かし、70年代サーフ系バンドのギタリストが使用していました。初期の「ベンチャーズ」の演奏で有名なテケテケサウンドは、ジャズマスターのサウンドです。

ジョー・パス(Joe Pass 1929-1994)

ギブソンES-175を愛用していたジョー・パス氏ですが、Pacific Jazzレーベルに在籍していた時代にジャズマスターを使用しています。我流でありながら、比類ないテクニックと表情豊かなプレイスタイルは今なおリスナーを魅了して止みません。
ジョー・パス氏がジャズマスターを演奏している動画はこちら

サーストン・ムーア(Thurston Moore、1958-、Sonic Youth)

ソニックユースは、後のグランジ、オルタナティヴ・ロックムーヴメントへ大きな影響を与えたノイズパンクの雄。ジャズマスターのセレクトは無名時代に安かったからという理由ですが、有名になってからも自身のトレードマークにしています。
サーストン・ムーア


この他、「ニルバーナ」のボーカルギタリストであるカート・コバーンもジャズマスターを使用したことでジャズマスターは再び脚光を浴びます。他にもノイジーなサウンドから”シューゲイザー”(足元を見る人という意味)と呼ばれたジャンルの代表的な存在であるアイルランドのバンド「マイ・ブラッディ・バレンタイン」のボーカル/ギタリストであるケヴィン・シールズ、日本では元「ナンバーガール」(現bloodthirsty butchers)の女性ギタリストである田淵ひさ子がジャズマスターでエッジの効いたプレイを披露しています。日本でもガレージロック、オルタナティブ・ロック系のギタリストに愛用されています。


bloodthirsty butchers / デストロイヤー Music Video

ジャズマスターのラインナップ

Fender Custom Shop

フェンダーの技術の結晶とも言えるカスタムショップからも、ジャズマスターがラインナップされています。

1964 Closet Classic Jazzmaster

Fender Jazzmaster Standard

サーフミュージックの隆盛を極めた1964年を記念し、クラシカルなパーツ類にソニックブルーのフィニッシュにマッチングヘッドのジャズマスターがリリースされています。

カスタムショップ製ジャズマスターを…
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Fender USA コロナ工場

アメリカ合衆国カリフォルニア州コロナ工場で作られる、所謂USA製ジャズマスターです。

American Vintage ’65 Jazzmaster

Fender American Vintage '65 Jazzmaster

ラッカー塗装、ネックバインディングなど実際の’65モデルを基に復刻させた、ヴィンテージスタイルのジャズマスター。USAラインナップの最上位モデルです。


Fender American Vintage 1965 Jazzmaster Demo

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Fender American Professional Jazzmaster

Fender American Professional Jazzmaster

フェンダー・レギュラーラインナップの中ではAmerican Vintageシリーズに継ぐグレードを誇るジャズマスター。American ProfessionalシリーズはAmerican Standard(所謂アメスタ)シリーズの後継機種として2017年から始まったラインナップで、ネックはモダンディープCシェイプ/新開発のV-Mod Jazzmasterピックアップを2基搭載/フレットはアメスタがミディアムジャンボだったのに対してやや細めで高さのある「ナロートール」フレットを採用と、ヴィンテージとモダンの中間に位置するモデルとなっています。
またこのモデルのみメイプルネック・モデルがラインナップされているのも特徴です。

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Fender American Special Jazzmaster(生産完了)

Fender American Special Jazzmaster

ジャズマスターのフィールドとなっているロック/パンクでの演奏向きに、プリセットシステムを排し、ブリッジはチューン・O・マチックに変更というアレンジを施しています。これによってよりストレートなサウンドが得られるようになります(既にラインナップは終了しています)。

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Fender USA エンセナダ工場

メキシコのバハ・カリフォルニアのエンセナダ工場で作られる、フェンダー・メキシコと呼ばれることもあるジャズマスターです。

Classic Player Jazzmaster Special

Fender Classic Player Jazzmaster Special

ヴィンテージスタイルを残しながら、ブリッジのパーツ変更、トレモロユニットの位置変更、ネックの仕込み角度変更、専用ピックアップ開発など、現代向けにアレンジされたジャズマスターです。

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Road Worn ’60s Jazzmaster

Road Worn '60s Jazzmaster

Road Worn シリーズは使い込まれたキズや塗装剥がれを新品の状態で再現したラインナップで、同シリーズのストラトキャスターやテレキャスターではボディに大きな塗装の剥がれが存在し、ヴィンテージの雰囲気を醸し出していますが、ジャズマスターではボディの塗装剥がれは控え目となっています。ラッカー塗装の為、この状態から更に「味」を出せるのも魅力です。

ピックガードは 3-Ply White、ピックアップは American Vintage ’65 2基、21フレット、フローティング・トレモロと、見た目/サウンド共にヴィンテージ・スタイルが採用されています。

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Fender Japan Exclusive

Japan Exclusive Classic 60s Jazzmaster

Fender Japan Jazzmaster

フェンダージャパンでは、ヴィンテージスタイルと継承したモデルがリリースされていますが、見た目の豪華さだけでなくノイズ対策にもなつアルミ・アノダイズド・ピックガード採用のもの、メイプル指板を採用しているもの、ボディにコンペティション・ストライプが描かれているものなど、いくつものバリエーションがあります。USAモデルに比べて安価に手に入れることができます。

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Squier by Fender

フェンダー子会社であるスクワイヤーのラインナップでは廉価版ジャズマスターを楽しむことができます。

Vintage Modified Jazzmaster

Vintage Modified Jazzmaster

伝統的なジャズマスターのスペックを踏襲し、コストを抑えながら「これぞジャズマスター」と言える正統派のサウンド・ルックスを実現したのが、Vintage Modifiedシリーズのジャズマスターです。ジャズマスターがリリースされた当時のヴィンテージスタイルのスペックとなっており、フェンダー・ジャズマスター入門用ギターとして最適なモデルです。キュートなSonic Blueのカラーも魅力の一つ。
派生モデルとして30インチ・スケール/A〜Aバリトンチューニング採用の「Vintage Modified Baritone Jazzmaster」が存在します。

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その他のラインナップ

Squier Jazzmaster 左から:Affinity Series Jazzmaster HH(Black/Arctic White)、Deluxe Jazzmaster、J Mascis Jazzmaster

2017年に登場したAffinity Series Jazzmaster HHはハムバッカー2基搭載のアグレッシブなスタイルのモデル、Deluxe Jazzmasterはオリジナル・ジャズマスターに極めて近いスタイルとなっています。またスクワイヤからはアーティスト・シグネイチャーモデルとしてダイナソーJrのギター/ボーカルであるJ Mascis氏のシグネチャー「J Mascis Jazzmaster」がリリースされています。

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