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《ライブ志向、日本オリジナル》Fender Aerodyne II Stratocaster

Fender Aerodyne II Stratocaster

フェンダー「エアロダイン(Aerodyne)II」シリーズは、フェンダー・ジャパン時代から作られている名機「エアロダイン」シリーズをベースに、より多くのギタリストに愛用されるよう仕様変更したギターです。この特徴的なボディ形状は最新モデル「メイドイン・ジャパン・モダン」シリーズへ受け継がれています。今回は、このエアロダインIIシリーズに注目していきましょう。

《最高の演奏性、最高のトーン》Fender MADE IN JAPAN MODERN STRATOCASTER

Aerodyne

空気中を通過することで揚力を得る、空気より重い航空機(Heavier-than-air aircraft, deriving lift from dynamic motion through the air./Wikipedia英語版より。翻訳は著者)。
一般に「重航空機」と呼ばれますが、空気より重い、翼の揚力を利用して飛ぶもの全般を指します。航空機、ヘリコプター、グライダーなどが含まれ、ロケットやミサイルなどエンジンの推進力を利用する者は除外されます。気球や飛行船など、空気より軽くなって飛翔する「軽航空機(Aerostat)」と対になる言葉です。

エアロダインIIシリーズの特徴

現在リリースされているエアロダインIIシリーズのギターは、HSS配列及びSSS配列のストラトキャスター2モデルです。航空機をイメージさせるシリーズ名とギラついたカラーリング、ステージでストラップを長めに使う演奏に特に良好な演奏性は特にロック系と相性が良く、「ライブ向きのギター」だと言われます。この2機種がだいたいどういうものなのかを見ていきましょう。

「名は体を表す」ボディ形状

エアロダイン2ストラトキャスター

航空機の翼は揚力を稼げるよう、上面は緩やかなカーブ、下面は比較的まっすぐ、となっています。この物理的な要素により、飛行機は宙を舞うわけです。エアロダインIIは、ボディ形状こそ標準的なストラトキャスターですが、トップ面は緩やかな曲面が航空機の翼を思わせる「カーブド・トップ」となっています。このトップ面は独特の美しさがありますが、削ったぶんだけボディ重量が絞られて軽量になります。またこのトップは特に立って弾くとき、ピックを持つ手がラクになると考えられています。フェンダーのストラトではなかなか珍しいボディ・バインディングもクールな印象を演出しています。

ク-ルなデザインのヘッド

Aerodyne II Stratocaster:ヘッド

エアロダインIIシリーズは、ボディとヘッド面が同色の「マッチングヘッド」が採用されています。中央部に「Fender」のブランドロゴ、先端部に小さくモデル名表記、というように文字の入れ方も控え目で、クールな印象です。フェンダー・ジャパン時代より、日本製フェンダーのギターはヴィンテージ・スタイルに限られてきました。エアロダインIIはその中で「日本のオリジナルモデル」として生き残ってきた稀有なギターです。そのオリジナリティを象徴するため、従来のものと違った意匠が施されているわけです。

オーソドックスな木材構成、キャラクターを主張するネック仕様

Aerodyne II Stratocaster:ネック

木材や寸法については、比較的オーソドックスな仕様が採用されています。これに対し、エアロダインIIの個性はネックに顕著に現れます。近年のフェンダーでは日本製も含め、ちょっと存在感のあるネックシェイプが一般化しています。しかしエアロダインIIでは、フェンダー・ジャパン時代から受け継がれる「スリムC」シェイプを維持しています。欧米人に対して対格差のある日本人に有利なシェイプですが、細いネックはストラップを長めに使って立って弾く時の演奏性にも貢献します。ストラトキャスターで22フレットが採用されているのも注目すべきポイントです。また、ピックアップ配列によってネック仕様は分化しています。

木材構成 アルダーボディ、メイプルネック、ローズ指板
ネック関連寸法(SSS) 弦長25.5″(フェンダースケール)、ナット幅:42mm、指板R:9.5″、スリムCシェイプ、ヒールカット無し
ネック関連寸法(HSS) 弦長24.75″(ミディアムスケール)、ナット幅:40mm、指板R:9.5″、スリムCシェイプ、ヒールカットあり
フレット数 22(ミディアムジャンボ)

表:エアロダインIIの木材構成とネック仕様

何とピックアップの配列によって、弦長から違いがあるわけです。SSSモデルでは往年のフェンダー・ジャパンをほうふつさせる比較的オーソドックスな仕様が採用されていますが、HSSモデルではフェンダーらしからぬミディアムスケール、ナット幅を詰めたナローネック、そしてハイポジションの演奏をサポートするヒールカットまで採用されています。HSSモデルは、技巧派のギタリストにも有力な選択肢となりえます。

現代的な金属部品

Aerodyne II Stratocaster:ペグ

エアロダインIIの金属部品は、現代的なストラトキャスターとしては標準的なものが採用されています。ペグでは強固なロトマチックタイプ、ブリッジは2点支持のシンクロナイズド・トレモロユニットにベントサドル、という組み合わせです。これらは現代的なストラトキャスターによく取り入れられる仕様で、歴史の長いブランドにおいて支持される新旧の設計が共存したひとつの完成形です。

「I」とはどう違うの?

「II」としてリニューアルする前の「エアロダイン・ストラト(Aerodyne Strat/AST)」は、ヴィンテージ・スタイルのコピーモデルが中心のフェンダー・ジャパンにおいて、極めて珍しい「オリジナル・ギター」として存在感を発揮し、FRT(フロイドローズ・トレモロユニット)搭載モデルもリリースされていました。

  • Aerodyne Strat
  • Aerodyne Strat Medium Scale
  • Aerodyne Strat Medium Scale HSS

フェンダー・ジャパン時代にはこのような通称に対し、「AST-65」のような品番が充てられていました。フェンダー・ジャパンはあくまでも日本の商社がフェンダーから許可を得て作っている「公式コピーモデル」だったため、STモデルで「ストラトキャスター」を名乗ることが許されませんでした。その後フェンダー・ジャパンが終了してフェンダー正規品に組み込まれた「ジャパン・エクスクルーシブ」からは、晴れて堂々と「エアロダイン・ストラトキャスター」を名乗れるようになりました。これらは現在でもショップなどで散見しますが、現在の「II」とはどこが違うのでしょうか。仕様の相違点を並べてみましょう。

Aerodyne Strat(いわゆる「I」) Aerodyne II Stratocaster
ボディ材 バスウッド アルダー
ネック仕様(SSS) 弦長25.5″、指板R7.25″(181mm)、ナット幅42mm、スリムCシェイプ、ヴィンテージサイズ・フレット、ヒールカットなし(ミディアムスケール版あり) 弦長25.5″、指板R9.5″、ナット幅42mm、スリムCシェイプ、ミディアムジャンボフレット、ヒールカットなし
ネック仕様(HSS) 弦長24.75″、指板R9.5″(241mm)、ナット幅40mm、スリムCシェイプ、ミディアムジャンボフレット、ヒールカットあり 同左
操作系 5WAYセレクター、ヴォリューム、フロントトーン、ミドルトーン 5WAYセレクター、ヴォリューム、フロントトーン、ミドル+リアトーン
ブリッジ 6点支持シンクロナイズド・トレモロユニット 2点支持シンクロナイズド・トレモロユニット

表:新旧エアロダインの仕様比較

ほぼ同じ外観ながら、ボディ材がアップグレードされているのがわかりますね。また「I」では弦長によって、ネック仕様にも明瞭な違いを出していました。基本モデルのAerodyne Stratは先進的なルックスを持ちながら、指板の丸みはきつく、フレットは小さめ、というヴィンテージ・スタイルになっていたわけです。いっぽうHSSモデルのネック仕様は、「II」にそのまま継承されています。加えて「I」では精悍な顔つきを演出するため、指板材のローズは黒く染めてボディカラーとマッチさせていた、と言われています。「II」では指板の色調に個体差が見られることから、染めてはいないようです。

トーン回路についても、「I」はリアトーンなしの伝統的な仕様、「II」ではミドルトーンがリアにもかかる現代的な仕様になっています。ブリッジも同様で、「I」では旧式、「II」では現代的な仕様になっています。「I」から「II」へは、ボディ材がアップグレードし、現代的な仕様が採用されるという変化が起きたわけです。

Fender Aerodyne II Stratocasterのラインナップ

これまで見てきたように、SSSとHSSという2タイプのエアロダインIIは、従来のヴィンテージ・スタイルから現代的な仕様へ進化を遂げました。しかし現在のフェンダー・レギュラーモデルにおいて唯一「スリムC」シェイプのネックを維持しており、ボディトップの曲面のみならぬこのモデルだけのしっかりとした個性が作られています。特に、エアロダインIIを手に取れば、「細いネックとはどういうものなのか」「ネックが細いと本当に弾きやすいのか」をチェックできます。

MADE IN JAPAN AERODYNE II STRATOCASTER

MADE IN JAPAN AERODYNE II STRATOCASTER

「エアロダインII」の、アルダー製カーブドトップ仕様のボディ/ボディ/バインディング/塗りつぶしカラー/マッチングヘッドといういでたちは、一見「木のぬくもり感」とは対照的なクールな印象です。光を浴びるとギラっと反射する、しっかりとステージ映えする存在感があり、立奏に有利な演奏性のある、ライブで活きるギターです。カラーは「アークティック(北極)ホワイト」「ブラック」「キャンディアップル・レッド」「ガンメタリック・ブルー」という重厚な4色です。

MADE IN JAPAN AERODYNE II STRATOCASTER HSS

MADE IN JAPAN AERODYNE II STRATOCASTER HSS

HSSモデルはSSSモデルに対し、5%スリムで、弦長は約3%短いネックを採用しています。このネックは体格に自信のない人の選択肢として大いに魅力的であるばかりでなく、深く握り込んだり大きく指を開いたりする、高度なスキルを要する演奏にも有利です。ミディアムスケールは通常のフェンダースケールに比べて弦張力が抑えられるため、押弦やチョーキングにも有利です。カラーはSSSモデルと同じ4色が用意されています。

LIMITED EDITION AERODYNE CLASSIC STRATOCASTER FLAME MAPLE TOP

AERODYNE CLASSIC STRATOCASTER FLAME MAPLE TOP

こちらは分類で言うと「I」にカテゴライズされるモデルですが、限定生産されたフレイムメイプルトップ仕様は、塗りつぶしカラーのクールかつ重厚な印象とは一味違った選択肢として魅力的です。曲面を描くボディトップにフレイムメイプルをあしらった、高級感のある仕上がりとなっています。基本構造は「I」に準拠し、バスウッドボディ、ヴィンテージ・スタイルのネック、6点支持シンクロナイズド・トレモロユニット、という構成です。


Fender Aerodyne Classic Stratocaster Review
パリッとした明瞭なサウンドも印象的ですが、光を受けた時の反射が従来のストラトと違っており、大きな個性の演出になっています。