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サーストン・ムーア(Thurston Moore)

サーストン・ムーア(Thurston Moore)

サーストン・ムーアは1958年7月25日生まれのアメリカ人ギタリスト。BLACK Flag や Soundgarden と並んでグランジ・ロックの先駆け的存在にあたるバンドである Sonic Youth のギタリスト兼ボーカリストとして知られています。
彼の特徴といえばその身長。2メートル近くある大男であり、その長身から繰り出されるノイジーなサウンドは多くの人に衝撃を与えてきました。彼のメジャーな音楽に対する挑戦的な姿勢は多くのアーティストにリスペクトされ、特に Nirvana や Dinosaur jr. などのグランジ・ロックバンドに大きな影響を与えました。
私生活においては、同バンドのベースボーカルであるキム・ゴードンとは夫婦だったのですが、2011年10月に離婚。キム曰く離婚の原因はサーストンの浮気だったようです。見た目によらず意外とプレーボーイだったのかもしれませんね。2人の離婚が原因なのかバンドは実質的に休止状態になってしまいましたが、サーストン、キム両名ともソロでの活動を活発化し、今後の展開が注目されています。 

Biography

1970年代後半から Sonic Youth の初期メンバーとして活動を開始。バンドの大黒柱としてバンドはインディーとメジャーを行き来しながら活動を続けていますが、上記の通り現在は実質的な活動休止状態にあります。
1988年にソロとして初となるアルバム『Mmmr』を発表。最近では2011年に『Demolished Thoughts』を、今年5月に新作アルバムを発表しました。また、2012年にはソロで行ったライブのメンバーで『Chelsea Light Moving』を結成し、2013年にアルバム『Chelsea Light Moving』を発表。今後の活動が期待されています。
Sonic Youthとしてフジロックやサマーソニックに数回出演し、またソロでの来日も今年含めて何回かあり、そのノイジーなサウンドで日本のファンを震えさせました。


Sonic Youth – Teenage Riot

ギタープレイの特徴

ギターを破壊するサーストン・ムーア まさに今ギターを破壊しようとする場面

Sonic Youth はメジャーな音楽に対するカウンター的なものであり、それ故サーストンのギタープレイは混沌としたサウンドを生み出すことに特化しています。何といってもその爆音かつノイジーなサウンドに特徴があり、ファズ・エフェクターを用いたノイズサウンドや、大音量のアンプにギターをぶつけることによって出すハウリング、これでもかというほどに音を揺らす激しいチョーキングやアーミング、ワウエフェクターなどを用いる他に、ほとんどの曲で変則チューニングを用い、自作のコードを使うことさえあります。それどころか曲によってはギターを踏みつけたり、ステージに叩きつけたり、投げたりすることによって特殊なサウンドを生みだしているなんともギター泣かせなギタリストです。


Sonic Youth – Sugar Kane

Sonic Youth では3本のギター全てが異なった変則チューニングを用いることもありますが、それが単なるノイズに終わらず、ポップなメロディーと融合し一つの曲としてまとまっている点に作曲の中心人物であるサーストンの偉大さが感じられます。
サーストンがノイジーなサウンドを求める裏には、彼がパンクに大きな影響を受けている点にあるのでしょう。シンプルなコードとリフを繰り返すようなパンクサウンドに先進的なアートなものを求めるとどうしても限界がきてしまう。そこで彼はノイズという手法を用いて新しい音楽を生み出そうとしているのです。それ故彼の作り出すメロディラインはポップの裏に不安な影があり、ギターはシンプルで技術的な負担が少ないことを変則的なコードで行い、それを使いこなして今までにない構成の曲を作り上げているのです。

使用機材

ギター:Fender Jazzmaster

サーストン・ムーアの Fender Jazzmaster

サーストンは殆どの全ての曲をフェンダー・ジャズマスターで演奏しています。ノイジーなサウンドを出しやすい大きなシングルコイルのピックアップと、ブリッジ以降の高音でも容易に出せること、滑らかなアーミングが特徴です。
ジャズマスターの名前とは裏腹に、ジャズの世界では全く人気がなく、ロックシーン、特にグランジ・ロックのギタリストの間で人気があり、サーストンの他にも Dinosaur Jr. の J・マスシスなど多くのアーティストが使用しているギターです。
しかし、当時グランジ・ロックバンドが Jazzmaster を好んだ理由が「人気がなく他の Fender 産ギターより安かった」というものなので、サーストンも初めてこのギターを手にしたときは金欠だったのかもしれません。例えそうだとしても、このギターが気に入って使い続けていることは間違いないでしょう。
変則チューニングからギターの破壊行為などを多用するサーストンのギタープレイは、このギターにできることを全て使っているといっていいかもしれません。
上記の通りライブ中に踏みつけたりして壊すことが多く、曲によってチューニングが異なるので曲ごとにギターを変える必要があり、Jazzmaster だけで何本か所持しているようです。それでもライブではチューニングの時間が長く、ファンの中には「ライブはチューニングを見るもの」と冗談を言う人もいます。

アンプ

Peavey Roadmaster(ヘッド)と Marshall 1960 Leadを使用。Peavey Roadmaster は日本国内だとマイナーなアンプですが、サーストンは1992年から今まで使い続けているようです。

エフェクター

Sitori-Sonics-Harem-Fuzz Sitori Sonics Harem Fuzz

Big Muff Russia、ファズフェイス(imDunlop JH-3)、Sitori Sonics Harem Fuzz と3つものファズを曲によって使いわけしているようです。場合によっては全部オンにする場合もあり、ノイジーな音を作るのに欠かせないファズは彼のカオスなサウンドには必須のものとなっています。
ファズの中でも特に Sonics Harem Fuzz は気に入っているようで、TEENAGE RIOT など多くの曲で使用されています。黒マフことロシア製 Big Muff はグランジの定番エフェクターであり、初期から愛用しているようです。
ファズのセッティングは基本的にはフルテンですが、曲によっては軽くかけるだけであり、彼の不気味なギターサウンドを特徴づけています。

歪み系エフェクターでは他にも Turbo RAT(ディストーション)を、ブースターとして Hotcake をそれぞれ所有していますが、最近では RAT を使うことは少なくなったようです。
その他に MXR Phase 90(フェイザー)Mutron Wah/Vol(ワウ・ボリュームペダル)を使っており、後者はビンテージ品なので中々手に入りにくいものになっています。

これらの機材の多くは1999年に一度盗難されていますが、盗難前後で機材変更は殆どないようです。これらの機材はファンの努力もあって多くが返還されており、2013年にもギターが戻ってきて「こんな昔のものが返ってくるとは思わなかった」とサーストンも驚いていました。


Sonic Youth – Little Trouble Girl

Disco

Daydream Nation

Daydream Nation

1988年にリリースされたSonic Youthのインディーでのラストアルバム。彼らの代表的なアルバムであり、ポップな要素とカオスなノイズの世界を融合したサウンドは奥深く、何度きいても新しい発見があります。彼らの代表曲である Teen Age Riot が収録されているのもこのアルバムです。これからSonic Youthを聞きたいという人は、まずこれを手に取ってみるといいでしょう。

Goo

Goo

1990年にリリースされたメジャーデビューアルバム。変則チューニングを多用した挑戦的な曲が多いが、ポップな要素はDaydream Nationよりも強いように感じます。恐らくバンドがメジャーを多少なりとも意識した結果でしょう。このアルバムも名盤とされており、初心者に向いています。二枚目のアルバムにオススメ。

Experimental Jet Set, Trash & No Star

Experimental Jet Set, Trash & No Star

1994年に発表したアルバム。前作までのノイズに比べて陰鬱なノイズが目立ち、カオスなメロディーとギタープレイが目立ちます。中でもBull In The Heatherは怪しい雰囲気が漂っておりSonic Youthらしい曲となっています。
Sonic Yothのイメージを固めたアルバムといってもいいので、前述の2枚のアルバムが気に入った人にはぜひ聞いて欲しいです。

Demolished Thought

Demolished Thought

2011年発表のソロアルバム。Sonic Youth 時代のノイズサウンドと比べ、アコースティックな仕上がりになっているものの、メロディラインは不穏とポップを融合した彼らしいものとなっています。サーストンの盟友である BECK がプロデュースしているので、両方のファンならば是非聞いてください。