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ケヴィン・シールズ(Kevin Shields)

ケヴィン・シールズ(Kevin Shields)

ケヴィン・シールズは、シューゲイザー(足元を見つめる人 = ライブ中に足元のエフェクターばかり見つめている内省的な人、の意)と呼ばれる音楽ジャンルの頂点に君臨したアイルランドのロックバンド「My Bloody Valentine(マイブラッディヴァレンタイン:通称マイブラ)」のリーダー、ボーカル・ギタリスト、作詞・作曲家。

マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの音楽は、洪水のようなギター・ノイズ/曖昧なメロディライン/攻撃的で幻想的かつポップなサウンド/不協和音といった、既存の商業音楽とは完全に一線を画した独創的なスタイルで、様々なジャンルに多くのフォロワーを生み出したバンドです。デビュー後2枚のアルバムを残してあっけなく解散してしまいますが(のち復活)、現代に至るまで世に与えた影響は計り知れません。

あまりに独創的なサウンドを作り出してしまったため奇人・変人のレッテルを貼られていたケヴィン・シールズですが、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン解散後はプライマル・スクリームの作品にプロデュース・ギターで参加、映画『ロスト・イン・トランスレーション』の音楽担当、ポール・ウェラーの作品に参加するなど、精力的な音楽活動を展開しています。

Biography


My Bloody Valentine – To Here Knows When
90年代サイケデリック/シューゲイザーの金字塔アルバム「Loveless」は、ジャンル/時代を超えて多くのフォロワーを生み出した。ちなみに Loveless を寝る前にかけると、必ずといっていいほど最後まで聞くことなく眠りに入ってしまうという説も。酩酊度が高く睡眠導入剤としても最適。

1984年マイ・ブラッディ・バレンタインをダブリンにて結成。幾度かのメンバーの脱退を繰り返し、ビリンダ・ブッチャー(ボーカル・ギター)が加入した時点で音楽性の方向がある程度定まり、1988年に発表された「ユー・メイド・ミー・リアライズ」、アルバム「イズント・エニシング」でヒットします。この時点で、ノイズの桃源郷の様なスタイルが確立されました。

mybloodyvalentine class=一番左がケヴィン・シールズ。ビリンダ・ブッチャーは左から2番目。

歴史的名盤「Loveless」

しかし2枚目のアルバム「Loveless(ラブレス)」は、前作で確立された音楽的スタイルをさらに極端にソリッドにさせたものでした。「ラブレス」のノイズ・ギターはケヴィン・シールズとビリンダ・ブッチャーによって、もはやどういったフレーズを弾いているのかは判別不可能なくらい何重にも重ねられ、前作「イズント・エニシング」と違い、メイン・ボーカルがケヴィン・シールズからビリンダ・ブッチャーに比重が増え、ビリンダ・ブッチャーの甘く妖艶で儚げなボーカルによってサウンドは一層幻想的なものになりました。
同時に、ワーミー・ペダルの使用/ハウス音楽への傾向による攻撃的なサウンドなど、攻撃性と幻想とノイズという一見ミスマッチな要素が渾然一体となった不思議な魅力を得て、アルバムは全世界でヒットします。

「ラブレス」で燃え尽きてしまったのか、マイ・ブラッディ・バレンタインはその後目立った活動やアルバムのリリースはしませんでしたが、長期間の潜伏を経てケヴィン・シールズは音楽活動を再開させます。

プライマル・スクリームへの参加

2000年、ケヴィン・シールズ氏はプライマル・スクリーム(Primal Scream)の最高傑作と名高いアルバム「XTRMNTR」、2002年のアルバム「イーヴル・ヒート」に参加。どちらのアルバムも音楽的評価が高く、話題になりました。またツアーに同行し、ステージ・ギタリストとして復活しています。


ケヴィンがギターで参加した楽曲:Accelerator

マイブラ再結成以降

2007年にマイ・ブラッディ・ヴァレンタインが再結成。ここ日本でもフジロックフェスティバル ’08に参加しました。

2009年にはポール・ウェラー(Paul Weller)のシングルに参加、デジタル配信版と限定7インチ版の2タイプのみの販売で、久しぶりのノイズギターを披露しています。

2013年2月、22年ぶりのニューアルバム「m b v」リリース。来日ツアー決行。


My Bloody Valentine – Soon
アルバム「Loveless」のラストナンバー。アルバム冒頭から最後の曲まで、徹底してドリーミーで「あちら側」なサウンドが心地良い

ギター・プレイの特徴

アルバム「ラブレス」では、ギターをファズなどのエフェクターを使って極度に歪ませた上に、アームを操作しながらコード・ストロークを行う、この奏法によって音程はあいまいになり、抽象的な音像を作り出しました。
このように氏のプレイはギターノイズが最大の特徴ですが、独特のコードワークも見逃せません。独特の不協和音を生み出すために曲によって「EEEEAE」「EBEF#BE」といった変則的なオープン・チューニングを採用するなど、同様にオープンチューニングを取り入れていたバンド「ソニック・ユース」の影響を色濃く感じさせます。

使用機材

使用エレキギター

フェンダー・ジャズマスターフェンダー・ジャガーを使用。

使用エフェクター

Devi Ever Shoe Gazer

グラフィック・イコライザーBOSS GE-7、トレモロペダルPN-2のそれぞれ2個使いなどは有名。中でもDevi Ever Shoe Gazerは、それまで使っていた歪みペダルmarshall SHREDMASTERの座を奪い取ったファズ・エフェクター。2種類の爆音系ファズを直列につないだ2フットスイッチ仕様で、音の壁を生み出すことができるという新世代のファズ・ペダルです。

この他ワーミー、ダンロップのRotovibe、サンプラーなどを使用しています。

Discography

MyBloodyValentine – ISN’T ANYTHING

MyBloodyValentine - ISN'T ANYTHING

シューゲイザーと呼ばれる音楽の最高峰に位置した2枚目のアルバム「Loveless」からさか上ること3年前のアルバム。「Loveless」ほどの突き抜けたアバンギャルドさはないですが、骨格となるポップな質感や陰鬱としたボーカル・轟音ノイズのサイケデリックの片鱗を味わうことができます。

1988年リリース作品

MyBloodyValentine – LOVELESS

MyBloodyValentine - LOVELESS

90年代の音楽シーンにおいて最重要、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン最高傑作「Loveless」。このアルバムを制作するためにレコード会社は予算を使い果たし(日本円で4500万!)倒産寸前、彼自身も精神のバランスを崩しています。幾重にも重ねられた、洪水のようなゆがんだディストーション・ギターがまるでオーケストラのように調性を持って心地よく聞こえます。この地球上で作られたとは思えないサウンド。ビリンダ・ブッチャーの消え入るような甘美なボーカルと攻撃的なサウンドが、憂鬱と至福が、奇跡的に同居しているアルバム。

1991年リリース作品

Primal Scream – XTRMNTR

Primal Scream

プライマル・スクリームの6作目にして最高傑作。2曲目をケヴィン・シールズがミックスしています。ドラムン・ベース,ダブ,ファンクなど現代音楽を吸収し、それを全てロックというフィルターから吐き出しています。

2000年リリース作品


My Bloody Valentine – Swallow