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フェンダー・ジャガー(Fender Jaguar)

フェンダー・ジャガーのエレキギター レフティ・モデルのフェンダー・ジャパン・ジャガー

フェンダー・ジャガーは、先に発表されていたジャズマスターをベースにユーザーの要求を取り入れつつ、最新機能を満載させた「フェンダーの最上位機種」として開発されました。レオ・フェンダーはクルマ好きで、英国の高級車メーカー「ジャガー」がネーミングの由来です。ライバルであるギブソンから顧客を奪うつもりで開発されたらしいのですが、それどころか70年代に不人気機種となり、製造が中止されてしまいます。

現在でもストラトキャスターやテレキャスターほどの支持を得るには至っていませんが、「踏み荒らされていない道を行く人々に愛されてきた」と言われるように、特定のジャンルにおける定番機種という地位を得て再生産されています。それだけ強烈な個性を持っている機種だと言えるでしょう。

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1: フェンダー・ジャガーの歴史 2: フェンダー・ジャガーの特徴〜ジャズマスターとの違い〜 2.1: ジャズマスターとの共通点 2.2: ジャガー独自の特徴 3: ストラトとジャガーのサウンド比較 4: フェンダー・ジャガーのラインナップ 4.1: Fender Custom Shop 1962 Jaguar NOS 4.2: Fender USA AMERICAN VINTAGE '65 JAGUAR 4.3: Fender USA AMERICAN PROFESSIONAL JAGUAR 4.4: Fender USA CLASSIC PLAYER JAGUAR SPECIAL 4.5: Fender Road Worn '60s Jaguar 4.6: Fender Japan、Squier by Fender 5: 主な愛用者とシグネイチャーモデル 5.1: ジョニー・マー 5.2: カート・コバーン

フェンダー・ジャガーの歴史

ジャズマスターをベースに、フェンダーの最上位機種として1962年に発表され、ザ・ビーチ・ボーイズなどこの時代のサーフィン・ミュージックでブレイクした人気機種でしたが、ロングサスティンが求められる時代になって不人気機種となり、1975年に生産が中止されます。

1986年にジャズマスターとともにフェンダージャパンから再生産されますが、その後1990年代に入りカート・コバーン(ニルヴァーナ)が使用した事で、オルタナ、グランジ界で人気機種となり、2000年にUSAで生産が再開されるようになりました。

フェンダー・ジャガーの特徴〜ジャズマスターとの違い〜

ここでは混同されやすいフェンダー・ジャズマスターとの比較を中心に紹介します。

ジャズマスターとの共通点

特徴的なボディシェイプ

ジャガーとジャズマスターの違い左がジャガー、右がジャズマスター(いずれもAmerican Vintage ’65)

ジャガー/ジャズマスター両機種とも、立っていても座っていても弾きやすいバランスを狙って設計される「オフセットウェスト」と言われる左右非対称のボディ形状となっています。両機種のギターのボディ形状は大変良く似ていますが同一ではなく、ジャガーの方が気持ちシャープなシェイプになっています。

プリセット回路

ジャガーのコントロール系統 ジャガーのコントロール系統

ジャガー/ジャズマスター両機種とも、リード/サイドの切り替え用に、「プリセット回路」を持っています。これは通常のコントロールとは別にフロントピックアップの音量とトーンを設定しておく回路で、スライドスイッチで通常時とプリセットを切り替えられるようになっています。通常のコントロールがいかなるポジションであっても、プリセットに切り替えるとココで設定した音量/トーンのフロントピックアップのサウンドが得られます。


フローティング・トレモロ

フローティング・トレモロジャズマスターと同様のトレモロ

テイルピースを動かす事でピッチを変化させる方式で、ストラトのシンクロナイズドトレモロほど大きな音程変化は得られませんが、より滑らかに音程を変化させる事ができます。使うつもりがない時には動かないようにもできる高性能なユニットです。

ブリッジが固定されていないのが「フローティング」という名前の由来で、アームの上下に応じて若干動くようになっています。アームを使用した時にチューニングが狂うのを抑える設計で、レオ・フェンダーは以前設計したどのトレモロユニットよりも優れていると信じていたようです。しかしこの構造により音の伸び(=サスティン)を損なう事になり、不人気機種の汚名を着せられる事になりました。

ブリッジとテイルピースが離れており弦の共振で音が出やすく、また弾いても音を出す事ができるため、ソニック・ユースなどノイズをも音楽に利用するスタイルのアーティストに頻繁に利用されます。

ジャガー独自の特徴

ネックスケール

ジャズマスターはフェンダー標準の長さである25.5インチ(324mm)で21フレットのロングスケールネックですが、ジャガーは24インチ(=305mm)で22フレットのショートスケールネックが採用されています。

ジャガーのブリッジ標準のブリッジ:弦が落ちやすい

弦のテンションが緩くなるので弾きやすくなりますが、激しいストロークやチョーキングを行うと「弦落ち」と言ってブリッジから弦が外れてしまう事があります。これはそういう個性だと受け止めるか、パーツ交換(チューン・O・マチック・タイプのブリッジなど)や部品取り付けなどで対処することになります。
《宿命への挑戦》Jaguar/Jazzmaster「弦落ち」対策


ピックアップ

ジャガーのピックアップジャガーにしか搭載されない独特のPU

ジャガーサウンドの最大の特徴であるピックアップは、シャープな音を志向して設計された専用のもので、ヨークという淵に金属の”ギザギザ”が付けられ磁力が強化されたシングルコイル・ピックアップです。
フェンダーらしいシャープな音で、ストラトに近いキャラクターを持っていますが、磁力が強化された専用ピックアップはパンチがあって、サスティンと引き換えに独特のアタック感があります。エッジが立った、歯切れ良く鋭いトーンを特徴としており、一音一音が澄んでいて、綺麗な響きがあり、金属的な荒々しさも併せ持っています。

少し歪みを加えただけでもハウリングが起こるなどデリケートな一面を持ちますが、まったく歪ませないクリーントーンでは、"鈴なりのようなサウンド"と評されるストラトキャスターにも劣らない奥行きがある艶やかなサウンドを奏でます。


スイッチ類

プリセットのメタルプレート

ジャガーではスイッチ類をメタルプレートにマウントしており、ピックガード一枚に全てが乗っているジャズマスターと比べて無骨なイメージになっています。
また、ピックアップセレクターがそれぞれのピックアップのON/OFF を設定するタイプのスライドスイッチになっていますが、そのすぐ隣に「ハイパスフィルター」スイッチが追加されています。
ジャガーは通常時に低域が豊かに響きますが、ハイパスを入れると低域が削られ軽やかな印象のサウンドになります。


ミュート

右手の代わりにブリッジミュートをしてくれるパーツが付いています。しかしこれは大失敗で、使うときと使わないときとで半音程チューニングが変わってしまいます。「トーンキラー」とまで揶揄され、すぐ廃止になりました。

ストラトとジャガーのサウンド比較

Supernice!スタッフによる Fender Japan Jaguar の演奏です。
・DAW:Logic PRO X
・オーディオインターフェイス:Universal Apollo TWIN DUO
という環境で録音しています。

同じ条件下で、ストラトキャスター(Fender American Standard Stratocaster)を使って同様のフレーズの演奏と比較してみると、ジャガーのほうが

  • 暴れる感じ
  • チャキっとしたアタック
  • サスティーンは少なめ

といった特徴を感じることができます。ジャガー専用ピックアップの恩恵が大きいものと思われます。

フェンダー・ジャガーのラインナップ

Fender Custom Shop 1962 Jaguar NOS

フェンダーの最上級グレードを生産するカスタムショップ製ジャガー。アッシュボディ/ラッカー塗装/ヴィンテージスタイル・フレット採用、カスタムショップ製専用ピックアップを装備したホワイトのジャガーが、日本限定でリリースされています。

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Fender USA AMERICAN VINTAGE ’65 JAGUAR

Fender USA AMERICAN VINTAGE '65 JAGUAR

カリフォルニア州コロナ工場で生産される王道フェンダー・ギターのジャガー。1965年当時に作られたジャガーを再現した「アメリカン・ビンテージ」シリーズです。専用ピックアップ New American Vintage ’65 Jaguar 搭載、アルダーボディ/ローズウッド指板、ネックにバインディングが施され、ハードケースが付属します。

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Fender USA AMERICAN PROFESSIONAL JAGUAR

AMERICAN PROFESSIONAL JAGUAR

2017年よりスタートしたAMERICAN PROFESSIONALシリーズのジャガー。ジャガーの代名詞であるスイッチ類が省略され、ボリュームを下げた時にも高域の出力を維持する「トレブルブリードサーキット」を新たに搭載、新開発のV-Mod シングルコイルJaguarピックアップ/ブラス製Mustangサドル/フローティング・トレモロ搭載Jaguarブリッジ/モダンDeep Cネック/細く高めな「ナロートール」フレットを採用するなど、大きく進化しています。
Antique Olive、Sonic Grayといったグリーン系の新色が特徴的。また、ジャガーといえばローズウッド指板ですが、このシリーズのみメイプル指板のモデルが用意されています。

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Fender MEX

Fender USA CLASSIC PLAYER JAGUAR SPECIAL

Fender USA CLASSIC PLAYER JAGUAR SPECIAL

メキシコ・エンセナダ工場で生産される「CLASSIC PLAYER」シリーズのジャガー。AMERICAN VINTAGE ’65 JAGUAR に比べて安価に手に入れることができます。伝統的なルックスはそのままに、ブリッジの位置やネックの仕込み角などアレンジを加えた現代のジャガー、2ハム使用のものもあります。

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Road Worn ’60s Jaguar

Road Worn '60s Jaguar Road Worn ’60s Jaguar

シルクのような肌触りが人気の「ニトロセルロースラッカー塗装」をボディに施したジャガーです。アルダーボディ、メイプルネック、ローズウッド指板、22フレット(ミディアム・ジャンボ)/指板R7.25″のショートスケールとなっており、「American Vintage ’65 Jaguar」ピックアップを搭載、フロントは甘さときらめきの共存する芳醇なトーンを持ち、リアには極上のキレの良さがあります。

伝統的なサドルは「弦落ち」の可能性が高いことから苦手に感じているギタリストが多くいますが、反対に「ネジの溝に弦がちょこんと乗っかっている状態の音こそが、本来のジャガーの音」だとして愛用者が多いのも事実です。「弦落ち」しないように力加減に留意して演奏するのか、「弦落ち」しないように改造を施すのか、こういったところもジャガーの面白さになっています。

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Fender Japan、Squier by Fender

Fender Japan、Squierのジャガー 左から:Fender JApan JG/HO(生産終了)、Fender Japan JG66、Fender Japan JGS、Swuier V.Modified Jaguar、Squier FSR Jaguar

日本のみ流通する「Classic 60s Jaguar」、スクワイアからも伝統的なスタイルを継承した「Vintage Modified Jaguar」、トレモロを排したりハムバッカーに変更したりというアレンジを施したモデルがリリースされています。

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主な愛用者とシグネイチャーモデル

ジョニー・マー(Johnny Marr、1963-)

Johnny Marr – Dynamo [Official Music Video]

オアシスのノエル・ギャラガーや元スウェードのバーナード・バトラーなど多くのブリティッシュ系ギタリストに影響を与えたギタリスト。イギリスの若者には熱烈に支持されたポストパンクバンド「ザ・スミス」を皮切りに、プリテンダーズ、ザ・ザなど多くのプロジェクトに参加しました。「ギタリストはあくまで伴奏者である」というソングライター志向のポリシーを持っており、曲に相応しいフレーズに心血を注ぐスタイルを持っています。

Johnny Marr Jaguar
Johnny Marr Jaguar

マー氏の名を冠したジャガーはもともと持っていた65年製ジャガーを模し、アルダーボディ、ブリッジにはムスタングのサドルを使用し、62年製ジャガーをベースに開発したジョニー・マーモデルピックアップを搭載しています。テレキャスターに似たセレクタスイッチは4ポジションで、フロント、リア、フロント+リア並列、フロント+リア直列がセレクトできます。プリセット回路はブライトスイッチに変更され、常時有効のものとフロント+リア直列の時のみに有効になるものの二つがマウントされています。

本人は「ジャガー、リッケンバッカー、グレッチの3つの音が出せるのが最大の特徴」といい、ライブではほとんどの曲をこれで演奏しています。
ジョニー・マー

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カート・コバーン(Kurt Donald Cobain、1967-1994)

Nirvana – Smells Like Teen Spirit

1990年代を代表するグランジバンド「ニルヴァーナ」を牽引し、アルバム「ネヴァーマインド」は社会現象にまでなりましたが、27歳のときにショットガンで自殺してしまいます。

Kurt Cobain Jaguar
Kurt Cobain Jaguar

トレードマークだった’65年製ジャガーはコバーン氏が中古で入手した時には既に改造されていた謎の多い楽器でしたが、「ネヴァーマインド」発表20周年を記念し、そのまま再現したモデルがリリースされています。
USAのKURT COBAIN JAGUARはグロス仕上げ、メキシコのKURT COBAIN ROAD WORN JAGUARはフェイデッド仕上げで、いずれもレフティがあります。ストリングガイドを増設したネックにはバインディングがあり、2ボリューム1トーン、ディマジオのPAFをフロント、スーパーディストーションをリアにマウント、セレクタはトグルスイッチに変更しています。ジャガーの強いアタックとパワフルなハムバッカーにより、激しい歪みがとても似合うギターです。
カート・コバーン

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この他、ザ・ビーチボーイズのカール・ウィルソンを筆頭に、マイ・ブラッディ・バレンタインのギター・ボーカルであるケヴィン・シールズ、「レッド・ホット・チリ・ペッパー」の元ギタリストであるジョン・フルシアンテも使用しています。

国内ではブルージーンズ結成当時の寺内タケシや加瀬邦彦もジャガーを使用。LUNA SEAのギタリスト SUGIZO 氏も愛用した経緯があり、自身のレスポール・シェイプのオリジナル・ギターのピックアップをジャガーのものと入れ替えて演奏するなどしています。