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《最強最新鋭》Fender American Ultra Stratocaster

Fender American Ultra Stratocaster American Ultra Stratocaster(Plasma Red Burst)

フェンダーの最強最新鋭「アメリカンエリート」シリーズの登場から3年、同社の最上位グレードは「アメリカン・ウルトラ」シリーズへと刷新されました。誕生から半世紀以上、最新のストラトキャスターとは、どんな姿をしているのでしょうか。今回はアメリカンウルトラ・シリーズより、2タイプのストラトキャスターに注目していきましょう。


American Ultra Stratocaster | American Ultra Series | Fender

アメリカンウルトラ・シリーズの特徴

新シリーズ「アメリカンウルトラ」シリーズのストラトキャスターにはどんな特徴があるのか、かいつまんで見ていきましょう。

「フェンダーUSA最上位」を象徴するヘッド意匠

American Ultra Stratocaster:ヘッド

アメリカンウルトラ・ストラトキャスターのヘッドは、エッチング処理で切り抜いた「Fender」ロゴと「STRATOCASTER」のモデル名のみ貼られる、というシンプルな意匠です。これはアメリカンデラックス、アメリカンエリート、そしてアメリカンウルトラへと連綿と受け継がれてきた「モダン系最上位機種」を象徴するデザインです。文字には立体感があり、他モデルで使用される平面的なシールとは一味違う高級感を漂わせます。

サウンドバリエーションを増強させる「S-1スイッチ」

ボリュームノブに仕込まれたプッシュ/プッシュ式(押したらON、再び押したらOFF)のスイッチが、「S-1」スイッチです。ストラトキャスターの伝統的な外観を損なうことなくスイッチを増設できる、フェンダーだけの特別な部品です。

S-1スイッチは端子の数が多く、さまざまな工夫に挑戦することができます。アメリカンウルトラ・ストラトキャスターでは、

  • HSS機:リアのハムバッカーをコイルタップする
  • SSS機:フロントピックアップを常時ONにする

という比較的わかりやすい設定になっています。

ウルトラノイズレス・ピックアップ

American Ultra Stratocaster:ピックアップ American Ultra Stratocaster(Cobra Blue)

第4世代まで進化したノイズレス・ピックアップは、新シリーズから「ウルトラノイズレス」と名称が変更されました。ストラトキャスターでは、由緒正しいフェンダートーンをノイズなしに楽しめる「ウルトラノイズレス・ヴィンテージ(SSS)」、オーバードライブとの相性がよい高出力な「ウルトラノイズレス・ホット(HSS)」の2タイプが開発されています。なお、HSS機のリアにはシングルコイルとの音量差を考慮した「ウルトラダブルタップ」ハムバッカーが載せられます。

ポールピースに注目!

ストラトキャスターのシングルコイル・ピクアップは、高さの違うポールピースが並ぶ「スタガード・ポールピース(ランダム・ポールピース)」が標準的な仕様です。「2弦が引っ込み、3弦が突き出ている」というのが伝統的な形式でしたが、第4世代ノイズレス以降、現代の状況に合わせた「1弦から3弦まで徐々に引っ込んでいき、また4弦から6弦まで徐々に引っ込んでいく」という配列に切り替わっています。これにより、「細い弦には近付き、太い弦からは若干遠ざかる」という弦ごとの音量差を考慮したポールピース配列が実現したわけです。弦ごとの音量差は大きく改善され、「2弦が引っ込み、3弦がやたらでかい」というストラト独特の音量差に悩まされることがなくなりました。

従来品で3弦のポールピースが突き出ているのは、かつて3弦がワウンド(巻)弦だったころの名残です。ワウンド3弦の芯は2弦より細くてパワーが無いので、ポールピースを伸ばして弦に近づけていたわけです。

American Ultra Stratocaster:ポールピース 図:新旧のポールピースをかなり大げさに表現した模式図

スムースな弾き心地の新しいネック

ネックシェイプには「モダンD」が採用され、ショルダー部分の存在感のある、親指を前に出して演奏するスタイルに特に有利な、それでいてどんなスタイルでもストレスなく運指できる握り心地になっています。指板のエッジが滑らかに処理されることで指にやさしく、またナット部で10″、最終フレットで14″と指板Rが変化する「コンパウンド・ラジアス(円錐)」指板が採用されています。コンパウンド・ラジアス指板は弦高を抑えたセッティングがしやすく、コードを押さえるのもメロディを弾くのも、各ポジションで理想的な弾き心地が得られます。

遂に採用したボディ背面

American Ultra Stratocaster:ボディ背面

ボディのバックコンターが「数十年の時を経て初めてアップデート(公式サイトより)」されたのは、とうとうフェンダーがここに手を出した、歴史的な事態です。ここで「コンター」と言われているのは身体とフィットさせる部分のことではなく、

  • ジョイントヒール部
  • 高音側カッタウェイ部

の加工です。直方体だったヒールをカットしてハイポジションの演奏性を向上させる「ヒールカット」はこれまでも施されていましたが、それはあくまでも角(カド)を落とす二次元的なものでした。しかし新シリーズではヒール先端に向けて徐々に厚みを落としていく、三次元的な処理を採用しています。また高音側カッタウェイの裏側も、フィンガリングの邪魔にならないようにカットされています。これらの処理により、ハイポジションでの演奏性はさらに高まりました。

パーツ類など、モダン系の仕様

American Ultra Stratocaster:ペグ

アメリカンウルトラ・シリーズは「モダン系最高グレード」の名に恥じない、現代的な仕様が随所に採用されています。

  • ペグ:堅牢なロトマチックタイプのロッキングチューナー
  • フレット:やや大きめで押弦がラクな、ミディアムジャンボ・フレット
  • ブリッジ:アーミングに有利な2点支持タイプ。
  • アーム:着脱にくるくる回さなくても良い「ポップイン・アーム」。アームのバーは太くて頑丈。
  • サドル:サスティンに優れるブロックサドル

これらのパーツ類は、演奏性や安定性、音響特性を追求してギターが進化した成果であり、ストラトのパーツとしては、今のところ最も性能が良いものだと考えられています。こうした部品を使用しているストラトは、旧式のパーツを使用しているストラトよりも弾きやすく、チューニングが安定し、サスティンが豊かに響きます。

アメリカンウルトラ・ストラトキャスターのラインナップ

ではいよいよ、2タイプのアメリカンウルトラ・ストラトキャスターをチェックしていきましょう。2タイプはピックアップに違いがあります。見慣れた感じの色調も真新しい色調もありますが、中央のオレンジから外周のレッドへ変化する「プラズマレッド・バースト」が、シリーズを象徴する新色です。

まずは主な共通仕様から見て行きましょう。

アメリカンウルトラ・ストラトキャスターの共通仕様

  • ボディ材:アルダー(エイジドナチュラルのみ、アッシュ)
  • ネック材:メイプル
  • ネック接続:4点留め、新しいヒールカット採用
  • トラスロッド:バイフレックス(両利き。順ぞりにも逆ぞりにも利く)
  • 指板材:メイプルもしくはローズウッド(ボディカラーにより決定)
  • 操作系:マスターボリューム(+S-1スイッチ)、フロント&ミドルトーン、リアトーン、5WAYセレクター
  • ペグ:ロトマチックタイプのロック式(背面から弦を固定する「サムホイール」タイプ)
  • シンクロナイズド・トレモロユニット:2点支持、ブロックサドル、ポップインアーム

伝統的なストラトキャスターの様式を守り、S-1スイッチこそあれ基本的な使い方は半世紀前のストラトキャスターとほぼ変わっていません。新しいヒールカット、現代的な金属部品、そして新開発のウルトラノイズレス・ピックアップが大きな特徴だと言えるでしょう。では、それぞれについて見て行きましょう。

American Ultra Stratocaster

American Ultra Stratocaster Maple

American Ultra Stratocaster Rosewood

モダン系最高グレードのストラトキャスターは、伝統的なフェンダーのサウンドをノイズ無しで楽しめる「ウルトラノイズレス・ヴィンテージ」ピックアップを3基搭載しています。パワーを押さえた煌びやかなサウンドが持ち味です。S-1スイッチを起動すると「フロントピックアップ常時ON」となり、普通のストラトキャスターでは不可能だった

  • フロント+リア
  • シングルコイル全部

という組み合わせが使用できるようになります。

American Ultra Stratocaster HSS

American Ultra Stratocaster HSS Maple

American Ultra Stratocaster HSS Rosewood

リアに「ウルトラダブルタップ」ハムバッカーを備えたHSS配列機は、フロントとミドルに「ウルトラノイズレス・ホット」ピックアップを採用しています。SSS機のシングルコイルと異なり、オーバードライブとの相性を意識した高出力タイプです。リアの「ウルトラダブルタップ」ハムバッカーは、フロントおよびミドルとの音量差を考慮した、やや出力を押さえた設計です。そうした低出力ハムバッカーは、コイルタップすると出力が不足しがちです。しかしフェンダーの「ダブルタップ」ハムバッカーは、タップ時の音量がシングルコイルとしてちょうどよいあんばいになるよう作られています。

S-1スイッチは、ハムバッカーのコイルタップ起動スイッチとして機能します。リア+ミドルのハーフトーンを

  • リアハムバッカー+ミドルシングル
  • リアシングル+ミドルシングル

の二つから選べる、またはHSS機としてもSSS機としても使用できることになります。

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アメリカンエリートから、どう変わったのか?

ではこのアメリカンウルトラ・ストラトキャスターは前身のアメリカンエリート・ストラトキャスターからどう変化したのでしょうか。両者の相違点をチェックしてみましょう。

(旧)アメリカンエリート・ストラト (新)アメリカンウルトラ・ストラト
ボディ仕様 アルダーorアッシュ。2次元的にカドをカットするジョイントヒール アルダーorアッシュ。厚みも変化させる3次元的なジョイントヒール
指板 メイプルorエボニー メイプルorローズウッド
ネック仕様 コンパウンドラジアス指板&ネックシェイプ、トラスロッドは指板側から挿入、ネックエンド側に開口 コンパウンドラジアス指板、モダンDシェイプネック、トラスロッドはグリップ側から挿入、ヘッド側に開口
ハムバッカー ショウバッカー(ヴィンテージPAFを意識) ウルトラダブルタップ(シングルコイルとの音量差、タップ時の音量差を意識)
操作系 S-1スイッチでサウンドバリエーションが5つ増える。トーン2はミドル&リア S-1スイッチはシンプル機能。トーン1でフロント&ミドル。
価格 30万円近辺 24万円近辺

表:モダン系最強ストラトの新旧比較

「ヒールカットが3次元的になった」のは、エリート→ウルトラの変化どころの騒ぎではなく、フェンダー史上最大級の仕様変更です。「ローズウッドが入手困難になった!」というニュースは記憶に新しいところですが、「エリート」ではその打開策としてさらに上位のエボニーを投入、「ウルトラ」ではその状況が改善されてローズ指板が復活しました。「エリート」が発表された当時は「モダン系の本体に、ヴィンテージ系のピックアップ」という仕様が流行していたこともあって、ハムバッカーはヴィンテージ志向でしたが、「ウルトラ」では音量差を注視した、利便性重視のハムバッカーが採用されています。

ネックグリップやS-1スイッチの機能その他で、「ウルトラ」はシンプルな方向にシフトし、価格も抑えられています。フェンダーのモダン系最高グレードは、「最新鋭のスペックを世に問う高機能モデル」から「手に入れやすく、道具として使いやすい現場志向」へと方向転換した、と読み取ることができます。