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弦高を調整する

弦高を調整する

弦高とは弦とフレットとの隙間のことです。弦高が高いと張力が強くなり、より澄んだ音になるのですがそのぶん弦が押さえにくくなります。逆に低いと弾きやすくなるのですが、そのぶん弦の張力は失われます。低すぎるとフレットと弦があたり、いわゆる”ビビり”が生じてしまいます。

例えば弦のゲージをライトからミディアムに変えた時、ただ変えただけなのに弦高が1mm増えて4mmになりました。当然、押さえにくくなります。弦の張力は確実に強くなっているのですから。とはいえ高いには高い、低いには低いなりのメリット・デメリットがあるので、自分がどんな音・どんなプレイが好みなのか見極めたうえで調節するといいでしょう。

弦高の見方

ギターに定規を当てて「何フレット地点で何ミリ」という判定法が一般的ですが、ティーズ・ギター(T’s Guitars)の高橋社長が提唱する「コイン法」を使うと、かなりシビアに弦高をチェックできます。1円玉や10円玉などのコインを基準に、何フレット地点まで、「弦に干渉せずにフレットと弦の間にコインが挟まるか」を覚えておくわけです。
《一人ひとりに届けたい》T’s Guitars訪問インタビュー

弦高が高い場合

弦高が高いと、それだけ弦が硬くなります。押さえる時の弦の反発は弦高に比例して強くなります。またブリッジやナットの位置を上げると、ここにかかる弦の圧力が増しますから、開放弦の張力も上がります。

弦高が高いことのメリット

1) 弦高が上がると、弦の張力が増すことからサウンドがブライトになり、張りとコシが増強され、「一音の存在感」が増します。バンドでの音抜けが良くなって音の迫力が増すことから、暖かみが増したと感じる人も多くいます。

2) 音を切りやすくなることから、カッティング系のプレイがしやすくなります。またピックに対する反発も強くなることから、弦の「ピック離れ」が良くなり、指弾きにも良好です。

3) 弦を「ガシっ」と押さえることから「ギターを弾いている!」感を強く感じることができます。特にアコースティックギターからエレキギターに転向した人は、ちょっと高めの方が気持ちよく感じる傾向にあるようです。

弦高が高いことのデメリット

1) 弦の反発が強いことから、押弦に要求される指の圧力もそれに応じて強くなります。「弦高が高いと弾きにくい」と言われる第一に理由がこれです。フレットのすぐ近くを押さえるように心がけていれば比較的軽い圧力で押さえることができますが、ある程度の指の強さが必要になります。弦が硬くてチョーキングが上げにくくなるのも、ロック系のギタリストにとっては大きなデメリットとなります。

2) 弦を押さえる指が開放弦に触れやすくなることから、オープンコードなど開放弦を使用したプレイが難しくなります。反面、「不要弦のミュート」がしやすくなるというメリットにもなりえます。

弦高が低い場合

弦高が低いと、それだけ弦が柔らかくなります。押さえる時の弦の反発は弦高に比例して弱くなります。またブリッジやナットの位置が下がると、ここにかかる弦の圧力が減りますから、開放弦の張力も下がります。メリットとデメリットは、弦高が高い場合の逆になります。

弦高が低いことのメリット

1) 弦高を押さえるのに必要な指の力が減り、また押さえきるまでの距離が短くなることから、速弾きやタッピング、スウィープなどのテクニカルなプレイがに挑戦しやすくなります。

2) 指の力がいらなくなることから、「弦高を下げると弾きやすい」と評されます。その意味で、ギターを始めたばかりの人や女性、お子様にとっても大変弾きやすくなります。一方で、あまりに弦高を低くしてしまうと、弾く時にフレットと弦があたってしまい「ビビリ」が生じます。サスティーンも乏しくなるので、あまり下げすぎては気持ちの良い音になりません。弦高を低くしたい場合、「ビビりを生じさせずに自分好みの高さに調節する」のが調整のキモとなります。
弦がビビる、その原因を探ってみよう

弦高が低いことのデメリット

1) 弦高が低いことによる弦の張力低下は、サウンドに影響します。弦高が高い時ほどの張りやブライトさ、また「音抜け」が得られないため、「金属的な音」と評されることもあります。

2) 「押さえやすい」ことの裏返しで「音が切りにくい」こともデメリットになります。軽く触れただけで弦を押さえきってしまいますから、不要弦に触れて音が出ないようにするためには精度の高いミュートテクニックが求められます。

弦高の調節方法

弦高は、

  • 1) ナットの高さ
  • 2) ネックの反り
  • 3) サドル(ブリッジ)の高さ

この3つの要素で決まります。ナットの調整には専門的な技術が必要なので、リペアマンに依頼するのが良いでしょう。ネックの反りについては、別ページで解説しています。
ネックの反りを確認・調節する

ギターは弾いているうちにコンディションが変化していくことが多く、知らない間に弦高が変わっていることも珍しくありません。弦高はギタリストにとって猛烈にこだわるポイントとなりますから、始めたばかりで良く分からなくても、ちょっと気にするようにしましょう。

エレキギターの場合

エレキギターの種類によって異なりますが、ブリッジに付いているネジを締めたり緩めたりすることで弦の高さを調節します。

ストラトキャスター・タイプのブリッジの場合

ストラトキャスターの弦高調節 極細のレンチを使ってイモネジを左右に回す

ストラトキャスター・タイプの各弦のサドルには、「イモネジ」と呼ばれる2つのピンがついています。極細の六角レンチを使ってこれを左右に回すことで高さを調節できます。2つが同じ高さになるように(水平になるように)調整しましょう。テレキャスター・タイプのギターでも、同様に調整できます。

弦高を下げすぎると、鳴らした時に弦とフレットがぶつかって生じる「ビビリ」が発生することもあります。調節しながらもこまめに音を鳴らしてチェックするといいでしょう。

レスポール・タイプのブリッジの場合

レスポールの弦高調節 ブリッジについている円盤状の金属「サムナット」を回す

レスポール・タイプのエレキギターでは、ブリッジの底についているサムナットと呼ばれる円盤状の金属を回して高さを調節します。少々面倒くさいかもしれませんが、弦をしっかり緩めると、パーツ名の通り親指(thumb:サム)で簡単に回すことができます。サムナットを貫くネジがブリッジから顔を出していますので、マイナスドライバーなどを使って回すことができるものもあります。
ストラトキャスター・タイプと違って各弦毎の調節はできません。両側のサムナットを使い、ブリッジ全体の高さを調整します。

  • 円盤を時計周りに回せば弦高は低く
  • 円盤を半時計周りに回せば弦高は高く

なります

このタイプのブリッジはサムナットに乗っかっているだけなので、弦を外すと簡単に外れてしまいます。ブリッジの重さから解き放たれたサムナットはいともたやすく回ってしまい、せっかく調整した高さが狂ってしまいます。できるだけブリッジの高さを保持したい場合は、なるべくブリッジを外さないようにしましょう。

2点支持のトレモロユニットの場合

フロイドローズ・タイプの弦高調節 フロイドローズ・タイプ:6角レンチを使って回す

現代的な仕様のストラトキャスターやFRT(フロイドローズ)などのブリッジは、1弦側と6弦側の2本の太いネジ(スタッド)で高さを調整します。スタッドはメーカーによりドライバーで回すものと6角レンチで回すものがありますが、たいていの場合は弦が邪魔で回しにくくなっています。高さを調整するときには、全体的に弦を緩めて、特に1弦と6弦はしっかり緩めて、スタッドにかかるブリッジからの圧力を軽減しておくと、ラクに回すことができます。

アコースティック・ギターの場合

acogi-genkou VINCENT VN-5 Pops:グリーン
VINCENTギターのラインナップ紹介

アコギの弦高は「12フレット地点で3mm以下」が低くて弾きやすい目安だとされており、2.5mmが理想とされています。それ以上下げるとビビリやすくなる場合があります。

アコギの弦高を下げる場合には、サドルを削って調節します。弦高を上げる場合には、サドルとブリッジの間に紙などを挟むか、新たに高さのあるサドルを作ります。アコギのサドル調整には高度な加工技術が必要なので、プロのリペアマンに依頼するのが最も理想的です。自力での調整に挑むなら、粗めから極細までの紙やすりを用意しておきましょう。
サドルを削って低くする場合は、底面を削ります。切削面は「可能な限り平面にする」必要があります。サドルの底は、弦振動をブリッジに伝える大事な部分です。底面が完全な平面でないとサドルとブリッジが密着せず、弦振動がうまく本体に伝わりません。結果「鳴らないギター」になってしまうのです。

エレアコの場合には、サドルの下にピエゾ式のピックアップがあるので、それを傷つけないように注意してください。ピックアップに傷をつけると、音の拾い方が悪くなってしまいます。


以上、「弦高」をテーマに特徴や調整法を紹介しました。自分にとってベストな弦高に調節することは、自分のギターを好みのトーンに近づけるカスタマイズの第一歩です。弦高調整でパーツのどこかが壊れたりギターの調子が悪くなったりすることはあまり無いので、積極的に調整してみましょう。