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ギターのボディ材について

ギターのボディ材

ギターのボディを見ると、ストラトキャスターやレスポール、またはホロウボディなど、楽器のおおまかなキャラクターを判別することができます。これにどんな材料が使われているのか、どんな塗装が施されているのかは、サウンドに大きく影響します。今回は、ボディの物質的な要素、材料と塗装に注目していきましょう。

ボディの材料

ボディ材それぞれのキャラクターが、ギターのサウンドに大きく影響します。まずはオーソドックスな木材について、知っておきましょう。

アルダー材

アルダー材

「アルダー」は、北アメリカやロシア、ヨーロッパ、西アジアなどで幅広く生育している広葉樹で、アッシュと異なりくっきりとした木目は持たず、細かく真っすぐな木目を持っています。水との比重は平均0.43と、ギターのボディ材としては軽量な部類に入ります。
「枯れた、抜けの良いトーン」と良く言われますが、特定の際立ったクセは特になく、高域から低域までバランスよく響くサウンド特性を持っています。「アッシュとマホガニーの中間」とも考えられており、廉価版レスポールのバック材として、マホガニーの代わりに使用される事もあります。

Fender USA / American Standard Stratocaster 3-Color Sunburst

フェンダー・ストラトキャスター、テレキャスターなどフェンダー系ギターのボディ材として多く使われています。

アッシュ材

アッシュ材

「アッシュ」は詳しくは「ホワイト・アッシュ」という品種で、カナダ、北アメリカ、ヨーロッパといった寒い地域でじっくりと育った大型樹木です。ハッキリと並んだ木目の美しさが目を引く木材ですが、家具や建築の資材としては安価で求めやすい木材です。

アタックとレスポンスが特に優れ、メリハリの効いた輪郭のはっきりしたサウンド特性を持っています。
繊維が詰まっておりずっしりと重たいのも特徴で、重量があればあるほど低音域が豊かに響くと言われています。このサウンドから、現在でもボディ材にアッシュをセレクトするファンが多くいます。しかしながら水との比重が平均0.69と、他のスタンダードなボディ材と比較すると非常に重く、比較的軽量なアルダーに置き換えられたという経緯があります。

Fender Japan Exclusive Classic 70s Stratocaster「Ash Natural」
アッシュ材は木目の出方がはっきりとしている

現在では平均の比重が0.42とアルダー以上に軽量な「ライトアッシュ(=スワンプ・アッシュ)」と呼ばれるアッシュ材も使用されますが、これはホワイト・アッシュが比較的温暖な湿地帯(=英:swamp)でぐんぐん育ったもので、成長が早いために導管が太くなり、密度が低くなっています。軽量な分低音域が薄くなる傾向にありますが、抜けがよく人気です。

エレキギターの歴史だけを見ると、このライトアッシュは比較的新しい木材のように考えられます。しかし実際は、当時新参企業だったフェンダーが材木屋に注文しても、軽量のアッシュは古参の家具メーカーなどにとられてしまっていた、ということだったようです。

バスウッド材

バスウッド材

「バスウッド」はカナダ、北アメリカ、ヨーロッパに生育しています。比重は0.41と軽量で、柔らかく加工がしやすく、また安価に仕入れる事ができる事から、廉価版のギターに採用される事が多いマテリアルです。

Fender Japan Exclusive Classic 60s Stratocaster
フェンダー・ジャパン系ギターに採用されることが多い

「安い材」というマイナスイメージを持ちやすい木材ですが、サウンド特性は素直でクセがなく、ピックアップの特性や本体の設計をしっかり反映してくれるマテリアルだとして、ハイエンドモデルのバック材にも採用されています。またFRTなど重い金属パーツの強烈な個性を中和するのに良い木材として、アイバニーズやジャクソン、シェクターなどのヘヴィ系ギターにも多く採用されています。

メイプル材

メイプル材

クリアーでアタックの強い輪郭のハッキリしたサウンドが特徴、かなりの重量があるのでボディ全部がメイプルというものは少なく、ボディ・トップ(表)のみに使用される事が多い木材です。

美しい杢(もく)が出ているものは「フィギュアド(模様のある)メイプル」と呼ばれます。このうちストライプ模様のものは日本語では虎杢、英語ではフレイム/カーリー/タイガーメイプルと呼ばれます。また、雲のような模様は日本語で玉杢、英語ではキルト/キルテッドメイプルと呼ばれます。近年では黒いスジが不規則に走るスポルテッド・メイプルも多く見られます。

Gibson Custom 2016 Standard Historic Series 1959 Les Paul Reissue
2枚のフレイムメイプルが貼り合わせられたボディトップ

キルテッドメイプル 加工される前のキルテッドメイプル。1ブロック「◯万円」という代物

マホガニー材

マホガニー材

マホガニーはレスポールのバック材、SG、ファイヤーバードのボディ材などに多く使用されているとても軽い材です。アコースティックギターのサイドやバックにも使用され、ファットで中低域に特徴があります。ハムバッキング・ピックアップとの相性が良好と考えられていますが、P-90との相性も抜群です。
また、産地によりグレードが分かれます。標準~高級がアフリカ産、高級~最高級がホンジュラス産、そして最高を超えた幻のキューバ産、です。

Gibson SG Standard Heritage Cherry
ボディ材とネック材にマホガニーが使われている

そのほか、木材ではないもの

アクリル(透明ボディ)、アルミニウム(トーカイ「タルボ」が有名)、グラファイト(かつてのスタインバーガー)、硬質繊維板メゾナイト(ダン・エレクトロ)などなど、さまざまな材料がギターのボディに使用されます。これらは総じて木材より頑丈で、独特のサウンドキャラクターを持っています。

さまざまなトップ材について

レスポール(メイプルトップ&マホガニーバック)に代表されるように、2種類の木材を貼り合せ(ラミネート)て双方の個性をブレンドさせるギターも、多く見られます。近年ではウォルナット、ジリコテ、各種バール材など、個性的なトップを採用したモデルが、私たちの目を楽しませてくれます。しかし、トップ材がサウンドに影響するためには、ある程度の厚みが要求されます。

近年では木工技術の進化により、木材を1mm以下の厚みにまでスライスできるようになりました。杢の出た美しい薄板を化粧版としてトップに貼りつけるモデルも、多く見られます。現状ではこうした構造も「銘木のトップ」とみなされますが、あまりに薄い化粧版はルックスを演出するためのものであり、サウンドを作るためのものではない、と考えられています。

石橋さん Red House 石橋社長

「鳴る」って何でしょうか?

弊社では「どこが鳴っているのか?」を重視し、特に「ボディ」と「弦」の二つに分けてアプローチしています。「ボディが鳴っている」のはアコギに近いアプローチで、生音が豊かに鳴ります。「弦がしっかり鳴っている」というのは、ボディ鳴りが少なめでソリッドな音に向かい、タイト感が増します。

また、樹種や金属の種類などの「材質」より、質量すなわち「重さ」の方が、サウンドへの影響が大きいと考えています。重いボディ材の場合、ボディよりも弦が鳴り、サスティンが伸びます。軽いボディ材の場合、弦よりボディが鳴り、サスティンは短くなります。しかし、どちらが優れている、という話ではありません。

メタルで音量がっつりで深く歪ませるなら、タイトで音程感があって立ち上がりが早くハウリングしない、ボディじゃなくて弦がしっかり鳴る「締め込んだ楽器」が好まれます。
これに対し、エアー感やコード感が欲しいという人は、ボディ鳴りが有る方向に振った楽器が好まれます。メタルをやりたい人にとって、ボディがバンバン鳴る楽器はもっさりしすぎると感じるでしょう。また、コードを響かせて歌ものがやりたい人にとって、メタル向きのタイトなギターは薄っぺらくてつまらないと感じるかもしれません。
《愛機復活!!》Red Houseにネック交換を依頼してみた!
《オーダーメイド体験》Red Houseにベースをオーダーする!
より要約

ボディの塗装

ボディの塗装

どんなエレキギターでも表面を塗装しています。塗装の種類はラッカー(ニトロセルロース・ラッカー)塗装、ポリ(ポリウレタン/ポリエステル)塗装の2つが主流です。

ラッカー塗装

ボディのひび割れ ひび割れたテレキャスターのボディ

1950〜60年代にフェンダーで作られたギターやギブソンの古いギター、また古いギターを再現したビンテージ系高級ギター(フェンダーカスタムショップ製ギターなど)に用いられることの多い、薄くぬりつけるスプレー式の塗装です。

「木の鳴りが良い」といった意見や経年変化によって生じるクラック(ひび割れ)を「アジ」と感じる人も多く、オールドギターに憧れを持つ層に人気です。しかしゴムや油脂に長く接していると、化学反応が起きて軟化してしまうことがあります。弾いたら付着した汗を拭く、ギタースタンドに立てっぱなしにしない、こうした心がけが必要です。

Sugi Guitars代表取締役 杉本眞

ラッカーは特別な機械を使わないし1液(使用する液体が1種類)ですから配合しなくても良いし、手間がやたらかかるけれども「ラク」な塗装ではあります。しかしここ(自社製品)まで薄いものは研磨もできないため、奇麗に仕上げるにはそうとうな技術を要します。
《将来ヴィンテージと呼ばれるギターを創りたい》Sugi Guitars 訪問インタビュー

ポリ塗装

ラッカーよりも厚く塗り付けるプラスティック・タイプの塗装です。丈夫で汎用性が高くコストが安く仕上がるので、多くの汎用型ギターに採用されています。キズが付きにくく気軽に使用できるのがメリットですが、高級なものでは音のために極薄に塗られることもあるので、やはりぶつけないように気を配って扱いましょう。

今福三郎 フジゲン株式会社MI事業部 今福三郎氏

(ポリエステル塗装って、安いギター向けなんじゃないの?という質問に対して)塗料メーカーからすると、ポリエステルは「最高級の塗料」なんです。保護する能力は抜群で、高品質な仕上がりで値段が高く、設備にも費用がかかります。もちろん低価格な塗料を使うなどすると安いギターに使用できますが、弊社では最高級のポリエステルを最高の設備で使用しています。「ポリエステル」で、ひとくくりにすることはできません。
《職人の手は、速い》フジゲン大町工場訪問インタビュー

オイルフィニッシュ

「オイルフィニッシュ」は、木材にオイルを塗って染み込ませる仕上げ法です。「塗装は薄ければ薄いほど音が良い」と考えられており、その意味ではもっとも音の良い塗装です。しかし、塗膜があまりに薄いので「楽器本体の保護」という塗装本来の機能はほぼ期待できず、キズがたいへん付きやすいのが注意点です。逆にこれを「楽器の成熟」と解釈する人にとっては、最高の塗装です。
また作業に注意が必要なことから、これができる工場は限られています。

オイルフィニッシュはトップラッカー塗装などと違い塗ってから磨くことができないため、キズが付いてしまわないように細心の注意を払います。
– 株式会社ディバイザー WEB事業部 相澤森
様々なブランドで提唱する新しい価値:ディバイザー訪問インタビュー

ボディのお手入れ

ボディは割れたりヒビが入ったりしない限り、特にメンテナンスは必要ありません。少し汚れが目立つと思った時に、ポリッシュを少しクロスに染み込ませて拭いて上げると良いですが、日頃から練習後にギタークロスで拭いて上げるだけで大丈夫です。

ボディ表面に付着した油脂やヨゴレは振動を吸収しやすいことから、エンジニアの中には、「表面をキレイに磨き上げるだけでサウンドが良くなる」という持論を持つ方もいらっしゃいます。
ポリッシュを使ったギターのお手入れ