《弦交換のついでにできる》ギターのお手入れ5つを紹介!

[記事公開日]2021/12/24 [最終更新日]2023/10/1
[ライター]小林健悟 [編集者]神崎聡

エレキギターのメンテナンスについて。
ポリッシュ等の種類や使用方法など、日頃するべきお手入れについてお教えください。宜しくお願いします。 – (2011/8/26)50~59歳 男性(自営業・フリーランス)

みなさんはどんなギターのお手入れをしていますか?
ギターはいつもキレイな状態なわけではなく、指板・ネック・ボディなど、弾いていくうちに汚れてきます。ギター博士は「長く大切に楽器を使いたいので、弦を張り替えるタイミングで指板やボディのクリーニングをしてる」ということで、今回はギター博士が具体的にどんな道具を使ってギターのお手入れをしているのか紹介していきます。
「レモンオイル・オレンジオイル…色々なメンテナンス製品があるけど、どれを使おうか迷っている」という人は参考にしてみてください。


ギター博士が弦交換の時にしている5つのお手入れ方法

ギター博士がお手入れに使っているアイテム

ギターのお手入れ

ギターの塗装やネックはデリケートなので、メンテナンスにはギター専用の物を使いましょう。ギター博士はいつも

  • 1) 「指板専用クリーナー」で指板の汚れを取り、
  • 2) 「フィンガーボードオイル」で指板を保湿し
  • 3) 「ギター用ワックス/ポリッシュ」で本体を磨き、
  • 4) 「乾拭き」で本体を仕上げ、
  • 5) 「ナット用グリス」でチューニングのさらなる安定を目指す。

という順でお手入れしています。作業には「汚れをとるクロス」「乾拭き用のクロス」の2枚を用意しましたが、手元に2枚ない人は1枚でも大丈夫です。汚れていないところを使って乾拭きしてください。

お手入れの手順

それでは作業の手順を順番に見ていきましょう。

1) 指板専用クリーナーで汚れを取る

まずは全ての弦を外し、指板の汚れをとる作業です。

指板専用クリーナーで汚れを取る

:クロスに指板専用クリーナーを吹きかけます。指板に直接スプレーすると、使いすぎになります。

:指板の汚れを拭き取ります。力は入れすぎず表面の脂汚れを浮かすくらいのイメージで、ですが何周も繰り返してしっかりと汚れを拭き取っていきます。

:汚れがしっかり取れたら、最後に乾拭き用クロスでクリーナーの残りを拭き取り作業完了です。

博士が使ったクリーナー:TRICK Fretboard Cleaner

TRICK Fretboard Cleaner

油分を分解し指板の汚れを落とす、指板専用のクリーナー「TRICK Fretboard Cleaner(TRICK TP11)」。においが残らない水溶性で、塗装を傷つけず簡単に汚れを落とすことができます。トップアーティストをサポートするギターテクニシャンにも愛用されているとのことです。

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2) フィンガーボードオイルで指板を保湿

続いて、指板を保湿する作業に移ります。塗装されているメイプル指板にこの作業は不要ですが、塗装されていないローズウッドやエボニーなどの指板には、定期的にオイルを染み込ませて潤いを維持させる必要があります。

特に冬場など、乾燥しすぎると触り心地が悪くなったり指板が痩せてフレットがハミ出てしまったり、最悪の場合割れてしまったりする可能性があります。「TRICK TP11」は汚れ落し用なので、保湿効果のあるフィンガーボードオイルを指板に染み込ませていきます。

フィンガーボードオイルで指板を保湿

:クロスにオイルを数滴染み込ませます。博士は「頻繁に塗る派」なので、クロスを使って少量塗り込む感じです。「たまに塗る派」の人は、滴り落ちない程度に多目に塗って染み込ませ、一定時間を経てから拭き取ります。

:指板に満遍なく塗りこみ、拭き残しのないように磨き上げていきます。これで指板のお手入れは完了。

:指板が潤いツヤツヤになりました。

博士が使ったオイル:Freedom Custom Guitar Reserch「SP-P-11 Lemon Oil」

SP-P-11 Lemon Oil

ローズウッド指板、エボニー指板に最適。無臭で浸透率が高く、指板に潤いを与え、しっとりなめらかな手触りになります。クリーニング効果と保湿効果の両方があるので、クリーナーとオイル両方を用意するのが手間だという人に適しています。

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3) ギター用ワックス/ポリッシュでボディやネックの汚れを落とす

ボディに付いた指紋や汗など、乾拭きでは落ちないギター全体の汚れを拭き取り、ボディやネックに輝きを与えます。
なお、「ワックス」と「ポリッシュ」に明確な違いはありませんが、ねっとりしているものが「ワックス」、液状のものやスプレーのものが「ポリッシュ」と名付けられる傾向にあります。これらは塗装面の「ツヤ出し」と「保護」のために使われますが、「汚れの除去」もできる製品が一般化しています。博士はクリーナー成分の入っているポリッシュを使っているので、塗る&拭くで作業完了です。クリーナー成分の入っていないこだわりの製品を使う場合、その前にギター用クリーナーで汚れを落とします。

ギター用ワックス

:作業はこれまでと同様、クロス染み込ませて使います。

:ボディを磨いていきます。

:ボディの裏、ネックの裏、ヘッドなども、汚れが気になる部分はしっかりと磨きます。

博士が使ったポリッシュ:KEN SMITH PRO FORMULA POLISH

guitar-polish

「PRO FORMULA POLISH」は一流ビルダーやリペアマンに愛用されているというポリッシュ。塗装を痛めずに汚れを落として艶を出す効果があり、ポリウレタン/サテンフィニッシュ/ヴィンテージギターのラッカー塗装の他にも、アコースティックギターやドラムやピアノなど、あらゆる楽器に使うことができます。塗った後はスベスベの触感になり、上品なアロマが漂います。


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4) 全体を乾拭きして、仕上げる

乾拭き

ポリッシュを塗り付けたクロスで拭くだけでは、表面に余分なポリッシュが残ってしまいがちです。そこで塗装面の仕上げには、新しいクロスで乾拭きを行います。この工程を踏むことで、ポリッシュによる光沢がギターに馴染んで自然な雰囲気になります。

博士の使った乾拭き用クロス:ESP「CL-8G Cloth」

ESP CL-8G Cloth

ESP「CL-8G CLOTH」通称「グローブ・クロス」は、同社のコットン製クロス「CL-6」の手袋版です。手を完全に覆ってしまうので、キレイにしたばかりの塗装面に指紋をつけてしまうなんてことを未然に防ぐことができます。シリコンを含んでいないため、ラッカー塗装のギターにも安心して使えます。材質は綿100%で、レッド、オレンジ、イエローの3色が選べます。

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5) ナットにオイルを塗って、完了

ナットにオイルを塗る

博士は最後に、ナットの溝やブリッジサドル、ペグポストにオイルを塗りました。この部分の摩擦を軽減させることで、チューニングの安定度が向上します。オイルの代わりに鉛筆の芯を塗り付けるという民間療法もあります。

博士の使ったオイル:Freedom Custom Guitar Research「SP-P-09」

Freedom Custom Guitar Research SP-P-09

フリーダム「SP-P-09」は、ギターのいろいろなところの摩擦を軽減させる、ハケでさっと塗れる液状タイプのシリコンオイルです。ナットの溝のほかテンションバーやストリングリテイナーの裏側、ブリッジサドル等の弦とパーツの接点、トレモロブリッジの支点、トレモロスプリングといった可動部分に使用できます。ただし塗装面にダメージを及ぼすことがあるため、ボディやネックに塗ってしまわないように慎重な施工が肝心です。

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clear

ギター博士から一言

これで汚れてたギターがピッカピカになったゾィ!!特に指板のお手入れは、寒くなってくる前に一度やっておくと安心して冬を越せるんぢゃ。ワシはだいたい季節の変わり目毎にこういったメンテナンスをしておる。

こうやって自分でメンテナンスしてギターを大事にしていると練習意欲も湧くし、自分のギターに愛着も湧いてくる。お手入れをすることでモチベーションをあげてくれるんじゃないかと思うゾ♪

その他のメンテナンス・アイテムについて

ここまで紹介した指板専用クリーナー/フィンガーボードオイル/ギター用ワックス以外にも、クリーナーと同様の働きをする「レモンオイル」、指板の滑りを良くする潤滑剤、接触不良を解消する接点復活剤などのメンテナンス用品があります。

ギター用指板潤滑剤

TONE フィンガーイーズTONE フィンガーイーズ

弦と指の滑りをよくするための液体です。「スプレータイプ」と「塗布タイプ」のものがあり、これもクロスに吹き付けてから使用するのが良いでしょう。指板の滑りが悪い/ひっかかりがあるなど感じる時に使うと効果があります。
弦の錆び止め効果もアリ。

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接点復活剤

接点復活剤Electro Harmonix
Metal Contact

ケーブルの接触不良を解決するためのスプレーです。エレキギターやアンプ、エフェクターなどの差込口に埃がたまるなどして音が出にくくなった時に使いましょう。スプレーを差込口に拭きかけ、シールドを差し込んでから何度かクルクルと回したり、抜き差しすればOKです。

接触不良で音が出なくなったら?接点復活剤を使ってみよう!

プロに聞いてみた!

Q:指板のメンテナンスについて、教えてください。

Kino FACTORY:木下勇

Kino FACTORY 代表木下勇さん:レモンオイルやオレンジオイルは最後には揮発します。指板は「保湿ができていて、しっとりしている」のが良いですが、その意味で指板用ワックスはお勧めです。Kino FACTORYのギターは、指板にワックスを塗って出荷します。また弊社でメンテナンスする時には、レモンオイルを塗ってから一晩おいて、そこから拭きあげて汚れを除去した上で、やはりワックスを塗っています。

スパンについては3カ月~半年くらいの幅で、お好みの期間で決定してくれて大丈夫です。指板であれ弦であれフレットであれ、「何を気にするか」は弾き手それぞれであり、プロミュージシャンの中には1ステージ弾いただけでフレットを磨くという人もいます。「このギターにとって」ではなく「このギターを弾く自分にとって」何が良いか、でメンテナンスしてください。

《今までにないものを作りたい》Kino FACTORY訪問インタビュー


以上、弦交換のついでにできるギターのお手入れを見ていきました。時間と道具があれば、ここでフレットを磨いても良いでしょう。くすんでいたフレットが輝きを取り戻すと、弾きやすさが跳ね上がります。

「フレット磨き」やったことある?プロの磨きを体験してみた!

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