ネックの反りを確認・調節する

[記事公開日]2014/3/26 [最終更新日]2020/3/3
[編集者]神崎聡

ネックの反りを調節

ほとんどのギターのネックは木でできています。木は金属のような強い耐性はありません。したがってネックには弦の張力が掛かっているので弦の力に負けたり,温度や湿度の変化によって曲がってしまうことがあります。このことを「ネックが反る(そる)」と言いいます。
ネックが反っていると,弦高が高すぎて弾きにくいとか,弦がビリつくだとか,音程が悪いとかの症状となって表れてきます。ネックが反った場合には,その状況をすばやく判断して的確な対処をすることが大切です。

いくら高価なギターでも必ず起こるネックの反り・音がビリつきや詰まりなどは、時間の経過と共に発生するものです。このページではギターの反り具合を確認する方法を紹介すると共に、ギター博士によって実際にネックの反りを調節する方法について解説していきます。

ネックの反りを確認する

反りには「順反り」「逆反り」の2種類があります。たいていはギター弦のテンションに負けて順反りしてる場合がほとんどです。

順反り:ネックがお皿のように真ん中でくぼんでいる、逆反り:順反りの逆

ネックの反りの様子ネックの反りの様子

目で見て確認

ヘッドから見た様子ヘッドから見た様子

ボディ側からの様子ボディ側からの様子

ネックの反りを確認する時のポイントは、ヘッドからだけではなくてボディーのおしりの方からもフレット・ネックの様子を見ることです。右の図のようにエレキギターをヘッド側から、おしり側からシゲシゲと眺めてみましょう。ちょっとでも歪みがないか確認してください。

歪みが出ている部分があれば、その部分のフレットを押さえて音を鳴らしてみてください。ビビッていたり、チューニングが合わないようでしたら反っている可能性が高いです。見て分からない場合でもこのような方法で確かめることができます。

正面から見てわかりにくい場合は、すこし斜めの角度から見るなど工夫してみてください。

弦とフレットの隙間で確認

1フレット、最終フレットを押さえて、12フレット付近の弦とフレットの隙間を調べる

ギターをチューニングした状態で1フレットと最終フレット上で、フレットに弦がつくように軽く押さえます。
1フレットと最終フレットの中央あたりのフレット(8〜12フレットあたり)で弦とフレットの間に最適な隙間があるかどうかで、ネックが反っているかを判断する方法です。
0.5mm程度が最適と言われ、これよりも隙間が大きいと「順反り」、隙間が全然ない状態だと「逆反り」と判断できます。

ネックの反りを調節する方法

ネックの中に埋め込まれている、反りを調節することが可能なトラスロッドと呼ばれる金属の棒(アジャスタブルロッドとも言われます)を回して調節します。その際に、必ず弦を張った状態で行います。弦を張らない状態でネックの反りを直してしまうと、弦を張った時に張力によってまっすぐな状態から弓なりに反ってしまうからです。作業に自信がない人/初心者の人は楽器店で修理してもらいましょう。

トラスロッドの場所

トラスロッドカバー トラスロッドカバーをドライバーで外す

トラスロッドの場所は、サウンドホール内のネックとのつなぎ目のところにあるタイプと、ヘッド部分にカバーしてあってその中にロッドが隠れているタイプの2つがあり、ギターの種類によって違います。

トラスロッドのまわし方

トラスロッドを回す

ロッドを回すには六角レンチ(場合によってはボックストラスロッドレンチ)を使います。回す方向はネックの反り方によって方向が異なります。ネックを上にして、

順反り:時計回り、逆反り:反時計回り

と作業します。

回しすぎに注意!

ロッドをまわすのは一日に45度~90度までにしておきましょう。それ以上多く回しすぎるとネックの形が急激に変わってしまったり折れてしまうこともあるので、危険です。ギターは木材ですから、急激な変化には弱いのです。それにロッドをいっぱいに回してしまってそれ以上調整できなくなってしまう事もあります。あくまで調整の範囲内であることを覚えておきましょう。

ギター博士が「逆反り」を調節してみた!

ギター博士がいつも弾いているギター「PRS SE Custom 24」。ある日弾こうと思ったら、ローポジションのあるフレットでちゃんと音が鳴らない箇所を発見しました。いわゆる「弦がビビる」というやつで、調べていくと逆に反っている「逆反り」だということがわかりました。
弦がビビる、その原因を探ってみよう

そこでギター博士は自分で実際にトラスロッドを調節して直してみた様子が以下の動画です。
参考にしてみて下さい。

トラスロッドを回すときのコツ

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ギター博士「今回調節したギターPRS SE Custom24、調節したおかげでまたちゃんと音が出るようになったわぃ!トラスロッドを回す時のコツじゃゃが、45度くらい回してから一度確認のため弾いてみるといいゾ。くれぐれも回しすぎには注意するんぢゃぞ!!
今回、ボックストラスロッドレンチを使ってトラスロッドを回したが、レスポール・タイプのギターでも同じように回してOKぢゃ♪」

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複雑な反りが出ている場合は…

トラスロッドでの調節は弦による反りの変化を調整するためのものであって、極めて軽度のものしか調整できません。
ネックが斜め方向に反るなど複合的に反っている場合はネックアイロン作業が必要になります。ネックアイロン作業など重度な症状を自分で改善することはかなり難しいので、楽器店やリペア・ショップで直してもらうほうが賢明かもしれません(大切なギターだったらなおさら!)。
ギターが反ってきていることに早めに気づくためにも、コマメにチェックするといいですね。

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