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《エレキギター第3の王道》ポールリードスミス(PRS:Paul Reed Smith)の選び方

ポールリードスミス(PRS:Paul Reed Smith)

「ポール・リード・スミス(以下、PRS)」は、弾きやすく音が良い、エレガントなギターで知られる高級ブランドです。市場へのデビューは1985年と後発ですが、今や老舗のギブソン、フェンダーに並ぶ「第3の王道」として、カルロス・サンタナ氏をはじめとする世界中のギタリストに愛用されています。また、楽器としての機能と工芸品としての美が共存した設計は、後に続くメーカーの手本にもなっています。今回はこのPRSに注目していきましょう。

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1: PRSの歴史 2: PRSのギターを使った有名なギタリストといえば? 3: PRSギターの特徴は? 4: PRSのエレキギター・ラインナップ 4.1: 4つのグレード 4.2: グレードはわかった、どんなモデルがあるの? 5: PRSギターの選び方

PRSの歴史

フェンダーギブソンなど現在の主要なギターメーカーでは、創設者は早い段階で引退、歴史の長さもあって会社のオーナーは何代目かに上っています。「会社の価値を上げるだけ上げたら高値で売って、自分は悠々自適」というのが欧米のビジネスにおける常識です。そんな中、PRSでは創設者のポール・リード・スミス氏が30年以上にわたってずっと会社を牽引、会社はまだまだ成長を続けています。一人での手作りから始まったPRSの軌跡を見てみましょう。

屋根裏部屋からの挑戦

PRSは、今や最大手フェンダー、ギブソンと比肩する巨大メーカーとして君臨しています。しかしそのスタートは屋根裏部屋、大学生一人での手作りでした。ポール・リード・スミス氏は大学在学中から本格的にギターを作り始め、作ったギターを音楽教授に提出、「A」判定を受けたことで、ギターメーカー立ち上げの夢に向かう決心をします。
当時から2,000ドル(現在の円換算で50万円くらい)という高級でエレガントなギターを作っていただけに、ポール氏のプロモーションは最初から「大物狙い」でした。作ったギターを持ってライブ会場に向かい、ローディーに交渉、楽屋へギターを持っていってもらい、アーティストに見てもらったのです。このやり方でピーター・フランプトン氏、アル・ディ・メオラ氏、ハワード・リース氏(Heart所属)ら大物アーティストの注文を受けましたが、ポール氏のギターを世に知らしめたのは、ポール氏のギターをものすごく気に入って以来ずっと使っているカルロス・サンタナ氏でした。

工場設立から世界デビューへ

1984年、ポール氏はいよいよ自分の工場を建立するべく、

  • Custom 24(ヴィンテージ・イエロー)
  • Standard 24(パール・ホワイト)

の二本の試作品を持って、東海岸のギターショップに次々と営業をかけ、注文を取り付けます。これにより2万ドル以上の資金が入り、またそのほか出資をつのってじゅうぶんな資金を集め、ついに翌1985年、工場を設立します。スタッフは20人に満たない規模でしたが、この年に20本のギターを同年のNAMMショーに出展、世界デビューを果たします。ここで発表された「PRS(のちのStandard)」と「Custom」は、現在でもほぼ当時の姿をとどめ、PRS社の主軸として生産されています。

進化に飽くことはない

「エレガントな高級ギター」というPRSの立ち位置は斬新で、エレキギターの新しい市場を開拓しました。NAMMのデビューから1年を待たず、PRSは生産台数1,000本を達成します。

PRS Private Stock 30th Anniversary Dragon
PRS Private Stock 30th Anniversary Dragon

1990年代には、コンピュータ制御の工作機械を導入、価格を抑えたモデルの発表、超高級機「ドラゴン」シリーズやプライベートストックの発表など、新たな挑戦を続行。現在のメリーランド州スティーヴンスビルに工場を移転して規模を拡大、スタッフは100名を超えます。また1996年には、スミソニアン博物館に製品が収蔵されます。
2000年代には工場を大幅に拡大、屋根裏部屋から30年で巨大工場施設へと成長したわけです。またアコースティックギター、ギターアンプなどビジネスを多角化し、価格を圧縮させたS2、SEシリーズを充実させ、より多くの人にギターを届けています。

PRSのギターを使った有名なギタリストといえば?

PRSのギターは多機能でどんなジャンルでも使える便利さがあり、何本も持っている人ならば1本は持っていたいものです。控えの選手としてPRSを持っているプロミュージシャンは世界中にたくさんいますが、ここではメインでPRSを愛用している著名人をピックアップしていきます。


Santana - The Game Of Love ft. Michelle Branch (Official Video)
演奏者:カルロス・サンタナ
こんなストラップ、どこで売っているんだ!と盛大に指摘したくなりますが、カルロス・サンタナ氏こそPRSの上質なサウンドを世界に知らしめた功労者であり、世界的に知られるPRSのプレイヤーでもあります。現在71歳(昭和22年生まれ)というご高齢でありながら、ニューアルバムを発表、ツアーに出るなど、アツくてエロチックなプレイは枯れず、いまだ健在です。こんなジイさんになりたい。


Nickelback - How You Remind Me
演奏者:チャド・クルーガー(ニッケルバック所属)
レスポール派のチャド・クルーガー氏は、主にシングルカッタウェイモデルを愛用。氏のギターはピエゾピックアップを内蔵しており、アコギの澄んだ音からいきなりエレキのドライブサウンドに切り替える、という使われ方が顕著です。PRSのピエゾ内蔵ブリッジは特許を取得しており、エレキギターの本体から本格的なアコースティックサウンドが得られます。


ORIANTHI - RSO - Blues Won't Leave Me Alone
演奏者:オリアンティ
世界的なPRSの女傑としては、このオリアンティ女史を置いて右に出る者はいません。やたらウマく、かつ歌えて、そして絵になる美貌を持ち、プレイスタイルはハードロックの王道ど真ん中です。


ONE OK ROCK - We are [Official Video from "Ambitions" JAPAN TOUR]
演奏者:Toru(ワンオクロック所属)
Toru氏はバンドの知名度も手伝い、日本人アーティストとしては最も著名なPRSユーザーとして知られています。グリーンのCustom 24をトレードマークにしつつ、マッカーティやシルバースカイなど、多くを使い分けています。


BAND-MAID / Bubble
演奏者:KANAMI (バンド・メイド所属)
KANAMI女史は日本のロックバンド、バンド・メイドのリードギターであり、ソングライティングの中心人物でもあります。印象的なリフを生み出す音楽的センスと卓越した演奏技術、圧巻のライブパフォーマンスをもつアツいロックスターでありながら、プライベートではピアノとコーヒーと読書を愛するおっとり系だという、断崖のようなギャップが強力な萌え要素として支持を集めています。

PRSギターの特徴は?

PRS Custom24
PRSを代表するモデル「Custom 24」

PRSは圧倒的とも言える美しい面構えがありつつ、道具としては

  • ハムバッカーの音もシングルコイルの音も使える
  • ボリュームを絞った音の抜けが良い
  • アーミングが可能で、アーミングしてもチューニングは安定している
  • ハイポジションが弾きやすく、本体が軽い

といった特徴を持ち、弾きやすく大変便利なギターです。
よりクローズアップした詳細については、下記リンクを参照してください。定番機種「Custom 24」をピックアップし、入手の現実的な3つのグレード(コア・モデル、S2、SE)の比較も行っています。

PRSを代表するモデル「Custom 24」について

PRSのエレキギター・ラインナップ

PRSのギターが、だいたいどういうものなのかを見てきました。ここからは「グレード」と「モデル」を軸に、それぞれの機種についてチェックしていきましょう。

4つのグレード

PRSのギターは、4つのグレードを設定してモデル展開しています。PRSは高級ブランドなので標準機でもエントリークラスでもなかなかの価格が設定されていますが、それを決して「高い」と思わせないだけの性能と美しさを兼ね備えています。

PRS SEシリーズ ブランド内では低価格帯の「エントリークラス」扱いだが、プロのステージでも使用できるだけの十分な性能がある。
PRS S2シリーズ メイドインUSAながら生産を効率化させ、大幅な低価格化を実現した。このグレードだからこそ挑戦できる、新しいモデル開発にも積極的。
PRS Core Models(コア・モデル) PRSの「標準機」であり、多くのギタリストにとって憧れのギター。オプションで「10top」、さらに上の「アーティスト・パッケージ」がある。
PRS Private Stock(プライベートストック) オーダーメイドも受ける、最高グレード。「個人的に(プライベート)保存(ストlック)していたくなる」ほどの、極めて高いグレードの木材をふんだんに使用。びっくりするくらい高額。

グレードはわかった、どんなモデルがあるの?

PRSからは、さまざまなモデルがリリースされています。だいたいのルックスが似ているものは多いですが、楽器としての感触に大きな違いが設けられ、バリエーションを形成しています。PRSのおおまかなモデルを見ていきましょう。

Custom 24

Custom 24

美しいフィギュアドメイプルトップ、24フレット。PRSの名を世界に知らしめた名機であり、定番機種。コアモデル、S2、SE各グレードからリリース。SEではメイプル以外の銘木を使用したものも。

Custom 22

Custom 22

美しいフィギュアドメイプルトップを持ち、弾き心地は古き良きスタイルの22フレット仕様で、ネックは太め。Core Model、S2、SE各グレードからリリース。コアモデルではピエゾ搭載機があり、S2とSEではセミホロウモデルも。

McCarty(マッカーティ)

McCarty(マッカーティ)

ギターレジェンド、テッド・マッカーティ氏の名を冠する特別なモデル。現代的な性能&弾きやすさと、ヴィンテージのフィーリングが共存。コアモデルからのみリリース。ホロウボディ版、シングルカッタウェイ版も有り。

Silver Sky(シルバースカイ)

Silver Sky(シルバースカイ)

ボルトオンジョイントを採用した、名手ジョン・メイヤー氏のシグネイチャーモデル。ヴィンテージ・ストラトキャスターをイメージして、PRS流に構築した。

CE 24

メイプルネック、ボルトオンジョイントを採用。比較的低価格だが、カスタム24と方向性の違う歯切れのよさも魅力。セミホロウモデルも有り。

Hollowbody(ホロウボディ)

薄型ボディながら内部が大きくくり抜かれている、フルアコ構造。12弦仕様、ピエゾ搭載機あり。リリースはコアモデルのみ。

Standard22 / Standard 24

トップにメイプルを貼らないマホガニーボディで、ピックガードを使用するものもある。ロックに最適なストレートなサウンドと、手に入れやすい価格が大きなメリット。S2とSEからリリース。シングルカッタウェイモデルもある。

Singlecut

エレキギターの伝統を作ったヴィンテージ・スタイル。マーク・トレモンティ氏モデルなど、アーティストモデルにも採用例あり。弦長24.5インチの「SE245」も含まれる。

Specialty

408、509、Paul's Guitar。二つのミニスイッチで、ピックアップを各個にコイルタップできる。

Signature

PRSアーティストのシグネイチャーモデル。SEとコアモデルで展開。

PRSギターの選び方

ここまでPRSの特徴やラインナップをチェックしていきましたが、多岐にわたるラインナップからどれを選べばいいのでしょうか。そんなわけでいろいろな観点から、どんなモデルがお勧めなのかを紹介していきます。PRSを検討している人は、ぜひ参考にしてください。ここでの内容と全く逆に行くというロック的なセレクトもいいでしょう。いっそのこと、色だけで選んでしまっても構いません。それではどうぞ!

代表機種と言えば→「Custom 24」

ごたくはいい、選ぶのは面倒だ、王道と言ったらどれだ。そういう人にはPRSの代表機種、「Custom 24」で間違いありません。演奏性、サウンドバリエーション、またサウンドそのもの、あらゆる面でPRSの優秀さを実感できるであろうモデルです。コアモデルではネックグリップに2種類、またピエゾピックアップ搭載版がありますが、価格とカラーリングで絞り込んで行けば、だいたい大丈夫です。

PRSを代表するモデル「Custom 24」について

初心者~中級者に特におすすめ→「S2 / SEシリーズ」

少々値は張っても、良いギターを長期的に愛用したい、と思っている初心者~中級者の人には、いきなりコアモデルに行かず、

  • 「S2シリーズ」→:手の届くメイドインUSA、PRS「S2シリーズ」について
  • 「SEシリーズ」→:PRS「SEシリーズ」ってどうなの?特徴やライナップを調べてみた

こうした比較的手に入れやすいグレードから選択するのをお勧めします。浮いた予算をアンプやエフェクター、または衣装などに振り分けることができるからです。価格を落としたモデルとはいえ面構えも音もよい、また品質も高く、安心して練習に没頭できます。


SE Custom 24 vs. SE Custom 22
SEシリーズのCustom24と22の比較動画。エントリークラスと言いながらも、かなり高いクオリティ、そしてイイ音ですね。

ロックの王道スタイル→「Singlecut」

「LP好き」を自覚していながらPRSの記事を読んでいるという人にお勧めなのは、シングルカッタウェイモデルでほぼ間違いありません。伝統的なロックの王道スタイルを継承しつつ、サウンドと演奏性はPRSの優秀さをしっかり持っている、まさに理想的なギターです。

グレード モデル名 特徴
Core McCarty SC594 ヴィンテージギターのフィーリングと上質なサウンド。
Core Tremonti Signature McCarty 594をベースとした伝統的なLPスタイルに、優秀なPRSトレモロを装備。
S2 S2 Singlecut 平面を多く残したボディトップは、他グレードと異なる独特の硬質な雰囲気。セミホロウ版もある。
S2 S2 Singlecut Standard ピックガードの付いた独特な風貌。ストレートなサウンドと低価格がメリット。
SE SE 245 / SE245 Standard 弦長24.5インチで、小柄な人にうってつけの演奏性。
SE SE Mark Tremonti コアモデルにある同タイプのSE版。フレイムメイプルが美しい通常版、マホガニーボディのStandardの2モデルある。
SE SE Santana Singlecut Trem 1V1Tのシンプル回路に、24.5インチのショートネック、24フレット、PRSトレモロを装備した、特徴的なモデル。
SE SE Zach Myers SE 245をベースにしたセミホロウボディ。

表:PRSのシングルカッタウェイモデル一覧


The S2 Singlecut Standard | PRS Guitars
ルックスそのまんまの太く力強いトーンに、シングルコイルの鋭いサウンドも手に入る、そして定番のLPタイプと一味違う顔つきが大きなポイントです。

ちょいトラッドにいきたい→「Custom22」「McCarty」

フロントピックアップのサウンドが若干引き締まる24フレット仕様に対し、伝統的な22フレット仕様を採用してファットなフロントの音を手に入れたのが「Custom 22」と「McCarty」です。ダブルカッタウェイの演奏性はそのままに、サウンドもネックも太く、古き良きエレキギターの感触を疑似体験できます。両者はほぼ同じ時期に発表され、共通してトラッドなニュアンスを持っていますが、このうちCustom 22はより現代的な、またMcCartyはよりヴィンテージ・スタイル寄りなギターへと方向づけられています。

《ヴィンテージへのオマージュ》PRS Custom 22
PRS McCarty(マッカーティ)シリーズ

アーミングを多用する→「FRT(フロイドローズ)搭載機」

特許を取得した「PRSトレモロ」はシンクロナイズド・トレモロユニットの形式を踏襲しながらもロングサスティーンとチューニングの安定を達成した、非常に優秀なパーツです。しかしながら「アームアップ」までは非対応です。そこまでアームを使い倒したい人には、「Floyd」モデルがおすすめです。コアモデルとSEから、フロイドローズ・トレモロユニットを搭載したCustom 24がリリースされています。こちらはボディに「ザグり」が加えられていてアームアップができるほか、両機ともネック材にメイプルを採用してネック強度を上げ、アグレッシブなアーミングにも耐えられるようになっています。


SE Custom 24 "Floyd"
ヘヴィ系にフィットするFRT装備でありながら、楽器本体の基本構造は通常のSE Custom 24と同じです。メタルを志向しながらも幅広い音楽性にチャレンジしたい人に、かなり理想的な選択肢です。

アーティストと同じこだわりの仕様→「シグネイチャーモデル」

コアモデルとSEから、各種アーティストモデルがリリースされています。ファンならばぜひチェックして頂きたいモデルですが、弦長や機能、カラーリングなどでレギュラーモデルとは一味違ったギターとしても、じゅうぶん検討の余地があります。これらアーティストモデルは生産期間が比較的短めに設定されていることが多いですから、気になるモデルは早めに手に入れてください。

クリーン/クランチで聴かせたい→ホロウボディという選択

ズムズムに歪ませるハイゲインが必須でなければ、

  • ホロウボディ:コアモデルからリリース。ボディ内部を完全にくり抜いた「フルアコ」構造
  • セミホロウ:S2、SEからリリース。ボディ内部にソリッド部分を遺した「セミアコ」構造

こうしたボディに空洞を持つモデルをいちど検討してみてください。空洞を持つボディだからこそのいわゆる「エアー感」が、クリ―ン、クランチで実にイイ具合に作用します。引き換えに、あまり強烈に歪ませるとハウリングを生じさせる恐れがあります。ただでさえ軽量級のPRSですが、ボディ内をくり抜いたぶん、さらなる軽量化が実現しました。一般的なフルアコ/セミアコとはちがい、ボディサイズがソリッドギターと変わらないという抱え心地の良さも大きなポイントです。


S2 Singlecut Semi Hollow
奥行きのある柔らかいクリーン、暖かいドライブサウンド、それでいてしっかり芯がある。ふつうサイズの本体で、セミホロウ構造の魅力を十分味わうことができます。


以上、PRSギターのおおまかなところをチェックしていきました。PRSはヴィンテージギターや現代の音楽に求められるサウンドへの研究に余念がなく、また良いギターを作るための独自の理論を構築していると言われています。初見で胸を打つルックスの美しさがあり、また知れば知るほど深く魅力が感じられるギターです。ぜひ「買うならコレ!」というお気に入りの1本を探し出してみてください。