エレキギターの総合情報サイト
「フェンダーのエレキギター」と聞いて、あなたは真っ先に何を思い出すでしょうか。テレキャスターでしょうか、それともストラトキャスターでしょうか。同社からは他にもさまざまなギターがリリースされており、ラインナップは膨大です。
ここでは、エレキギターをはじめとするフェンダーのラインナップをざっと見していきましょう。

フェンダーのギターはビギナーからプロフェッショナル、果てはレジェンドやゴッドまで、あらゆるプレイヤーに愛されてきました。最新の音楽シーンには常にフェンダーがあったと言っても過言ではありません。しかしこのフェンダーを立ち上げたレオ・フェンダー氏はもともと、ラジオやオーディオ、楽器用アンプなどを修理する電気技師でした。電気製品の修理屋から歴史が始まっているのは、他にはないフェンダーの尖った個性だと言って良いでしょう。
同社が1950年に発表したブロードキャスター、のちの「テレキャスター」は、シングルコイル・ピックアップの澄んだ音が支持されました。ボルトオン・ジョイント構造による製造工程の効率化も手伝い、ビジネス的にも大成功。続く「ストラトキャスター(1954年)」はエレキギターの王道となり、後発の他社製品に不可逆的な影響を及ぼしました。
1980年代には「スクワイア(1982年)」、「フェンダー・ジャパン(1982年)」、高級ライン「フェンダー・カスタムショップ(1987年)」を立ち上げる多ブランド化、また「アメリカン・ヴィンテージ(1982年)」、「アメリカン・スタンダード(1986年)」などシリーズ展開を進め、現体制の道筋を拓いています。
現在フェンダーのギターは歴史あるスタイルを守りながらもアップデートを重ね、ヴィンテージ・スタイルから全く新しいモデルまで、幅広いニーズに応じたラインナップを展開しています。
現在のフェンダーからリリースされているエレキギターは、こちらに紹介する6タイプ。歴史の長いものが大多数ですが、ごく最近のものもあります。ボディ形状だけでなく、どれも設計の異なる専用ピックアップを搭載しているのが大きな特徴です。
それぞれに異なる個性的なサウンドがありますが、共通して鈴の音のようなキラキラ感があり、「トゥワンギー(Twangy)」と表現されます。ほとんどのモデルでブリッジも専用。サウンドと弾き心地の両面で、それぞれの個性があります。
エレキギターの王道。3つのピックアップで5つのサウンドバリエーションがあり、甘い音も鋭い音も普通の音も出せる。アームは可変域が広く、大胆な音楽表現が可能。迷ったらストラト。
大小の異なるピックアップにより、暖かく太いサウンドから鋭く凶暴なサウンドまでをカバー。表裏とも平らなボディの武骨さに支持が厚い。派生モデル多数。
幅広のシングルコイル・ピックアップによる、太さと鋭さを兼ね備えた音色。非対象のボディ形状は立っても座っても抱え心地良好。アームによるリッチなビブラートが可能。
金属部品「ヨーク」を備えるピックアップによる、澄み渡る豊かな高域が持ち味。ショートスケール採用により、運指と押弦がラクチン。金属プレートの操作系でジャズマスターと見分けられる。
ミディアムスケールで小型かつ軽量。「フェイズ・シフト」による独特のサウンドが得られる。アームはあまり動かすとチューニングが崩れやすいことから「暴れ馬」の異名を持つ。
マッシブなサウンドを得意とするハムバッカー搭載機でありながら、フェンダーの持ち味である澄んだ音も出せる。一見すると大きなギターだが、スリムな抱え心地。
こちらは今のところフェンダーからのレギュラー生産が終了したギターですが、限定的に復刻されることも、またSquierブランドで復刻することもあり、中古市場やヴィンテージ市場で見かけることもあります。カッコ内はデビュー年。
かわいさと野蛮な音を兼ね備えたショートスケールギター。ムスタングとの違いは、シンプルな電気系と固定式ブリッジ。
1969年にごく少数製造されたショートスケールのギター。フェンダーらしからぬ独特の風貌にニッチな支持が厚い。
1970〜80年代に登場した実験的エントリーモデル。ストラトよりも深いダブルカッタウェイと固定式ブリッジ、個性的な操作系。
ムスタングのボディにジャガーのピックアップとシンクロナイズド・トレモロユニットを搭載。
ES-335に対抗して作られたフェンダー初のセミアコ
エピフォン・カジノに対抗して作られたフルアコ
フェンダー社の礎となった最初のエレキギター。
ボディとネックはムスタングという学生用ギター。
純正ハムバッキングが2基搭載された珍しいエレキギター。

左から、Fender Custom Shop Andy Hicks Masterbuilt 1954、Fender American Ultra Luxe Vintage '50s、Fender American Vintage II 1957、Fender American Professional II、Fender Vintera II 50s、Squier Classic Vibe '50s。
左端のカスタムショップ(¥1,257,300)から右端のスクワイア(¥66,000)まで、価格帯を非常に幅広くカバーしている。
フェンダーからはいろいろなギターがリリースされていることがわかりました。しかし、一見同じように見えるギターが手ごろな価格だったり、反対に物凄く高額だったりするのはなぜでしょうか。
フェンダーは
このように、3つのブランドでグレードの上下を分け、またブランドごとに製造の拠点も分けています。またブランド内でシリーズを展開し、いくつものグレードでラインナップを構成しています。フェンダーの保有する3つのブランドとそのシリーズ、またそれぞれの製造拠点について知っておきましょう。
フェンダー最高グレードにして、フェンダー愛好家の憧れのブランド。ヴィンテージモデルが人気ですが、新しい発想のモデルやアーティスト愛用機と完全同スペックのモデルなど、幅広くラインナップしています。工房はカリフォルニア州コロナ工場内に構え、選ばれた少数の職人により手作りしています。
王道フェンダー・ギターを幅広く製造。カスタムショップとの区別で「レギュラーライン」と呼ばれることもあります。
カリフォルニア州コロナ工場製はモデル名に「American」を冠したアメリカン・シリーズと呼ばれ、また日本の提携工場で作られるモデルには、品名にメイドイン・ジャパンの文言が冠されます。これ以外はメキシコのエンセナダ工場、インドネシアの提携工場で作られます。
フェンダーのギターを安価に提供するフェンダー傘下ブランド。製品企画や設計はフェンダーが担当し、フェンダーにはない独自設計のモデルも多くリリースします。製造はインドネシアを中心とするアジアの提携工場です。

左から、Made in Japan Godzilla Stratocaster、Made in Japan Limited Stratocaster Raw Ash、Made in Japan Limited Stratocaster Indigo Paisley、Limited Edition Johnny Marr Signature Special Jaguar、Made in Japan Limited Cyclone、Kingfish Delta Day Telecaster Deluxe。
フェンダーは製品企画が活発で、カスタムショップ、フェンダー、スクワイアそれぞれのブランドからアーティストモデルや限定モデルを多くリリースしています。これらはレギュラーモデルにはない意匠、デザイナーや映像作品とのコラボレーション、アーティストが要求する個性的な仕様など、尖った個性が魅力です。
特に限定モデルは生産数がそれほど多くなく、中古市場に出回ることもごく稀です。気に入った限定モデルはぜひ、一瞬の躊躇もなく手に入れてください。
フェンダー製品がカバーする守備範囲は大変に広く、アンプやエフェクターをはじめ、ピックや弦など消耗品、シールドやストラップにいたるまで、エレキギターにまつわる全ての持ち物をフェンダーに統一してしまうことすら可能です。さらにはTシャツやバンダナなどのアパレル、リズムの代わりに野菜を刻むまな板まで、ありあまるチャレンジ精神をいかんなく発揮しています。

'62 Super Amp
フェンダーはアンプのメーカーとしても世界有数の地位にあり、クリアに響く「フェンダー・アンプの音」が世界的に認知されています。アンプがあってこそのエレキギターであり、フェンダーは最初期からギターと共にアンプも開発してきました。「Woody(ウッディ)」の愛称で親しまれるフェンダー初のアンプが、テレキャスター(1951年)に遥かに先立つ1946年に発表されているほどです。
現在のラインナップは、Twin ReverbやSuper Ampなど歴史的なヴィンテージモデル、最新鋭のデジタルアンプMustangシリーズ、フロア型のギタープロセッサーTone Master Pro、イヤホン式練習用アンプMustang Microなど50モデル以上あり、さまざまな場面に対応できます。
《今振り返る》Fenderアンプの系譜、種類と選び方 - Supernice!ギターアンプ

フェンダーは世界有数のピックアップメーカーでもあり、「シングルコイル」と聞けば多くの人がストラトキャスター用のピックアップを思い出すほど、圧倒的な地位を築いています。開発も活発で、ニューモデルのギターには必ず新しいピックアップを開発しています。
ラインナップはヴィンテージを再現したモデルから最新のノイズレス仕様まで幅広く、そのほとんどがフェンダーのギターに搭載された実績があります。
左から、California Standard Monterey™ E、California Standard Redondo™ CE、Acoustasonic® Standard Jazzmaster®、American Acoustasonic™ Telecaster®、Highway Series™ Dreadnought、CN-140SCE。
アコースティックの分野では、フェンダーは野心的です。小型のパーラーから大型のドレッドノートまで王道のスタイルを一通りカバーしつつ、カラーリングやヘッド形状などでフェンダーらしさをしっかり出し、保守的なアコースティック界隈でほとばしる異彩を放っています。
アコギとエレキの分野を横断する「Acoutasonic(アコースタソニック)」シリーズ、アコースタソニックとアコギの中間に位置する「Highway(ハイウェイ)」シリーズは、エレキギターの弾き心地のままアコギの音が出せる、フェンダーならではのモデルです。
Fender(フェンダー)のアコギ徹底分析 - アコースティックギター博士
Fender Highway Series エレキの抱え心地で演奏できるアコースティックギター
Fender American Acoustasonic Telecaster アコギとエレキが融合したハイブリッドギター
ボリュームペダル(1954年)、Eccofonicテープエコーユニット(1958年)など、フェンダーはエフェクトの分野でも最初期から積極的な製品開発を重ねており、リバーブやトレモロはアンプ内蔵エフェクトとして定番化しています。
ペダル型エフェクターに本腰を入れたのは、2018年ころからです。オーバードライブやファズ、ディレイ、コーラスなど、アナログもデジタルも王道どころをしっかり押さえ、プログラマブル・スイッチャー「Switchboard™ Effects Operator」やフロア型ギタープロセッサー「Tone Master® Pro」といったヘヴィユーザー向けモデルまであります。アコギ用ディストーション「Smolder® Acoustic Overdrive」まで本気で開発しているあたり、フェンダーのいまだ冷めやらぬチャレンジ精神が伺えます。
Fenderのエフェクター一覧 - Supernice!エフェクター

交換用ネックは、修理のためだけでなくカスタマイズにも利用できます。平たい指板でフレットが高めのモダン仕様にしたい、丸い指板で低いフレットのヴィンテージ仕様にしたい、違う指板材を試してみたいなど、いろいろな目的に使う事が可能。
フェンダーの交換用ネックはアメリカン・プロフェッショナルIIシリーズやアメリカン・ヴィンテージIIシリーズなど実際の製品に使われている純正品で、ローステッドメイプル製ネックや弦長27インチのバリトンネックもラインナップされています。パーツの取り付けや調整などのハードルはありますが、手持ちのギターが生まれ変わる、あるいは抜本的な変身を遂げる、貴重な体験ができます。
以上、フェンダーのエレキギター全体像をざっと見した上で、エレキギター以外の製品も軽めに見ていきました。フェンダーは王道と云われますが、その名に甘んずることのない、攻めた製品開発を続けています。
守備範囲も広く、実に充実したラインナップを展開しています。エレキギターを語る上で避けて通るという選択肢などないフェンダーに、ぜひ触れてみてください。
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