アッパー・ストラクチュア・トライアド:その2「分数コードについて」
アッパー・ストラクチャー・トライアドの続編です。
今回はUSTと関連のある「分数コードについて」です。
分数コードとUST
いまやさけては通れないものとなった分数コードですが、押さえ方を覚えるのに苦労をしている人も多いと思います。
通常のコードは最下音でコードのルート音を鳴らすようになっていますが、ルートでない音を最下音(またはベース音)で鳴らす場合のベース音指定が分数コードの意味です。中には4声和音の上にUSTを表記したり、ということもありますがそれは特殊なケースですので、ほとんどの分数コードはベース音指定と考えて良いでしょう。
みかけの分数コードと真の分数コード
分数コードのほとんどは下側はベース音、上に和音、となっています。
分数コードには「みかけの分数コード」と「真の分数コード」とがあります。
みかけの分数コードは「下の音が上のコードに含まれるもの」です。
真の分数コードは次の例のように「下にかかれている音と上のコードには関係がない」ものです。
これらの中には「下の音を上の和音に加えると4声和音になるもの」もあります。
またはルート音の上にUSTだけを載せた何らかのコードの省略形フォームである事もあります。
みかけの分数コードのフォーム
使われる頻度としては、ポップスやロックなどではこちらのほうが多いかもしれません。
次のようなコード進行で使われます。
上の譜例中に出てくる分数コードのほとんどはみかけの分数コードで、ルートでない他のコードトーンがベースになっている形です。この中でF/GだけはベースになっているG音とFメジャー・コードは無関係で、これが真の分数コードになります(文章中の分数コードの表記は◯/△という形にしてありますが、これは◯が上側、△が下側のなります)。
みかけの分数コードはある程度パターン化されているので「◯◯というコードの◯度がベースになった形」として覚えていってください。中でもメジャー、マイナー各トライアドの3度音または5度音がベース音になっている形はよく使われます。
メジャー・トライアドの3度音がベース音になっているフォーム
メジャー・トライアドの5度音がベース音になっているフォーム
メジャー・トライアドの5度音5弦ベースフォームは2弦で押さえた指で同じフレットの1弦を加えてもルート音になるのでかまいません。
マイナー・トライアドの3度音がベースになっているフォーム
マイナー・トライアドの5度音ベース・フォーム
マイナー・トライアドの5度音5弦ベースフォーム ①は3弦と2弦で押さえた指で同じフレットの1弦を加えてもルート音になるのでかまいません。
真の分数コードのフォーム
一つの音の上に12のメジャー、マイナー・トライアドを乗せるととても多くのコードが出来ます。
これらの中で良く使うものを上げてみましょう。
ベース音を上側のコードに加えると4声和音になるもの、はこちらに載せてあります。
D/C型
全音上のメジャー・トライアドが上に乗っている形です。
この形は上のコードから見るとベース音になっているのは短7度の音になるのでセブンス・コードの7度音ベースと考えてもかまいません。
また上のトライアドはベース音をルートとするコードのUSTになることもあります。
Dm/C型
こちらは全音上のマイナー・トライアドが乗っている形。
これも上にあげたフォームと同様、上側のコードの中にベース音を入れるとマイナー・セブンス・コードになります。
F/G型
全音下のメジャー・トライアドが上に乗っている形です。
G/C型
完全5度上のメジャー・トライアドが上に乗っている形。
※この型のコードの5弦ベース・フォームは2弦から5弦までをセーハして押さえてもかまいません。
また、そのセーハをした指で1弦まで押さえても同じコードになります。
Gm/C型
完全5度上のマイナー・トライアドが上に乗っている形。
この型のコードの5弦ベース・フォームは2弦から5弦までをセーハして押さえてもかまいません。
また、そのセーハをした指で1弦まで押さえても同じコードになります。
分数コードについてはこのあたりで。
次回はいよいよコードごとのUSTです。
- [この記事のカテゴリ]ギター理論 , [最終更新日]2016/09/19