サブドミナント・マイナー・コードとは?

[記事公開日]2014/1/10 [最終更新日]2024/4/18
[編集者]神崎聡

二次ドミナントと並んでよく使われるノン・ダイアトニック・コードといえばサブドミナント・マイナーです。

関係調

平行調とは中身が同じになるメジャー・スケールとナチュラル・マイナー・スケールのそれぞれを中心としてできるメジャー・キーとマイナー・キーの関係でした。
Keyの種類

  • 主音が同じメジャー・キーとマイナー・キーの関係:同主調
  • 調号にシャープが一つ、またはフラットが一つ増えたキー:近親調

といいます。
これらは元のキーにとってとても近い存在のキーなのでまとめて「関係調」といいます。

Cメジャー・キーで説明

「Cメジャー・スケール」と「Aナチュラル・マイナー・スケール」は構成音が同じ

これらからできるキーの

  • Cメジャー・キー と Aマイナー・キー → 平行調
  • Cメジャー・キー と Cマイナー・キー → 同主調
  • Cメジャー・キー(調号はシャープ、フラット無し)と Gメジャー・キー(調号はシャープ1つ)、Fメジャー・キー(フラット1つ)→ 近親調

これらをまとめたものが関係調です(近親調の平行調もこれに加える事もあります)。

SDm_1

同主調

同主調のダイアトニック・コードは借用和音として多用されます。
中でも多いのがサブドミナント・マイナーの機能を持つコードやドミナントⅤ7です。

Ⅴ7はメジャー・ダイアトニックにも同じコードがあるので「借りる」という意味がわかりづらいですが、コードは同じでもスケールが異なります。
スケールが違えばテンション・ノートも変わってきます。
メジャー・キーのⅤ7にマイナー・キーのⅤ7のテンション・ノートである「b9thとb13thを使う」ということです。

Ⅴ7_1

Ⅴ7_2

サブドミナント・マイナー

マイナー・キーのダイアトニックであるサブドミナント・マイナーには4つのコードがあります。

SDm

この4つのコードには共通して主音から見た短6度の音が入っています。

SDm_2

この音は他のコードには出てきません。
この音がサブドミナント・マイナーの特徴を表す音です。

サブドミナント・マイナーを使ったコード進行

サブドミナント・マイナーはサブドミナントと同じような働き(トニックへ進む、ドミナントの前に置かれる)をします。
つまりケーデンスの一部として使われる、ということです。

ケーデンス

コード進行における終止形。
メジャー・ダイアトニックでは次の3つがあります。

・サブドミナント・ケーデンス
・ドミナント・ケーデンス
・サブドミナントードミナント・ケーデンス

この中のサブドミナントの代わりにサブドミナント・マイナーが使われる、と考えると理解しやすいと思います。

①サブドミナント・マイナー・ケーデンス

(左が階数表記したもの、右がCメジャー・キーでの進行です)

SDm_T

サブドミナント・マイナーが連続するケーデンスもあります。
その場合は後ろに来るコードは必ずbⅦ7と覚えてください。

SDm_SDm_T

②サブドミナント・マイナーードミナント・ケーデンス

SDm_D_T

またサブドミナント・マイナーがサブドミナントと連結される場合はサブドミナントーサブドミナント・マイナーの順で使われます。
サブドミナント・マイナーの特徴を表す音はキーの主音からみた短6度の音でサブドミナントの特徴を表す長6度から半音づつ下がってCのコードの完全5度につながるためで、順が逆になると半音が綺麗につながらなくなるため、です。

SD_SDm_T_CN

これもケーデンスの一つとしてよく使われます。

③サブドミナントーサブドミナント・マイナー・ケーデンス

ⅣM7から

SD_SDm_T_1

Ⅱm7から

SD_SDm_T_2

この場合はルート音のつながりなどの理由でいくつかのコード進行のパターンができあがります。
その他の進行ではあまり使用されません。
「SDのコードと同じルート音のままサブドミナント・マイナーになるもの」と「bⅦ7になるもの」と覚えてください。

さらに③がドミナントと連結される場合もあります。

④サブドミナントーサブドミナント・マイナーードミナント・ケーデンス

SD_SDm_D_T

※サブドミナントーサブドミナント・マイナーがドミナントと連結する場合は、③のケースのようにコード進行にパターンは見られません。
これはサブドミナントーサブドミナント・マイナーのつながりよりもサブドミナント・マイナーとドミナントのつながりが重要だから、です。

拡張されたサブドミナント・マイナー

同主調からの借用ではないがサブドミナント・マイナーとして扱われるコードもあります。
元のサブドミナント・マイナーのコードトーンが半音変化してできたコードです。

bⅥ7

bⅥM7の7度音が半音下がったもの、と考えるとわかりやすいですが、これはⅣm7のルート音が半音上がったコードの転回形でもあります。

bⅥ7

ⅣmM7

Ⅳm7の7度音が半音上がったもの。
Ⅳm7の7度音はキーの主音から見た短3度にあたり、マイナーの性格音になりますがこれが半音上がる事で元のメジャースケールと一つ共通音が増えることになり、メロディがより歌いやすくなります。

ⅣmM7

Ⅳm7orⅣmM7

bⅡM7

Ⅱm7(b5)のルート音が半音下がったもの。

bⅡM7

※終止保留
ドミナントⅤ7がⅠへ進行せずに同じトニックの代理和音であるⅢm7やⅥm7に進行するものを偽終止といいました。

(通常の終止)

Cadense

(Ⅵm7への偽終止)

D.C_1

(Ⅲm7への偽終止)

D.C_2

流れは同じようですが、Ⅴ7がサブドミナントかサブドミナント・マイナーへ進行するものは終止保留といいます。

I

偽終止の場合はⅢm7やⅥm7へ進行した後、すぐにⅠ(トニック)へは進行できません。
これは同じコード機能の場合は主和音から代理へは進行するがその逆はほとんどない、ということからそうなります。
ですがサブドミナントやサブドミナント・マイナーからはそのままⅠ(トニック)へ進行する事ができます。
どちらも「Ⅴ7がトニックに進むのを予感させるのを裏切る」進行ですが、その後のつながり方が全く違います。

サブドミナント・マイナー各コードに対するスケール

Ⅱm7(b5) → ロクリアン・スケール

D_Locrian

Ⅳm7 → ドリアン・スケール

F_Dorian

bⅥM7 → リディアン・スケール

Ab_Lydian

bⅦ7 → ミクソリディアン・スケール

Bb_Mixolydian

bⅥ7 → リディアン・フラットセブンス・スケール

Ab_Lydian_flat7

ⅣmM7 → メロディック・マイナー・スケール

F_Melodic_minor

bⅡM7 → リディアン・スケール

Db_Lydian


※1 Ⅳm7の6度音は通常アボイド・ノートとなりますが、7度音の代わりにこれを加えてm6コードとする場合もあります。
その場合もコード機能はサブドミナント・マイナーのままです。

※2 M7および7コードでは6度音は13thのテンション・ノートとして扱われますが、7度音の代わりにこれを入れて6thコードとして使用することもあります。
この場合もコード機能はサブドミナント・マイナーのままです。

※3 bⅦ7において完全4度の音はアボイド・ノートとなりますが、3度音を抜いて代わりにこれを入れて7SUS4コードとして使う事もあります。
この場合もコード機能はかわりません。
SDm_ver

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