リオ・グランデのピックアップってどんなの?

[記事公開日]2019/10/22 [最終更新日]2021/6/28
[ライター]森多健司 [編集者]神崎聡

リオグランデ・ピックアップ

Rio Grande Pickups(リオ・グランデ・ピックアップ社)は1993年、テキサス州ヒューストンにおいて、ジョン ”バート” ウィトロック、デイヴ・ウィンツによって設立されました。彼らは1972年よりヴィンテージギターのリペアや売買を行っており、1978年にはテキサス州ダラスで開催されたヴィンテージギターショウに初出品します。それ以来数多いギターショウに出展を積み重ね、いつしかベテランと言われるまでになっていました。

ピックアップのハンドワイヤリングについては、1978年、ヴィンテージギターのリペアの一環として行われたことから始まります。設立以来、リオグランデ社のピックアップは、テクノロジーを使わないハンドメイドで高音質を実現するという”Low-tech/High-tone”を理念として掲げつつ、ラインナップを広げてきました。日本での知名度は決して高いとは言えない同ブランドですが、アメリカでの評価は大変高く、使用アーティストにZZ TOPの二人やSum41の二人など、よく知られるアーティストの名が挙がってくるところからも、そのブランドの信頼性の高さが窺えます。

現在でも”リオグランデ川”北岸のヒューストンから拠点を移すことなく、全てがハンドワイヤリングによって作られており、質の高いピックアップを生産し続けています。

リオグランデ・ピックアップの特徴

社が置かれる地元テキサスの代名詞とも言える、乾いたヴィンテージ系サウンドのものはもちろん、ハイパワーを標榜する製品にも種類が多く、多岐に渡るサウンドのものを取りそろえている、そのラインナップの広さがまず目を引きます。その中でも、P-90のサウンドが得られるシングルコイルや、ダブルシングルコイルをベースとしたハムバッカーなど、他社にはあまり見られないような個性的な製品が少なからず存在し、そのクオリティの高さも相まって魅力の一つとなっています。

ラインナップ全体を通して、出力はやや高めに設定されており、ヴィンテージ感覚とも捉えられる”乾き”、”粘り気”、そしてカラっとした明るい部分が感じられます。全製品を覆うこの明るさこそ極めてアメリカ的、テキサス的とも言えるもので、ブランドのサウンドを決定づける、ひとつの大きな要素になっています。

リオグランデ・ピックアップのラインナップ

ストラトキャスター、テレキャスター用

Vintage Tallboy

Rio Grande流のヴィンテージ解釈をそのまま注ぎ込んだ代表的シングルコイルモデル。ヴィンテージギターを取り扱いつづけたノウハウが随所に入り混んでおり、ピッキングに粘り強くついてくる音色、その中に感じられる高域の伸びなど、シングルコイルの良さを十二分に感じることができます。出力は通常のシングルコイルに比べかなり高めに設定されており、ヴィンテージっぽい鳴りをそのままに、モダンな部分をうまく取り入れた印象があります。

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Muy Grande Strat

ハムバッカー的な太さをシングルコイルで実現した、ハイパワーピックアップ。中域に非常にパンチの効いた成分があり、ガツンとしたアタック、そして太い低域が得られます。同じような傾向のシングルコイルは各社から出ていますが、リオグランデのこのモデルは、シングルコイルらしい鳴りを良いバランスのところで維持しており、より高域の抜けが目立っています。ブリッジ側ピックアップの増強の他、ハムバッカーとの組み合わせにもおすすめ。

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Dirty Harry、Dirty Harry Jr.

Dirty Harry Strato Set Dirty Harry Strato Set

P-90の音をシングルコイルサイズで狙った異色の存在。ヴィンテージハムバッカーにシングルコイルらしい高域を足したようなトーンになっており、一聴して全帯域がスムーズにフラットに再生されているような印象を覚えます。シングルコイル特有の細さやキラキラした感じはないものの、高域はしっかりと伸びており、コードをかき鳴らしたときなどには、しっかり食いついてくる気持ち良い音を出してくれます。Dirty Harry Jr.は出力を落としたネック用、ミドル用。

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Vintage Tallboy Tele Neck Classic

Vintage Tallboyのテレキャスター版。モデル名の最後にClassicが冠されている同モデルは、通常のものに比べ出力を落とし、よりクラシックなサウンドを意識したものになっています。メタルのカバーに覆われたルックスも、旧き良き昔のテレキャスターを彷彿させます。

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Muy Grande Tele

ハムバッカー的なパワフルさを目指したシングルコイルMuy Grandeのテレキャスター版。シングルコイルらしさを極めて良いバランスで残すという特性が功を奏し、テレキャスター版においては、クリーントーンでの高域の美しさやハッキリとした粒立ちに特に定評があります。そのため、カントリーやブルースなどに好相性で、ストラト版以上に高い評価を得ています。

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ハムバッキング

BBQ Bucker

全ラインナップ中でもハイパワーかつヴィンテージ系に位置するハムバッカー。50年代頃のハムバッカーがモチーフとなっており、太く乾いたトーンの中、中低域に抜群のアタック感があります。汎用的ではありますが、高域の伸びなどはモダンなものに比べて少なく、ブリッジ側にマウントすることで、バランスの取れた響きを得ることができます。

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Tallboy

シングルコイルを二つ並べた「シングルコイル・ハムバッカー」をコンセプトとして開発されたピックアップ。単一のハムバッカーとしては、通常のハムバッカーのような中域の太さが得られない代わりに、抜群の倍音を持ち、低域部を重心に置いた落ち着いた独特のサウンドを得ることができます。その構造上、コイルタップした際の音はシングルコイルそのもので、通常のハムバッカーでは満足できないというギタリストにおすすめできるモデルです。

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Muy Grande

上記のTallboyハムバッカーをベースとして、出力を上げたモデル。ハイゲインでありながら音の芯をしっかりと残し、クランチにするとやや枯れた成分が顔を出してきます。骨太の音色のなかに粘り気と柔らかさが同居しており、アタックがありながらも線の細さを感じさせない良質なバランスが印象的です。特にブリッジ側に装着することで、非常に使いやすい音が得られるでしょう。Tallboyがベースとしてあるだけあり、コイルタップ時の音色も絶品。

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Punch Box、Crunch Box

メタリックで重厚な歪みや、グランジ系に代表される破壊的なサウンドを得るために作られたハイゲイン用ハムバッカー。重低音で破綻しないソリッドでタイトな低域の再生と、滑らかなディストーションが両方得られるモデルです。大きなネジがそのまま付いたようなポールピースの見た目の印象も斬新ですが、ダウンチューニングの際のバランスも考慮されてのデザインのようです。Crunch Boxがブリッジ用、Punch Boxがネック用となっています。

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Dirty Harry、Dirty Harry Jr.

ハムバッキング版のDirty Harry。シングルコイル版Dirty Harryを二つ並べたような設計になっており、同じような設計思想のTallboyに比べても、さらに骨太でパワフル。コイルタップ時にはDirty Harryを単一で鳴らした時と同じく、P-90的な音色が得られます。Dirty Harry Jr.はネック用。

P-90タイプ「Jazzbar」

ソープバースタイルのクラシカルなピックアップで、中程度の出力、マイルドでスムースな音色を持っています。ナチュラルかつクリーンな音色は、飛び抜けた個性はないものの、ブルースやスムースジャズなどにも適した良質なもので、ゆったりとした演奏に特に適しています。Jazzbarはネック用であり、ブリッジ用にはBluesbar、それらのドッグイヤータイプとしてJazzdawg、Bluesdawgがそれぞれラインナップされています。

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20年以上の歴史を誇るブランドだけあって、多彩なラインナップが魅力のRio Grande。方向性が製品ごとにおいてしっかりと定められている分、モデルごとの差異が分かりやすく、選びやすいのもポイントでしょう。面白いモデルも多いので、少し変わった製品を試したいという方にもぜひ手に取ってほしいブランドです。

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