ディマジオのストラト用ピックアップ

[記事公開日]2023/9/23 [最終更新日]2024/4/18
[ライター]小林健悟 [編集者]神崎聡

ディマジオ・ストラトキャスター・ピックアップ DiMarzio「FS-1(DP110)」Pickup Color : Cream / Pole Piece Color : Default
ディマジオの全てが、ココから始まった。

DiMarzio(ディマジオ)のストラト用ピックアップは、いろいろな設計がシングルコイルの寸法に収められます。見るからにハムバッカーだったり、一見すると普通だが中身はハムバッカーだったり、本当に標準的なシングルコイルの構造だったりといろいろなモデルがあるのですが、ディマジオではそれらを全部ひっくるめて「ストラト用」としてまとめています。そんなわけでここでは、ディマジオのストラト用ピックアップをチェックしていきましょう。


Bullet With Butterfly Wings (Live At Barclays Center/ December 10th 2012)
オルタナティブ・ロックバンドThe Smashing Pumpkinsを率いるビリー・コーガン氏。
フェンダーとの契約は終了しているが、ディマジオ製シグネイチャー・ピックアップを搭載したシグネイチャー・ストラトキャスターは頻繁に登板している。


  1. ディマジオ「ストラト用ピックアップ」の特徴
  2. DiMarzio「ストラト用ピックアップ」のラインナップ
  3. 《資料》ディマジオのストラト用ピックアップ仕様比較表

ディマジオ「ストラト用ピックアップ」の特徴

Dimarzio DP111 SDS-1(DP111)
Pickup Color : Yellow / Pole Piece Color : Black
日本国以内では限定的だが、本国USAでは豊かなカラーバリエーションを擁するのも大きな特徴。本記事ではさまざまなカラーリングも紹介していく。

ディマジオは伝統的なサウンドに敬意を払いながら、最新技術や独自の設計を積極的に取り入れた現代的なピックアップを得意としています。ストラト用ピックアップもその例に漏れず新しい技術と構造を積極的に取り入れて、耳慣れたヴィンテージ系のサウンドからパワフルなモダンサウンドまで幅広くカバーしています。一貫してパッシブ方式にこだわりぬいているのも大きな特徴です。

3タイプの基本構造

FAST TRACK 1(DP181)
Pickup Color : Chrome / Pole Piece Color : Gold
ツインブレード式の代表格。パワーがあり、ノイズに強い。ちなみにツインブレード式には、ポールピースにもカラーバリエーションがある。

ストラト用ピックアップは伝統的な構造の「スタンダード・ストラト」と、シングルコイルの泣き所だったハムノイズを軽減させた「ハムキャンセル・ストラト」に分類されます。このハムキャンセル・ストラトが主力で、ラインナップの大半を占めています。
またハムキャンセル・ストラトはその構造から「スタック・ハムキャンセリング・ストラト」と「レール・ハムキャンセリング・ストラト」の二つに分かれます。電気的には二つともハムバッカーなのですが、一般的なフルサイズのハムバッカーと混同しやすく紛らわしいので、敢えてハムキャンセルという用語が使われています。

  • Stacked Hum Canceling Strat:二つのコイルを縦に積んだ二層構造。スタンダード・ストラトと変わらない外観で、ノイズに強い。
  • Rail Hum Canceling Strat:ブレード式のコイルを並べた、一般的なハムバッカーに近い構造。パワフルなモデルが中心。
  • Standard Strat:一つのコイルで作られた、伝統的なシングルコイルの構造。

本記事のラインナップ紹介では、以上の3タイプに分類して見ていきます。

数々の独自技術

Virtual VINTAGE 54 Pro
Pickup Color : Red / Pole Piece Color : Default

ディマジオは、特許技術を含むさまざまな独自技術を持っています。ストラト用で特に注目するべきは、「バーチャル・ヴィンテージ」と「デュアル・レゾナンス・コイル」です。

  • Virtual Vintage(バーチャル・ヴィンテージ):詳細は非公開だが、現代の設計でヴィンテージサウンドが出せる。
  • Dual-resonance coils(デュアル・レゾナンス・コイル):ハムバッカー内の二つのコイルに誓いを持たせ、両コイルの相互作用でピックアップの音を狙う。

DiMarzio「ストラト用ピックアップ」のラインナップ

Stacked Hum Canceling Strat「HS-2 / HS-3 / HS-4」

スタック・ハムキャンセリング・ストラト(Stacked Hum Canceling Strat)は、二つのシングルコイルを縦に積んだ二層構造のピックアップです。弦振動の拾い方が通常のシングルコイルと同じになることもあり、サウンドはシングルコイルのまま、しかしハムバッカー構造によりハムノイズを大幅に低減するのが特徴です。外観が普通のシングルコイルと全く見分けられかない、高いステルス性も大きなポイントです。また全てのモデルが4芯構造を採用しており、特殊配線に活用できます。


Yngwie Malmsteen Allegro & Adagio
新日本フィルハーモニー交響楽団との公演。王者イングヴェイ・マルムスティーン氏は、長らくHS-3の使い手として知られていた。

3タイプあるHSシリーズは、ディマジオの開発した初めてのハムキャンセリング・ストラトです。従来のシングルコイルと代わらないサウンドとルックスのままノイズ除去を達成した性能が高く評価され、多くのプレイヤーに愛用されました。なお、3タイプそれぞれはどのポジションでも使えるように作られていますが、ディマジオの推奨する組み合わせはHS-4(ネック)、HS-2(ミドル)、HS-3(リア)です。

HS-2(DP116)

Pickup Color : Mint Green / Pole Piece Color : Default

「HS-2」は、ディマジオのハムキャンセリング・ストラトの第一号です。シングルコイルのクリーンでブライトな音色はそのままに、ハイゲインでの使用に耐える静粛性を持っています。ハムバッカーと組み合わせる場合、PAF Pro、FRED、Air Classic、およびHumbucker FromHellがディマジオの推奨です。
また同時にストラト用のラインナップ内で最も出力の低いモデルでもあり、ブルースやソウル/ファンクなどトラッドなジャンルでも活用できます。
リリース年:1980

DP116を…
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HS-3(DP117)

DP117 HS-3 Pickup Color : White / Pole Piece Color : Default

「HS-3」はHS-2に対し、よりウォームな音にチューニングしたブリッジ用ピックアップとして開発されたモデルです。マーシャル製アンプとドライブペダルとの組み合わせで得られる甘く滑らかな音色から、ネオクラシカル・メタルにおける定番機種と目されています。しかし出力はHS-2に次ぐ低さで、ピックアップ自体は極めて透明度の高いクリーンなサウンドを持っています。
SSS配列のリアとして開発されましたが全ポジションで利用でき、ハムバッカーと組み合わせるならPAF Pro、PAF、Air Classic、Nortonがディマジオの推奨です。
リリース年:1980

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HS-4(DP217)

Pickup Color : Black / Pole Piece Color : Default

「HS-4」はHS-3のポールピースを微調整し、分離の良さを向上させたモデルです。その性能は特にネック・ポジションのプレーン弦で発揮されます。滑らかな高域とパンチのある中域を持っており、ディマジオ社は「ストラトキャスターのピックアップと言うより、P-90に近いサウンド」と評しています。
リリース年:1980

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