はじめてのアンプに!Fenderの小型デジタルアンプ 「Mustang LT25」
エレキギターを買うなら、専用のギターアンプも必要です。ライブでどーんと鳴らすなら大きめのアンプが欲しいところですが、まずは練習用の小型アンプを持っておくのが王道です。しかし、どんなアンプを買えばいいのでしょうか。そこで今回は、はじめてのギターアンプとしてお勧めできるフェンダー「Mustang LT25」をチェックしてみました。これからアンプを選ぶという人も、ちょっと良い練習用アンプを探していると言う人も、ぜひ参考にしてみてください。
「はじめてのギターアンプ」に必要な条件とは?
どんな買い物でも「自分に合ったものを選ぶ」のが理想です。しかし、いままで触ったことのないものが自分に合っているのか、コレでいいのかどうか、ちゃんと使えるのか、判断に困るのではないでしょうか。そんなわけでMustang LT25をチェックする前に、これからギターを始める人に必要なギターアンプには何が必要かを考えてみましょう。
1)練習しやすいこと
はじめてのギターアンプは第一に、練習に使われます。ライブ本番では会場のアンプを使わせてもらえることが多いですから、今のうちは本番で使うことは考えなくていいでしょう。練習用ギターアンプは音が出さえすればいいんですが、特に「練習のしやすさ」としては、
- ヘッドホン端子:外に音を漏らさずに練習できる
- AUX端子:音楽を聞きながら練習できる
この二つがあると、たいへん有利です。チューナーも使えると、なお便利です。
MUSTANG LT25:ヘッドフォン端子、AUX端子を搭載、チューナー機能を内蔵。
2)いろいろな音は出せるが、操作がシンプルなこと
「ギターとアンプとの相性」というワードは、心配の種になります。「自分のギターと相性の良いアンプ」ってのがあるのだろうか?変なアンプを選んでしまったらどうしよう?なんて考えてしまうかもしれません。そういうのも少しずつ分かってくるものですが、現在では「モデリングアンプ」といって、1台でいろいろなアンプの音を出すことができるものが多く出回っています。これならそんな心配はありません。モデリングアンプでいろいろなアンプの音を試していくことで、ギターとアンプとの関係や、サウンドメイキングについて勉強することができます。
また、エフェクターも備わっていると便利です。モデリングアンプにはエフェクターが備わっていることが多いですが、「エフェクターって何?」から始まって、各種エフェクターの名前や効果を覚えるのに便利です。
機能が増えると、操作は複雑化します。そういう意味では、スペックが充実した高性能な高級機をいきなり使うのも危険です。まずはシンプルな操作で気軽に使えるものが良いでしょう。
MUSTANG LT25:必要最小限のシンプルなコントロール系統
3)高額すぎず、ルックスが良くて愛着がわきやすいこと
もしかしたら、コレが一番重要かもしれません。買えなければ使えないし、あまり変てこりんなデザインでは愛着がわきません。はじめてのギターアンプは、これから自分が上達していくのにずっと付き合ってくれるパートナーになります。機能のことは後からでも割とどうにかなりますから、愛着が持てる顔つきのアンプを選んでください。
Fender Mustang LT25の特徴
では、このFender Mustang LT25とはどんなアンプなのか、改めてチェックしてみましょう。「Mustang LT25」は、フェンダーのデジタルモデリングアンプ「Mustang」シリーズで最もコンパクトなアンプです。黒を基調としたクールなデザインで、長期間愛用するちゃんとしたアンプとしては、かなりリーズナブルな価格設定になっています。
練習に最適な機能とシンプル操作
Mustang LT25は、練習に便利な「ヘッドホン端子」と「AUX端子」、そして「チューナー」が備わっています。周囲に音を漏らさず、また音楽をかけながら練習ができるわけです。チューナーはスイッチ一個で起動でき、当然ながらつなぎかえる必要がありません。また一般的なギターアンプと同様にゲイン、トレブル、ベースといったツマミをいじれば音を作ることができます。
また、「エンコーダー」をちょっと回せば音色が切り替わります。アンプ切り替えやエフェクターの設定などはじめは難しそうでも、カラーディスプレイを見ながらエンコーダーを回したり押したり、というシンプルな操作でいろいろなことができます。
いろいろな音が出せる
MUSTANG LT25:小さな液晶ディスプレイを搭載、エンコーダー1つの操作だけでアンプモデル/エフェクトの音作りができる
Mustang LT25には「20種類のアンプモデル(後述)」と「26種類のエフェクターモデル(後述)」が内蔵され、これらを組み合わせてイイ感じに仕上げた「30種類の音色(プリセット)」が準備され、秘密の操作で「さらに20種類の音色」を呼び出すことができます。
アンプモデルはフェンダーの名機を再現したものや英米の著名なアンプをイメージしたもので構成され、つややかなクリーンからギッシャギシャのハイゲインまでカバーしています。これらをうまく使えば、自分の好きな音を作ったり、コピーしたい曲に近い音を出せたり、自分のギターと相性の良いアンプを探したりできます。また取扱説明書にはそれぞれどんなメーカーのどんなアンプを再現/イメージしているかが具体的に記されているので、
- そのアンプを使った音作りの、お手本となる動画を探す
- 将来的に買うであろう本番用アンプを検討する
といった発展的な使い方もできます。
エフェクターについてはベーシックなものが一通り揃っており、あまりマニアックでなければだいたい近い音が出せるようになっています。
本格的な作りで、発展的な使い方もできる
持ち主が上達してからもしっかり使えるのが、良い練習用アンプです。Mustang LT25は木製キャビネットと直径8インチの自社製スピーカーで構成された、本格的な基本構造をとっています。特に練習で使うことを想定した小型アンプですが、消費電力は25ワットもあり、自宅練習にはちょっとうるさすぎるくらいまで音量を上げられます。また、フットスイッチをつなげたりPCと連結したりすることで、もう一段階進んだ使い方ができます。
フットスイッチの増設
Mustang LT25は別売のフットスイッチ「フェンダー・シングルボタン・フットスイッチ(モデル番号: 0994052000)」に対応し、スイッチを押すたびに二つの音色を行ったり来たりできます。
- バッキング(伴奏)からリード(ソロ)へ移行する
- クリーン/クランチとドライブ/ハイゲインを切り替える
といった使い方が可能で、本格的なバンド演奏で必要な「手が忙しいのに、足でスイッチを操作する」というスキルを磨くことができます。
PCとの連結
Mustang LT25は別売のマイクルUSBケーブルを介してPCと連結、サウンドをPCで直接録音できます。これは、動画編集やデモ音源制作ではとても助かる機能です。
Mustang LT25のスペックを、深めにチェック!
Mustang LT25について、ここまではおおまかに見てきました。ここからはやや深めに突っ込んで行きましょう。
どれだけシンプルな操作なのか?
Mustang LT25では、「エンコーダー」を回したり押したりして操作します。たとえば電源を入れてエンコーダーを回したら、番号順に音色が切り替わります。音を作り込みたい時などは、カラーディスプレイを見ながら
- エンコーダーを回していじりたいものを探す
- エンコーダーを押していじりたいところを決める
- エンコーダーを回していじりたいところの値を変化させる
というのが基本操作となります。とってもシンプルです。
シンプルなだけでなく、深い使い方もできます。たとえばアンプ本体には「トレブル」と「ベース」のツマミはあっても「ミドル」はありません。これは本体サイズの問題で仕方のないことだったのですが、エンコーダーでゲイン、トレブル、ミドル、ベースの全てを操作することができるのです。
どんなアンプが使えるのか?
アンプモデル選択画面
Mustang LT25が装備する20種類のアンプモデルには、どういうものがあるのでしょうか。ちょっとまとめてみましょう。
ジャンル | 内容 | アンプモデル名 |
フェンダーアンプ | 50年代から現代まで、いろいろなフェンダー製アンプを再現。クリーンからドライブまで。 | 50S TWIN、BASSMAN、BURN、CHAMP、DELUXE CLN、DELUXE DIRT、EXCELSIOR、TWIN CLEAN(8タイプ) |
メタル/ハイゲイン | 定番アンプの特徴をイメージした、がっつり歪むアンプ。 | 80S ROCK、90S ROCK、DOOM METAL、ALT METAL、METAL 2000、SUPER HEAVY(6タイプ) |
レトロ | 70年代までの代表的なアンプサウンド。クリーンからディストーションまで。 | 60S UK CLN、70S ROCK、70S UK CLN、PRINCETON、SMALLTONE(5タイプ) |
ダイレクト | つるっつるのクリーン。 | SUPER CLEAN(1タイプ) |
表:Mustang LT25のアンプモデル(「ジャンル」は当サイト独自の区分)
新旧のフェンダーアンプが充実していますが、「がっつり歪む」というところもかなり充実しているのが分かります。歪みはギタリストなら深~~くこだわるところであり、量だけでなく歪み方も重要で、いろいろなタイプが必要なわけです。懐かしい感じのサウンドもしっかりカバーしているので、若い人だけでなく若かった人も安心して使用できます。
どんなエフェクトが使えるのか?
ディレイ選択画面
では次に、Mustang LT25はどんなエフェクターが使えるのかを見て行きましょう。Mustang LT25では内蔵するエフェクターを
- STOMP:歪みやコンプレッサーなど11タイプ
- MOD:モジュレーション(揺らし)系。コーラス、フランジャーなど7タイプ
- DELAY:ディレイ、リバース、エコーの3タイプ
- REV:スプリング・リヴァーブやルーム・リヴァーブなど5タイプ
と4分類し、それぞれから1つずつ、計4つを同時に使うことができます。
「STOMP」の内容
では「STOMP(ストンプボックス)」の内容を見てみましょう。
ジャンル | 内容 | エフェクトモデル名 |
Mustang LT25オリジナル | Mustang LT25のため新たに設計されたもの。 | OVERDRIVE、FUZZ(2タイプ) |
オーバードライブ/ディストーション | 名機と称されるエフェクターの再現。 | BLUES DRIVE、MYTH DRIVE、ROCK DIRT(3タイプ) |
ファズ | 定番のサウンドと、飛び道具のようなものとがある。 | BIG FUZZ、OCTOBOT(2タイプ) |
コンプレッサー | 名機を再現したもの。歪みはアンプモデルに任せる。 | COMPLESSOR、SUSTAIN(2タイプ) |
その他 | ノイズゲートとイコライザー。 | METAL GATE、5-BAND EQ(2タイプ) |
表:Mustang LT25のエフェクトモデル(「ジャンル」は当サイト独自の区分)
STOMPは比較的オーソドックスな歪みエフェクターが中心です。11種類の中でファズが3種類もあるところに、開発者のこだわりが感じられます。オリジナルメタルに特化したズムズムに歪むものはありませんが、アンプの歪みとの足し算で極悪な歪みまでいけます。
「MOD」の内容
次に、「MOD(モジュレーション)」の内容を見て行きましょう。「揺らす」といってもいろいろあって、効果はいろいろです。
- CHORUS:三角波のコーラス
- FLANGER:三角波のフランジャー
- VIBRATONE:60~70年代風、ロータリースピーカーの揺れ方
- TREMOLO:音量を上下させる。
- PHASER:特有のエグみがおいしいフェイザー
- STEP FILTER:勝手にアルペジオしてくれる
- TOUCH WAH:ピッキングの強弱でワウがかかる
モジュレーション系も奥が深い分野ですが、はじめてのアンプでこれだけあったらしばらく不自由はしません。特に「コーラス」「フランジャー」「トレモロ」「フェイザー」は、王道ど真ん中のエフェクターです。
コーラスとフランジャーに「三角波の」と言っているあたりにフェンダーの深いこだわりが感じられますね。何を隠そう「Mustang GT40」など上位モデルでは、コーラス/フランジャーそれぞれに三角波とサイン波の2タイプが用意されています。
以上、フェンダーの練習用アンプ「Mustang LT25」をチェックしました。小さめでシンプル操作、音色が豊富でフットスイッチが増設できる、というわけで「巧くなりたい人にはうってつけ」のアンプだと言えるでしょう。いっぽうでMustang LT25は「多機能であっても気軽に使う」ことを目指しているものですから、「スマホアプリと連携させ、細部までサウンドを作り込む」といったような機能は備わっていませんし、何音色も並べて切り替えたり、各音色のエフェクターを各個にON/OFFしたりといった、複雑な設定を必要とする機能は非採用となっています。それでも音作りでいじるところはいっぱいありますから、機材で作るギターサウンドに興味がある人はぜひ、このアンプを使いきってみてください。
- カテゴリ: 小型ギターアンプ , タグ: ギター博士が弾いてみた, 製品レビュー
[記事公開]2019年9月30日 , [最終更新日]2019/10/04