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今や数えきれないほどのエフェクターブランドが林立しているとはいえ、日本が誇る老舗中の老舗「BOSS」を無視することはできません。BOSSのエフェクターは40年以上の歴史を持ち、世界中のミュージシャンに愛用され、数々の名演を足元からサポートしてきました。
BOSSのコンパクトエフェクターは「ボスコン」の名で親しまれ、サウンドにも頑丈さにも優れ、またバリエーションが豊富です。普及率も尋常ではなく、エレキギターを扱う楽器店に行けば、たいがいBOSS製品を見かけることができます。性能だけでなく「万が一何かあっても、すぐ買い直せる」ということをメリットと感じて愛用するプロミュージシャンも多くいます。低価格も大きなメリットで、プロが仕事で使う品質を持ちながら、学生さんにも買いやすい価格にとどまっています。
また製品開発にきわめて高度なノウハウを持っており、特に「アナログでできることは全てやりつくした」とさえ言われることがあります。今回はそんなBOSSの、特に「歪み系コンパクトエフェクター」に注目してみましょう。
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1: BOSS歪みエフェクターの特徴 1.1: 1)歴史の上に積み上がった豊富なバリエーション 1.2: 2)全機種ほぼ共通の基本仕様 1.3: 3)多くのモディファイ製品を誕生せしめた、高い基本性能 1.4: 4)安心の最長5年保証 1.5: 5)モデル名の数字には意図がある 2: BOSS製の歪みエフェクター現行ラインナップ 2.1: 技 WAZA CRAFT 2.2: 「X」シリーズ 2.3: オーバードライブ 2.4: ディストーション 2.5: メタルディストーション 2.6: ファズ 2.7: アンプシミュレーション 2.8: 2イン1
はじめに、BOSSの歪みエフェクターにどんな特徴があるのかを見ていきましょう。歪みに限らないボスコン共通の特徴もありますが、他社製の歪みエフェクターと比べるためにも、こうしたことを確認しておいて損はありません。
第一の特徴として、壮観ともいえるバリエーションの多さが挙げられます。BOSSの歪みエフェクターは、(歴代ではなく)現行で17モデルもリリースされています。それもただ単に数が多い、というだけではありません。たとえばディストーション「DS-1」は1978年から、スーパーオーバードライブ「SD-1」は1978年から、生産が続けられています。「歪み総勢17機種」という数字は、20年も30年も生産され続けている「超ロングラン製品」が一つずつ積み上がった結果なのです。
「楽器」という特殊な分野でのことだからでもありますが、一般向けの電気製品が30年間というものモデルチェンジをせずに生産され続け、またそれが現在でもプロの使用に耐えるという例は、他にはなかなか見つからないのではないでしょうか。
現行モデルそれぞれについては後述しますが、BOSSの歪みエフェクターをチェックしてみると、だいたい6タイプ(音色でいえば5タイプ)に分類することができます。
カラーリングで大体どんな音かがわかる?!
概要 | 色 | 該当製品(廃盤含む) | |
オーバードライブ | いわゆる王道のロックサウンド。中域がしっかり出る。 | 黄、青 | Overdrive OD-1、OD-3、Blues Driver BD-2 など |
ディストーション | オーバードライブより深く歪む。サウンドは明るめ。 | 橙 | Distortion DS-1 Turbo Distortion DS-2 Mega Distortion MD-2 など |
メタルディストーション | がっつりと歪む。暗さや冷たさを感じさせる音色。 | 黒 | Metal Zone MT-2 Metal Core ML-2 など |
ファズ | 野太さを売りとする、荒々しいサウンド。 | 銀 | Fuzz FZ-3、FZ-5など |
アンプシミュレーション | ギターアンプの特徴を再現する。 | – | Fender Bass Man FBM-1 Power Stack ST-2 など |
2イン1 | 一台で二種類のエフェクトを使用できる。 | – | Angry Driver JB-2、 Overdrive/Distortion OS-2 など |
表:BOSS歪みエフェクターの分類
BOSSのコンパクトエフェクターでは本体のカラーリングにも意味があり、カラーリングがだいたいのサウンドイメージを表しているのだと言われています。ですから「よくわかんないけどとりあえず一個」、と思って手を伸ばすにしても、思い切って色で選んでしまって大丈夫です。カラーリングが同じエフェクターは、おおむね同じ方向性のサウンドを持っています。
また、デジタル回路の製品とアナログ回路の製品とが入り混じっているのも特徴です。従来のアナログ回路モデルは引き続き生産されていますが、2001年にメガディストーション「MD-2」が発表されて以来、新作の歪みエフェクターは今のところ全てデジタル回路のものです。かつては本体に「COSM」を表示するなど、ことさらにデジタル技術をアピールしていたBOSSでしたが、現行のモデルでは新技術「MDP」ですら、いちいちその表示をしていません。
特に「歪み」という分野では、「アナログこそ至高」という考えを持つギタリストが大勢います。しかしながら現在では、
この二つとも十分に成熟しており、アナログと区別が付けられない再現性、またデジタルでしか実現しえない新しいサウンドが誕生しています。ゲインを思い切り上げてもノイズが極端に少ないという静粛性もデジタルならではです。博士もいくつかの動画で弾いているので、ぜひそのサウンドを聞いてみてください。
BOSSのコンパクトエフェクターは、
といった基本仕様が共通しており、一回使い方を覚えたら、他のどれでも同じ要領で使用することができます。筺体の頑丈さは折り紙つきで、マッチョが気合で踏んづけても壊れずに作動します。ボスコンのフットスイッチは画期的な発明で、ちょうど電池ボックスの蓋になる合理的な設計です。その形状により裸足で踏んでも痛くないし、内部のOn/Offスイッチをガードする構造にもなっています。
操作する時に音を発しない「電子スイッチ」が採用されているのも、重要なポイントです。エフェクターで一般的に使用されているカチカチ音のする「機械式スイッチ」は、操作する時にその音がアンプに送られてしまうことがあるのです。そうなったら修理するしかないのですが、BOSSではその危険が未然に防がれているわけです。
「BOSSの歪みエフェクターにおいては、つまみは12時が標準」と言われています。トーンやドライブなど、つまみの印が真上を指している状態が、そのエフェクターの標準的な音色なわけです。ですからボスコンでサウンドメイキングをする場合、まずつまみを全部12時にセットし、それが持つ標準的なサウンドをチェックしてみてください。そこを出発点として、好みに合わせていくわけです。
専用アダプター「PSA-100」
BOSSでは、ボスコン専用のAC/DCアダプター「PSA-100」の使用を前提としています。これを使用している限りにおいては、作動に問題が発生することはありません。しかしながら「同じ9Vだから」と他社製のAC/DCアダプターを使用しても、正常に作動しない、あるいは電源が入らないことがあります。こうした不具合は、「消費電流」が不足する時に特に現れます。アナログ回路は電流が少なくてもぎりぎり作動できることが多いですが、デジタル回路は融通が利きませんから、電流が不足していたらウンともスンとも言いません。
例えばアナログ回路を採用しているターボディストーション「DS-2」の消費電流は12mAですが、デジタル回路を採用しているディストーション「DS-1X」の消費電流は4倍近い45mAにもなり、マンガン電池なら2時間半しか持ちません。PSA-100の最大出力電流は余裕の500mAで、どんな大食いのエフェクターでも作動させられます。
PSA-100を…
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ACアダプター電源供給用コード「PCS-20A」
なお、AC/DCアダプター「PSA-100」単体では1個のエフェクターにしか使えませんが、
のどれかを介し、ACアダプター電源供給用コード「PCS-20A」を使用すれば、最大8台に電源を供給できます。
PCS-20Aを…
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BOSS製品は、プロの使用にじゅうぶん耐えうるサウンドを持っています。しかしながらある程度のセールスのためには価格を抑える努力も必要であり、性能が良い部品でもあまり高額なものは採用できません。こうしたことから「Keeley(キーリー)」や「Weed(ウィード)」などさまざまなメーカーがBOSS製品をモディファイ(MOD。一部を改造)し、さらに品質を上げたり機能を追加したりした「改造エフェクター」を販売しています。こうした情勢は、BOSS製品の基本的な性能が非常に高いことの証明になっています。
BOSSでは通常の1年保証のほかに、ディストーション「DS-1X」やオーバードライブ「OD-1X」のように製品に対して5年もの保証期間を設けているものがあります。
これは営利企業の姿勢としては、かなりの捨て身だと感じる人もいるかもしれません。ちょっと荒っぽく使ったくらいで故障してしまうようなヤワな製品では、無償修理がかさんで売れば売るほど赤字になってしまうからです。しかしBOSSの製品はちょっとやそっとでは故障しない、それだけ信用できる、安心して使用できるしっかりとした製品づくりが行われている、というわけです。
ボスコンのモデル名は、「略称+数字」を基本としています。数字は通し番号で、「OD-1」、「OD-2」、「OD-3」と世代が進むにつれて上がっていきますが、1983年以降のモデルでは、ニューモデル1号機に対して「2」を当てるのを基本としています。これは、「この製品は、一歩進んでいるんです」というBOSSのメッセージだと伝えらえれています。また日本人らしく、「4」は「死」につながる「忌み数(いみすう)」ととらえており、ファズ「FZ-3」の次が「FZ-5」というように4の使用を避けています。
それでは、BOSSの歪みエフェクターを分類ごとにチェックしていきましょう。現行のラインナップは歴史と実績がものを言う定番機種、これからのモダンサウンドを繰り出す新機種の両面で、充実の製品群を展開しています。
エフェクターの売れ筋を…
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