
エレキギターのサウンドを一段とプロフェッショナルにするための秘密兵器、それがコンプレッサー・エフェクターです。エフェクトの効果としては一聴する限りでは目立ちにくいですが、その使い方をしっかりと把握することで、非常に効果的に使うことができます。
このページでは、コンプレッサーエフェクターの基本原理から、効果的な使い方まで、初心者でも分かりやすいように詳しく解説していきます。初めてエフェクターに挑戦するギター初心者の皆さん、コンプレッサーの基本と使い方を知れば、あなたの演奏が驚くほど変わるかもしれません。
- コンプレッサー・エフェクトの効果
- コンプレッサー・ペダルのおすすめモデル
コンプレッサー・エフェクトの効果
コンプレッサーは、音のダイナミクスをコントロールし、演奏の中で音のばらつきを抑えて音量を均一に保ち、演奏のクオリティを向上させるエフェクトです。ギターやベースなどに使用され、特にクリーントーンやファンキーなリズムプレイでよく用いられるほか、リードプレイのサスティンを延ばすなどの用途で使われますが、いずれも”最大音量を圧縮する”という効果を利用して行われます。
はじめてのコンプレッサー・エフェクター:TC Electronic「HYPERGRAVITY COMPRESSOR」
ギター博士「コンプレッサーをONにするだけで、CDで聞くようなクオリティの高いギターサウンドになるのぅ!特にワシはクリーントーンでプレイすることも多いから、コンプレッサーは欠かせないペダルなんぢゃよ♫」
主なコントロールと働き方
コンプレッサーは主に5つのコントロールが中心となって働きます。
- Threshold(スレッショルド):コンプレッション(圧縮)が開始される音量レベルを設定。低く設定すると多くの音がコンプレッションされる。
- Attack(アタック):コンプレッションが開始されるまでの時間を設定。タイムを速くすると音の立ち上がりがすぐにコンプレッションされ、遅くすると音のアタック感が維持される。
- Release(リリース):圧縮されている時間を調整。タイムを速くすると次の音に素早く反応し、遅くすると自然なサスティンが得られる。
- Ratio(レシオ):スレッショルドを超えた信号がどれだけ圧縮されるかを決める(「4:1」など原音との比率で示される)。比率が高いほど、強いコンプレッションがかかる。
- Gain/Level:圧縮で失われた音量を回復するための音量調整

まず、入力音がスレッショルド以上のレベルになると作動が開始します。アタックで設定したタイムを経た後に圧縮が開始され、スレッショルド値を超えた分が設定されたレシオに基づいた割合分、圧縮されます。入力音がスレッショルド値を下回ると、コンプレッサーは解除されますが、リリースで設定した時間分はその後も圧縮され続けます。
ギター用コンプに搭載されるツマミ例
ギター用ではこれらの5つのコントロールがすべて付いている事はほとんどなく、ギターに即して効果的に使えるようにするために、上記のコントロールを複合させたような独特のコントロールが付いていることが多いものです。
- Sensitivity:「MXR DynaComp」に見られるもの。圧縮の度合いを大まかに決められる、スレッショルドとレシオを合わせたようなコントロール
- Sustain:「BOSS CS-3」、その他多数のモデルに搭載。スレッショルドやリリースなどを変化させ、サステインの長さをコントロール
- Blend:「Xotic SP Comp」などに搭載。エフェクトの掛かった音と掛かっていないドライ音とのブレンド量を変化させる
コンプレッサーの使い方
コンプレッサーのコントロールや動作について見ていきました。では実際にどうやって使うのでしょうか?実例を見ていきましょう。
音量レベルを揃える
主にクリーントーンでの使われ方です。クリーントーンはダイナミックレンジが広く、ピッキングの強弱が敏感に出るため、アルペジオやカッティングなどの奏法時に音量にばらつきが生じやすく、安定した演奏を聴かせにくいという難しさがあります。そこでコンプレッサーを使って最大音量を圧縮して小さなレベルにとどめることで、全体の音量バランスを均一にし、音の粒を揃えます。

音量のばらつきを整えるイメージ図
エレキギター以上にダイナミクスの大きいアコースティックギターや、一定の音量の維持が求められやすいベースでは、エレキギターに比べてもはるかに使われる頻度が高く、その理由はこの効果が重宝されるからです。
減衰を長くする
いわゆる「ロングサスティーンを得る」という目的での使い方です。この効果はクリーントーンのリードギターの他、歪んだ音においても、よく使われます。圧縮と具体的に結びつきにくいこの効果ですが、具体的には下の図のようになります。
まず第一に、大きな音を圧縮して、音量レベルを揃えることで、音の減衰をなだらかにします。その状態で音量を引き上げることで、同じ音量を長く保つことができ、結果として、音がなかなか減衰せず長く伸びていくように聞こえるわけです。「BOSS CS-3」は、サスティナーという別のエフェクトが入っているわけではなく、この効果をモデル名として前面に出したものです。
ブースターとしての利用
原音への味付けが少なく、音量だけを揃えるという機能から、クリーンブースター的な利用や、ソロ時の音量アップのために利用することもできます。音質を制御するトーンコントロールを備えている機種などは、このような利用をある程度想定したものだと言えるでしょう。
コンプレッサーを使う時の注意点
過度なコンプレッションに設定すると、音が圧迫されて自然なダイナミクスが失われます。またコンプレッサーはノイズも圧縮し増幅するため、ノイズが目立ってしまうというデメリットがあります。ゲートをかけるなどしてノイズ対策をしつつ、適度な設定にしましょう。
コンプレッサー・ペダルの接続順
コンプレッサーは全体のサウンドに大きな影響を与えます。ペダルの接続順は一般的に、ギターから出力される信号の直後、歪みペダルの前に接続されます。これにより原音のダイナミクスを均一にし、その後のエフェクトが一貫した信号を受け取ることができます。具体的には次のような順序が相応しいでしょう。
- ① ギター
- ② チューナー(正確なチューニングのため最初に配置)
- ③ コンプレッサー
- ④ 歪み系(オーバードライブ/ディストーション/ファズ)
- ⑤ モジュレーション系(コーラス/フェイザー/フランジャーなど)
- ⑥ 空間系(ディレイ/リバーブ)
- ⑦ ギターアンプ
レコーディング用とギター用との違い
レコーディング用とギター用とは分けて考えられますが、基本的な動作原理は同じです。両者の違いとして真っ先に挙がるのは音質で、エレキギターのように周波数帯域の狭い楽器のために作られたものと、楽曲全ての楽器、歌を対象としたラック型のスタジオ機器では取り扱う音質において差があります。また、ギター用はモノラル対応が基本ですが、レコーディング・スタジオ用のものはステレオ出力に対応している他、圧縮の状態を目で見て判断するためのインジケーターが付いているなどの違いがあります。
しかしながら、昨今ではギター用のペダルにもスタジオ用に比肩するクオリティのものがちらほら発売されてきており、音質的な両者の差はなくなってきつつあります。
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以上、コンプレッサー・エフェクターの魔法をお伝えしました。初心者の方々にとって、コンプレッサーは頼れる相棒となり、演奏の幅を広げる一助となることでしょう。しかし、どんなエフェクトも最終的にはあなたの指先と心に頼るものです。音楽は感情の表現であり、あなたのストーリーを語る手段です。その旅路に、コンプレッサーエフェクターが新たな色彩を添えてくれることを願っています。
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