スティーヴ・ヴァイ(Steve Vai)

[記事公開日]2015/2/18 [最終更新日]2021/10/23
[編集者]神崎聡

スティーヴ・ヴァイ(Steve Vai)

Steve Vai、1960-

スティーヴ・ヴァイ氏はアメリカ生まれ。フランク・ザッパ門下生の中で最も商業的に成功したと言われているギタリストで、グラミー賞を受賞しています。高度な演奏技術と高い音楽性、音楽へのチャレンジ精神を併せ持った孤高のソロアーティストとして、世界的に支持されています。
超人的な腕前から「超絶」という言葉が世界で最も相応しいギタリストとして知られ、数々の有名バンドやプロジェクトに参加して伝説を残しました。また誰もが驚く奇抜なプレイも得意とする事から「変態」とも称されますが、これについては恩師フランク・ザッパ氏に世界一の座を譲っています。

Biography

少年時代

13歳の頃に友人から5ドルでテスコのギターを買ったのが始まりです。その帰り道で地元の高名なインストラクターだったジョー・サトリアーニ氏に弟子入りし、ギターをイチから学びます。サトリアーニ氏いわく「日増しにというより、1時間毎に上達している感じ」だったそうです。

バークリー音楽大学→フランク・ザッパバンド

耳コピで譜面を書くカリキュラムで、フランク・ザッパの変態的な楽曲を完全コピーしたことが話題になり、ザッパ氏本人の耳にも届きます。これが縁で後に彼のバンドに招かれ、ギタリストとして正式に加入し、プロミュージシャンとしてのキャリアをスタートさせます。このバンドでは「難しいパート専門」のギタリストだったようです。

ソロ活動やバンドプロジェクト

ザッパを辞した後は折りに触れソロアルバムを制作しながら、

  • イングヴェイ・マルムスティーン氏の後任としてアルカトラスに加入
  • デイヴィッド・リー・ロス氏のバックバンドに参加
  • 負傷したエイドリアン・ヴァンデンバーグ氏に代わってホワイトスネイクの録音に参加
  • 自身のバンド「VAI」結成
  • 東京都交響楽団と競演

などビッグプロジェクトでのキャリアを重ねて行きます。
1999年のソロアルバム「The Ultra Zone(ウルトラ・ゾーン)」では、1曲でB’zとも共演しました。
2011年には、ライヴ・ストリーミングしたギターレッスンに4,455人がアクセスし、「最大規模のオンライン・ギター・レッスン」のギネス世界記録を樹立しています。

演奏スタイル

A4サイズにぎりぎり収まるほどの大きさの手を駆使し、人間業とは思えない技巧的な演奏を得意とします。かの故フランク・ザッパ氏は、ヴァイ氏のギターを「インポッシブル(不可能)」と評しました。ハードロック的なアプローチを基調としますが、ジャズやブルースなどあらゆるジャンルの演奏を極めて高い水準で弾きこなします。
音楽理論にも精通しており、コード進行や使用する音階のバリエーションが極めて多く、それでいてロック的なシンプルさを損なわないことも有名です。また自然現象すら味方につけており、ステージでギターの向きを操作してハウリングを操り、これでメロディを奏でたことまであります。

超絶なプレイの最中にも関わらす動きの大きなライブパフォーマンスを余裕でこなし、また1ステージで何度も衣装を変更するなど、エンターテイナーとしても一流です。


Steve Vai – “Stillness in Motion – Vai Live in L.A.” – Preview
ライブでのこの安定した超絶ぶり。

王者イングヴェイ・マルムスティーン氏やエイドリアン・ヴァンデンバーグ氏など大物ギタリストの後釜を任されることがありましたが、いつでも「みんながやっている事と同じようにプレイするな」と自分に言い聞かせ、前任の影におびえる事なく自分のプレイに徹するようにしていたといいます。
その反面、スーパーギタリスト3人の共演「G3」のリハーサルで、お互いの超絶ぶりを賞賛し合い「お互いにコピーなんてできない」と談笑した後で、サトリアーニ氏に後で「俺できるよ」とこっそり伝えたということがあったといいます。

使用機材

ギター

Ibanez JEM

多くの音色を操るヴァイ氏のメインギターは代々HSH配列のピックアップを持つストラトタイプで、現在は永らくアイバニーズのシグネイチャーモデル「JEM」を愛用。「EVO」と名付けられたメイン機の他に、サスティナー搭載機やイレギュラーなフレット、トリプルネックなど様々な仕様のものがあります。
今では珍しくないHSH配列ですが、ヴァイ氏の発案だったと言われています。また7弦ギターに早くから着目して「ユニヴァース(Ibanez)」の開発に関わり、ソロ2作目の頃にはすでに弾きこなしていました。

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IBANEZ JEM77P-BFP

IBANEZ JEM77P-BFP

2015年にpremiumシリーズからリリースされた新シグネイチャー・モデル「JEM77P-BFP」は、洗練されたブルー・フローラル・パターンのデザインが施されたモデル。ボディ材はアメリカンバスウッド、メイプル指板24F、ナイフエッジ支点構造のトレモロブリッジ「Edge-Zero II Tremolo」、ピックアップは
・DiMarzioR Gravity Storm (H) neck pickup
・DiMarzioR EvolutionR (S) middel pickup
・DiMarzioR Gravity Storm (H) bridge pickup
の3基を搭載、見る人を惹きつけるエレガントな一本です。

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バーニングハート

ヴァイ氏の象徴的なギターにはもう一つ、ハート型のボディに6弦2本、12弦1本、合計3本のネックを挿した「バーニングハート」と呼ばれるトリプルネックギターがあります。これはホワイトスネイク時代に使用され、現在ではL.A.ユニバーサルシティのハードロックカフェに寄贈されているそうです。
ホワイトスネイクの公演で「バーニングハート」を演奏するヴァイ氏の雄姿はこちら!!

エフェクター


歪みには二つの独立したディストーションを合わせた自身のモデル「ジェミニ(Ibanez)」を使用していますが、それ以前はモディファイされた「DS-1(BOSS)」を永らく愛用していました。他にはヴァン・ヘイレンモデルのフェイズ90(MXR)、自身が開発に携わった「ウルトラハーモナイザー(Eventide)」、ワウペダルには足を乗せた瞬間に作動する「バッドホージー(MORLEY)」を使用しています。

スティーブ・ヴァイの使用エフェクター – Supernice!エフェクター

アンプ

かつてはマーシャルやメサ・ブギー等を使用していましたが、現在は自身のモデル「Legacy(CARVIN)」を愛用しています。レガシー自体はウォームなサウンドが持ち味のスタンダード系な印象でそれほどハイゲインでもなく、これにギターとエフェクター、そして腕前が加わる事で、初めて聴いた曲でもヴァイだと判る「あの音」が作られます。

お勧めアルバム

Skyscraper (スカイスクレイパー /デイヴィッド・リー・ロス、1988年)

Skyscraper

ヴァン・ヘイレンのボーカルだったデイヴィッド・リー・ロス氏のソロプロジェクト。ビリー・シーン氏(Bass)とグレッグ・ビソネット氏(Drums)の強力なリズム体、そして若かりしヴァイ氏の生き生きとしたギターが堪能できるアルバム。陽気なナンバーが多く、とても聴きやすく元気になるアルバムです。

Passion and Warfare (パッション・アンド・ウォーフェア 、1990年)

Passion and Warfare

ゴールドディスクに認定されたソロ第二作。ハードロックを基調としながらも、主録曲は全曲異なる曲調でバラエティに富んでいます。8曲目の「The Audience Is Listening」では小学校時代の恩師を登場させ、その呼びかけにギターで「OK☆」と答えるといった遊び心のある演出をしています。

Sex and Religion (セックス・アンド・レリジョン/VAI、1993年)

Sex and Religion

ヴァイ氏の率いるバンドプロジェクト「VAI」唯一のアルバム。リズム体に起用したT.M.スティーブンス氏(Bass)、テリー・ボジオ氏(Drums)という達人コンビも話題でしたが、ヴァイ氏が見いだした鬼才デヴィン・タウゼンド氏(Vo)のデビューアルバムでもありました。「誕生」をテーマにした13曲目「Down Deep into the Pain」では、第二児の出産シーンが納められています。


「誕生」をテーマにした13曲目「Down Deep into the Pain」では、第二児の出産シーンが納められています。冒頭の悲鳴は分娩台上のヴァイ夫人によるものです。

The Seventh Song (ザ・セヴンス・ソング 、2000年)

ヴァイ氏のアルバムでは必ず7曲目に情熱的なバラードが来ます。「The Seventh Song」は歴代アルバムの7曲目を一枚に納めたコンピレーション・アルバムです。新曲も収録していますが、これも大変エモーショナルな楽曲で、やはり7曲目に納められています。

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