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ジョン・メイヤー(John Mayer)氏は、米Rolling Stone誌の2007年2月号でジョン・フルシアンテ氏、デレク・トラックス氏と共に「現代3代ギタリスト」に選定されたシンガーソングライター/ギタリスト。ギタリストとしての評価は非常に高く、デビュー作をグラミー受賞で飾るのを皮切りに、早くからエリック・クラプトン氏やバディ・ガイ氏、B.B.キング氏などの大御所ブルース・ギタリストとの競演を果たしています。
ギターの技術・作曲のセンス・詩の世界観・高い歌の表現力・甘いルックスに加えライブでのMCの上手さ…
どれをとっても超一流と呼べるクオリティで、その才能は発売されているライブDVD「Where the Light Is(ホエア・ザ・ライト・イズ)」でのアコースティックセット、トリオセット、バンドセットの3部構成のライブ映像で遺憾なく発揮されていることが見てわかります。
Twitter上でも頻繁につぶやくことでも知られており、ファンとの交流を図っています。
John Mayer – Bigger Than My Body
デビュー2枚目のアルバム「Heavier Things」から。ソングライティングのセンスが垣間見える
1977年10月16日 生 米コネチカット州
13歳でギターを始め、スティーヴィー・レイ・ヴォーンに影響を受け19歳でバークリー音楽大学に入学するが、数か月で中退。99年にアトランタで自主制作盤『インサイド・ウォンツ・アウト』を発表。2000年にはライヴの評判が高まり、数々のレコード・レーベルが手を挙げる中、COLUMBIAと契約。
2001年に、コロムビアレコードから「Room For Squares(ルーム・フォー・スクエア)」を発表し、メジャー・デビュー。このデビュー作品は全世界で400万枚を超えるセールスを記録。03年2月の第45回グラミー賞で”最優秀男性ポップ・ヴォーカル”を受賞する。
03年9月に2枚目のスタジオ・アルバム「Heavier Things(ヘヴィアー・シングス)」をリリース。ハイクオリティなソングライティング・センスを披露し、キュートなルックスで女の子からの人気も急上昇、グラミーでも更に2つの賞を受賞しています。
John Mayer – Heartbreak Warfare
2009年のアルバム「Battle Studies」のリードソング。歌手としてはソフトな歌声が特徴的
ここまでの活動で、優れたソングライティングのセンスを遺憾なく世の中に発揮してきた彼ですが、2005年、ザ・フーのサポートメンバーとしても知られるピノ・パラディーノ(Pino Palladino,ベース)、エリック・クラプトンなど数多くのミュージシャンのバックでドラマーを務めるスティーヴ・ジョーダン(Steve Jordan, ドラムス)を従えて3ピースのブルース・ロックバンド「John Mayer Trio(ジョン・メイヤー・トリオ)」を結成。
ここでジョンのストラトキャスターのポテンシャルを最大限に引き出したプレイは、ジミ・ヘンドリックスやスティーヴィー・レイ・ヴォーンを現代風に解釈したとでもいうような、素晴らしい演奏へ昇華されています。
John Mayer Trio – Who Did You Think I Was
3ピースになったことでブルース色が色濃く、ギタリストとしての側面が浮き彫りになった
2010年、ジョン・メイヤーとして3枚目のアルバム「Battle Studies(バトル・スタディーズ)」をリリース。ここではトリオでのギター・プレイとは一味違い、シンプルなソングライティングの素晴らしさを感じることができます。
順風満帆だった2011年、声の不調で診察を受けたところ、声帯に肉芽腫(にくがしゅ)が発見されました。治療を受けてアルバムを制作したところ再発、声の喪失を覚悟しながらも根治を目指して治療に励み、2年がかりで回復します。
2015年には、精神的支柱ジェリー・ガルシア氏を欠いた「グレイトフル・デッド」のメンバーと合流し、新バンド「デッド&カンパニー」を結成、ツアーに参加します。
Dead & Company: Iko Iko LIVE from St. Louis, MO 9/2/21
カントリー系の演目が多いのはグレイトフル・デッド以来の特徴。ジョン・メイヤー氏をギタリストとして起用するなど大変贅沢な話ですが、逆に故ジェリー・ガルシア氏の後釜を引き受けることのできるギター弾きなど、そうそう滅多にいるものではありません。
メイヤー氏の神はスティーヴィー・レイ・ヴォーン氏だと目されており、ブルースファンならばメイヤー氏のプレイからレイ・ヴォーン氏のエッセンスをたくさん見つけることが出来るようです。そこを出発点として、メイヤー氏のプレイはやさしく歌うようであり、また現代の音楽として洗練されています。いくつかの動画から、その特徴を探してみましょう。
John Mayer – Last Train Home (Ballad Version – Official Video)
抑制の効いたオープニングにより、終盤の盛り上がりを期待させています(0:22~)。いつの間にかフィンガーピッキングに切り替え、そして瞬時にピック弾きに切り替えます。指弾きの時、ピックは人差指と中指で挟んでいるようです(1:44~)。6弦がルートになるコードでは、親指を使って押弦します(2:59~)。
終盤のソロ(3:35~)では、特にゲインコントロールに注目してみましょう。吠える時にはしっかり吠えますが、やはり曲調を意識して息継ぎのような「間」を開けています。一瞬の操作で音量をちょっと下げて、ゲインを抑えた甘い音での演奏に入り(3:58)、また一瞬の操作で音量を上げて盛り上がりを作ります(4:21)。エンディングに向けて音量をキュっと絞り、優しい余韻を残して演奏が終わります(5:26~)。
John Mayer – Wild Blue (The Late Show with Stephen Colbert)
指を使った演奏で始まり、クリーントーンのままフィンガーピッキングでギターソロに突入(1:51)。後半ソロではエフェクターを一個起動させて、クランチサウンドでピックを使って演奏しています(2:47)が、そこからもうひと押しして最後の盛り上がりを作っています(3:22)。
Dead & Company: Sugaree LIVE from Noblesville, IN 9/15/21
7:15から3分以上にわたるギターソロでは、時間をたっぷりと使って7フレット近辺から最終フレット近辺へと音域をじわじわと上げていき、観客をしっかり盛り上げています。盛り上がっている間のフレージングは「セルフ・コール&レスポンス」を基調とし、フレーズ同士を呼応させています。
Fender Stevie Ray Vaughan Stratocaster
メイヤー氏は、若かりし頃からスクワイアやフェンダーのストラトを愛用していました。高校を卒業後、ガソリンスタンド店員として働いたお金で1996年製スティーヴィーレイヴォーン・シングネイチャーのストラトキャスターを手に入れ、しばらくメインとして使用します。2018年までメインのギターは常にフェンダー・ストラトキャスターですが、楽曲によってGibson ES-335TD、Gibson L5などのセミアコ・フルアコが登場します。
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John Mayer – Gravity
フェンダー・カスタムショップ製、塗装ハゲハゲの黒いストラトキャスターは、「ブラック・ワン」の愛称で親しまれています。マスタービルダー、ジョン・クルーズ氏がメイヤー氏のために2004年に製作、スティーヴィー・レイ・ヴォーン氏のトーンを意識してピックアップまでクルーズ氏が巻いたという特別なギターです。マスタービルダーの作る同仕様のシグネイチャーモデルが2010年に限定販売されましたが、予約だけで完売したと伝えられます。
The SE Silver Sky | John Mayer Model | PRS Guitars
2018年に発表されたPRS「シルバースカイ」は、PRS社長ポール・リード・スミス氏とジョン・メイヤー氏、二人の世界的ギターマニアがとっておきのヴィンテージギターを持ち寄って、パーツの一つ一つに至るまで2年がかりで楽しく相談した、メイヤー氏の新たなシグネイチャーモデルです。モダンなルックスにヴィンテージ系のフィーリングとサウンドを盛り込んだ本機は、それから現在に至るまでメイヤー氏のメインギターを務めています。現在、手に入れやすい価格帯の「SEシルバースカイ」もリリースされています。
PRSから登場したジョン・メイヤー・シグネチャー「Silver Sky」
PRS SE Silver Sky:手に入れやすい価格を達成したジョン・メイヤー氏シグネイチャーモデル
アコギはマーチンをメインに使用しており、シグネイチャーモデル「OMJM John Mayer」がリリースされています。「OM」は定番機種「000(トリプルオー)」のボディに、ストラトに近い弦長25.4″のネックを取り付けたモデルです。この弦長はドレッドノートとも同じで、メイヤー氏はこのOMとMartin「D-45」を主に使用します。
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エレキギターの基本はアーニーボール「レギュラー・スリンキー(10-46)」ですが、ブラック・ワンにだけは同「パワースリンキー(11-48)」を使っていました。アコギの弦はアーニーボール「アスウッド・ミディアムライト(12-54)です。
ピックは2015年頃までジムダンロップ「トーテックス.88mm」でしたが、現在はPickboy「Vintage Pick Rainbow Celluloid.75mm」に変更しています。
メイヤー氏はアンプではクリーンのみ使用し、バリエーションはエフェクターで作っています。使用するエフェクターは新しいものや近年のものが主体ですが、古いものも使用します。ボードの内容はしょっちゅう入れ替わっていますが、いろいろな組み合わせを楽しむマニア心を感じることができます。
サウンドの中核を成すドライブ/ブースト系では、「クリーンブースター+TS系オーバードライブ+ケンタウロス系オーバードライブ」という組み合わせが基本です。TS系とケンタウロス系の接続順は入れ替わることもありますが、2種類のドライブペダルを組み合わせて音作りする手法は「ペダル・スタッキング(二重がけ)」と呼ばれます。取っかえ引っかえ使われる中から、代表的な機種を見ていきましょう。
キーリー「カタナ・クリーンブースト」は、本体側面に音量ノブのみというシンプルなフルレンジ・ブースターです。原音に忠実で透明感のあるクリーンブースターとして優秀であるほか、音量を上げていくとトレブルブースターとしても機能します。
Keeley Katana Clean boost – Supernice!エフェクター
「ちょい足し」で音作りを完成させる!ブースターペダル10個比較!
スティーヴィー・レイ・ヴォーン氏に心酔していたこともあってメイヤー氏のサウンドにTS系は不可欠のようですが、レイ・ヴォーン氏がブースターとして使用したのに対し、メイヤー氏はドライブペダルとして使用しています。TS系はヴィンテージやMODものから、「Fulltone Fulldrive 2」や「JHS Bonsai」などハイエンドモデルまでさまざま使っていますが、全て基本的には同じ機能を持つものとして起用しているようです。
チューブスクリーマーってどんなもの?TS系オーバードライブ特集 – Supernice!エフェクター
Klon「ケンタウロス」は、ドライブペダルの分野に新しいジャンルを築いた歴史的な名機です。いろいろなペダルが入れ替わる中でメイヤー氏のケンタウロスは常にボードに鎮座してきましたが、2019年頃から黒い謎のペダルに入れ替わっています。コレがケンタウロス系であることは間違いないようですが、ファンの間では「Black Pedal」と呼ばれています。
Xoticに限らず、ワウペダルは常にメイヤー氏のボードに鎮座します。使用頻度こそそれほどでもないですが、ジミ・ヘンドリクス氏のカバーを演奏する時には高確率で使用します。
Xotic「XW-1」は、イタリア製ワウの名機「Clyde McCoy Wah」を元に設計された高性能ワウペダルです。本体側面の4つツマミと内部のディップスイッチを操作することで、自分好みのサウンドを出すことができます。
Xotic XW-1 – Supernice!エフェクター
エレクトロ・ハーモニクス「Qトロン」は、ピッキングの強弱を使ってワウを操作できる「エンベロープフィルター」です。メイヤー氏は比較的マイルドな設定で、特にリードプレイに使用するようです。ワウペダルでも代用できますが、そのためにはピッキングの速さで足をカクカク言わせる必要があります。
Electro Harmonix Q-TRON – Supernice!エフェクター
Going Down The Road Feeling Bad (Live on Letterman)
間奏(2分20秒あたりから)で使われているのが、このQトロン。
メイヤー氏はフェンダーアンプのスプリングリバーブがお好みですが、エフェクターでリバーブを得る時に起用されるのがストライモン「FLINT」です。FLINTは本体左側で3種類のトレモロ、本体右側で3種類のリバーブを使うことができ、デジタルでありながら暖かく懐かしいヴィンテージサウンドが得られます。
strymon FLINT – Supernice!エフェクター
The J-MOD 100 | PRS Guitars
メイヤー氏のシグネイチャーアンプPRS「J-MOD 100」は、ソロでもバンドプロジェクトでも、ツアーや録音に使う万能なアンプとして開発されました。100Wの2段積み、クリーンチャンネル+ゲインステージという1チャンネル仕様、外部リバーブユニットを使用する前提でリバーブ非搭載&エフェクトループ搭載という、まさにメイヤー氏のためにこだわって作られたことが痛感できる、大変に尖った設計です。
内部はセクションごとに基盤を分けたり最高品質の部品を採用したりと頑丈さと音質に妥協がなく、弾き手のタッチに追従する高い表現力と濁りのない音楽的なトーンが得られます。
Helpless (Live from The Bud Light Dive Bar Tour, 7/26/17) – John Mayer
2017年のライブ。まだシルバースカイは生まれていませんが、PRS製シグネイチャーアンプ「J-MOD100」とフェンダーのアンプを並べて使っているのが確認できます。
メイヤー氏はヴィンテージのフェンダーや超高級ブランドのダンブルなど、長年にわたって幅広いギターアンプを使用してきました。最新のギタープロセッサーを試用することもありましたが、モデリング技術にご不満だったようで、真空管アンプに回帰しています。
シグネイチャー・アンプがありながらも、メイヤー氏はステージ上に別のアンプも並べます。これは、「マルチ・アンプ」という手法です。メイヤー氏の場合、アンプは全てクリーン設定で、スイッチ操作でアンプを切り替えることもありこそすれ、いくつかのアンプを同時に鳴らしたブレンドによって一つの音を作るのが主な目的です。
組み合わせるアンプは頻繁に変更されるようで、シグネイチャーアンプを留守番させることもあります。メイヤー氏としては究極のサウンドをめざすというより、その組み合わせを楽しんでいるのかもしれません。
23歳の時のジョン・メイヤーのデビュー・アルバム。スティングを思わすスモーキーなヴォーカル、ベン・フォールズ的なキャッチーなソングライティング・センスが光る一枚。
2002年リリース作品
マルチ・プラチナに輝く大ヒットとなった一枚目から1年のブランクを経て制作された2枚目のアルバム。
なめらかなポップ・フックと、みずからの妄想を盛り込んだ歌詞など、一枚目よりも少し落ち着いた、ロックな作品。
2003年リリース作品
ライブは3部構成となっており、【アコースティックパート】、【ジョン・メイヤー・トリオパート】、【フルバンドパート】とジョン・メイヤーのキャリア全てを披露できる形で構成。それらすべては、2007年の11月8日、ロサンジェルスのノキア・シアターにて収録。全てのパートでそれぞれ秀逸な演奏を残してくれています。
2006年リリース作品
世界中で素晴らしい評価を得たトリオの後の3枚目のアルバムは、ロック色を押さえた、それでいて過去のオリジナル・アルバムでみせたソングライティング方法論とは一味違う、シンプルで過不足ない演奏。
2010年リリース作品
John Mayer – Daughters (Live at the GRAMMYs)
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