《安くても本格派!》ギブソン・レスポール・スタジオ/トリビュート徹底分析!

[記事公開日]2022/6/10 [最終更新日]2023/10/1
[ライター]小林健悟 [編集者]神崎聡

2018年モデル

2018年モデルでは、「HP」モデルはレスポール・スタンダードのみとなりました。スタジオ、トリビュート、フェイデッド共に、

  • 1) ボディ:プレーンメイプルトップ、マホガニーバック
  • 2) ネック:スリムテーパー・マホガニーネック、ローズウッド指板
  • 3) フレット:クライオ処理により強度を増したフレットを採用
  • 4) スイッチワッシャー非搭載(同梱)

というところが共通しています。このうち3) と4) は、ギブソン2018年モデルのモダンスタイル共通仕様となっています。ブリッジ&テールピースは2017年モデルに引き続き、アルミ製のものが採用されています。また、レスポール・スタジオにはビグスビーを搭載した「エリート」が仲間入りしています。

Les Paul Studio 2018 / Les Paul Studio Elite

Les Paul Studio 2018 Les Paul Studio 2018

Les Paul Studio Elite Les Paul Studio Elite

2018年のレスポール・スタジオは、渋いカラーリングと’57クラシックピックアップを採用した、大人びた雰囲気を帯びています。シンプルにまとまったレスポールですが、リア/フロント各個にコイルタップでき、シングルコイルサウンドを利用できます。
ビグスビーの「ホースシュー(B5)」ビブラートを備える「レスポール・スタジオ・エリート」は、近年のギブソン・レギュラーラインでは珍しい仕様です。ビグスビーはアーミングのかかり具合が滑らかなのが持ち味ですが、大胆なアームアップができるのも特徴です。こちらにはコイルタップは備わっていません。

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Gibson Les Paul Studio 2018 Electric Guitar
渋いルックスと多彩なサウンドバリエーションが、2018年版レスポール・スタジオの持ち味です。’57クラシックピックアップはモダンなハムバッカーより低出力なため、ピッキングニュアンスが特に活きます。

Les Paul Tribute 2018

Les Paul Tribute 2018

レスポール・トリビュートはクルーソンタイプのペグとリフレクターノブを採用したクラシカルなスタイルが持ち味ですが、中高域を強化させた現代的なハムバッカーを載せており、ロック系のサウンドに特に良好です。2017年モデルに比べ、リアピックアップの出力が上げられました。また、2018年モデル内のハムバッカー搭載機ではこのレスポール・トリビュートのみ、ゴールドトップがラインナップされています。

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Gibson Les Paul Tribute 2018 Electric Guitar
スタジオ、トリビュート、フェイデッドの3モデル内では、このトリビュートがもっともパワーのあるリアピックアップを載せています。クラシカルなルックスとのギャップが面白いですね。

Les Paul Faded 2018

Les Paul Faded 2018

2018年版のレスポール・フェイデッドは、基本的に2017年の「フェイデッドT」を踏襲しつつ、2018年版のアレンジが加えられています。オープンタイプのハムバッカーピックアップは高域の抜けが良く、ロック系のサウンドによくフィットします。

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Gibson Les Paul Faded 2018 Electric Guitar
オープンタイプのハムバッカーは、元気なドライブサウンドが良く似合います。鈍く光るフェイデッド塗装は、使い込むほどに味わいを深めていきます。

2017年モデル

2016年のコンセプトを引き継いで、2017年には多くのモデルで「HP」と「T」の2タイプがリリースされました。スタジオ、トリビュート、フェイデッドもこの例にもれず、HP/Tの両面リリースとなっており、マホガニー1Pのスリムテーパーネックを共通仕様としながら、カラーリングは被ることなく、その他の仕様でもそれぞれのキャラクターが設定されたラインナップとなっています。ザマック製を多く取り入れていたブリッジ&テールピースは、アルミ製に回帰しました。まずHPから見ていきましょう。

Les Paul Studio 2017 HP
Les Paul Tribute 2017 HP
Les Paul Faded 2017 HP

Les Paul Studio 2017 HP Les Paul Studio 2017 HP

Les Paul Tribute 2017 HP Les Paul Tribute 2017 HP

Les Paul Faded 2017 HP Les Paul Faded 2017 HP

「ハイ・パフォーマンス」を標榜するHPシリーズは、ペグのつまみやコントロールノブなどに金属を多く採用したサイバーな雰囲気を帯びており、カバードタイプのピックアップを備えています。また共通して「ファーストアクセス・ヒール」仕様となり、ハイポジションでの演奏性が強化されています。自動チューニングシステム「G-Force」はトリビュートHPとフェイデッドHPに搭載、スタジオHPにはグローヴァー製ロッキングチューナーが備わっています。

スタジオHPは現代的なピックアップを備え、コイルタップやハイパスフィルターの組み合わせで150種以上のサウンドバリエーションを持っています。トリビュートHPとフェイデッドHPはヴィンテージ・スタイルのピックアップを備え、伝統的な配線でシンプルにまとまっています。

Les Paul Studio 2017 T
Les Paul Tribute 2017 T
Les Paul Faded 2017 T

Les Paul Studio 2017 T Les Paul Studio 2017 T

Les Paul Tribute 2017 T Les Paul Tribute 2017 T

Les Paul Faded 2017 T Les Paul Faded 2017 T

カラーリングはHPモデルと共通です。TモデルはメイプルのグレードがHPより抑えられており、ピックアップにも違いが出ているのが分かりますね。3機種とも出力が強化された現代的なピックアップを備え、伝統的な配線でシンプルにまとまっています。

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Les Paul Custom Studio
Les Paul Custom Special
Gibson M²

Les Paul Custom Studio Les Paul Custom Studio

Les Paul Custom Special Les Paul Custom Special

こちらの3機種は「Sシリーズ」というくくりでリリースされたもので、全機種1,000ドルを下回るコストパフォーマンスと、柔軟なアイディアを採用した新しいスタイルを特徴としています。倒しても折れないほど頑丈なメイプル製ネックをセットインしているのがポイントで、ほかの上位モデルには無い感触になっています。
ポップな色調が目立つ多彩なカラーバリエーションに、マスターボリューム/マスタートーン/トグルスイッチというシンプルな操作系もあって、これからギターを始める人に特にお勧めです。セカンドギターとして、遊び心のあるレスポールを探している人にもうってつけです。

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2016年モデル

2015年に「全モデル自動チューニングシステム搭載」となったギブソン・ラインナップですが、2016年モデルでは、

  • HP:ハイパフォーマンスモデル。自動チューニングシステムをはじめとする最新鋭仕様
  • T:トラディショナルモデル。伝統的でシンプルな仕様

という形で二極化したモデル展開をしています。レスポールやES-335、フライングVなどこれまでになかったギターを世に送り出してきた、常に新しさを追求するギブソンの姿勢がHPモデルに発揮される一方で、ロックの歴史と共にあり、数々の名演で使用されてきた伝統を重んじるギブソンの姿勢がTモデルに発揮されます。

レスポール・スタジオのグレードからは、

  • レスポールスタジオ2016TおよびHP
  • レスポールスタジオ・フェイデッド2016TおよびHP
  • レスポール’50sトリビュート2016TおよびHP
  • レスポール’60sトリビュート2016TおよびHP

が発表されました。それでは、これらのモデルをチェックしていきましょう。

「スタジオHP」には、フロント&リアそれぞれのコイルタップ、コントロール系の操作感を変更できるディップスイッチが搭載されます。ディップスイッチはボディ裏面のコントロール・キャビティ内に配置され、

・フロント/リアそれぞれの、タップしたときのサウンドバリエーション切替
・フロント/リアそれぞれの、ハイパスフィルター(ボリュームを絞っても高音域が残る)のOn/Off
・Transient Suppression:ライン録り時に、過大入力を抑える機能のOn/Off(ギターアンプを使用するときには変化なし)

というマニアックなきりかえができるようになっています。このディップスイッチは、レスポール・スタンダード2016HPにも搭載されています。

Les Paul Studio 2016 T / Les Paul Studio 2016 HP

Les Paul Studio 2016 T
Les Paul Studio 2016 T
HPにも同様のカラーリングが用意されています

2016年版のレスポール・スタジオは、使用される木材、スリムなネックグリップ、ザマック(振動伝達に優れる亜鉛合金)製のブリッジ&テールピース、グロス(つやつや)仕上げのラッカー塗装といった基本的な仕様を2015年モデルから継承しつつ、ピックガードが復活してカラーバリエーションが3種類から12種類へと大幅に増えました。お値段そのままでゴールドパーツ仕様があるのもうれしいところです。ボディトップのメイプルには杢のない(あっても控えめ)ものが使用されていることから、塗りつぶしのカラーが目立ちます。

2015年モデルではやや緩やかだったトップ面のカーヴィング(削り)は、レスポール・スタンダードと同様の「クラシック」カーヴになっています。また内部にいくつかの孔を穿つ「モダン・ウェイトリリーフ」をボディに施すことで、本体の重量は重すぎない程度に抑えられています。ボディのみの重量で言うと、2015年モデルで5.2ポンド(2.36キロ)だったところが5.09ポンド(2.30キロ)に抑えられています。

2015年モデルではピックアップに出力が控えめな「57クラシック」が採用されていましたが、2016年モデルはフロントにアルニコIIを使用した490R、リアにアルニコVを使用した498Tを備えています。ギブソンの伝統的なトーンを継承しながら、中高音域の押し出しが強いことから現代的なサウンドにマッチします。
ギブソンのピックアップ

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Les Paul Studio Faded 2016 T / LP Studio Faded 2016 HP

LP Studio Faded 2016 HP
LP Studio Faded 2016 HP

「スタジオ・フェイデッド」は、レスポール・スタンダードの廉価版、レスポールスタジオからさらに一歩価格に挑戦したモデルです。レスポールスタジオのグレードや基本仕様をふまえながら、

  • 「スタジオ」よりやや厚みのある’59ネックグリップ
  • ヴィンテージ系のトーンを特徴とする「バーストバッカー・プロ」ピックアップを搭載

というアレンジを加え、モダン志向のスタジオに対しヴィンテージ志向のフェイデッド、という方向性が付けられています。

レスポールスタジオと比べてHPモデル、Tモデル共に700ドルという大幅なプライスダウンが実現できたのは、

  • 付属するケースが、ハードケースからギグバッグに
  • グロス(つやつや)仕上げのニトロセルロースラッカー塗装から、マットな風合いのサテンフィニッシュに

この二つの変更によるものです。特に、キズひとつないツヤッツヤの仕上げを施すにはかなりの技術と手間が必要になりますから、ここまでの価格差は妥当なラインだと考えていいでしょう。

「上位機種と遜色のないギブソンのレスポールが、新品で10万円を切る」という大変お買い得なモデルですが、フェイデッドのサテン塗装は弾き傷がつきやすく、弾いているうちにどんどん味わい深いルックスになっていきます。プレイによるキズや塗装の剥がれはオーナーにとってかけがえのない勲章ですが、下取りに出す場合は大幅なマイナスポイントとなります。「リセールバリューに限界がある」ということは覚悟しておくといいでしょう。

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Les Paul ’50s Tribute 2016 T
Les Paul ’50s Tribute 2016 HP
Les Paul ’60s Tribute 2016 T
Les Paul ’60s Tribute 2016 HP

50年代、60年代の仕様をイメージした「トリビュート」シリーズは、上記「フェイデッド」のバリエーション的な立ち位置です。フェイデッドと比べると100ドルのアップチャージになっていますが、

  • シースルーのモデルでは、Aグレードのメイプルがトップに使用される
  • 濃い色合いのローズウッドが、指板に使用される
  • バックのマホガニー材は、若干密度の低いものが使用される

というように、木材のグレードが気持ち上がっています。
また、両モデルともフェイデッド同様にサテンフィニッシュとなっているため、使い込むうちにどんどん味のあるルックスに育っていきます。

Les Paul 50s Tribute 2016 T Les Paul ’50s Tribute 2016 T

’50sモデルはフェイデッドをベースとして、

  • フェイデッドに近い50年代スタイルのネックグリップ(厚みはフェイデッドと共通)
  • スタジオと同じ490R/498Tピックアップを、オープン(カバーを外す)で搭載

というアレンジを施したモデルで、レスポールスタンダード以外では唯一、ゴールドトップがラインナップされているのも大きな特徴になっています。

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Les Paul 60s Tribute 2016 HP Les Paul ’60s Tribute 2016 HP

’60sモデルは同じくフェイデッドをベースとして、

  • レスポールスタジオに近い「スリムテーパー」ネックグリップ(厚みはスタジオと共通)
  • ソープバータイプのP-90ピックアップを2基搭載

というアレンジになっています。

Les Paul ’60s Tribute 2016を…
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2015年モデル

レスポールが築いたロックの歴史を踏襲しながらも年々進化を遂げるレスポール・スタジオの2015年版は、求めやすい価格帯ながらも高機能なパーツで武装した、中級者/上級者にもアピールできる現代的なスペックになっています。

Les Paul Studio 2015

Les Paul Studio 2015

Bグレードメイプルトップ、柾目材マホガニーネック、高精度なフレットという基本性能
レスポール・スタンダードでは利用できないクラスでありながら杢の浮き出たメイプル材をトップに使用、シースルーのカラーリングが引き立ちます。またネックのマホガニーには、木目が真っすぐで強度に優れた柾目材を使用、60年代風のスリムなグリップに仕上げています。ローズの代替木材グラナディーロの指板は美しく、パールインレイと美しくマッチングします。またフレットの状態を精密に検査する「PLEK」を工場で使用することにより、フレットの精度が上がりました。本機から初めての搭載となる「ゼロフレット・ナット」は、ナットの高さをシビアに調節できる仕組みです。

パワーアップした自動チューニングシステム
G-Force tuning

自動チューニングシステム「Min E-tune」は、2015年モデルではより精度を高めた「G FORCE」にアップグレード。全弦のチューニングが数秒で終わってしまうほか、半音下げなどイレギュラーチューニングにも対応しています。10万円台のギターに単体で何万円もするユニットがついている、というのはコストパフォーマンス的に大きなメリットになります。

アップグレードされたサーキット
ピックアップにはギブソンの定番機種「57クラシック」を採用しています(SGスタンダード、レスポール・クラシック、レスポール・レス+などでも使用されています)。また配線を太いものに変更することで、よりストレートなサウンドを実現しています。2基のハムバッカーピックアップはコイルタップが可能でトーンのバリエーションが増え、それぞれのボリュームノブがプッシュ/プルのスイッチになっています。

着脱可能なピックガード
新開発のピックガードはエスカッションに固定するのでボディにネジ穴を空ける必要がなく、ピックガードレス仕様として使用する際にもボディトップの美しさを損ないません。

LPM 2015

gibson lespaul LPM 2015

ゼブラカラーのオープンタイプハムバッカー2基、ピックガードレス仕様、というルックスでまとめられた、レスポール・スタジオのアレンジ版です。ゼロフレットナット、自動チューニングシステム「G-Force」、「PLEK」を利用した高精度なフレッティングはスタジオと共通。さらにシンプルにまとめるため、コイルタップは付いていません。

レスポール・スタジオ同様緩やかなアーチを描いているボディトップのメイプルは、杢がほぼないということでCグレードになっていますが、ルックス上の問題でありサウンドには影響ありません。むしろうっすらと木目が見えるシースルーブラックやシースルーレッドといったフィニッシュがよく似合います。ボディバックのマホガニーは内部が9カ所くり抜かれており、軽量化ができています。また、このモデルのみメイプルワンピースネックが採用されています。

Les Paul Tribute シリーズ

lespaul-tribute

メイプルトップ、マホガニーバック、マホガニーネック、ピックガードレス、という仕様が共通で、ネックグリップとコントロールノブ、ピックアップに違いを設けた各年代版のレスポールがラインナップされています。ギブソンでありながら10万円を切る価格帯は、多くのギターキッズにアピールします。

Gibson Les Paul ’50s Tribute
ネックグリップは50年代の太く丸いラウンド型、ピックアップはP-90が2基搭載されています。コントロールノブは広がりが小さく、トップがミラーとなっています。

Gibson Les Paul ’60s Tribute
スリムなネックグリップにピックアップはバーストバッカー1(フロント)と2(リア)がマウントされています。コントロールノブはブラックのスピードノブになっています。

Gibson Les Paul ’70s Tribute
ネックは70年代のミディアムプロフィールネックとなり、ヘッドの付け根に設けられたボリュート(強度を増すための膨らみ)も再現。ピックアップはオープンのダーティフィンガーズ、コントロールノブには広がりの大きなトップハットがセレクトされています。

パーツの違いだけでなく、しっかりネックグリップにも違いを出している所にギブソンのこだわりを見る事ができますね。

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