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ギブソン・レスポール・カスタム徹底分析!

ギブソン・レスポール・カスタム

「ギブソン・レスポール・カスタム(Les Paul Custom)」は、

  • 精悍なグロス(つやのある)ブラックのカラーリング(現在ではホワイト、サンバーストなども)
  • 高級感を演出する多層バインディング、ゴールドパーツ、白蝶貝(マザー・オブ・パール)のポジションマーク、ヘッドインレイ
  • 銘木であるエボニー(黒檀)を指板に採用
  • ワンピース・マホガニーから削りだしたボディ&ネック

というスタイルでレスポールをアレンジした高級仕様でした。
ルックス的には「タキシードに似合うギター」をコンセプトに、キリっとしたフォーマルな印象にまとめられています。落ち着いた高級感と裏腹に派手な、また硬派なイメージもあり、ロック系のギタリストに特に愛用されてきました。


【Music Clip】福山雅治 – 想 -new love new world-
稀代のギターマニアとしても知られている福山雅治氏。白い意匠には白いカスタム、黒い意匠には黒いカスタムがうまく調和していますね。

レスポール・カスタムの特徴

「ブラック・ビューティー」

gibson-lespaul-custom

黒いレスポール・カスタムには「ブラック・ビューティー」という愛称が付けられています。これは本来、トーン回路に搭載されていたコンデンサ(キャパシター)であるスプラグ社製の「160P 0.47μF/400v」、通称「ブラック・ビューティー」が由来です。しかし1954年に発表された当時のカラーリングは艶のあるブラックのみであり、漆黒のエボニー指板、深く滑らかなアーチを描くボディ・トップの美しさのもあいまって、今ではこの楽器自体に相応しいニックネームだとして定着しています。

このコンデンサ「ブラックビューティー」には中低域がブーミーにアウトプットされる特性があり、現代でも高価ながら新品が手に入ります。またこれを忠実に再現したコピーモデルも生産されています。カスタムに限らずギブソンギターのトーン回路はポット(可変抵抗)の前段にコンデンサが配置されていますが、ポットの後段にコンデンサが配置されているフェンダーよりも、コンデンサの影響がサウンドに反映されます。コンデンサに何をセレクトし、どう配置するのかは、エレキギターの開発/改造においてマニアックながら重要なポイントになっています。



「ブラック」へのこだわり

レスポール・カスタム・レフティ

ピックガードが外されたレスポール・カスタムのレフティ。漆黒のエボニー指板材だ。
  • レスポール・カスタム・レフティ
  • レスポール・カスタム・ヘッド
  • レスポール・カスタム・ブリッジ部分
  • レスポール・カスタム・ネックジョイント
  • レスポール・カスタム・指板
  • レスポール・カスタム・コントロール
  • レスポール・カスタム・バック材

エレキギターにおけるボディトップの高級感というと「メイプルやアッシュなどの模様の美しい木目」や「スプルースなどの真っすぐで均一な木目」を連想するのが現代の感覚です。しかしながらピアノに代表される、全面「艶のあるブラック」もスタイリッシュな高級感を醸し出す要素であり、それゆえ当初のレスポール・カスタムは黒一色でした。もちろんマホガニーの木目に高級感を感じないというのも理由の一つではありますが、後から開発されたメイプルトップの仕様であっても、美しいフレイムメイプルを塗りつぶしてしまうことがありました。

1968年以降のモデルではブラックに対するホワイト、メイプルトップを活かしたサンバーストなどカラーリングが多様化します。ランディ・ローズ氏がトレードマークにしたホワイトなど人気がありますが、今なおレスポール・カスタムといえばブラックという印象が強いようです。


X Japan – I.V. (official music video) HD
X Japan所属の名手PATA氏はデビュー以来、一貫してレスポールにこだわり続けており、ヴィンテージをステージで使用したこともあります。この楽曲「I.V.」はホラー映画「ソウ4」の主題歌として採用されていますが、亡きHIDE氏の未発表音源をサンプリングして使用することで、5人での演奏を実現させています。この映画「ソウ」シリーズは「痛い表現の限界に挑む」というコンセプトで制作されていると伝えられており、苦手な人には絶対にお勧めできない内容となっています。

高級感を演出する意匠

高級感を演出するためにゴールドトップが採用されたレスポールでしたが、レスポール・カスタムはまた違った高級感を演出するべく開発されました。ボディとヘッドには何層ものバインディングが巻かれ、ピックガードまでも多層構造を成しており、ステージ上での存在感が強調されます。金属パーツはゴールドが基本で、ヘッドには「スプリット・ダイアモンド・インレイ」が輝きます。レスポールの「台形」から「長方形」に変更された指板インレイは1フレットから取り付けられ、カラーリングやパーツ交換などでレスポール・スタンダードと見分けが付きにくっくなった場合の決め手となっています。これらはギブソンにおけるアーチトップ(フルアコ)最上位機種「スーパー400」の意匠を受け継いだものですが、レスポールの上位機種にこのイメージを投影することで、歴史あるギブソンの高級な雰囲気が演出されています。


20世紀少年 ―第1章― 終わりの始まり
この映画が公開されたことで、T-REXの代表曲「20 Century Boy」が改めて広く知られることとなりました(動画では8秒から)。パワーコード「E」を基調とした印象的なイントロは、初心者が生まれて初めて演奏するロックのフレーズとして最適です。「Get It On」、「20 Century Boy」など数々のヒットで知られるグラムロックの代表「T-REX」のマーク・ボラン氏(1947-1977)のレスポールは厳密にはカスタムではなく、スタンダードのボディにカスタムのネックを差した改造レスポールでした。しかしながら指板のインレイを見ればどう見たってレスポール・カスタムに見えることもあってか、シグネイチャーモデルが「レスポール・カスタム」として生産されたことがあります。

指板はエボニー(黒檀)からリッチライトへ

メイプルトップのモデルがある今、レスポール・カスタムとスタンダードの材質的な違いは指板材のみになっています。カスタムに採用されていたエボニーは「濃淡のはっきりした、鋭く澄んだ音色」と言われます。しかしながらこのエボニーは現在入手がとても困難であり、世界中にギターを供給する巨大メーカーとして十分な量を安定的に確保する事が出来なくなっています。エボニーの指板材は「L-5」や「Super 400」などアーチトップの高級モデルに優先的に回されており、現代のレスポール・カスタムでは「リッチライト」という人工木材が採用されることとなりました。

リッチライトはパルプ繊維とフェノール樹脂を圧縮して作りますが、カスタムに採用されているものは演奏性、サウンドともにエボニーと区別が全くつかない水準を実現しています。人工素材だからこそ個体差(いわゆるハズレ)のない、またオイルメンテをしなくても乾燥などで割れる事のない、しかも普通のエボニー同様にフレットの打ち替えやネック調整に耐えることができるという、現場でガンガン弾いていく楽器に相応しい性能があります。また価格が抑えられるということで利点だらけです。一方本物のエボニーを使用しているものも少数ながら生産されいていますが、かなり高値になっています。

レスポール・カスタムのラインナップ

2004年以降、レスポール・カスタムは通常の生産ラインから外れ、ギブソン・カスタムショップでのみ生産されています。カスタムショップゆえのクラフツマンシップにより、アーティスト使用モデルを忠実に再現したものや、時代ごとの仕様を再現したものなど、カタログに掲載されないプレミアムなレスポール・カスタムが作られています。
ヴィンテージギターの再現というコンセプトで作る事もあり、新品である「グロス(つやつや)」から「V.O.S.(ちょっとくすんでいる)」、「エイジド(打痕やクラック、錆がある)」、「ヘビーエイジド(本物通りのサビやクラックを再現)」まで、フィニッシュやパーツを加工して経年変化と使い込んだかのような雰囲気を演出します。

カスタムショップのラインナップは、多くのモデルが限定生産となっています。ここでは原稿執筆時点(2018年1月)で出荷されているものをピックアップし、限定生産のものには(LIMITED)と追記しています。

現代のレスポール・カスタム

カスタムショップの中でも「標準機」と言える現代のレスポール・カスタムは、

  • 1) メイプル&マホガニーボディ
  • 2) マホガニーネック、ミディアムCシェイプグリップ、ロングテノン
  • 3) リッチライト指板、ミディアムジャンボフレット
  • 4) ナッシュビルタイプ・TOMブリッジ
  • 5) 490R/498Tハムバッカーピックアップ

といった仕様が共通しており、メイプルの模様の有無、マホガニーバックに対する重量調整の有無、そしてカラーリングなどの意匠に主な違いが設けられています。やはり定番のブラックビューティはレギュラー生産ですが、それ以外のものは全て限定生産となっています。
「ロングテノン」はネックの端がフロントピックアップの下まで達している継ぎ方で、ギブソン・カスタムショップの標準的な工法です。これによりネックジョイント部の安定性が向上し、サスティンが伸びると言われています。
ギブソンのピックアップ

Les Paul Custom

Les Paul Custom

ブラックのみ、重量調整なし

Les Paul Custom 2017 (LIMITED)

Les Paul Custom 2017

塗りつぶし5色展開、重量調整あり、

Les Paul Custom Figured Top (LIMITED)

Les Paul Custom Figured Top

2色展開、重量調整なし、フィギュアドメイプルトップ

Les Paul Custom Figured Top Widow (LIMITED)

Les Paul Custom Figured Top Widow

5色展開(カラーに合わせたバインディング)、重量調整あり、フィギュアドメイプルトップ

Les Paul Custom Scorpion (LIMITED 25)

Les Paul Custom Scorpion

3色展開、重量調整あり、フィギュアドメイプルトップ

進化したレスポール・カスタム「Axcess」シリーズ


Gibson Custom Les Paul Axcess Custom with Floyd Rose Electric Guitar
人体に優しいボディ設計、FRTとコイルタップというように、一台でなんでもやりたい人の必要とする全てを兼ね備えています。

ヴィンテージモデルに人気が集中するギブソンですが、「Axcess」シリーズはその逆を行き、現代的な演奏性とサウンドに挑戦する野心的なギターとして仕上がっています。

Les Paul Custom Axcess Floyd
Les Paul Custom Axcess Stopbar

Les Paul Custom Axcess Floyd Les Paul Custom Axcess Floyd

Les Paul Custom Axcess Stopbar Les Paul Custom Axcess Stopbar

「Floyd」はフロイドローズ(FRT)搭載機、「Stopbar」は標準的なTOMブリッジ搭載機です。ブリッジ仕様の異なるこの2機は、

  • 1) メイプル&マホガニーボディ、重量調整なし、ヒールカット、バックコンター
  • 2) マホガニーネック、Axcess専用ネックグリップ、ロングテノン
  • 3) リッチライト指板
  • 4) 標準より出力の高い496R/498Tハムバッカーピックアップ

といった仕様で、レスポール・スタンダード同様のヒールカット(ハイポジションの演奏に有利)とバックコンター(脇腹にあたる部分がカットされる)によって、レスポールのスタイルを守りながらも異次元の演奏性を実現しています。バック材の重量調整はありませんが、こうした加工は本体の軽量化に大きく寄与します。

このAxcessシリーズからは派生モデルとして、「モダン・レスポール・Axcessカスタム」が限定生産されています。

Modern Les Paul Axcess Custom (LIMITED)
Modern Les Paul Axcess Custom Rhino (LIMITED)

Modern Les Paul Axcess Custom Modern Les Paul Axcess Custom

Modern Les Paul Axcess Custom Rhino Modern Les Paul Axcess Custom Rhino

両機はネックグリップが「スリムC」シェイプに、ブリッジが伝統的な「ARB-1」になっていますが、先述したAxcessの設計を多く受け継ぎつつ、視線を奪う妖艶な外観にまとめられています。こちらはバックのマホガニーに重量調整が施されており、更なる軽量化が実現しているほか、ヘッドの付け根に盛り上がり(ボリュート)が設けられており、強度が増しています。

ヴィンテージギターを再現したモデル

Collector’s Choice #22 Tommy Colletti 1959 Les Paul Custom

Tommy Colletti 1959 Les Paul Custom

「コレクターズ・チョイス」は、実際のヴィンテージギターをそのまま再現することを目指しているシリーズです。22モデルめの本機はニューヨークの楽器店オーナー、トミー・コレッティ氏所蔵の1959年製レスポール・カスタムをモデルに、ネックグリップをデジタルスキャン、指板材にエボニーを採用、このモデル専用のカスタムハムバッカーを3基搭載する徹底ぶりで、塗装やパーツのダメージを細部に至るまで完全再現しています。
モデルとなったギターは、イギリスのロックバンド「プリテンダーズ」の創立メンバージェイムス・ハニーマン・スコット氏が所有していたものだと伝えられています。スコット氏は1982年に薬物中毒により亡くなりましたが、プリテンダーズはその悲しみを乗り越え、今なお精力的な活動を続けています。

True Historic 1957 Les Paul Custom “Black Beauty”

True Historic 1957 Les Paul Custom


Gibson Custom 2015 True Historic 1957 Les Paul Custom Reissue Electric Guitar, Vintage Ebony
ジャズ用に開発されたギターだという「そもそも論」は置いといて、やはりレスポール・カスタムにはロック系の骨太な演奏が似合いますね。

「トゥルー・ヒストリック」シリーズ」は、ヴィンテージギターが製造された工程を限界まで再現する、まさに特別なラインです。プラスチックパーツについて製造元まで追跡したり、多くの工程を手作業で行なったりと考古学的な方向に猛進する反面、実際のヴィンテージギターを3Dスキャンして微妙な曲面をそのまま映しとるといった最新の技法も導入されています。
1957年製を再現したという本機は、経年変化でバインディングが黄変しているところを再現しているほか、ナットには当時実際に採用されていたナイロン素材を使用、指板材はエボニーが使われています。また、ピックアップには名機バーストバッカーをカスタマイズした「カスタムバッカー」が採用されています。これはカスタムショップのギターにのみ搭載されるピックアップで、アルニコIIIマグネットを使用、高域が豊かに響き、中域が凝縮されている特性を持つ上、内部にまでエイジングが施されていると伝えられています。

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アーティスト仕様モデル

Peter Frampton “Phenix” 1954 Les Paul Custom (LIMITED 35)

Peter Frampton 1954 Les Paul Custom

ピーター・フランプトン氏の1954年製レスポール・カスタムは、貨物機の事故で失われて以来30年以上経過して持ち主のもとに届けられたというエピソードから「フェニックス」と名付けられています。全世界35本限定生産された本機は、ご本人仕様同様にトム・ホームズ社製ハムバッカーピックアップを3基搭載、塗装やパーツのダメージを細部まで完全に再現しているほか、ピーター・フランプトン氏ご本人が署名している証明書が付きます。

Robby Krieger’s 1954 Les Paul Custom

Robby Krieger 1954 Les Paul Custom

ドアーズ所属のロビー・クリーガー氏が1968年より使用し、今なお所有しているという1954年製レスポール・カスタムを再現したモデルで、最初の50本はクリーガー氏ご本人が手に取って承認し、署名しています。フロントの「アルニコV」ピックアップがセイモアダンカン社製のミニハムバッカーに換装されているほか、当然のようにパーツの変色や塗装のダメージが本物同様に再現されています。一見すると古くてくたびれたギターですが、最新鋭PLEKシステムを使用したベストなコンディションで出荷され、現場でバリバ使えるギターとなっています。

Tak Matsumoto DC Custom

Tak Matsumoto DC Custom


B’z / GO FOR IT, BABY -キオクの山脈-
長きにわたり日本のロックを牽引し続けているB’z。近年ギブソンを使い続けている松本氏のギターサウンドは、パワフルな中に美しさを感じさせます。

松本孝弘(B’z)のDC(ダブルカッタウェイ)は、通常のDCと違って非対称ボディを採用し、またセレクタスイッチをレスポール本来の位置に戻しています。やや厚みを残したご本人監修のネックグリップが採用されているのもポイントです。エピフォンからは、やや仕様は違いつつも求めやすい価格のモデルがリリースされています。

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レスポール・カスタムの歩み

ではここからは、レスポール・カスタムがどのような変身を遂げてきたかを見ていきましょう。ヴィンテージ市場では何百万円というプライスが付けられている当時のレスポール・カスタムですが、それでも一番人気のレスポール・スタンダード「バースト」よりは「圧倒的に安い」ので、頑張ったら買えるかもしれません。

1954年モデル

54年モデルを再現したCustom Shop Historic Collection「1954 Les Paul Custom VOS」

レスポール・カスタムは、1952年に発表された「レス・ポール(Les Paul)」の高級仕様として、1954年に発表されます。メイプル/マホガニーの二層ボディを持つレスポール(この時代、「スタンダード」の名前はありません)に対して、レスポール・カスタムにはホンジュラスマホガニー1ピースボディが採用されています。ピックアップはフロントに「アルニコV」、リアに「P-90」を搭載しています。この「アルニコV」は最上位機種「Super400」に採用されていたピックアップで、レスポールへの採用例はありません。また、新たに開発された「ABR-1(TOM)」ブリッジの採用も、レスポールに先駆けています。標準機のボディ構造が2層だったのに高級機ではマホガニー1枚だったことに「失敗だった」とレス・ポール氏が嘆いたと伝えられていますが、ハードケースにも違いが設けられていたと伝えられており、レスポール・カスタムの開発に対して、ギブソン社が並々ならぬ情熱を注いでいたことがうかがえますね。
「タキシードに似合う」というコンセプトにあるように、最初はジャズ向きのギターとして開発されました。ジャジーなフレーズをスムーズに演奏できるよう、低くて幅のある「フレットレス・ワンダー」と呼ばれるフレットが採用されましたが、そのため現代のロック的な演奏は想定されておらず、チョーキングには不利でした。

1957年モデル

True Historic 1957 Les Paul Custom 57年モデルを再現した「True Historic 1957 Les Paul Custom」


Peter Frampton – Do You Feel Like We Do
ピーター・フランプトン氏は英国の代表的なミュージシャンですが、トレードマークにしていた3ハムバッカーのレスポール・カスタムを1980年の貨物機の事故で失ってしまいました。ところが30年以上経過した2012年、大掛かりな捜査の甲斐あって見事に発見、本人のもとに届けられた、というエピソードがあります。このギターは1957年モデル同様の仕様となっていますが、1954年モデルに手を加えた改造レスポール・カスタムでした。

この年にはレスポール/カスタム共に、ハムバッカー「P.A.F」ピックアップが新たに採用されます。フロント・リアの2基搭載を採用したレスポールに対し、レスポール・カスタムではセンターピックアップを加えた3基搭載となっており、ピックアップ・セレクターの設定は、
1)フロントピックアップ単体
2)リア+センターのフェイズアウト(細い音になる)
3)リアピックアップ単体
というものでした。1958年までにペグはグローヴァー社製のロトマチックタイプに切り替わります。この仕様は、いったん生産終了となる1960年まで維持されました。

ベースとなったレスポールに「スタンダード」の名前がつけられるようになったのは1958年からで、このカスタムや同じく1954年に発表されたエントリーモデル「レスポール・ジュニア(Les Paul Jr.)」との区別のためだと言われています。

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1968年/1969年モデル

68年モデルを再現したCustom Shop「1968 Les Paul Custom VOS」

エリック・クラプトン氏の偉業から再評価され、生産再開となったレスポール・スタンダードとレスポール・カスタムでしたが、復刻されたレスポール・カスタムは50年代のものとは異なる姿をしていました。全身ブラックや多層バインディングといった意匠は受け継ぎながらも、ピックアップはフロント/リアの2基、ボディ構造はメイプルトップ、マホガニーバックという二層構造で、むしろレスポール・スタンダード「バースト」の再来とも言うべきギターでした。「バースト」との違いは外観以外ではエボニー指板だけでしたが、それゆえタイトなサウンドには良好とみなされ、ロック志向のギターとして人気を博しました。

翌年1969年はギブソン社が「ノーリン」に買収されたこともあり、いろいろなモデルで仕様変更が模索されます。レスポール・カスタムはヘッドがやや大きくなり、ネックが3ピースに変更されました。ヘッドの重量が増すこと、多層ネックにして剛性を上げることは、いずれも音が引き締まる効果を生むことから、よりタイトなサウンドになっています。この年の後半から1977年まで、ボディバックがいわゆる「パンケーキ」となり、マホガニー+薄いメイプル+マホガニー」という三層構造となりました。海外でも高く評価されている日本のロックバンド「シーナ&ザ・ロケッツ」所属の鮎川誠氏のトレードマークは、この1969年後半のブラック・ビューティです。

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1970年代


RANDY RHOADS BEST LIVE GUITAR SOLOS!
名手ランディ・ローズ氏(1972-1980)の名演を集めた動画。冒頭からのピックによる高速タッピング、ネックベンドに始まり、アーミング代わりのペグ回しなど、クラシックで培われたメロディセンスを前提にしながらも柔軟な発想が積極的に取り入れられています。トレードマークにしているのは70年代初頭(74年と言われています)に生産された、白いレスポール・カスタムでした。ホワイトだったのが焼けたらしく、若干クリーム色になっています。この時代は良質な木材が無くなってきたことからネック及びトップのメイプルは3ピース(「川」の字)、マホガニーバックは「パンケーキ」と呼ばれる二層構造で、ヴィンテージ市場ではあまり人気のあるものではありません。しかしランディ氏の奏でるサウンドからは、だからといって1ピースのマテリアルに劣りはしない、という説得力が伝わってきますね。

1974年には「レスポール発表20周年」を記念し、ブラック、ホワイト、チェリーサンバースト、ハニーバーストの4色からなるアニバーサリーモデルのレスポール・カスタムが発表されます。ボディ構造はメイプルトップの「パンケーキ」でした。1975年~1982年には、ネックが3ピースメイプルに変更されますが、マホガニーネックの生産も続けられていました。この年からしばらくは、メイプル指板モデルも生産されています。1976年までに、ブリッジは従来のARB-1からより堅牢なナッシュビルタイプに変更されます。この1970年代製までが、現在のところ「ヴィンテージギター」として扱われています。後に続く1980年代以降については「中古」と扱われるのが普通ですが、この年代のギターも今後は「ヴィンテージ」とみなされるようになると予想されます。

1980年代以降

ギブソン社は1984年にカラマズー工場を閉鎖し、ナッシュビルに移転します。また、1986年にはHenry Juszkiewicz氏ら投資家グループに売却されます。ノーリン時代には合理化一辺倒の経営方針が取られていましたが、新体制ではそれより品質に主眼を置く方針に転換されます。レスポール・カスタムはヘッドのサイズが元に戻り、マホガニーボディ&ネック、メイプルトップ、エボニー指板、ナッシュビルブリッジという仕様で生産が継続されます。
時は進んで2004年、レスポール・カスタムはレギュラーラインから外れ、カスタムショップでのみの生産に切り替わります。ここでレスポール・カスタムは、カスタムショップの容赦ない品質重視の設計と熟練工によるていねいな作りに加え、証明書とともにカスタムショップ標準のハードケースで出荷されます。2012年には指板材がエボニーからリッチライトに変更されますが、特別なモデルではエボニー指板が存続しています。


以上、レスポール・カスタムについてチェックしていきました。このギターはギブソン社にとって特別な意味があって、今なおカスタムショップのみの生産となっています。なかなか気軽に手に入れられるものではありませんが、ショップで見かけたら是非手に取ってみてください。