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ギブソン・レスポール・クラシック徹底分析!

ギブソン・レスポール・クラシック レスポール・クラシック2018年モデル

「ギブソン・レスポール・クラシック」は、1990年から生産されている

  • スリムなネック
  • オープンタイプのハムバッカーピックアップ

を特徴としたレスポールとして知られています。「レスポールのネックはある程度太いものだ」というのが常識だった当時、リードプレイに好まれやすいスリムなグリップのネックとドライブサウンドとの相性が良いオープンタイプのハムバッカーとの組み合わせは、ハードロック/ヘヴィメタル志向のギタリストに好評でした。長らくハード/ヘヴィ志向のレスポールとして愛されたレスポール・クラシックでしたが、2018年のモデルチェンジで大きく方向転換することとなりました。今回は、このレスポール・クラシックに注目してみましょう。

レスポール・クラシックの歩み

まずは、これまで流通されてきたレスポール・クラシックを追ってみましょう。現在でも中古市場で散見する「レスポール・クラシック」とは、どんなギターだったのでしょうか。

1990年製レスポール・クラシック

レスポール・クラシックの発売は1990年だと伝えられています。武骨なイメージのあったレスポールに対して、現代では「スリムテーパー」と呼ばれているスリムなネックを採用して演奏性を向上させ、さらにピックアップカバーを外して「オープンタイプ」とすることで高音域の存在感を増す、というアレンジを加えています。「レスポールのピックアップカバーを外す」という改造は、特にロック系のギタリストの間で流行していました。
レスポールで「スリムなネック」と言えば、1960年製のレスポール・スタンダードがもっとも知られていることもあって、この年代を意識した「1960」の数字がピックガードに記されました。
ハムバッカー・ピックアップのカバーを外したら、どういう効果が得られる?

レスポールのボディトップに対し「模様を好む人ばかりではない」という考えもあって、杢(もく)のないプレーンなトップや非常に控えめな模様を持つトップが採用されていましたが、のちに発表された「レスポール・クラシック・プラス」や「レスポール・クラシック・プレミアム・プラス」では、グレードの高いメイプルがトップに使用されています。


Gibson Les Paul Classic Plus
冒頭では、メタリカの名曲「エンター・サンドマン」のリフに、ジミ・ヘンドリックス氏の名曲「パープルヘイズ」のリフを被せています。やはりオープンタイプのハムバッカーには、このようなロック系のイメージがあります。レスポール・クラシック・プラスは美しいボディトップを誇示するため、およびピックガードを必要としないギタリストのために、出荷時にはピックガードが付けられていません。ですからピックガードを必要とする人は「買ったばかりの高級なギターに、さっそくネジ穴を二つも空けなければならない」という苦行に耐えなければなりません

レスポール・クラシックはロック志向のレスポールとして好評を博しましたが、2012年にいったん生産が終了します。

2014年製レスポール・クラシック

Les Paul Classic 2014

ギブソン開業120年の節目となる2014年、レスポール・クラシックはロック志向をもう一歩突き詰めたギターとして、装いも新たに生産を再開します。「’60sスリムテーパー」と名付けられたスリムなネックとオープンタイプの「’57クラシック」ハムバッカーピックアップの組み合わせに加え、ブースターを起動するミニスイッチが追加されました。リード時にはこのブースターを起動させることにより、大幅にゲインを上げることができます。またピックアップ個別のコイルタップを備えることで、サウンドバリエーションが大幅に確保されています。


Gibson Les Paul Classic 2014 Electric Guitar – Gibson Les Paul Classic
シンプルなギターでありながらここまでのサウンドバリエーション。さまざまな音色を要求される現代の音楽では、とても助かる機能です。

Les Paul Classic 7 Strings Les Paul Classic 7 Strings

Les Paul Classic Double Cutaway Les Paul Classic Double Cutaway

このまま7弦仕様にアレンジした「Les Paul Classic 7 Strings」と、ダブルカッタウェイ仕様にすることでハイポジションへのアクセスを飛躍的に向上させた「Les Paul Classic Double Cutaway」も発表されています。翌年には自動チューニングシステム「G-Force」、自分で高さ調節ができる「ゼロフレットナット」が追加された「Les Paul Classic 2015」が発表されます。

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2017年製レスポール・クラシック

Les Paul Classic 2017T Les Paul Classic 2017T

ブースターの装備によって新しい道を切り開いたかに見えたレスポール・クラシックですが、2017にいったん原点回帰します。トラディショナルモデルである「レスポール・クラシック2017T」は、デビュー当時の姿に近いスリムテーパーネックとオープンタイプのハムバッカーを備え、ブースターとコイルタップは廃止となってシンプルなロック志向のギターへと生まれ変わります。またナットの素材に1960年当時と同じ「ナイロン」が選択されたことで、「ピックアップカバーを外した1960年モデル」というレスポール・クラシック本来の雰囲気を強調させています。

Les Paul Classic 2017HP Les Paul Classic 2017HP

いっぽう最先端の設計を多く盛り込んだ「レスポール・クラシック・2017HP」は自動チューニングシステム「G-Force」とゼロフレットナットを備え、ハイポジションの演奏に有利なヒールカットが施され、またプラスチックパーツがすべて金属製に置き換わったことで、どこを取ってもクラシックではない最新鋭のギターとなっています。またピックアップカバーも備えていましたから、いわゆる普通のレスポール・クラシックから大きく路線を変更したモデルだったと言えます。


以上、2017年までのレスポール・クラシックの歩みを見ていきました。ここまでの歴史の中でレスポール・クラシックは、ヴィンテージ市場でも人気の高い1960年モデルを意識したクラシカルなルックス、スリムなネックによる高い演奏性、そしてオープンタイプのハムバッカーをそなえる基本路線をだいたい守っています。レスポール・スタンダードで積極的に施される重量調整については、レスポール・クラシックでは採用しても伝統的な「9ホール」に留めるなど控え目で、本体はなかなかの重さがあります。
モダンな演奏性とパワーのあるピックアップという組み合わせは決してクラシカルではありませんでしたが、2018年にはここから大きく方向を変え、一気にクラシカル路線へと向かうことになります。

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レスポール・クラシック2018

ではこの年に大きな路線変更を果たした「レスポール・クラシック2018」をチェックしてみましょう。大きな路線変更を受け、まさに「クラシック」を名乗るに相応しいギターとなっています。


Gibson Les Paul Classic 2018 Electric Guitar
やはりP-90ピックアップはクリーン/クランチで鳴らしたくなりますね。スッキリとしながら丸さのある音は、このピックアップならではのものです。

Les Paul Classic 2018

Les Paul Classic 2018

新しい路線を歩むことになったレスポール・クラシックは、スピードプレイに有利なスリムテーパーネックグリップこそ従来のレスポール・クラシックを受け継ぎながら、リア/フロント両ピックアップに初めて「P-90」を採用しています。P-90は1957年以前のレスポールに使用されていたピックアップでしたから、まさにクラシックな仕様となっています。プレーンのメイプルトップに塗りつぶしカラーを採用していますが、ゴールドトップは1956年式のレスポール・スタンダードを見ているかのようですね。

多くのモデルで廃止となっている「スイッチワッシャー」も、クラシックを名乗るこのモデルには装備されています。レスポールのトグルスイッチと言えば「上ならフロント、下ならリア」なわけで、いまどき誰も「上がリズム、下がトレブル」とは思っていません。これを表示するスイッチワッシャーはもはや形だけのものになってしまっているのですが、昔ながらのレスポールならば、このパーツは絶対に必要なわけです。

2018年モデルの共通仕様であるテクトイド製ナットと低温処理を施して強化したフレットはそのまま採用しつつ、トーンコンデンサーには伝統的なオレンジドロップを採用、ロッキングチューナーは非採用となっています。

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Les Paul Classic Player Plus 2018

Les Paul Classic Player Plus 2018

存在感のあるラウンドネックとAAフィギュアドトップ、リッチライト指板を採用した「プレイヤー・プラス」シリーズから、レスポール・クラシックもリリースされています。リッチライトはエボニーの代わりとして使用される人工素材ですが、レモンオイルを塗り込むなどのケアを必要としないため、気軽に扱うことができます。ピックガードは付けられていませんが、出荷時に同梱されています。

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他モデルとの比較

ではこの2タイプのレスポール・クラシックを、レスポール・トラディショナル2018及びレスポール・スタンダード2018と比較してみましょう。

モデル名 Classic 2018 Classic Player Plus 2018 Traditional 2018 Standard 2018
価格 $2,199 $1,999 $2,639 $3,189
スタンダードとの価格差 $990 $1190 $550
重量調整 なし 表示なし なし ウルトラモダン
ボディトップ プレーン AA AA AAA
ネックグリップ スリムテーパー ラウンド ラウンド 非対称スリムテーパー
指板 ローズウッド12R リッチライト12R ローズウッド12R ローズウッド・コンパウンド
カラー 塗りつぶし3色 サテン3色 サンバースト3色 サンバースト4色
ブリッジ ABR TOM ABR アルミ製TOM
ペグ ロトマチック ロトマチック クルーソン ロトマチック・ロック付き
ピックガード 装備 同梱 同梱 同梱
電気系 ハンドワイアリング、P-90、オレンジドロップ P-90 ハンドワイアリング、バーストバッカー、オレンジドロップ バーストバッカー・プロ、コイルタップなど特殊配線

表:レスポール4モデルの仕様比較(公式サイトより/2018年1月時点)

レスポール・スタンダードはこの中で最もグレードが上位であることもあって、ほとんどの仕様で他を圧倒していますね。これに対してレスポール・トラディショナルは、レスポール・クラシックとかなり近いギターとなっているのが分かります。ネックグリップとペグの違いこそあれ、重量調整なし、ローズウッド12R指板、ABRブリッジ、ハンドワイヤリング、オレンジドロップ・トーンコンデンサー採用、というように多くの部分に共通点があります。レスポール・トラディショナルの方がグレード的にはやや上位ですが、トップのメイプルとカラーリングで価格差が付けられているようです。同じAAメイプルを採用しているプレイヤー・プラスがもっとも低価格ですが、研磨の工程を経ないサテン仕上げ、人工素材リッチライト指板、というところで価格を圧縮していると考えられます。

一見同じように見えるレスポールのブリッジですが、大きく二種類あります。旧式の「ABR」はヴィンテージギターにも使われていたタイプで、サドルの脱落を防ぐワイヤーが張ってあります。これを改良して開発された「TOM」は「ナッシュビルタイプ」と呼ばれ、そもそもサドルが脱落しないようにできています。レスポール・スタンダードに採用されているアルミ製TOMは、軽い金属で作ることで鳴りを変化させています。


以上、レスポール・クラシックの今と昔をチェックしていきました。2018年の路線変更では、レスポール・クラシックはレスポール1956年モデルに寄せてきたようです。上位モデルでシンプルな設計、P-90ピックアップ装備、というレスポールは近年リリースされていない、ありそうでなかったモデルです。ちょっと違ったレスポールを求めている人は、ぜひチェックしてみてください。