SGシリーズは、ダブルカッタウェイ仕様のレスポール・ジュニアを原型とした、レスポールのフルモデルチェンジ版として1961年に発表されました。薄くて軽いボディ、最終フレットまでストレスなく手が届くネック、低価格化など、当時レスポールのデメリットだと考えられていたポイントを全てクリアさせています。
SG Standard(SGスタンダード)は、レスポール・スタンダードのSG版として開発されたモデルで、発表から現在に至るまでカタログ落ちすることなく生産され続けている人気機種です。
ギブソンSGシリーズは、高級機種のSGカスタムからスチューデントモデルのSGジュニアまで、ネックとボディについての仕様がほぼ同じで、全モデルに共通のSGらしいサウンドがあります。「fastest neck in the world(=世界で最も速く弾けるネック)」というキャッチでアピールされた細くて長いマホガニーネック、薄くて軽量なマホガニーボディによって得られる弦振動は軽やかでミドルに存在感があり、ロックミュージックとの相性が抜群。ギブソンでは「A Rock Icon(=ロックを象徴するエレキギター)」として扱われています。映画「School of Rock(スクール・オブ・ロック。2003年)」の主人公が愛用していたのも、ラージピックガードのSGスタンダードでした。
左:61年リイシュー、右:SG STANDARD 120
SGはレスポールがモデルチェンジしたものなので、発表当時のピックガードはそれを踏襲して1弦側のみ覆っていました。現在では「スモールピックガード」と言われます。一方1966年には6弦側まで広くカバーする「ラージピックガード」が生まれます。
スモールピックガードではピックアップはエスカッション(専用の枠)にはめられてボディに設置されますが、ラージピックガードではピックガードがエスカッションの役割を果たす事ができます。またピックアップキャビティ(ピックアップが設置されるボディの穴)を全て覆い隠すことができますから、ピックアップが1基でも2基でも3基でも搭載できる大きなピックアップキャビティを空けておき、その大きな穴はピックガードで塞いでしまうという、いかにもアメリカ人っぽい工法を可能にしました。これにより作業の効率が向上し、低価格化できるようになりました。
今でこそSGのブリッジと言えばギブソンの王道であるチューン・O・マチックを連想しますが、発表当時のSGは「New Gibson Vibrato(スウィング・アウェイ・プル・サイドウェイ・トレモロ)」が標準装備でした。
ハイポジションの弾きやすいダブルカッタウェイ、トレモロユニット搭載といえば、これはフェンダー・ストラトキャスターに極めて近い仕様です。ボディが一枚板なのも同じですね。1960年には名機レスポールが製造停止に追い込まれてしまいましたから、次世代機では同じ轍(てつ)を踏まないように、フェンダーによって一般化した流行のスタイルに乗っかってみた、と言う事ではないかと見られています。一方フェンダーは1972年に電気系をレスポールに似せた「テレキャスターカスタム」を発表しており、両社は互いに影響し合っています。
SGスタンダードはレスポール・スタンダードの、SGスペシャルはレスポール・スペシャルの、モデルチェンジ版です。しかしSGスペシャルはその後独自のアップグレードをしていき、パッと見ただけではどちらがどちらなのかの見分けがつかないところまで来ています。しかし違いが出るポイントがありますから、ここを覚えておけば、見間違える事はありません。
指板インレイ:スタンダードは台形、スペシャルはドット
ヘッドインレイ:スタンダードはクラウンインレイ、スペシャルには無し。
ハムバッカーピックアップ:スタンダードはカバード(ピックアップカバーが付いている)、スペシャルはオープン(ピックアップカバーは最初から無い)
ピックガード:現代のラインナップではスタンダードがスモールピックガード、スペシャルではラージピックガードかピックガードなしが基本(例外はたくさんあります)。
AC/DC – Rock the Blues Away
「ブルースを基調とした骨太でソリッドなロックンロール」を目指すオーストラリアの爆音バンドAC/DCのギタリスト。
デビューから現在に至るまで硬質かつ武骨にしてシンプルなロックンロールを中心に演奏し続けており、長きにわたって変節のない質実剛健な音楽性が特徴。全世界のアルバム総売り上げは2億枚以上です。
ギブソンからシグネイチャーモデルがリリースされており、稲妻を模した指板インレイ、専用リアピックアップ、細くリシェイプしたネックグリップが特徴です。
在籍していたCREAMというトリオでのライブ「CROSSROAD」の演奏でサイケデリックなペイントを施されたSGを使用。このときのギターソロは「ロックの歴史上極めて重要な名演」だとされており、今なお人気投票では上位にランクインします。但しこの時の心境を、本人は「ドラムとベースが余りにも激しく演奏するものだから1拍目がどこか分からなくなって焦った」と回想しています。
《終わらないブルースの旅》エリック・クラプトン(Eric Clapton)
個性の強すぎる音楽性から「変人」とも言われるザッパですが、生涯で極めて広範囲な音楽にトライ、現代音楽、ジャズ・ロック/クロスオーバー、電子音楽などのジャンルをポピュラー音楽に応用する先駆者であり、グラミー賞受賞という評価も受けました。トレードマークのSGにはパラメトリックイコライザーを始めとする多くの回路が仕込まれており、どのバンドサウンド内においても美しく響くギターサウンドを奏でていました。
大変な愛妻家であり、奥さんの身体のパーツ全てに名前をつけていたとか。息子であるドゥイージルの名前は奥さんの足の指の名前に由来しています。
人間椅子「なまはげ」(徳間ジャパン)
70年代ブリティッシュ・ハードロックのサウンドに、日本語の歌詞を載せた独特の音楽性を特徴とするバンド「人間椅子」のギタリスト。HM/HRを基調にしつつ津軽弁などによって醸しだされる土着性、グロテスクな表現、とぼけたユーモアなどを織り込む音楽が特徴。1989年、TBS系列で放送されていた深夜番組「三宅裕司のいかすバンド天国」に出演して全国的に有名になりました。
1961年発表当時のスペックを可能な限り再現する事にトライした、最高グレードのSGです。
尖ったダブルカッタウェイのソリッドマホガニーボディ、ニッケルメッキを施したハードウェア、クルーソンペグ、指板のセルロース・インレイ、オリジナルPAFsに迫る「Custom Buckers」ピックアップ、板バネ式の「マエストロヴィブラート」ユニットはテイルピースに「リラ(竪琴)」の彫金、アニリン染料を使用する事で色あせた桜色に仕上がったボディフィニッシュなど、各部へのこだわりで貫禄のある面構えになっています。
また、ネックをニカワ接合に、そしてこれまでトラスロッドを保護していたチューブを排するなど、目に見えないところまで当時の仕様と「鳴り」にこだわり抜いており、鳴りの違いが分かるプレイヤーも納得させるギターになっています。
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時代とともににアレンジと進化を続けているスタンダードに対し、’61リイシュー(=復刻版)は1961年製SGのスペックにこだわっています。
スモールピックガード、ネックジョイントの形状、薄くて平らな’60スリムテーパーネックプロフィール、またボディエッジの削り方、やや大きめのヘッド形状に特徴があります。
’57クラシック・ハムバッカーピックアップはスタンダードと共通ですが、60年代当時には300kΩのポットを使用していた個体があることから、300kΩのボリュームポットがセレクトされており、若干甘いニュアンスのトーンになります。ボリュームポットの抵抗値は高い程ハイの抜けが良くなりますが、ストラトには250kΩ、レスポールには500kΩ、テレキャスターには1MΩが標準です。ギブソン・カスタムショップでは500kΩ、ギブソンUSAでは300kΩのポットを採用するというマニアックな分け方をしています。
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左から:SG Standard 2015、 SG Standard x4
古き良き時代への深いこだわりをもっているリイシューに対し、スタンダードはそれを継承しながらも現代版でありつづけ、時代ごとに改良や仕様変更を重ねています。2015年モデルではネックを幅広く、内部の配線を太くし、高さを調整できる「ゼロフレットナット」を採用、オプションで自動チューニングシステムを付ける事ができます。
ピックアップについては、ハムバッカー2基を搭載した標準的なモデルとP-90を2基搭載したモデルの二つがリリースされています。
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左から:SG Standard 2016 HP(Heritage Cherry / Ebony)、SG Standard P-90 2016 HP、SG Standard P-90 2016 T
2016年版のSGは、
という4モデルがリリースされました。
このモデルチェンジでSGは大幅な方向転換をしたと見られていますが、まずは楽器本体に注目し、2015年モデルからどんなところが仕様変更したのか比較してみましょう。
SG Standard 2015 | SG Standard 2016 HP SG Standard P-90 2016 HP |
変更点 | |
価格 | $1,879 | $1,549 | お安くなりました |
ボディ | 低密度の上質なマホガニー積層材 | 1~3ピースのマホガニー材。グレードはAかC | |
カラー | Heritage Cherry(HC) Translucent Ebony(BL) Fireburst(FI) ※全てシースルー |
Ebony(EB) Heritage Cherry(HC) ※EBは塗りつぶし |
HCのボディ材はA、EBのボディ材はCグレードのマホガニーが使われます |
ピックガード | スモール | ラージ | |
ネック | スリム・テーパー | ラウンド・プロフィール | 厚みが増しました |
ナット | ブラス製ゼロフレット・ナット。ナット幅約45.9mm | チタン製ゼロフレット・ナット。ナット幅約44.3mm | 幅広くなった2015から、2016で戻す形に |
指板R | コンパウンド・ラジアス | 12インチ(304mm) | 高級仕様から通常仕様へ |
ピックアップ | 57 Classic/57 Classic (コイルタップあり) |
490R/498TまたはP-90 (コイルタップなし) |
ヴィンテージ系多機能から、現代風シンプルへの転換 |
ジャック | 1/4″ mono with dual tip contact | HP 1/4″ mono gold plated positive contact | 金メッキが使用され、伝導率が向上 |
表:SGスタンダード、2015年モデルと2016年モデルの比較
ピックガードの変更とブラックが塗りつぶしになったのが、外観上の大きな変更点です。ギター本体としては、薄くて幅広のリードプレイに特化したネックが、標準的なギブソンらしいネックに回帰しています。
また、ES-175にも使用されているヴィンテージ系ピックアップ「57クラシック」から、オーバードライヴ/ディストーションで良好な「490R/498T」かクリーン/クランチで良好な「P-90」かを選択できるようになりました。
ギブソンのピックアップ
HPモデルは、Tモデルより350ドル高い上位機種という扱いです。楽器本体のグレードには違いがありませんが、搭載されるパーツ類、付属するケースに違いが設けられています。自動チューニングシステム「G Force」や自分で高さの調整ができる「ゼロフレット・ナット」が名高い特徴的なパーツですが、それ以外にも細かな仕様がちがっています。
モデル名 | SG Standard 2016 HP SG Standard P-90 2016 HP |
SG Standard 2016 T SG Standard P-90 2016 T |
指板インレイ | 真珠貝 | アクリル |
ナット | チタン製「ゼロフレット・ナット」 ナット幅1.745インチ(44.3㎜) | テクトイド(摩擦係数を軽減したグラファイト)製ナット ナット幅1.695インチ(43.0mm) |
ペグ | つまみがザマックになった、次世代型自動チューニングシステム「G Force™」 | グローヴァー製クルーソンタイプ。伝統的な「グリーンキー(緑色のつまみ)」 |
電気回路 | 金メッキにより伝道効率を向上させた、高性能特殊ジャック | 接点を増やして伝導率を向上させた高性能ジャック |
コントロールノブ | Supreme grip speed knobs | Black Tophat Silver Inserts |
ブリッジ | ザマックTOM&チタンサドル | ザマックTOM |
ケース | アルミで覆われたHPハードシェル・ケース(長方形) | ギグバッグ |
表:HPモデルとTモデルの違い
小さなパーツのグレードに違いが出されていますが、楽器本体としては、ネックの幅に違いが出ているのが最も大きな相違点です。「コントロールノブ」はギターのルックスを演出する渋いパーツですが、HPにはギブソン全シリーズ共通してギザギザが刻まれたスピードノブが付けられます。Tにはモデルごとにレトロなスタイルのノブが採用されます。
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