Ernie Ball Music Man のギターについて

[記事公開日]2014/11/20 [最終更新日]2021/7/3
[編集者]神崎聡

Ernie Ball Music Manのエレキギター

1965年にFender社を売却し退社しながらも、創始者レオ・フェンダーは「技術者として新製品を開発したい」という気持ちに燃えていました。1972年に売却先のCBSから工場を一軒買い戻し、かつてのフェンダー関係者とともに立ち上げたブランドがミュージックマンです。エリック・クラプトンが使用して話題になったギターアンプHD-130と412GS、また名機スティングレイなどを開発しますが、1984年からはアーニーボールの傘下に加わり、レオ・フェンダーは退社。その後名機シルエットやアクシスが開発され、現在では個性とプレイアビリティで多くのプレイヤーに支持されています。

Music Man とは

自分が創始したフェンダーのブランドイメージや方向性に「煮詰まり」を感じていたレオ・フェンダーが新たに興したブランドというだけあり、フェンダー製品の面影は残しながらも全く新しい楽器を提案しています。生産には必要上工作機械を使用する事もありますが、仕上げは必ず人の手で行われており、そのため廉価版の楽器はなく、逆にフェンダーやギブソンのカスタムショップに相当する「高級品」を生産するセクションを特別に設ける事もなく、常にハイエンドギターを作るつもりで生産しています。求めやすいエントリークラスについては現在Music Man監修のもと、「スターリン(Sterling by Music Man)」というブランド名で別工場で生産されています。

CBSによる企業買収以前、1965年以前のフェンダーのギターが「プレCBS」としてヴィンテージ的な価値が高いと考えられています。これと同様にアーニーボールによる買収以前、1984年までに作られたセイバーやスティングレイは「プレアーニー」と呼ばれてプレミアムがついていますが、ネックの強度についてはアーニーボール買収後の方が良いとされています。

Music Man ギターの特徴

サイレントサーキット(Silent Circuit)

Silent Circuit

シルエットに標準装備されている、ノイズを除去する回路です(特許)。9V電池を使用し、原音は損なわずにシングルコイル駆動時に発生するノイズだけを消し去ってくれます。EMGを代表とするアクティブサーキットでも同様のノイズレスは実現できますが、どうしてもアクティブの音(否定的にはアクティブ臭いという言い方をします)になってしまいます。あくまでもパッシブピックアップの味のあるサウンドのままで、デメリットであるノイズだけに作用するところが特徴で、(当然ですが)ピックアップを交換してもノイズレス効果が得られるのが最大の強みです。万が一電池切れが起きてもノイズ除去が作動しないだけで、音は普通に出ます。

ネックのスケール感が絶妙

「楽器を抱えた時に、ネックがプレイヤーの身体のどこに位置するか」を突き詰めたボディ設計により、「ロングスケールなのに、ネックの長さを感じない」不思議な弾きやすさも大きな特徴。7弦モデルであってもラクに弾ける感触が得られますから、不思議としか言いようがありません。またネックグリップについては、ナット幅41.3ミリ(シルエット)は他のメーカーに比べて若干細め。Ibanezに代表される平たく薄い感触ではなく丸みを帯びており握りやすく、弾きやすさに寄与しています。

以上の事から、手の大きさに自身のない方にもお勧めなギターだと言えるでしょう。

ロッキングチューナー

ダブルロッキングトレモロ使用ではないギターのペグは、全てがシャーラー製のロッキングチューナーになっています。ストリングポストに弦を通した状態で弦をロックできるため、弦の巻き数を限界まで減らし、アーミングなどによるチューニングの狂いを最小限に収めます。

フロイドローズ・ライセンスのオリジナルブリッジ

アクシスでは標準装備、シルエットではオプションになっているダブルロッキング・トレモロユニットはMusic Manによる独自のアレンジが施されています。特筆すべきはアームの着脱方法で、ネジを回す必要がなく、差して、抜くだけの簡単な扱いになっています。アームのトルク、及びアームを差す深さをネジで調整できるようになっていますので、好みに合わせて、また他メーカーのギターから持ち替えても違和感がなくなるようにセットアップできます。

Ball Family Reserve(BFR)

Ball Family Reserve Luke BFR

2007年に発表された、Music Manの特別仕様。キルテッド・メイプルやフレイム・メイプル、バーズアイ・メイプルなど、アーティストなどからの特別なオーダーのためにキープしていた超ハイグレードな木材を、惜しむことなく贅沢に使用しており、強烈なインパクトを発します。
また、スティーヴ・ルカサーモデルで採用された「マホガニー・トーン・ブロック構造」をここにも採用。バスウッドボディの中核部をくり抜いたところにマホガニー材をキッチリ詰め込む構造で、更なる「鳴り」が生み出され、またサウンドにレスポール的なニュアンスが加わります。
蔵出しのプレミアムなウッドマテリアル、高度な技術が必要な構造により、通常製品より10万円以上の価格差がつけられます。

主な使用ギタリスト

アルバート・リー

卓越したテクニックと幅広い音楽性から、「Guitar player’s guitar player」と評される、カントリー、ロック、ブルースを得意とするギタリスト。

スティーヴ・モーズ


Deep Purple’s Jon Lord and Steve Morse on fire in Malaysia 2001
正確無比な演奏とお茶目なキャラクターの達人プレイヤー。ブラックモアが脱退したディープ・パープルに加入し、来日公演も果たしています。

ジョン・ペトルーシ


Dream Theater – Official Video Strange Deja Vu (Live From The Boston Opera House)
達人ぞろいのプログレッシブ・メタル代表「ドリームシアター」のギタリスト。ドラマティックな展開、壮大かつ長い間奏に定評があります。

シグネチャー・モデル「MAJESTY」

ARTISAN MAJESTY ARTISAN MAJESTYシリーズ

2016年に登場したジョン・ペトルーシ氏の最新シグネチャー・モデル「ARTISAN MAJESTY」は、ボディ材にアフリカン・マホガニー/メイプル・トップ、ネック材にホンジュラス・マホガニー、指板材にエボニー、ステンレス・フレットを採用、フローティング・トレモロ・システム/スルーネック構造のハイエンド・ギターです。ハムバッカー2基(DiMarzio Illuminators/ピエゾ)はコイルタップに対応、ゲインブースト・コントロールも出来るなど、手元でサウンドを自在にコントロール可能、7弦モデルもラインナップしています。落ち着いた雰囲気のカラーリングとゴールドパーツが高級感を漂わせる究極のシグネチャー・モデルとなっています。

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スティーヴ・ルカサー(Steve Lukather)


Steve Lukather demos his Ernie Ball Music Man LUKE III BFR Electric Guitar
スタジオミュージシャン、ボズ・スキャッグズのバックバンドからTOTOとしての活動を開始。アルバム「TOTOⅣ」ではグラミー賞も獲得しています。

シグネチャー・モデル「Luke」

MUSICMAN Luke 上から:Luke BFR、Luke3 BFR、Luke3

Steve Lukather 氏のシグネチャー・モデル。本人同様の弦高の低いセッティングに、ピックアップはフロントにEMGのアクティブ・ピックアップ「SLV」カスタム・シングルコイル、リアに85ハムバッキング・ピックアップを搭載、様々なシチュエーションと音楽ジャンルに対応できるモデルとなっています。

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Musicmanギターのラインナップ

シルエット(Silhouette)

musicman silhouette

Music Manで自らのシグネイチャーモデルを発表しているカントリーの巨人アルバート・リーが開発に加わった、同ブランドのアイデンティティとも言うべき名機。先述したスティーヴ・ルカサー、またジョン・ペトルーシのシグネイチャーモデルのベースになっています。

24フレット、トレモロレス、裏通しブリッジでHSH配列の「シルエット」、22フレット、ヴィンテージスタイルのトレモロ、SSS又はSSH配列の「シルエットスペシャル」の二つが用意されており、サイレントサーキットが標準装備されています。小振りなボディサイズとヘッドのため、ロングスケールであることを忘れてしまいそうなコンパクト感と、構えたときの良好なネックポジションを味わう事が出来ます。

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アクシス(AXIS)

musicman axis

本来はエドワード・ヴァン・ヘイレン(EVH)シグネイチャーとして開発されましたが、契約期間終了に伴い、アクシスの名で生産されています。シングルカッタウェイ、フラットトップ、ボディに直接マウントした2基のハムバッカー、フロイドローズライセンスのトレモロユニットという構成で、ボディマテリアルはメイプルトップ、バスウッドバックです。6弦側に比べて1下側が薄くなるように仕上げた非対称のネックグリップが大きな特徴です。

ヴァン・ヘイレンモデルを踏襲したAXISはノンフローティングでマウントされたフロイドローズタイプのブリッジ、1ヴォリュームとトグルSWのみのシンプルなコントロールでまとめられた、「究極のロック志向サウンド」を追求した一本。AXIS SUPER SPORTはヴィンテージスタイルのトレモロユニット、ロッキングチューナー、1ヴォリューム1トーン、スライド式5点セレクタSWが基本で、トレモロレス、ピエゾピックアップ内蔵、サイレントサーキットを伴うP-90スタイルピックアップなど、数々のバリエーションが用意されています。

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アルマダ(ARMADA)

musicman-armada

2014年発表のニューモデル。2基のエスカッションマウントされたハムバッカー、チューン・O・マチックブリッジ、ギブソンと同じミディアムスケールのマホガニーネックを採用したレスポールライクなギターですが、ボディトップにはめ込まれたV字カットのフレイムメイプルにより全く新しい印象を与えています。スルーネック構造のためヒール部分の演奏性が高く、ボディバックにコンター加工が施されており、Music Manならではの弾きやすさは健在。いわゆる「いいレスポールの音」にある美しい高域と音の抜けを持ち、また現代の音楽にマッチするシンプルかつ透明感のあるサウンドにセットアップされています。

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Cutlass(カトラス)

musicman-cutlass

ビンテージ・スペックを基本としながらも、60年代を意識したシングルコイル・ピックアップ3基/ステンレスフレット/シャーラー「M6-IND」ロックチューナー/ノイズ除去のためのサイレント・サーキットに加えてバッファーも搭載するなど、Musicman 流のモダン・スタイル機能が取り入れられたギターです。
ストラトキャスターを意識したようなルックスですが左右非対称であり、ピックガードのデザインもアレンジが加えられています。


Ernie Ball Music Man Cutlass Guitar

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スターリン(Sterling by Music Man)

Sterling by Music Man

Music Man監修のもと別工場で生産されるミドルクラス/エントリークラスのブランドです。シルエット、アクシスなど、デザインとプレイアビリティはそのままに、価格を抑えたギターをリリースしています。

Sterling by MUSIC MANのギターについて

StingRay Guitar

StingRay Guitar

レオ・フェンダーが1970年代後期に開発した StingRayII のデザインを基に、現代のミュージックシーンにフィットするようにリニューアルが施されたモデル。アフリカン・マホガニー・ボディ/メイプル・ネック、硬質なステンレス・フレット、ミュージックマンを象徴する4:2のヘッドストック、ボルトオン・ジョイントは5本に増強、ピックアップはカスタム・ワウンドのハムバッキング・ピックアップ2基搭載。
アクティブ・トーン・サーキットは廃されパッシブ仕様、シャーラーのM6-INDロッキング・チューナーにモダン・トレモロと、ヴィンテージなルックスにモダン・スペックを搭載したギターとなっています。

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