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はじめての歪みエフェクター、どれを選ぶ?

歪みエフェクター

「かっこいいエレキギターの音」を語る時、どうしても切り離せないのが「歪み(ひずみ)」です。ロックの探求は、歪みの探求でもあります。この歪みをエレキギターに加えるもの、それが「歪みエフェクター」です(近年では「ドライブペダル」とも呼ばれます)。今回は、歪みエフェクターとは何か、記念すべき最初の一個に何を選ぶか、こうしたところをチェックしていきましょう。

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1: そもそも、「歪み」って何? 1.1: 歪みエフェクターには3種類ある 1.2: アンプの使い方には2種類ある 2: 「最初の一台」にお勧めの歪みエフェクター 2.1: 最初の一台にお勧めのオーバードライブ 2.2: 最初の一台にお勧めのディストーション 2.3: 最初の一台にお勧めのファズ 3: まだまだあるぞ!最初の一台にお勧めの歪みエフェクター 3.1: もはやエフェクター界のインフラ「BOSS」 3.2: ブースターの王道 Ibanez「Tube Screamer」 3.3: 変態さんご満悦、NYの老舗「Electro Harmonix」 3.4: ジャムやバターを塗るように、組み合わせを楽しむ「Effects Bakery」 3.5: 可愛らしいけどマニアック「Animals Pedal」 3.6: シンプルな中に、驚きの性能「One Control」 3.7: ディストーションは、ここから始まった「MXR」 3.8: 「TS系」の生みの親「MAXON」 3.9: これを知ってからファズを語れ Jim Dunlop「FUZZ FACE」 3.10: ヨーロピアン高品質「tc electronic」

そもそも、「歪み」って何?

突然ですが、「エレキギターの音」を思い浮かべてみてください。「ジャーン!」「ズムズム」「ギュイーン!」「ザクザク」「ギシャー!」といったイメージの音は、歪んでいます。「歪み」のほか、「ドライブサウンド」とも呼ばれます。「シャリーン」「チャカチャカ」「サクサク」といった感じのものは、たいがい歪んでいない「クリーンサウンド」です。

歪んだギターサウンドの魅力は、1940年代にはすでに発見されていました。歪みエフェクターが開発されるまでは、ギタリストはアンプの音量をやたら大きくしたり、真空管を1個外したり、スピーカーに穴をあけたりと、かなり無茶をして歪んだ音を獲得していました。

こうした状況から、電気的な作用によって歪みを発生させるために発明された装置が「歪みエフェクター」です。この発明によってギタリストは簡単に歪んだ音を手に入れることができるようになりました。また大音量でアンサンブルのバランスがぶっ壊されることも、スピーカーに穴が開けられることもなくなりました。

歪みエフェクターには3種類ある

回路の組み込み方によってさまざまな歪みが生まれますが、歪みエフェクターは、オーバードライブ、ディストーション、ファズの3種類に大きく分類されます。しかし、その境界はあいまいです。定番のサウンドを狙ったものばかりではなく、「ディストーション並に歪むオーバードライブ」や「ディストーションっぽいファズ」など、中間的なものも多くリリースされています。まずは博士の動画から、3種類それぞれのイメージを掴んでいきましょう。

オーバードライブ


はじめてのオーバードライブ・エフェクター【ギター博士】

「アンプの歪み」を再現することから発明された「オーバードライブ」は、ほとんど歪んでいないところから、かなり歪んでいるところまでをカバーします。ちょっとだけ歪んでいる音は、「クランチサウンド」と呼ばれます。後段の歪みエフェクターやアンプの歪みを増強する「ブースター」としても、盛んに使われます。第一号は、BOSSの「OD-1(1977)」です。

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「ブースター」って何?

歪みエフェクターは単体で歪ませるだけでなく、後段のエフェクターやアンプへ送る音量を持ち上げるのにも使われます。この使い方を「ブースター」と言います。「ブースト(boost)」は「押し上げる、上乗せする」という意味です。歪みエフェクターで音量が上げられることで、後段のエフェクターやアンプの歪みがアップします。ゲイン(歪み量)を「0」にして音量だけ大きくするのを、特別に「クリーンブースト」と言います。

ディストーション


はじめてのディストーション・エフェクター【ギター博士】

オーバードライブ以上の烈しい歪みを作る「ディストーション」は、ほどほどに歪んでいるところから物凄く歪んでいるところまで、またモデルによってはその遥か彼方までをカバーします。第一号は、MXRの「Distortion+(1973)」です。

ファズ


はじめてのファズ・エフェクター【ギター博士】

「ファズ」は、オーバードライブともディストーションとも違う、毛羽立った(=fuzzy)ような独特の歪み方です。故障したアンプから出る歪んだ音が認められ、これを再現すべく開発されたファズ第一号が、ギブソンの「Maestro FZ-1 Fuzz-Tone(1962)」です。音が物凄く太くなることから、特にシングルコイルとの相性が良いと考えられています。

アンプの使い方には2種類ある

歪みエフェクターを挿すギターアンプには、「若干歪ませて使う」「クリーンで使う」の2種類があります。

アンプを若干歪ませて使う場合、歪みエフェクターの音にアンプの歪みが加わり、強力な歪みが得られます。反面、練習スタジオやライブ会場のアンプで同じ音が出せるとは限らないので、いつものフィーリングで弾きたければアンプも持ち運ぶ必要があります。

アンプをクリーンで使う場合、サウンドがアンプに依存しにくいことがメリットですが、単体ではじゅうぶんな歪みが得られない場合があります。がっつり歪ませたいなら、歪みエフェクターを二つ並べるか、あるいは単体でも満足な歪みが得られるハイゲインなモデルを選びましょう。

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アンプの歪みとはどう違うの?

アンプで歪ませる音は、オーバードライブやディストーションと同じ原理で作られます。オーバードライブやディストーションに似た音は、アンプでも作ることができるわけです。いっぽうファズは原理が違うので、故障のないアンプで同じ音を鳴らすことはできません。

現代ではアンプの切り替え機能やエフェクターを内蔵した多機能アンプも一般化していますが、歪みエフェクターは足元で操作できるほか、アンプをブーストでき、また持ち運びや買い足し、買い替えのハードルが低いというメリットがあります。

「最初の一台」にお勧めの歪みエフェクター

さてこの先、いろんなメーカーのいろんな歪みエフェクターが紹介されます。しかしその前に、お勧めの超定番機種をいくつかピックアップしていきましょう。膨大なラインナップを前に迷いたくないという人は、ぜひこの中から選んでください。選定基準は、個性と歴史のある定番機種であることのほかに

  • ツマミは3つまで
  • 電池でもACアダプターでも駆動できる

という扱いやすさを特に重視しています。なおエフェクターは多くの場合、本体のルックスがサウンドのイメージを象徴します。だから、本体の色で選んでしまってもだいたい大丈夫です。黄色やオレンジはだいたいオーバードライブやディストーションだし、黒っぽいものはたいがい単体でハイゲインな歪みが得られます。

最初の一台にお勧めのオーバードライブ

”第一号”の正統継承者
BOSS「SD-1」「SD-1W」

BOSS SD-1、SD-1W

BOSSの「スーパーオーバードライブ」SD-1は、オーバードライブ世界第一号「OD-1」のサウンドを現代に伝える超定番機種です。世の中にあふれる黄色いオーバードライブは、たいがいこのサウンドに方向づけられています。

中域をキレイに出すよう狙ったサウンドは「カラッと明るい」と評され、歪みを抑えればコードをダーティに響かせ、しっかり歪ませればメロディをクッキリと表現できます。

通常版のSD-1と並び、「技 WAZA CRAFT(わざくらふと)」シリーズとしてアップグレードされた「SD-1W」もリリースされています。こちらはミニスイッチの切り替えで、もうひとつのキャラクターが得られます。


SD-1 SUPER OverDrive [BOSS Sound Check]

BOSS SD-1 SUPER OverDrive – Supernice!エフェクター
BOSS SD-1W Super Over Drive – Supernice!エフェクター

ブルース以外もいける蒼
BOSS「BD-2」「BD-2W」

BOSS BD-2、BD-2W

「ブルースドライバー」BD-2は、ジャリ感を伴うダークなサウンドが特徴のエフェクターです。ピッキングのアタックやギター側のボリューム操作を素直に反映でき、コード弾きとの相性がとても良いこともあって、上級者にも愛用されます。ギター側のボリュームを絞ってコード、全開にしてソロ、という使い方がしやすく、ブルースに限らずあらゆる音楽で使用できます。

また、「技 WAZA CRAFT」でアップグレード版が出ているほか、いろいろなメーカーがモディファイ(改造)版をリリースしています。


BOSS BD-2 vs BD-2W WAZA Craft

BOSS BD-2 Blues Driver – Supernice!エフェクター
BOSS BD-2W Blues Driver WAZA Craft – Supernice!エフェクター

ブースターとして本領発揮
Ibanez「TS9」

TS9

現在は「TS系」というジャンルが生まれている「チューブスクリーマー」は、単体ではナチュラルにまとまったトーンを持つ、比較的おとなしい歪みエフェクターです。しかし、ブースターとして使うと、その凶暴さが露呈します。「Tube Screamer」の名には「真空管アンプをギャーって言わすやつ」という意味があります。特に真空管アンプにつなげた時に、キメの細かい歪み具合で中域がキレイに出る優秀なブースターとして機能します。


Ibanez TS9 Tube Screamer Demo

Ibanez Tube Screamer TS-9 – Supernice!エフェクター

最初の一台にお勧めのディストーション

ギターの個性が出る定番ディストーション
BOSS「DS-1」

DS-1

その名も「ディストーション」DS-1は、1978年以来ながらく愛され続けているロングラン製品であり、BOSSの売上第一位を誇る人気エフェクターです。一流アーティストの使用例も多く、また安価に手に入れられるので、持っておいて損はない一台です。「TONE」の効きが良く、ズモズモからカリカリまで幅広くキャラクターを設定できるほか、シングルコイルとハムバッカーで異なるサウンドになり、ギターのキャラクターをしっかり残してくれます。


DS-1 Distortion [BOSS Sound Check]

BOSS DS-1 Distortion – Supernice!エフェクター

歪めば歪むほど太くなる
ProCo「RAT2」

RAT2

一般に「ラット」と言えば、このRAT2のことです。キメが細かくしっかり歪む太い音を特徴とし、ハイゲイン設定でも抜けが良いことから80年代のハードロック/ヘヴィメタルシーンを席巻しました。真ん中のツマミ「FILTER」は逆回しのトーン回路で、上げれば上げるほどトーンが効いて甘い音になります。70年代に誕生したエフェクターでありながら、単体でじゅうぶん満足できる歪みが得られます。


ProCo RAT2 Distortion (Original) | Reverb Demo Video

Proco RAT2 – Supernice!エフェクター

最初の一台にお勧めのファズ

あの人の音が出せるかも
Jim Dunlop 「Fuzz Face Mini Hendrix FFM-3」

FFM-3

「ファズフェイス」は1966年に発売、同年ジミ・ヘンドリクス氏が使い始め、やがて世界的に名の知れた定番機種となりました。ツマミは二つしかないシンプル設計ですが、原音をそのまま飽和させるような自然な歪みは、オーガニックだと表現されることもあります。「FFM-3」はその名の通り、ヘンドリクス氏の愛用したファズフェイスを再現したシグネイチャーモデルを、内部の回路はそのままに扱いやすく小型化したモデルです。軽く歪ませたマーシャルアンプに挿せば、ヘンドリクス氏のサウンドに接近できます。


Dunlop FMM3 Hendrix Fuzz Face Mini – Review, Demo & Comparison

Jim Dunlop Fuzz Face Mini Hendrix FFM-3 – Supernice!エフェクター

小型化に成功したロックの王道
Electro Harmonix「Nano Big Muff Pi」

Nano Big Muff Pi

「ナノ・ビッグ・マフ」は、名機ビッグ・マフの回路をそのままに本体を小型化したモデルです。ファズの太いサウンドにディストーション的なジャリ感が加えられた、ロックの王道を行くビッグ・マフのサウンドが得られます。ロングトーンもしっかり飽和する伸びの良さが特徴で、トーン回路もあるので好きな感じに設定できます。


Electro-Harmonix Nano Big Muff Pi

Electro Harmonix Nano Big Muff Pi – Supernice!エフェクター


以上、最初の一台にお勧めの歪みエフェクターを7モデル紹介しました。これらは王道であるばかりではなく、現在さまざまリリースされている歪みエフェクターの出発点と呼べるものです。マルチエフェクターなどでモデリングされることも大変多い定番機種ですが、本物を手にすること、実物のツマミをいじることの意義は、今なお重要だと考えられています。

さて次は選ぶ範囲をもっと拡大して、さまざまな歪みエフェクターを見ていきましょう。

まだまだあるぞ!最初の一台にお勧めの歪みエフェクター

ではここからはブランドごとに、お勧めの歪みエフェクターをチェックしていきましょう。やや多めかもしれませんが、世界の歪みエフェクター総数から言えばほんの一握りです。歪んだサウンドはギタリストのアイデンティティと呼べるほど重要であり、ギターやアンプ、弾き手のタッチなどさまざまな要素に影響される分野なので、さまざまな選択肢が必要なわけです。

ここで紹介する歪みエフェクターは、高人気で、べらぼうに高いわけではなく、かつ激安というわけでもない「手に入れやすく長期的に大事にできるもの」、という基準で選定しています。ツマミが多いものも、電池では駆動しないものも含まれています。

備考:「小さければ持ち運びに有利」とは限らない

先述した7台は、「電池でも駆動できる」ことに注目していました。エフェクターの電源には電池とACアダプターの2種類がありますが、どちらも使えるもの、どちらかしか使えないもの、どちらも使えず電源ケーブルが伸びているものがあります。ACアダプターも、汎用品で良いものと専用しか受け付けないものがあります。

特にさいきん流行している超小型エフェクターは、電池を収められずACアダプターでしか駆動しないものがほとんどです。単体で持ち運ぶ時には、エフェクター本体とACアダプターが必須となります。