コンパクトアナログディレイの決定版「MXR M169 Carbon Copy」

[記事公開日]2020/6/12 [最終更新日]2022/4/5
[ライター]森多健司 [編集者]神崎聡

MXR M169 Carbon Copy Analog Delay

2008年に登場するや否や、10年足らずでディレイエフェクターの新定番に上り詰めたMXR M169 Carbon Copy Analog Delay。もはやディレイにとどまらず、2000年代以降の全エフェクター製品を代表するモデルの一つと言っても過言ではない存在です。この Carbon Copy には一体どのような魅力が秘められているのか、しかと探ってみましょう。

M169 Carbon Copyの特徴

MXR M169 Carbon Copy

M169 Carbon Copyは3つのコントロールに1つのスイッチを持つ、非常にシンプルなアナログ・ディレイです。数多いディレイのカテゴリの中ではテープ・エコー風のものに分類され、その使いやすい音質、直感的な操作性で、多数のギタリストから支持を得ています。

テープ・エコーとは?

ディレイ・エフェクターのもっとも原始的な形態がテープエコーです。カセットテープなどに使われていたようなリング上の磁気テープや金属テープを回転させながら、録音と再生を時間差で繰り返すことでやまびこの効果を得る、という極めて分かりやすい構造の機器であり、黎明期のものは非常に巨大で、また高価でした。

テープを使っていることから、微細な揺らぎ、再生走行時におけるノイズの混入などが避けられず、コピーされたディレイ音は相応に劣化して再生されます。しかし、この劣化具合が音楽的に心地よいとして、現在ではディレイの理想的サウンドの一つとして、真っ先に名が挙がる存在になっています。そのような事情から、昨今発売される多機能ディレイマシンやマルチエフェクターに一つのモードとして「テープエコー」が搭載されることは珍しくなくなっており、また、単体でのテープエコータイプのディレイ・エフェクターも数多く出回っています。M169 Carbon Copyはそのようなテープエコータイプの代表的製品だと言うことができます。
アナログ・モデリング(テープエコー)ディレイ特集 – Supernice!エフェクター

温かみがあり自然な音質

Carbon Copy Analog Delay ラメ入りメタリックグリーンの筐体が高級感を演出する

入力された音をそのまま繰り返すデジタル・ディレイに比べ、アナログ・ディレイは音質が劣化します。ディレイの音楽的な部分はその劣化具合にもっともよく現れるとされていますが、Carbon Copyの音質は非常に温かみがあり自然で、程よい広がりと存在感を持つ、というような評価が与えられています。テープエコーを模した質感は掛けっぱなしにしても嫌味にならないため、ソロ時など以外でも、音質に深みや広がりを与える目的で常にオンにして使うギタリストも少なくありません。

また、最大600msまでのディレイタイムはアナログとしては相当のロングディレイとなり、「ショートディレイに設定してただ自然に掛ける」だけにとどまらない幅広い使い方ができるのも、このモデルならではの優れた特徴です。

モジュレーションを加えることができる

MXR M169:コントロール

MODスイッチ MODスイッチは個別にON/OFFが可能。モジュレーションを切っておくこともできる。

つまみが3つにスイッチが1つというシンプルでわかりやすい設計は、誰もが無理なく直感的に操作できます。

コントロールはそれぞれ、ディレイの音量を決めるMIX、ディレイタイムがDELAY、繰り返しの回数を決めるREGEN、となっており、これに唯一のプッシュスイッチであるMODスイッチがつきます。このMODスイッチではテープエコー風の揺らぎを自然に加えることができますが、裏蓋を開けることで、モジュレーションの揺れ幅や量を変えるためのスピードとレイトも調整可能です。この揺らぎは非常に自然で美しく、本モデルの一つの強みとなっています。

モジュレーションのパラメータ 裏蓋を開けるとモジュレーションのパラメータ調節(WIDTH、SPEED)が可能に。

シンプルでありながら調整幅は広く、何よりもコンパクトにまとめられたMXRサイズの筐体、導入しやすい価格帯の製品であることが、大ヒットを記録した大きな要因であることは言うまでもないでしょう。

派生する製品

M169 Carbon Copy の人気を受けて、MXRはいくつかの派生製品をリリースしています。順に見てみましょう。

MXR M299 Carbon Copy Mini

MXR M299

オリジナルをさらにスリムにした小型版のCarbon Copy。音質をそのままにサイズダウンを成し遂げ、より使いやすくなって登場した製品で、電池が使えないという欠点を除けば、オリジナルよりも劣る点はほぼありません。

また、ただ小さくなっただけではなく、側面にBRIGHTというスイッチが増設されているのが特徴で、これにより、ディレイ音の高域がしっかりと残るようになります。オリジナルの多彩なサウンドをさらに推し進めた好モデルと言えるでしょう。

MXR M299 Carbon Copy Mini – Supernice!エフェクター

MXR M269 Carbon Copy Bright

MXR M269

国内では限定500台で生産された、ディレイ音が明るめに再生されるCarbon Copy。外装の色が黄緑に近い色になっており、オリジナルモデルとは一目で分かる違いがあります。明るめのサウンドとCarbon Copyならではの独特の劣化を備えた揺れは、スラップバックディレイなどに特に最適。後にMiniが発売された際に搭載されたBRIGHTモードは、このモデルの出音に近いものです。

MXR M269 Carbon Copy Bright – Supernice!エフェクター


MXR M292 Carbon Copy Deluxe Analog Delay

MXR M292

ツインペダル仕様となったCarbon Copyのフラッグシップ機。従来では裏蓋を開けて行っていたモジュレーションの調整コントロールが、トップに配置されるようになり、より操作性が上がりました。片方のフットスイッチはタップテンポを担い、中心に設けられたTAP/DIVスイッチと併用することで、特定のテンポに同期した符割りでのディレイをワンタッチで設定可能。外部フットスイッチをつなぐことで、一つをプリセットとして呼び出すという、ライブでは特に重宝する機能も搭載しています。

裏蓋を開けると、ラインレベルとインストレベルとを切り替えるスイッチがあり、様々な楽器や接続場所を想定して作られていることが分かります。Carbon Copyシリーズの持つ音質はそのままに正統進化した、まさにDeluxeの名に恥じないディレイペダルです。

MXR M292 Carbon Copy Deluxe Analog Delay – Supernice!エフェクター


MXR M169

正統派のアナログ・ディレイとして世界中のギタリストからの支持を得るCarbon Copy。あらゆるジャンル、レベルのギタリストを巻き込んで売れ続けているのも、初心者の初めてのディレイとして薦めやすい価格帯でありながら、上級者をも唸らせるクオリティを持っているからです。まさに王道を地で行く製品であり、MXRブランドの底力を感じずにはいられません。

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