ジョニー・マー(Johnny Marr)

[記事公開日]2013/9/14 [最終更新日]2021/10/23
[編集者]神崎聡

ジョニー・マーはザ・スミスのギタリストとして80年代のUKシーンを席巻したギタリストです。ザ・スミスでは個性的なヴォーカルのモリッシーに負けず劣らずのギタープレイで注目されました。現在でも多くのロックファンから支持されていて、2012年にはフェンダーからジョニー・マーシグネイチャーモデルのジャガーが発表されています。技術面では、テクニカルなギタープレイをするギタリストでは無いですが、ギターの響きを重視した、繊細でメロディアスなプレイを得意とし、リズムギターに定評があるギタリストです。

ギター以外にも、ヴォーカル、キーボード、マンドリン、ブルースハープを演奏できるマルチなギタリストです。ソングライターとしても才能があり、ザ・スミスの活動以外にも、多くのバンドに関わり、プロデューサー業も行っています。2013年に入ってからは自身のキャリア初となるソロ名義での活動を始め、昔からのファンのみならず、新しいロックキッズ達にもインパクトを与えるでしょう。

Biography

1963年10月31日生 英 マンチェスター出身

バンドを組む前は一人でドラムマシーンを使って作曲したり、演奏したりして音楽を行っていました。ボーカルのモリッシーと出会ってからは、一緒にザ・スミスを結成し、ギタリストとして活躍しました。ザ・スミスはモリッシーのヘロヘロなヴォーカルとジョニーの流れるようなギターメロディが当時のロックシーンに衝撃を与えました。労働者階級の若者の葛藤をセンスのある言葉選びで歌詞にし、美しいメロディで歌い上げるスタイルで人気を博しました。それまでの主流だった、ヘタクソな演奏と過激な歌詞、破天荒なパフォーマンスを売りにしたパンクロックとは大きく違うスタイルで社会に対する反抗するザ・スミスは労働者階級の若者の共感されました。
80年代のイギリスにザ・スミスが与えた影響は大きく、その後のマンチェスター系(現在のジャンルで言うUKロック)と言われたオアシス、クーラシェイカー、スウェード等の90年代以降に活躍したミュージシャン達に影響を与えました。


トレモロ・エフェクトの使い方が印象的:How Soon Is Now? (Official Music Video)

1987年にザ・スミスを脱退後、ザ・ザ、ジョニー・マー&ザ・ヒーラーズ、ザ・クリブス等、数多くのバンドを渡り歩きました。プロデュース業やセッションミュージシャンとしても活躍しています。

ソロデビュー

2013年にはキャリア初となるソロアルバムをリリース。30年以上の音楽キャリアの集大成とも言えるような内容になっており、続いて2014年にもアルバムをリリースするなど精力的に活動を行っています。

ギタープレイの特徴

ジョニーは曲のソングライター的な思考が強く、ギターソロやテクニックでは無くバッキングを重視したプレイがほとんどです。ジョニーがデビューした80年代はギタリスト戦国時代とも言われ、ギタリストのギターテクニックばかりが注目されていた時代でしたが、ジョニーは曲にあったギターを弾く事を信念として、テクニックを披露する為だけのギタープレイには一切興味を持ちませんでした。
ジョニーが影響を受けたと公言しているギタリストはジェイムズ・ウィリアムスン、ピート・タウンゼント、マーク・ボラン等のリフやバッキングが得意なギタリストが多いのが特徴で、ソロイストにはあまり興味が無いようです。


The Smiths – This Charming Man

ジョニーのギタープレイは曲にあった最小限の音数から生まれるメロディと、シンプルながらもオーバーダビングしたギターが特徴的です。例えば「This Charming Man」ではギタートラックが15くらいあって長いリバーブを掛けて録音したようです。
変則チューニングでプレイする事も多く、「The Headmaster Ritual」ではギターのチューニングをナッシュビルチューニング(3~6弦までの4本の弦をゲージの細い弦にする事で、1オクターブ高くチューニングする方法)にしてレギュラーチューニングとは違った12弦ギターのような独特なギターの響きを出しています。また、レギュラーチューニングよりも1音高くしたF#チューニングやオープンチューニングも良く使っています。

テクニック面では、曲のコード進行を意識したアルペジオを使ったプレイが多く、トリルやタッピングのような派手なプレイは好みませんでした。曲のメロディを意識したギタープレイは職人技と言えるでしょう。

使用機材

johnny-marr-jaguar FenderからリリースされているJohnny Marrシグネチャー
モデルのジャガー

デビュー当時から特定の機材に固執する事は無く、様々なギターやエフェクターを使っていたようで、曲のイメージによって機材を変える事が多かったようです。
ザ・スミス時代はギブソン系のギターが多くリッケンバッカーやテレキャスター等も使っていたようです。最近ではフェンダーのジャガーを使う事が多いようですが、どんな種類のギターでもしっかりと自分の音を出している所は流石だなと感じさせられます。

使用されているジャガーはショートスケールのギターで、弦のテンションが低くヘロヘロながらも、歯切れ良く鋭いサウンドが出る事が特徴です。シングルコイルですが、ストラトを少しこもらせたようなサウンドのジャガーとリバーブの効いたフェンダーアンプから生み出されるサウンドが彼のアルペジオやバッキングを引き立たせています。ジャガーを構えているジョニーは非常にカッコいいです!

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Discography

The Smith「Smiths」

Smiths

ザ・スミスのデビューアルバムです。演奏が少々荒削りで地味な印象もありますが、モリッシーの女々しくも、表現力豊かに歌い上げるヴォーカルとジョニーのタイトなギターから生み出される世界観はこの時点で既に完成されていたようです。発売当時は産業ロックと言われた、華やかなサウンドやファッションが売りのバンドが流行っていた事を考えると、彼らとは真逆の事をやっていたスミスの存在意義は非常に大きかったと思います。代表曲「This Charming Man」も収録されています。ザ・スミスを聞いた事が無い方は、まず聞いて頂きたいアルバムです。

The Smith「Queen Is Dead」

Queen Is Dead

ザ・スミスの最高傑作とも言われている3枚目のアルバムです。タイトルは過激ですが、楽曲は非常に洗練されていて、コーラスワークやギターのメロディ、ベースラインの豊かさ、タイトなリズムから生み出される楽曲は非常に聞き応えがあります。タイトル曲の「The Queen Is Dead」のように社会に対する挑発もあれば、「I Know It’s Over」ように美しいバラードの曲も収録されていて非常に完成度の高い1枚です。ここでも、ジョニーのギターは、繊細なモリッシーのヴォーカルを引き立たせる仕事をしており、正にリズムギター職人と言うような演奏を聴く事が出来ます。

Johnny Marr & The Healers「BOOMSLANG」

BOOMSLANG

ジョニーがギターヴォーカルを担当し、ベースがクーラシェイカーのアロンザ・ビバン、ドラムがリンゴ・スターの息子のザック・スターキーが担当しているスーパーバンドです。ザ・スミスのようなヴォーカルの横で美しいメロディーを奏でるといったスタイルでは無く、どちらかと言うとレッドツェッペリンやローリングストーンズのような、リフで曲をリードするようなプレイが多く2000年代のUKロックと言ったサウンドです。リズム隊のメンバーの演奏力も高く、タイトなロックンロールを楽しむ事が出来るアルバムです。1曲目のロックナンバー「The Last Ride」がおすすめです。

Johnny Marr「Messenger」

Messenger

ジョニーのキャリア初となるソロアルバムです。30年以上のキャリアの集大成とも言える内容で、「Upstarts」のような軽快なロックロールナンバーもあれば、「New Town Velocity」では、ザ・スミスのようなメロウでスタイリッシュなロックを演奏しています。サウンドは比較的モダンなサウンドですが、ノスタルジックな響きも感じる事が出来るアルバムです。ギタープレイも味わい深く、いつもよりもギターソロを弾いています。新しい世代のファンにも聞いて欲しい1枚です。


Johnny Marr – The Messenger [Official Video]

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