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速弾きの練習方法

速弾き練習

多くの場合、「速さ」はそれ自体が価値です。自動車、バイク、飛行機から、競走や競泳、パンチやキック、スマホやPCの処理速度など、速ければ速いほど高く評価されます。速さは正義。速いとかっこいい。これは音楽でも同様で、古くはバッハやヴィヴァルディの作品からも、猛烈な速さが要求される楽曲が多数確認できます。

ギターにおいてもそれは例外でなく、偉人たちの多くが速弾きにおける高いスキルを持っています。音楽が多様化した現代において、速弾きは必須ではありません。しかし、ここぞという場面で繰り出される速いプレイは、今でも私たちの胸を鋭く貫くのです。メロディを奏でるギタリストならば、ある程度の速さを身につけておいて損はありません。

初心者がはじめから速く正確に弾けるわけではありませんが、コツコツと練習すれば必ず身に付きます。このページでは速弾きを始める前の基礎知識から、はじめての速弾きのコツ・練習方法について紹介しています。

速弾きの歴史

速弾きの元祖となったのは、1960年代に活躍していたエリック・クラプトン氏/ジミ・ヘンドリックス氏/ジェフ・ベック氏といった超大物ギタリスト達のプレイと言われています。彼らはブルースやカントリーミュージックをバックボーンとしており、ジャンル特有のチョーキング、ハンマリング、プリングなどのテクニックを駆使した速いフレーズが繰り出されました。


Led Zeppelin – Immigrant Song (Live 1972) (Official Video)
アルバム収録時にギターソロの入っていなかった曲でも、ライブ用のアレンジではこのように、がっつりと速いギターソロが入りました。

彼らのプレイは現代からみれば特に”速い”と感じないかもしれませんが、彼らのスピード感溢れるギター・プレイに影響を受けた1970年代の次世代ギタリストが、より速く弾くことに特化したことがきかっけとなり「速弾きギタリスト」と言う言葉まで生まれました。この時代に登場した速弾きギタリストとして Deep Purple のリッチー・ブラックモア氏が有名です。ジャズ/フュージョン界では「ピッキングのアル・ディ・メオラ、フィンガリングのアラン・ホールズワース」と言われ、多くの若手がこの二人を参考に腕を磨きました。

さらに1980年代に入るとアメリカン・ハードロックをルーツに持つエディ・ヴァン・ヘイレン氏が「ライトハンド奏法」を世に広め、また、クラシック音楽をルーツに持つイングウェイ・マルムスティーン氏がバロック調のサウンドをロックに採り入れるなど、新しい速弾きが次々と生まれます。

ヤングギターテクニカル系ギタリストを数多く特集する
ギターマガジン:Young Guitar

1990年代に入っても速弾きの人気は衰えません。RACER X としてデビューしたポール・ギルバート氏、スティーブ・ヴァイ氏、クリス・インペリテリ氏などクラシック音楽を取り入れたバンドは「ネオクラシカル」とカテゴライズされます。国内でもギター雑誌「ヤングギター」などで速弾きギタリストが度々特集され、80年代後半から90年代前半は【速弾き全盛の時代】でした。

しかしその後は NIRVANA や Rage Against the Mashine、レッドホットチリペッパーズ、Kornといったグランジ/オルタナティブ/パンク系などギターソロをとらない(ギターソロに比重を置かない)スタイルのバンドが支持されます。「速いギターソロは無くても良い」という価値観が蔓延し、速弾きの勢いはいったん後退します。

ロックにギターソロや超絶技巧は必須ではない、という風潮は現在でも変わりません。しかし一世を風靡した「カノンロック(ジェリー・C氏)」など、インターネット配信で速弾きを披露する、また「弾いてみた」などカバーするブームが到来します。一方でBABY METALなど超絶技巧を駆使するバンドが世界的な成功を収めるなど、速弾きの魅力は今なお輝きを放っています。

速弾きのコツ

まずはゆっくりとしたテンポで

メトロノームを使って始めはゆっくりのテンポで練習し、慣れてきたら徐々にテンポを上げていくことをおすすめします。まずはオルタネイト・ピッキングの練習をしっかりやる事。これが肝心になってきます。

速弾き用のピックを選ぼう

どんなピックを使うかということも、速弾きをする上では重要なポイントです。「おにぎり」型のような大型のピックではピッキングの動きが大きくなってしまうので適しているとは言えません。【JAZZ】型のような、なるべく小さくて鋭角なピックが速弾きに向いていると言えます。
ピックの持ち方・ピッキングの仕方《ギター博士流》

ピッキングの幅を小さく

下にあるギター博士の動画で、博士のピッキングを確認してみて下さい。ピッキング後の弦とピックの先端は3mmくらいしか間隔があいていません。そのくらい小さな動きでピッキングできれば速く弾くことも可能になります。

また、ピックの角度もポイントです。動画ではピック自体は見えにくいのですが、速く弾いている時の博士の右手親指を、スローで弾いている時と比べてみましょう。弦に対してピックの角度がゆるいと、美しい音が得られる半面、ピックに弦の抵抗が大きくかかります。角度がきつくなると、弦の抵抗をかなり軽減させることができるのです。

指をバタバタさせない

フィンガリングの基本でもありますが、速い動きをするのでネックを握る左手の動きも最小限に抑えます。【芋虫が指板の上をウネウネ這っている】ような、必要最小限の動きをイメージして、指を動かしてみましょう。

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ギター博士「人それぞれじゃが、ワシの場合は指の腹をブリッジにのせ小指をピックガードに軽く触れてピッキングを安定させておるゾ。参考にしてくれぃ!」

速弾き練習メニュー

はじめての速弾き練習

それでは「はじめての速弾き練習」を、ギター博士の動画で一緒に練習してみましょう!
0:41〜あたりからはピッキングがよくわかる視点になります。どのくらいの振れ幅でピッキングしているかもチェックしてくださいね。

速弾き練習 その2

「はじめての速弾き練習」ができたら、次はより複雑なフレーズを練習してみましょう。

  • Ex.1
  • Ex.2
  • Ex.3
Ex. 1
速弾き練習その2:Tab譜-1
Ex. 2:1:15〜
2音毎に弦移動する速弾きです
速弾き練習その2:Tab譜-2
Ex. 2:1:56〜
開放弦を絡めた速弾きです。押さえた直後の音がしっかり鳴るように意識してください。
速弾き練習その2:Tab譜-3

ここまでで「速弾き、難しい…」と挫折しそうな人は、こちらのページも参考にしてみて下さい。メトロノームを使ったピッキング練習、左手を鍛える方法など紹介しています。
速弾きを上達させるためのコツ

速弾き練習 その3


ギター博士の30日間ギターチャレンジから:#18 クラシカル・リード

クラシカル・リード:Tab譜

クラシカルな雰囲気が漂う速いテンポのギターソロです。指の動きも激しくフレーズの最後にはスウィープも登場します。

速弾き練習 その4


ギター博士の30日間ギターチャレンジから:#30 博士昇天 そして伝説へ…?

博士昇天:Tab譜

8連譜のフルピッキングが延々と続く”極悪鬼畜”フレーズです。

速弾きで使用するスケールってどんなの?

超絶技巧を持つギタリストたちは、速弾きでどんなスケールを使っているのでしょうか。ルーツとしている音楽や現在出しているサウンドにより、いくつかの傾向があるようです。多少乱暴ですが、「ブルース(ロック/ソウル/ファンクも含む)系」、「ルーツがクラシック」、「ジャズ/フュージョン系」と分類してみます。
該当するギタリストも挙げていますが、あくまでもメインがそれ、というだけの話です。どのジャンルのギタリストも、実際の演奏では場面に応じてさまざまなスケールを使い分けています。

ギター博士の速弾きは何スケール?


ハカセって速弾きで何スケールを使っているの?調査してみた!

速弾きってどんなスケールが使われているか、気になっている人もいるのではないでしょうか。この動画では、かなり速いビートに乗せた勢いのある速弾き、ギター1本で弾く自由なテンポでの速弾き、クラシカルなバラードでのレンジ(音域)の広い速弾き、という3つを検証しています。

ギター博士の演奏では、

の二つが使用されていました。これに半音で音をつなぐ「クロマチック・アプローチ」、コードの構成音を弾いていく「コーダル・アプローチ」もスパイス的に挿入されています。

ブルース系


OZZY OSBOURNE – “No More Tears” (Official Video)
若きザック・ワイルド氏の名演。ギターソロでは、超速のラン奏法からチョーキングビブラートで締めくくる、黄金の終わり方が確認できます。c

エリック・クラプトン氏、ジェフ・ベック氏、ジョニー・ウィンター氏、ザック・ワイルド氏らが該当します。このジャンルの速弾きでは、ペンタトニックスケールが盛んに使用されます。「ペンタ一発」で弾き倒すことも珍しくなく、むしろそれが美学ですらあります。メジャーペンタに11thと7hを追加した「ミクソリディアンスケールマイナーペンタに9thと13thを追加した「ドリアンスケールも多く見られます。さらに「b5」を追加するなど、スケールだけでもさまざまなバリエーションがあります。
またブルースを意識した速弾きでは、シンプルなモチーフを繰り返す「ラン奏法」が多用されます。ラン奏法で沸騰してチョーキングビブラートで〆る、というのは一つの様式美です。

ルーツがクラシック


Mr. Big – Daddy, Brother, Lover, Little Boy [The Electric Drill Song] (MV)
この演奏からクラシックを感じられる人は、ますいないでしょう。しかし、ここで見られるダイアトニックのフレージングは、ブルース系の速弾きではほとんど見られません。

イングヴェイ・J・マルムスティーン氏、ランディ・ローズ氏、ポール・ギルバート氏、エドワード・ヴァン・ヘイレン氏らが該当します。クラシックに親しんだ経歴のあるギタリストには、「ダイアトニックスケール(ドレミファソラシド)」がメインで、ブルース系の歌い回しのときにペンタトニックを使用する、という傾向があります。ダイアトニックをギターで弾く場合、弦1本あたり3音得られることが多く、2音しか得られないペンタトニックより速弾きに有利と考えられます。
またランディ・ローズ氏はナチュラルマイナースケールに「b5」を追加する、イングヴェイ氏はハーモニックマイナースケールを多用するなど、スケールのチョイスはギタリストごとにさまざまです。

ジャズ/フュージョン系


Mike Stern – Chromazone
ロックやブルース、ファンクのエッセンスも柔軟に取り入れているマイク・スターン氏。超速のプレイがすべてアドリブというところは、驚愕に値します。

ジョン・マクラフリン氏、マイク・スターン氏、フランク・ギャンバレ氏、パット・マルティーノ氏らが該当します。こちらのジャンルでは速弾きであっても、コードの進行に準じてスケールを使い分けていくモーダル・アプローチ)、というのが普通です。特に7thコードにどんなスケールを合わせるかはこだわるポイントで、ミクソリディアン、ハーモニックマイナーパーフェクトフィフスビロウ(HMP5↓)以外にも、オルタードスケールやホールトーンスケール、コンディミ(コンビベーションオブディミニッシュスケール)など、さまざまなスケールが使用されます。
また、コードの構成音のみを使ったコーダル・アプローチの速弾きも多く見られます。スケールをなぞるフレージングが滑らかな音程変化を特徴とするのに対し、コードの構成音で作るフレーズは音程変化が大きいのが特徴です。


以上、速弾きの練習についてでした。「物足りない、もっと練習したい!」という人は「ギター博士の30日間チャレンジ」、また博士の弾いてみたシリーズの動画にも時々速弾きフレーズが登場するので、是非チェックしてみてください!
ギター博士の30日間ギターチャレンジ

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